日本株はゴールデンウィーク明けに上がる?下がる?過去56年のデータで徹底検証

大畠 典仁

日本投資機構株式会社 アナリスト

日経平均はゴールデンウィーク明けに上がる?下がる?過去56年のデータで徹底検証

ゴールデンウィーク明けの株式市場は「下がりやすい」と言われることがあります。
長期休暇中の海外市場の影響や投資家心理の変化が重なり、それが一気に市場に反映されるからです。
しかし、本当に下がる傾向はあるのでしょうか?

そこで実際の傾向を確かめるために、1970年以降56年分の日経平均データを用いた実証分析を行いました。
本記事では、その結果を踏まえたゴールデンウィーク明け相場の特徴を整理しながら、初心者でも活用できる投資戦略を解説します。

目次

GW明けは外部要因が一気に織り込まれる

ゴールデンウィーク期間中、日本の株式市場は長期休場となりますが、その間も米国市場や為替市場は通常通り取引が続きます。
海外では通常通り、金融政策や経済指標、企業決算などの材料が次々と発表されるため、資金の流れや市場の評価は休まずに変化します。

通常の相場では材料は日々分散して織り込まれます。
しかし、ゴールデンウィーク明けは連休中に蓄積された情報が一斉に反映され、ギャップアップやギャップダウンが発生しやすい傾向があります。

金利や為替の変動が株価に与える影響

特に、ゴールデンウィーク期間中にFOMC(米連邦公開市場委員会)や米雇用統計などの重要イベントを予定している場合、金利見通しや景気判断が変化する可能性が高まります。

米金利が上昇すれば、ドル高・円安が進み、輸出関連株には追い風となる場合があります。
一方で、インフレ懸念で消費関連株が弱含んだり、金利高の悪影響への警戒感から成長株が下落する場合も。

反対に、金融政策の見通しの変化から、米金利が低下すれば成長株が買われやすくなります。
しかし、米雇用統計が弱く、景気減速懸念が強まって米金利が低下した場合、リスク回避の売りが広がる可能性もあります。

GW明け初日騰落率を過去56年のデータで検証

では、ゴールデンウィーク明けの日経平均はどう動くケースが多いのか、実際の傾向を見ていきましょう。

本分析では、ゴールデンウィーク前の終値とゴールデンウィーク後の始値を比較しました。
ゴールデンウィーク中の海外動向が翌朝の寄り付きにどう反映されたのか、純粋なギャップを1970年から2024年まで56年分にわたって検証しています。

具体的には、ゴールデンウィーク前の基準値として4月28日(昭和の日の前日)以前の最終取引日の終値を使用。
ゴールデンウィーク後の測定値には5月6日(こどもの日の翌日)以降で東京証券取引所が最初に開いた日の始値を用いています。

GW明けの騰落統計まとめ

▼過去56年間において、ゴールデンウィーク明けの日経平均株価が上昇もしくは下落した回数と平均騰落率・中央値は以下の通りです。

指標数値
集計期間1970〜2025年(56年間)
上昇回数(勝率)37回(66.1%)
下落回数(敗率)19回(33.9%)
平均騰落率+0.71%
中央値+0.80%
標準偏差±2.21%
最大上昇+7.17%(2009年)
最大下落-5.36%(1970年)

56年間を通じての上昇確率は66.1%、平均騰落率は+0.71%とプラス優位です。
▼1970年から2025年までの56年について、ゴールデンウィーク明けの騰落率を年ごとにまとめたグラフは以下のようになっています。

日経平均株価 ゴールデンウィーク明け初日騰落率(始値ベース)1970〜2025年。青=上昇、赤=下落。

2010年以降 直近16年のGW明けデータ

歴史的に、ゴールデンウィーク明けの相場は上昇するケースの方が多かったことが、ここまでの分析で分かりました。
▼しかし、2010年から2025年の直近16年間に絞って分析すると、上昇は8回(50%)、平均騰落率は-0.21%と、56年間の全体平均(+0.71%)を大幅に下回ります

期間年数上昇回数(勝率)平均騰落率
2010〜2014年5年3回(60%)-0.70%
2015〜2019年5年2回(40%)-0.74%
2020〜2025年6年3回(50%)+0.63%
2010〜2025年 合計16年8回(50%)-0.21%
日経平均株価がゴールデンウィーク明けに上昇した回数(2010年~2025年)

リーマンショック後の時代は欧州債務危機・中国減速・コロナ・急速な利上げなど逆風が多く、ゴールデンウィーク明けの初動の弱さにつながったと考えられます。
▼2010年以降の各年について、ゴールデンウィーク明け初日・3営業日後・5営業日後・10営業日後の累積騰落率(始値ベース)と相場の状況を以下にまとめました。

相場の状況初日3日後5日後10日後
2010年欧州債務危機(ギリシャ)-0.70%-4.81%-4.21%-7.67%
2011年東日本大震災後・円高+0.01%-0.46%-0.80%-1.41%
2012年欧州危機継続・政権交代前夜-3.39%-4.29%-5.27%-8.33%
2013年アベノミクス・黒田日銀スタート+0.55%+3.48%+6.30%+9.91%
2014年消費増税(4月)+0.06%-1.30%+0.56%-1.40%
2015年中国株バブル崩壊懸念-3.50%-2.10%-2.44%+0.58%
2016年熊本地震・英国EU離脱懸念-2.72%-2.15%-1.24%+0.85%
2017年トランプ相場・北朝鮮リスク+2.67%+3.61%+3.88%+2.06%
2018年米中貿易戦争勃発+0.20%-0.02%+0.47%+1.96%
2019年令和改元・米中摩擦-0.33%-3.44%-4.84%-4.28%
2020年コロナショック後(大規模緩和)-1.53%+2.85%+1.87%+3.46%
2021年緊急事態宣言継続-0.10%+1.11%-1.18%-3.52%
2022年FRB急速利上げ・ウクライナ侵攻-0.24%-2.60%-3.36%-1.54%
2023年バフェット日本株買い増し+0.83%+1.15%+1.19%+6.90%
2024年日銀利上げ局面・円安+1.85%+0.81%+0.73%+2.18%
2025年トランプ関税ショック後の回復+2.97%+4.16%+6.44%+5.26%
日経平均株価のゴールデンウィーク明け10日後までの騰落率(2010年~2025年)

2010〜2014年は比較的プラス圏が多く、特に2013年はアベノミクス・黒田日銀スタートの年でゴールデンウィーク明けから強い上昇基調が続きました。
一方2015〜2019年は、中国景気の減速懸念・英国EU離脱問題・米中貿易戦争など外部リスクがゴールデンウィーク明けの市場を直撃した年が多く、下落が目立っています。

直近6年(2020〜2025年)のGW明けを詳しく解説

2020年以降、直近6年間のゴールデンウィーク明けの株式市場をさらに詳しく見ていきましょう。
▼連休明け10日目までの日経平均株価の動きをグラフ化しました。

GW明け後10営業日の累積騰落率(始値ベース、2020〜2025年)。年によって初動と10日後の方向性が逆になるケースも

2020年以降は上昇3回・下落3回と、56年間平均(66.1%)より低い上昇確率にとどまっています。
各年の詳細を確認しましょう。

  • 2020年(コロナショック後)
    ゴールデンウィーク明け初日は-1.53%と小幅安スタートとなりました。
    しかしコロナ禍での大規模金融緩和を背景に、10営業日後には+3.46%まで回復しました。
    初日安から反発した典型例です。
  • 2021年
    緊急事態宣言が継続するなか、初日は-0.10%と小幅安でした。
    その後も方向感がつかめず、10営業日後は-3.52%と軟調に推移しました。
  • 2022年(FRB利上げ局面)
    ウクライナ侵攻・FRBの急速な利上げが始まった年です。
    ゴールデンウィーク明けは初日-0.24%と小幅安となり、その後も売りが続いたため、10営業日後には-1.54%まで下落しました。
  • 2023年
    バフェット氏の日本株買い増し報道も追い風となり、ゴールデンウィーク明けの初日から+0.83%と力強い上昇を見せました。
    10営業日後には+6.90%まで上昇が続きました。
  • 2024年
    円安・好業績期待を背景に初日から+1.85%の上昇となりました。
    その後も堅調を維持し、10営業日後には+2.18%となっています。
  • 2025年(トランプ関税ショック後)
    4月上旬にトランプ政権による関税強化で日経平均は急落し、一時3万1,000円台まで下落しました。
    しかしゴールデンウィーク前にかけて急回復し、4月28日の終値は35,839円となりました。
    さらにゴールデンウィーク中に米中関税交渉への期待が高まり、5月7日の始値は36,903円と+2.97%の大幅上昇でゴールデンウィーク明けを迎えています。10営業日後は+5.26%となりました。

「セルインメイ」は本当か?5月の月別騰落率

「セルインメイ(Sell in May)」という相場格言があります。欧米発の言葉で、「株は5月に売れ」という意味です。
何故そう言われるのか、その背景と、日本株でもこの傾向が存在するのか実際のデータを確認しておきましょう。

海外投資家は4月に買い、5月に利益を確定する?

海外市場で「セルインメイ」と言われるようになった背景には、夏枯れ相場に向けて、早く利益を確定しておくべきとの考えがあるのでしょう。

海外投資家は夏にまとまった休みを取るため、8月の相場は薄商いとなりやすく、リスクイベントがあれば売買が低調ななかで荒れやすい傾向があります。
また、9月の相場は歴史的にパフォーマンスが低調な傾向があります。

日本株市場ならではの5月の懸念材料

日本株市場独自の要因として、5月に入ると利益を確定する売りが出る可能性も意識されます。
海外投資家は新年度入りの4月に日本株を買い越す傾向があり、5月に利益確定へ動くケースが多いとされています。

さらに5月は3月期決算企業の本決算発表シーズンです。
期初計画を控えめに出す企業も多く、材料出尽くしの売りが出たり、持ち高を調整して様子を見ようといった投資家心理が働きやすくなったりすると考えられます。

日経平均の5月の上昇確率は?

▼実際に5月に株は下落する傾向が存在するのか、1970〜2025年の月別平均騰落率で確認してみましょう。

月別平均騰落率(1970〜2025年)。5月(オレンジ)は上昇確率51.8%と年間で弱い月のひとつ。
ランク平均騰落率上昇回数(確率)
1位12月+1.42%37/56 (66.1%)
2位3月+1.42%33/56 (58.9%)
3位11月+1.36%34/56 (60.7%)
4位1月+1.27%36/57 (63.2%)
5位4月+1.09%36/56 (64.3%)
6位6月+0.65%35/56 (62.5%)
7位2月+0.65%31/56 (55.4%)
8位5月+0.42%29/56 (51.8%)
9位10月+0.32%29/56 (51.8%)
10位7月+0.05%27/56 (48.2%)
11位9月-0.57%26/56 (46.4%)
12位8月-0.66%27/56 (48.2%)
日経平均株価の平均騰落率が高い月ランキング(1970年~2025年)

56年間で月別平均を見ると、5月は平均+0.42%・上昇確率51.8%(上昇29回)で、12か月中8位に位置します。
必ずしも最弱月ではありませんが、強いとは言いにくいです。

こうしたデータから「セルインメイ」の格言は日本株でも一定程度有効といえます。
ただし年によってブレが大きく、5月に大幅上昇した年も多くあります。
格言を鵜呑みにせず、連休中の海外動向をしっかり確認したうえの判断が重要です。

ゴールデンウィーク前後の日本株投資戦略

ここまでの結果から、ゴールデンウィーク前後で日本株のポジションをどうすべきか投資戦略を考えていきましょう。

GW明けの相場が大きく下落するとは限らない

まず1つ言えるのが、ゴールデンウィークを挟むからといって、連休後に相場が大きく下落するとは限りません。
▼実際、1970年から2025年の56年間で、ゴールデンウィーク明けの日経平均株価が2%超下落したのは6回。発生確率は10.7%にとどまっています。

変動幅上昇下落
±1%以上23回(41.1%)11回(19.6%)
±2%以上13回(23.2%)6回(10.7%)
±3%以上5回(8.9%)3回(5.4%)

日経平均が2%以上下落したのは、1970年、1981年、1996年、2012年、2015年、2016年です。
詳しく各年の状況を整理すると、1970年にはニクソン米大統領がカンボジアへの軍事介入を電撃発表。
1981年は、ボルカーFRB議長がインフレ退治のための政策金利引き上げを進めていた時期です。
1996年は、バブル崩壊後の不良債権処理が山場を迎えていた時期で、2012年や2015年には欧州の債務危機が警戒されていました。
2016年は、チャイナショックの余波が残るなかで、4月28日の日銀金融政策決定会合で市場が期待していた追加金融緩和が見送られています。

多くの年で、連休前から株式市場に懸念要因があったと分かります。
連休前の株式市場が強く、懸念材料が見当たらないのに、連休中に売り材料が降って湧いてくるケースは稀です。
単にゴールデンウィークだからと警戒するよりも、その時々のマクロ環境を踏まえて、連休を持ち越すポジションサイズを考えるのが賢明でしょう。

2026年のGW前後で日本株はどうなる?

では、2026年のゴールデンウィーク前の市場環境はどうなっているのでしょうか?
スケジュールとともに確認しておきましょう。

ゴールデンウィーク中に、米FOMCや米雇用統計の発表が行われる場合、連休中に大きな動きが出るリスクが高まります。
2026年の場合には、日本株市場が休場となる昭和の日にあたる4月29日(水)の日本時間未明に、米FOMCの結果が公表されます。
その後、30日(木)、1日(金)は日本株市場の取引が行われ、連休に入ります。
そして連休明け2日目にあたる8日(金)の日本時間21時半に米雇用統計の発表を控えます。

米FOMCではサプライズはないとの見方が多いため、多少相場が荒れたとしても、30日(木)、1日(金)の市場で材料を織り込める可能性が高いでしょう。
金融政策や経済指標で市場の景色が変わるリスクは限定的と言えそうです。

一方で、中東情勢が落ち着いていない点には注意が必要です。
情勢によっては、原油高やサプライチェーンの混乱が景気に与える悪影響を、連休後の相場が一気に織り込むリスクは残っています。

GW明けの相場で短期急騰銘柄に乗る方法

情勢に不安が残るなかでも注目したいのは、ゴールデンウィークを挟んで主要企業の決算発表ラッシュを迎える点です。
連休後に市場が荒れたとしても、業績の伸びや今後の成長見通しが評価された銘柄には資金が集まりやすくなります
連休明けの相場が仮に弱かった場合にも悲観するのではなく、好決算銘柄を安く拾うチャンスが訪れたと前向きに捉えたいです。

また、連休明けの相場では初動で値を上げた銘柄にも注目したいです。
値上がりランキング上位に同一テーマの銘柄が複数並ぶ場合、その分野に資金が集中している可能性が高くなります。
特にAIや半導体、フィジカルAI、ドローン、防衛、蓄電池など、足元で人気化しているテーマの銘柄への資金流入が継続するかを確認しておきましょう。

まとめ|GW明けの株は上がる場合の方が多い!

ゴールデンウィーク明けの日本株は下がりやすいというイメージを持たれがちですが、過去56年のデータを見ると、必ずしも下落優位とはいえません。
むしろ、ゴールデンウィーク明け初日は上昇回数の方が多く、平均騰落率もプラスとなっています。

そのため、単に「ゴールデンウィークだから売る」と機械的に判断するのではなく、連休前の相場環境の総合的な確認が重要です。

2026年のゴールデンウィーク前後についても、米FOMCや米雇用統計、中東情勢、主要企業の決算発表などが相場の方向感を左右する可能性があります。
しかし、大きく下げた場合にも過度に悲観せず、好決算銘柄や資金流入が続くテーマ株を冷静に見極めるようにしましょう。

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執筆者情報

nari

大畠 典仁

日本投資機構株式会社 アナリスト

準大手の証券会社にて資産運用のアドバイザーを務めた後、日本株主力の投資顧問会社の支店長となる。現在は日本投資機構株式会社の筆頭アナリストとして多くのお客様に株式投資の助言を行いつつ、YouTubeチャンネルにも積極的に出演しており、資産運用の重要さを発信している。

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