S&P500の2026年予想|年末目標値・強気シナリオと最悪ケース、そして中間選挙後のアノマリー

S&P500の2026年予想|年末目標値・強気シナリオと最悪ケース、そして中間選挙後のアノマリー

早いもので2025年も12月中旬となりメディアでは、2026年のマーケット予想についての記事をよく見かけるようになりました。

現時点でS&P500の2026年見通しについて、欧米の主要金融機関は総じて強気なスタンスを崩していません。

Morgan Stanley、JPMorgan、Goldman Sachs、Deutsche Bank、Citiといった大手が示す年末S&P500指数の水準は、概ね7,500〜8,000ポイントに集中しています。

この数字だけを見ると、まだそんなに上がるのかと感じる方も多いでしょう。

しかし、重要なのは水準そのものではなく、なぜこれほどまでに強気予想が多いのか、そしてその前提が崩れた場合に何が起こるのかについて考えを整理しておくことです。

この記事では、2026年のS&P500予想について

  • 市場コンセンサス
  • ベースシナリオ
  • バラ色シナリオ
  • 最悪ケース
  • テールリスク

を整理した上で、さらに米国中間選挙後の株式市場アノマリーにも触れながら、投資家としてどのように向き合うべきかを考えていきます。

目次

市場コンセンサス:2026年のS&P500見通しはなぜ強気なのか

2026年予想の最大の特徴は、強気な数字よりも、強気であることが疑われていない点にあります。

多くのストラテジストは、2025年までに形成されたトレンドが、2026年も基本的に継続すると考えています。

その根拠となっているのが企業収益(EPS)の成長です。

AI投資はすでに株価材料として織り込まれている一方で、実際の利益貢献はこれから本格化すると見られています。

CitiやJPMorganは、2026年のS&P500のEPSを300ドル超と想定しており、現在の株価水準は高いが説明可能という位置づけです。

また、金融政策についても、FRBが急激な引き締めに戻るという見方は少数派です。

インフレは沈静化しつつあり、景気後退を招かない範囲での利下げ、あるいは緩やかな調整が続くという前提が共有されています。

ベースシナリオ:AIが利益を生むフェーズへ

S&P500の2026年予想|年末目標値・強気シナリオと最悪ケース、そして中間選挙後のアノマリー

多くの金融機関が前提としているのが、このベースシナリオです。

2026年は、AIが期待から現実に移行する年と位置づけられています。

クラウド、半導体、ソフトウェアといったテクノロジー企業に加え、金融、ヘルスケア、製造業、小売といった非IT分野でも、生産性向上が数字として表れ始めます。

人件費の抑制、業務の自動化、需要予測の高度化などにより、企業のマージンは緩やかに改善していくと考えられています。

結果として、S&P500全体のEPSは堅調に成長し、株価は割高感を抱えつつも下がらないという状態が続きやすくなります。

このシナリオでは、2026年のS&P500は大きく崩れる理由も、急騰する理由もなく、高水準でのレンジを切り上げる展開が想定されます。

7,500〜7,800という目標値は、この安定した企業のファンダメンタルズの強さを反映したものと言えるでしょう。

バラ色シナリオ:AIが生産性革命を完成へ

一部の強気派が想定するのが、S&P500が8,000ポイントを明確に超える世界です。

この場合、AIは単なる効率化ツールではなく、企業のビジネスモデルそのものを変革します。

研究開発期間の短縮、在庫管理の最適化、価格戦略の高度化などが同時に進み、米国企業の利益率は過去の常識を超える水準に達します。

重要なのは、この恩恵がメガテックだけでなく、中堅・中小企業にまで波及する点です。

指数全体のEPSが想定以上に伸び、PERの高さが自然に正当化されます。

株価上昇は投機ではなく、ファンダメンタルズ主導となり、市場の納得感も高まります。

さらに、地政学リスクが限定的に収まり、エネルギー価格が安定すれば、消費者心理も改善し、米国経済は想定以上の底堅さを見せる可能性があります。

最悪ケース:AIブームと金融環境の同時悪化

一方で、強気予想の裏側には明確な下振れリスクも存在します。

最悪の組み合わせは、AI投資の回収が進まない局面で、金融環境が想定以上に引き締まるケースです。

AI関連投資は巨額であり、もし利益貢献が遅れれば、減価償却やコスト負担が企業業績を圧迫します。

既に循環取引が一部弱気筋で語られていますが、まさにそれです。

そこにインフレ再燃や財政不安を背景とした長期金利の上昇が重なると、S&P500の高いバリュエーションは一気に調整を迫られます。

指数が高水準にあるほど、下落局面ではスピードが速く、ボラティリティも高まりやすくなります。

この場合、2026年は回復の年ではなく、水準訂正の年になる可能性も否定できません。

米国中間選挙のアノマリーと2026年の位置づけ

2026年を考える上で、米国中間選挙(Midterm Election)後のアノマリーは無視できません。

過去のデータを見ると、中間選挙の年は選挙前に不透明感が高まりやすい一方で、選挙通過後の1〜2年は株式市場が堅調になりやすいという傾向があります。

政治的な不確実性が一旦解消され、財政・規制の方向性が見えやすくなるためです。

2026年は、2024年大統領選、2026年中間選挙を経た後半局面にあたり、歴史的には株式市場にとって追い風になりやすいタイミングと重なります。

金融機関の強気予想には、こうした政治サイクルの影響も暗黙のうちに織り込まれていると考えられます。

テールリスク:確率は低いが致命傷になり得る要因

最後に、確率は低いものの、頭の片隅に置いておくべきテールリスクについて触れておきます。

第一に、台湾海峡や中東情勢など、地政学リスクの非連続的拡大です。

これがエネルギー価格やサプライチェーンを通じてインフレを再燃させる可能性があります。

第二に、米国の財政・政治リスクです。

債務上限問題や政治的混乱が米国債市場の信認を揺るがせば、株式市場も無傷ではいられません。

第三に、市場構造の変化です。

指数投資やAIトレーディングの普及により、平常時は安定して見える市場が、ストレス時には急激に流動性を失うリスクが高まっています。

まとめ:強気予想の時代だからこそ、想定外を意識する

2026年のS&P500予想は、数字だけを見れば非常に明るいものです。

しかし、相場が本当に荒れるのは、強気が前提になり、マーケットに疑いがない時です。

ベースシナリオを信じつつも、バラ色シナリオに酔いすぎず、最悪ケースとテールリスクを常に意識する。

このバランス感覚こそが、2026年相場を生き抜くために一番重要になると思います。

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執筆者情報

nari

かえるさん

元外資系証券株式本部長マネジングディレクター

日系証券個人営業から証券人生をスタート。その後ロンドンと東京を拠点に20年以上に渡って外資系証券会社の主にトレーディングデスク及び各マネジメント職を歴任。2019年退職。得意分野はフローの裏側分析及び市場構造分析。現在はXやnoteなどで個人投資家向け株式投資の知識提供中心に悠々自適生活を送る。趣味は食とクルマ。

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