2026年に入り、日本政府の対米投融資計画が明らかになると、人工ダイヤモンドというテーマが株式市場の話題をさらいました。
工業用の加工ツールとしての実績はもちろん、シリコンを超える「究極の半導体材料」としての可能性も評価され、関連銘柄には短期的な資金が一気に流入しました。
本記事では、なぜ今ダイヤモンド関連銘柄が注目されているのかをわかりやすく解説するとともに、本命株・出遅れ株と今後の投資戦略をお伝えします。
対米投資でダイヤモンド関連銘柄に脚光

2026年1月末、日本の対米投融資の第1号案件として「人工ダイヤモンドを米国内で生産する計画」が有力候補になっていることが報道されました。
中国への依存度が高い人工ダイヤモンドの供給網を、経済安全保障の観点から米国へとシフトする狙いがあり、関連銘柄への資金流入が一気に加速しました。
人工ダイヤモンドの用途は?
人工ダイヤモンドは工業では切断や研磨などの加工時に使用されることが多いです。
ダイヤモンドは圧倒的な硬度に加えて、摩擦などによる消耗が少ない特性があります。
この特性を利用し、ダイヤモンド粒子を電動カッターに埋め込むことで、固くてもろい素材を切断することができます。
切るというより削るように切断できるため、一般的な工具では割れてしまうガラスやタイルをはじめ、シリコンウエハーなどを加工できます。
現状でも、半導体の切り出しや自動車・電子部品などで使われており、現代の生産業には必要不可欠な素材です。
人工ダイヤモンドと聞くと天然物の代替品とのイメージですが、人工ダイヤの方が品質のばらつきが少なく安定的に供給できるため、メリットが大きいと言われています。
また、足元では加工用としてではなく、半導体の材料としてシリコンよりも優れた究極の素材として注目が集まっています。
ダイヤモンド半導体が「究極」と言われる理由

ダイヤモンド半導体は、耐熱性・耐電圧・放熱性のすべてにおいて既存のシリコン(Si)やSiC、GaNを凌駕する物理特性を持っています。
EV(電気自動車)の航続距離延長、AIサーバーの省エネ化、量子コンピュータ、宇宙・防衛といった分野での活躍が期待されています。
既存のシリコン半導体と比較して、高温・高電圧の状態でも動作可能です。
さらに、放射線量の高い過酷な環境下でも半導体としての性能を失わず、エネルギー効率がよく発熱しにくい放熱性にも優れています。
こうした特性により、EVや6Gなどの次世代製品への導入が期待されています。
ダイヤモンド半導体の実用化はいつ?
ダイヤモンド半導体は現在、研究開発段階から産業への実装フェーズに移行しつつあり、2026年が節目となると言われています。
2026年内にダイヤモンド半導体の量産工場が稼働見込みであることに加え、2026年1月からダイヤモンドセミコンダクターがダイヤモンド半導体デバイスのサンプル品の製造と販売を開始しています。
佐賀大学の発表やJVCケンウッドとの共同研究など、社会実装に向けた動きが本格化しており、今後の開発動向が注目されます。
ダイヤモンド関連の本命株・出遅れ株リスト

ここからは、注目のダイヤモンド関連銘柄を整理してお伝えします。
本命株①【7794】イーディーピー
東証グロース市場に上場する人工ダイヤ原料・単結晶ダイヤモンドの開発・製造・販売を行っている企業です。
2026年1月末の「人工ダイヤモンドを米国内で生産する計画が有力候補になっている」との報道を受けて、資金が流入し、連日大幅な上昇となりました。
本命株②【1514】住石ホールディングス
東証スタンダード市場に上場する石炭の大手企業です。
現在は国内の石炭事業からは撤退しており、豪州炭鉱の配当金が利益の主軸となっています。
グループ会社で工業用人工ダイヤモンドの製造を展開しているため、ダイヤモンド関連銘柄として注目されています。
本命株③【6140】旭ダイヤモンド工業
東証プライム市場に上場するダイヤモンド工具の最大手企業です。
自動車・機械・電子部品用などを主軸としています。
人工ダイヤモンドを利用した工具を製造している同社は、今回の対米投融資プロジェクトにおいて関心を示しており「将来的な不安の解消や、安定的な調達という意味でメリットは大きい」としています。
実際に買い付けを行うかどうかは品質などを確認した上で判断するとしています。
出遅れ株①【7347】マーキュリアホールディングス
東証プライム市場に上場しているファンド運用や自己投資事業を手がけている企業です。
傘下に工業用ダイヤモンドなどの輸入販売を手掛ける「ミーチュアル」を有しています。
本命株3銘柄と比べてテーマ性が薄いため、出遅れ気味の位置にあります。
しかし、将来的にダイヤモンド半導体などが普及し、人工ダイヤモンドの需要が大きく拡大した場合は、売上の伸長が期待されます。
その他のダイヤモンド関連銘柄一覧
| コード | 銘柄名 | 事業内容・ダイヤモンド関連 |
|---|---|---|
| 5969 | ロブテックス | レンチなどの工具を取り扱っており、ダイヤモンドカッターやダイヤモンド砥石なども展開 |
| 6166 | 中村超硬 | 超硬合金加工による工具や部品を取り扱い。半導体向けのダイヤモンドワイヤを開発・製造 |
| 6164 | ディスコ | 半導体・電子部品向け切断・研削装置で世界首位。半導体ウェハの切断・研削・研磨装置と精密加工ツールを展開 |
| 5381 | Mipox | 研磨フィルムや研磨材・受託研磨を展開。難加工材向けや半導体用途にダイヤモンドフィルム(人工ダイヤ砥粒)を供給 |
| 5331 | ノリタケ | 研削・研磨材の大手。ガラスなど脆く固い素材向けにダイヤモンド工具を設計製造 |
| 6167 | 冨士ダイス | 超硬合金ダイス・金型の製造販売が主力。超硬合金の加工技術に長けている |
| 3173 | Cominix | 切削・研削工具の専門商社。難削材加工の提案領域でダイヤ/CBN等の砥粒工具も含め最適工具を供給 |
| 6632 | JVCケンウッド | 無線や車載機器などの開発・販売。佐賀大学とダイヤモンド半導体の実装に向けた研究を開始 |
ダイヤモンド関連銘柄の投資戦略と注意点

対米投融資をきっかけに値動きが激しくなっているダイヤモンド関連銘柄。
利益を狙うために注意すべきポイントを以下にまとめます。
注意点①|日米投融資でダイヤモンド関連の売上が直接増加するわけではない
対米投融資第1号案件の人工ダイヤモンド関連投資は、中国への依存度低下が主な目的です。
人工ダイヤモンドの需給を刺激するものではなく、あくまで経済安全保障に重点を置いています。
実際に米国での人工ダイヤモンド製造が始まった場合、調達先が中国からアメリカに置き換わることになるわけです。
品質や価格によって移行がスムーズにいかない可能性もあることは、頭に置いておく必要があります。
注意点②|企業によって業績拡大のタイミングが異なる
人工ダイヤモンドとひとくくりでまとめていますが、業態によって利益拡大するフェーズは異なります。
| 業態 | 利益が出やすいタイミング |
|---|---|
| 素材メーカー | 工場の稼働率が向上し量が増えるとき。本格量産前は歩留まりが悪く利益が出にくい。 |
| 工具メーカー | 工具の回転頻度が上がり高付加価値化したとき。出荷先工場の稼働率向上で需要増加。 |
| 装置メーカー | 設備投資サイクル局面。顧客の増産投資で受注が立つと保守サービス売上も発生。 |
企業ごとに詳細は異なるため、投資前にどのような状況であれば業績が拡大しやすいかを確認が必要です。
注意点③|ダイヤモンド半導体が普及するとは限らない
ダイヤモンド半導体は、既存の半導体にはないメリットがあり、6Gなどでの活躍が見込まれます。
しかし、絶対に普及するとは言い切れません。
電気自動車のように、なかなかうまくシフトできない可能性もあります。
工業においては利益率が重要であるため、大量生産が困難であれば広く普及するのは困難です。
まとめ|ダイヤモンド関連銘柄の今後の展望

対米投融資をきっかけに、人工ダイヤモンド関連銘柄へ短期資金が流入し注目が集まりました。
放熱性・耐熱性などでシリコンを上回る可能性があるダイヤモンド半導体」将来テーマとして浮上しています。
今回は実需ではなくテーマとして注目が集まった形ですが、将来には大きな市場として再度注目される可能性もあるでしょう。
さらにダイヤモンドよりも固い「ロンズデーライト」の研究も進んでおり、2025年2月には合成に成功しています。
宝飾品としてのイメージの強いダイヤモンドですが、これからの工業の発展に大きく寄与する可能性が眠っています。
これらの関連企業も同様に、大きな成長余地があると考えられます。
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執筆者情報
日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)
総合鉄鋼メーカーに勤務していた経験を活かした、鉄鋼・自動車市場の分析及び情報収集を得意とし、データの集計・分析に基づいた統計学により銘柄の選定を行う希少なデータアナリスト。AIに関する資格も有しておりデータサイエンティストとしても活躍の場を拡げている。

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