2026年2月28日、アメリカはイスラエルとともに、イランに対する軍事作戦を開始。
翌1日にはイランの最高指導者・ハメネイ氏の死亡が伝わりました。
当初はハメネイ氏の死去までのスピード感のある展開から、紛争は早期に終結するとの楽観的な見方が多かったものの、ここにきて長期化の可能性が意識され始めています。
トランプ米大統領は「要する時間はいとわない。必要ならいくらでもやる」などと発言。当初見込んでいた4~5週間よりも「はるかに長い時間」攻撃を続ける可能性を示唆しました。
これを受けて、金融市場は、戦争の長期化を織り込む展開となっています。
そこで、本記事では日本株投資家に向けて、日経平均株価はどこまで下がる余地があるのか、現状をまとめて今後の下値目処や下げ止まりのタイミングを考えていきたいと思います。
ホルムズ海峡の状況と原油価格が下げ止まりの鍵

米国とイスラエルによる攻撃を受けて、イラン側はホルムズ海峡を封鎖したと明らかにしています。
世界の石油消費量のうち約5分の1がこのホルムズ海峡を通って運ばれており、封鎖によって、世界的に資源価格が長期的に上昇するとの見方が浮上。
株売りを加速させる要因となっています。
海峡を長期間封鎖してしまうと、イランも経済的に困窮するため、長期間完全に封鎖するのは不可能だとみられますが、それでも原油供給が絞られれば、経済には悪影響を及ぼします。
エネルギー価格が上昇すれば、企業のコストが増加し、電気代やガソリン代の高騰によって消費が減速する可能性が警戒されます。
しかし、エネルギー価格の高騰でインフレも同時に進めば、FRBは利下げに動けず、株式市場にとってはもっともネガティブなスタグフレーション型の不況が発生する可能性が警戒されます。
このシナリオを織り込んで株価は下落しているとみられ、どこで織り込みが一巡するのかが、今後の鍵となります。
主要指数の値動きを確認
こうした情勢悪化を受けて2026年3月3日現在の金融市場がどのような反応を見せているのか、現状を確認していきましょう。
日経平均先物は自民党の大勝を織り込む前の水準に
▼日経平均先物は、3月3日の取引終了後にも下値を模索する動きとなっています。

しかし、それでも指数は75日移動平均線を上回っている点は注目に値します。
日経平均先物は高市政権による衆議院総選挙での大勝を織り込む形で急騰する前の水準まで戻した形になっており、この辺りは1つの節目として意識されやすいと考えられます。
指数が75日移動平均線を上回って、上昇トレンドを維持していますので、比較的反発には期待できる状況です。
一方、米国株価指数を見ると景色が変わってきます。
▼ナスダック総合指数は75日移動平均線と25日移動平均線がデッドクロスを形成しており、2万3,200ポイント近辺での戻り待ちの売りが重い形になっています。

▼S&P500指数は、3月2日の取引で75日移動平均線を上回って引けているものの、やはり高値を更新できないやや弱い形となっています。

これは、AIへの熱狂が少しずつ鳴りを潜めていたからだとみられます。
2026年2月初旬には米アンソロピックがClaudeの新機能を発表し、SaaS企業を中心に事業環境の悪化を警戒した売りが波及。
ハイスピードでのAI機能の進化がこれでいったんのピークに達した感もあり、大手テック株については、競争激化が一層警戒されていました。
▼また、米国とイスラエルがイランに攻撃を開始する少し前には、エヌビディアの決算発表がありましたが、好決算を発表したのにも関わらず、株価上昇が止まってしまっていました。

現在は、これまで景気懸念や地政学リスクが浮上しても強い値動きを継続してきた大手ハイテク株の上昇が止まったタイミングと言え、市場へのショックが大きくなりやすかったと考えられます。
原油価格は昨年の高値を上回るか
株式投資家として特に気にするべきは原油価格の動きです。
原油価格が上昇しているかどうかが、経済への影響をはかるバロメーターとなるほか、原油先物の売買を行っている投資家は、株式投資家以上に、地政学リスクを注視しているからです。

現在、原油価格は昨年の高値近辺まで上昇しており、同価格帯を突破すると短期的には一段と混乱が広がる可能性があります。
過去の紛争勃発時に日経平均はどのくらい下がった?
直近では2022年のロシア・ウクライナ紛争勃発によって、原油価格が急騰し、株が売られる場面がありました。
当時も紛争ぼっ発を受けて、原油価格が大きく上昇し、株式市場ではスタグフレーションが警戒されていました。
▼この時は2022年1月頃からウクライナ侵攻の可能性をじわじわと市場が織り込み始め、2月24日の実際の侵攻開始で悪材料出尽くし感から株価はいったんの反発に向かいます。

しかし、紛争の長期化を織り込む形で、再度下落に転じ、3月9日に安値をつけて急激に反発する展開となっています。
1月5日につけた年始の高値(2万9,388円)から3月9日の安値(2万4,681円)までの下落率は、16%に達しています。
もし、日経平均株価が2026年2月26日につけた直近の高値5万9,332円から16%下落するとしたら、4万9,823円になる計算です。
当時のように、世界大戦への発展と止まらない資源高への警戒感が続いた場合、5万円割れというのは現実的な数字になってくると思われます。
有事による株売りは比較的反発が早い傾向
とはいえ、有事による株売りが一巡した後の株式市場は比較的早く反発する傾向があります。
これは、紛争が終わってしまえば一気に不透明感が晴れるほか、なかなか紛争が終わらなくても戦争特需などで潤う分野があるからだと考えられます。
また、実際にスタグフレーション化が警戒された場合にも、ある程度情勢が見えてくれば、インフレをヘッジする目的での株買いが戻って来る場合が多いです。
2026年現在の状況に目を向けると、今年は中間選挙の年ですから、支持率を確保するためにも、トランプ政権は比較的短期間で株価が持ち直すような方向に舵を切ると考えられます。
当初、トランプ氏は作戦の期間を4~5週間と言っていましたので、この時期がまずは目処になるでしょう。
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日経平均株価の下値目処と今後の戦略

価格帯の下げ止まりの目処としては、衆議院選での自民党の大勝を織り込む前の5万4,000円近辺、同価格帯を下回ると75日移動平均線が意識される5万2,000円台と、節目の5万円割れの水準が意識されます。
特に5万円近辺は昨年11月から12月にかけてもみ合った時間が長く、下値支持線として強く意識されやすいとみられます。
まずは、この水準までの下落を想定しながら、少しずつ押し目買いを狙っていくのが良いでしょう。
もちろん5万円までは下落せずに、切り返す可能性も十分に想定されますので、短期目線ではもう少し早く手を出しても良いですが、反発しても上値が重ければ利益確定も視野に入れながら対応していく必要があります。
今後の押さえておきたいスケジュール
そもそも3月は、機関投資家による利益確定売りや、海外投資家による納税資金確保のための売りが出やすい傾向があります。
しかし、4月は例年海外投資家が日本株を買い越す傾向があるため、特に4月上旬にかけては株価が持ち直しやすいです。
過去の例を見ても、3月に相場が荒れた年にはFOMC通過後のお彼岸の頃に安値をつけやすい傾向が見受けられます。
今後のスケジュールとしては、3月13日のメジャーSQ通過で需給が変化する余地があるほか、3月17~18日の米FOMC、3月18~19日の日銀金融政策決定会合を通過すると、イベント通過でアク抜け感が強まる余地があります。
この辺りのスケジュール感も頭に入れながら、ポジション調整を進めて、拾い時を探っていく必要があるでしょう。
まとめ|買いチャンス到来もリスク管理は忘れずに!

株式投資の基本は安く買って、高く売ること。
市場が悲観に包まれているタイミングこそ、株の仕込み時でもあります。
ただし、短期的には乱高下が想定されますので、一気に大きく仕込んだり、信用取引を使ったりするのではなく、タイミングを分けて、リスク管理を行いながら買いを入れていく必要があるでしょう。
直近高く評価されていた銘柄も多いため、そうした銘柄ほど短期的には値幅を伴って下落する余地もあります。
AIブームに失速感もありますので、銘柄ごとの業績やバリュエーションを見ながら、仕込みを進めていきましょう。
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執筆者情報
日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)
国内株式、海外株式、外国為替の領域で経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーのもと、金融市場の基礎・特徴、マクロ経済の捉え方、個別株式の分析、チャート分析、流動性分析などを学びながら、日本投資機構株式会社では唯一の女性アナリストとして登録。自身が専任するLINE公式など各コンテンツに累計7000名以上が参加。Twitterのフォロワー数も3万人を超える人気アナリスト。

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