小林製薬「紅麹」問題の真相とは?今後の株価上昇余地は?

株式情報 マーケットニュース 国内情勢 日本株 2024.04.05

遠藤 悠市 遠藤 悠市

3月22日、小林製薬が販売する機能性表示食品「紅麹コレステヘルプ」に関し、摂取者において腎疾患等の発生の報告を受けたとの発表がありました。

 

成分を分析した結果、一部の原料に想定していない成分が含まれている可能性があるとしています。

 

同社で生産した紅麹原料のうち、自社製品への使用は2割で、8割は他社に販売しているため、影響が多岐にわたる可能性があります。

 

同社は、健康食品などでのニッチ製品開発に定評があり、実際に同社の商品を使用している人は多いかと思われます。

 

今回は、「紅麹」問題について、潜在的な被害の範囲や株価に与える影響を詳しく解説していきます。

 

・問題の「紅麹」とは

 

紅麹とは、米や麦などの穀類に赤カビを用いて発酵させた食品です。

 

古くから日本や中国などで健康食品や調味料として利用されてきました。

 

紅麹はコレステロールを抑制したり、鮮やかな色を付ける目的で利用されています。

 

小林製薬が販売している紅麹関連製品には、「紅麹コレステヘルプ」があります。

 

この製品は、使用されている紅麹原料に含まれる成分を分析し、コレステロール対策として利用されています。

 

・健康被害の報告・潜在的範囲

 

小林製薬によると、今回問題となった「紅麹コレステヘルプ」は、2021年の発売後に約110万個を販売しています。

 

3月25日時点では入院事例を計26人としていましたが、26日午前までに新たに約50人の入院事例が確認されています。

 

さらに、「紅麹コレステヘルプ」を摂取した人に健康被害が確認された問題に関して、3月26日に製品と死亡の因果関係が疑われる事象が1件、3月27日には2人目の死亡事例が報告されたと発表されており、被害がどこまで広がるかは見通せない状況となっています。

 

また、同社は飲料や調味料メーカー、商社など52社にも紅麹を原料として供給しており、事態を公表した22日以降、供給を受けたメーカー側では商品の自主回収発表が相次いでいます。

 

小林製薬では、健康被害につながる可能性が高い成分が含まれているのはサプリ向けのみで、食品向けには含まれていないとしているものの、消費者の不安が拭えずに自主回収となる商品が増える可能性もあります。

 

このように、今回の健康被害の範囲は今後も大きくなる可能性があり、また、供給を受けたメーカーにも商品の自主回収という形で被害をもたらしています。

 

・株価に与える影響は?

 

小林製薬の紅麹関連製品による健康被害の問題が浮上し、3月25日の株価はストップ安まで売り込まれる事態となりました。

 

同社は関連製品の自主回収を行うことを決定していますが、この自主回収によって、一時的な業績の影響や訴訟リスクに直面する可能性があります。

 

さらに、他の企業も紅麹関連製品の回収を行っており、業界全体に影響が及んでいます。

 

また、健康被害の範囲も拡大しており、製品と死亡の因果関係が疑われる事象が発覚したことや、最初の症例報告から自主回収の発表までに2か月余りかかり、その間、行政への情報提供もなかったことで、同社へのネガティブな印象は強まっています。

 

今回の件で、同社製品に対する信頼が揺らぎ、多くの消費者が、安全性に不安を感じて同商品を購入しないか、使用を中止する可能性が考えられます。

 

訴訟リスクやブランド価値の毀損により業績へのネガティブな影響は避けられないと考えられるため、全容の把握がなされるまでは株価の下落が懸念されます。

 

株式情報 マーケットニュース 国内情勢 日本株 2024.04.05

遠藤 悠市 遠藤 悠市

遠藤 悠市

この記事を書いた人

遠藤 悠市

日本投資機構株式会社 アナリスト日本投資機構株式会社 アナリスト
大学時代に投資家である祖母の影響で日本株のトレーディングを始める。大学時代、アベノミクスの恩恵も受けて、株式投資を投資金30万円で始め4年間で990万円まで資金を増やすことに成功する。卒業後、証券会社、投資顧問会社を経て2019年2月より日本投資機構株式会社の分析者に就任。モメンタム分析を最も得意としており、IPO(新規上場株)やセクター分析にも長けたアナリスト

遠藤アナリストの投資助言を受けたい方は≪こちらをクリック≫

アクセスランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間