蓄電池関連銘柄2026年版|本命株と出遅れ株の投資ポイントをアナリストが解説

石塚 由奈

日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)

蓄電池関連銘柄2026年版|本命株と出遅れ株の投資ポイントをアナリストが解説

蓄電池関連銘柄が、投資テーマとして存在感を増しています。

政府が再生可能エネルギーの比率を高める方針を示しており、再エネを活用して電気を安定供給するには蓄電池が欠かせません。
また、AIデータセンターの急増による電力需要拡大も追い風で、系統用から家庭用まで蓄電池市場全体が成長フェーズに入っています。

そこで本記事では、蓄電池関連とされる7銘柄を詳しく紹介し、アナリスト視点での投資のポイントを解説します。

目次

蓄電池関連銘柄が注目される理由|政策方針と需要拡大が一致

蓄電池をめぐっては、政府の脱炭素政策が追い風となっているほか、実需も急拡大しています。
政策や市場環境を改めて確認しておきましょう。

第7次エネルギー基本計画が蓄電池需要を押し上げ

2025年2月18日に第7次エネルギー基本計画が閣議決定されました。
この計画には、2040年に再生可能エネルギーを電源構成のうち40〜50%に引き上げる目標が設定されています。
太陽光や風力は天候で発電量が変わるため、送電網を安定させるには電気を蓄えてタイミングをずらす蓄電池が欠かせません

資源エネルギー庁は、送電網に直接つなぐ大型蓄電池(系統用)の2030年までの導入量について、累計14.1〜23.8GWhになると見通しています。

また、経産省は電気自動車(EV)用を含む国内の蓄電池製造設備を、年産150GWh規模まで引き上げる方針です。
2025年3月時点で120GWhを確保済みですが、残り30GWh分の投資余地があります。

この投資の一環として、2026年2月には、GSユアサ(6674)の定置用リチウムイオン電池製造計画が経産省に認定されました。
これは、総事業費703億円・最大248億円の助成・2028年10月供給開始・年産2GWh体制となる計画です。

データセンター急増と系統用蓄電池市場の拡大

生成AIの普及でAIデータセンターの新設が相次ぎ、電力消費量の急増が送電網に大きな負荷をかけています。
大量の電力を安定して流すには、需要と供給のバランスをリアルタイムで整える仕組みが必要で、そこに送電網直結の大型蓄電池が使われます。

事業者が電力会社に対して「系統用蓄電池を設置して、送電網につなぎたい」と申し込んだ累計の出力容量は、2025年3月時点で約113GWに達しました。
2023年1月時点の約9GWと比べると、2年余りで約12倍に急増しています。

2026年4月には優先給電ルールが見直しに

2026年4月から、電力の送り先を決めるルール(優先給電ルール)が変更されました。
これまでは、太陽光などの発電が需要を上回り需給バランスが崩れそうになると、周波数を維持するために出力制御(発電停止)を行うルールがありました。
しかし変更後は、安易に発電を止めるのではなく、蓄電池に充電して余剰電力を吸収する運用がより優先されます。
太陽光発電事業者が蓄電池を設置する動機が高まり、新規の蓄電システム需要につながっています。

また、同時期から、需給調整市場(電力の急な過不足を穴埋めする予備の電気を電力会社が買い取る市場)に、出力50kW未満の小型蓄電池も直接参加できるようになりました
小型蓄電池は駐車場2台分ほどのスペースで設置できるサイズであるため、中小規模の事業者にも参入の間口が広がっています。

こうした制度変更の効果が各社の業績に反映されるのは2026年後半から2027年にかけてになるとみられています。

蓄電池関連銘柄の分類を整理

蓄電池関連銘柄と一括りに呼ばれていても、電池セルを作る会社と材料を供給する会社、システムを設置・監視する会社など、様々な層に分類されます。
また、系統用・産業用・家庭用といった用途によっても追い風となる要因が異なります。

電池セルメーカー・材料メーカー・システム周辺部品

蓄電池ができるまでには、まず材料メーカーが原料から正極材、電解液、セパレーターなどを作ります。
そして、この材料を組み合わせて電気を貯める最小ユニットである「電池セル」を製造。
セルを製品化(パック化)し、制御ソフト等と組み合わせて設置・運用するという工程をたどります。

材料メーカーは、どのセルメーカーの電池が売れるにしても、需要の拡大を安定的に取り込めます
電池セルメーカーは、電池の価格下落リスクにさらされやすい半面、量産規模が拡大すれば製造コストが下がり利益率が改善します。
パナソニックホールディングス(6752)・GSユアサ(6674)・村田製作所(6981)が、セルメーカーに該当します。
リチウムイオン電池のセル・パック価格は、2024年に115ドル/kWhまで、2013年比で85.7%の下落を見せたため、関連銘柄の重荷となりました。
制御分野では、パワーエックス(485A)・正興電機製作所(6653)・ニチコン(6996)が代表格です。

系統用・産業用・家庭用|用途によって追い風が異なる

蓄電池の用途は主に「系統用」「産業用」「家庭用」の3つに分類されます。

特に市場が活況を呈しているのは、送電網に直接つなぐ巨大なインフラ設備である系統用です。
電力の調整市場や容量市場、卸売市場という3つの異なる窓口から収益を得るモデルで、2026年現在は政策的な後押しも非常に厚く、成長スピードが速い分野となっています。
この領域では、GSユアサ(6674)やパワーエックス(485A)が積極的な事業展開を見せており、市場をけん引しています。

工場やオフィスビルなどに設置される産業用は、一度に使う電力量を減らして電気代を下げる目的や、災害時の非常用電源目的で使われています。
こちらは企業活動に直結しており、需要が安定しているのが特徴です。

そして、一般住宅の太陽光パネルとセットで導入されるのが家庭用です。
自分で作った電気を夜間に使う自給自足のスタイルが主流ですが、導入コストの一部を賄う補助金の有無によって売れ行きが大きく変動する傾向があります。
家庭用市場においては、国内でニチコンが高いシェアを誇り、首位の座を確立しています。

蓄電池関連銘柄4選|本命株の特徴とポイント

ここからは「蓄電池関連」として注目される銘柄の事業内容や足元の業績を解説します。
よく紹介される関連銘柄であっても、蓄電池事業の売上比率や業績の拡大要因は銘柄によって大きく異なります。
詳しく確認しておきましょう。

パナソニックHD(6752)|次世代4680セル量産で世界シェアを狙う

パナソニックホールディングスは車載・定置用の次世代電池「4680セル」の量産を軸に、バッテリー事業での世界的なシェア獲得を目指しています
4680セルは従来の2170セルより大容量で製造コストを下げやすく、テスラ向けを中心に量産体制を整えています。

26年3月期第3四半期累計(IFRS)の売上高は、前年同期比8.1%減の5兆8,837億円、営業利益は同54.7%減の1,577億円となりました。
営業利益の主な減少原因は、通期1,800億円を見込む構造改革費用で、第3四半期単体だけで1,347億円を計上しました。
電池事業を含むエナジー部門は売上高8,667億円・営業利益286億円で、前年同期の963億円から677億円減っています。

構造改革の費用が出尽くす27年3月期以降に利益が回復するかを見極めながら、株価の水準を評価する必要があります。

GSユアサ(6674)|703億円投資・2028年に年産2GWh体制へ

GSユアサは系統用蓄電池市場への本格参入を国家プロジェクト規模で進めており、蓄電池銘柄の中でも具体的な投資計画を持つ企業です。

2026年2月18日には、定置用リチウムイオン電池の製造計画が経産省に認定され、¥総事業費703億円・最大248億円の助成・2028年10月供給開始・年産2GWh体制が公式に確定しました。
助成金の裏付けが得られたことで、事業を進めるうえでのリスクが大きく下がっています。

業績も堅調で、26年3月期第3四半期累計の売上高は前年同期比1.4%増の4,329億円、営業利益は同19.5%増の379億円と増益基調が続いています。
産業電池電源部門は売上高が前年同期比6.8%増の824億円で、蓄電(ESS)向けリチウムイオン電池の需要増加が増収の主因としています。

2026年1月には滋賀県米原市に系統用蓄電所を設置し(2026年9月運転開始予定)、自ら蓄電所を運営する事業にも踏み出しています

ニチコン(6996)|家庭用シェアNo.1・住宅義務化で需要急増へ

ニチコンは家庭用蓄電システムで国内首位のシェアを持ちます。
2026年に投入した新モデル「トライブリッドESS-T5/T6シリーズ」は業界最大級の9.9kWパワコン(直流・交流を変換する装置)を搭載し、太陽光・蓄電池・EVの3つを1台で制御できます。

足元では、補助金環境の変化が業績の重荷に。
26年3月期第3四半期累計のNECST事業(蓄電・V2H・EV充電)の売上高は前年同期比17.1%減の484億円、営業利益は同47.3%減の14億円に落ち込んでいます。

ただし見落とされがちなのがコンデンサ事業で、26年3月期第3四半期累計の売上高は前年同期比2.0%増の758億円、営業利益は同124.6%増の24億円に急伸しています。
生成AIサーバーやデータセンター向けの需要増加がけん引し、足元の業績を支えています。

村田製作所(6981)|蓄電池は売上の約8%・AI・DC向けMLCC銘柄

蓄電池関連銘柄として村田製作所が取り上げられることがあります。
ただし、同社のエナジー事業部門の26年3月期第3四半期における売上収益は累計で1,138億円。
全社の売上収益1兆3,702億円の約8%にとどまります。

業績を引っ張っているのはMLCC(積層セラミックコンデンサ)のAIサーバー向け需要です。
第3四半期の決算短信によれば、リチウムイオン電池は「サーバー向けで増加したがゲーム機向けで減少」しており、蓄電池事業そのものは増減が混在しています。

現時点では、AIサーバー関連の電子部品銘柄として評価する方が実情に合います。

注目の出遅れ・中小型蓄電池関連銘柄

大型銘柄に比べて知名度は低いものの、蓄電所やデータセンター向けの受注を着実に積み上げている中小型銘柄も存在します。

正興電機製作所(6653)|系統用制御・監視装置のニッチ専業

正興電機製作所は、系統用蓄電所・データセンター・再エネ設備の制御・監視システムを手がけるメーカーです。
大型電池メーカーと異なり電池価格の変動リスクを受けず、案件が増えれば売上に直結するビジネスモデルです。

最新の26年12月期第1四半期決算では、全社売上高が前年同期比12.6%増の95億7,400万円、営業利益は同16.3%増の12億8,000万円となりました。
データセンターや蓄電所向けの大口案件が増加しています。
受注高も前年同期比6.7%増の122億8,800万円と積み上がっており、好調が続く期待が高いです。

パワーエックス(485A)|25年12月上場・苫小牧新工場も決定

パワーエックスは系統用大型蓄電システム(BESS)の製造・販売に特化した企業で、2025年12月19日に東証グロース市場に上場しました。
公開価格1,220円に対し初値は下回りましたが、その後2026年4月28日時点では9,740円まで上昇しています。

25年12月期通期の売上高は前期比3.1倍増の193億円に伸びました。
CFOの藤田利之氏は決算説明会で「第4四半期単体で約120億円を計上し業績達成に大きく貢献した。系統用蓄電所向けの案件が非常に堅調だった」と述べています。

26年12月期の売上予想は380億円で、2026年4月時点の受注残高(受注見込みも含む)は360億円をすでに確保しています。
2027年分の受注も398億円に達しており、伊藤正裕CEOは「まだ18ヶ月の営業機会が残っている」と説明しています。

2026年3月23日には北海道苫小牧市への新工場「Power Base Hokkaido」の開設(2027年6月稼働予定)と、岡山本社工場への大型蓄電システム製造ライン増設を同時決定しました。
NTTアノードエナジーとの協業合意(2026年1月)、IIJとのコンテナ型データセンター協業覚書(2026年1月)など大企業との連携も進んでいます。

アナリストが重視する蓄電池銘柄の見極め方

蓄電池関連と呼ばれる銘柄の中には、蓄電池の売上比率が一桁台の企業や、蓄電池事業がすでに終わっている企業も含まれます
そのため、決算短信の数字で業績の中身を確かめることが欠かせません。

蓄電池事業の売上構成比を必ず確認する

蓄電池事業が全社売上に占める割合は、銘柄ごとに大きく異なります。
パワーエックスはBESS事業が売上の89%(25年12月期)を占める純粋な蓄電池銘柄です。

ニチコンのNECST事業(蓄電・V2H・EV充電)は全社売上の約27%、GSユアサの産業電池電源部門は約14%です。
村田製作所のエナジー事業部門は約8%と限定的で、過去に蓄電池関連銘柄とされてきた日本ガイシにいたっては蓄電池事業そのものがすでに終わっています

比率が高い銘柄は市場拡大の恩恵を直接受けますが、市場が調整したときの下落幅も大きくなります。
投資の前に、決算短信のセグメント情報で「蓄電池市場が伸びたとき、業績にどれだけ跳ね返るか」を確認する必要があります。

蓄電池関連銘柄の投資リスク

成長テーマとして注目される蓄電池関連銘柄。
しかし、市況や政策の変化が業績に影響を与えるリスクが高い銘柄群でもあります。
特に、中長期で保有する場合には、以下のリスクを正確に理解しておきましょう。

固体電池など次世代技術による市場変化リスク

全固体電池やナトリウムイオン電池などの次世代技術は、2027〜2030年頃の実用化が見込まれています
これらが普及すると、現在主流のリチウムイオン電池に大規模な設備投資を行っている企業は競争力を失うリスクがあります。

特にその影響を受けやすいのが、GSユアサが進める総事業費703億円・2028年10月供給開始の定置用リチウムイオン電池製造計画です。
計画が完工しても、全固体電池の普及が重なれば設備の優位性が短命に終わる可能性があります。
完工後の市場環境を慎重に見ておく必要があります。

原材料(リチウム・コバルト)価格変動の影響

リチウムイオン電池にはリチウム・コバルト・ニッケルなどの希少金属が必要で、これらは価格の変動が大きく、産地が特定の国・地域に偏っています

パワーエックスのCFO藤田利之氏も「リチウム市況や輸出還付の見直しを背景に仕入先からの電池モジュール価格が上昇する可能性がある」と決算説明会で話しています。
電池コストの上昇は製造・販売企業の利益率に直結します。

補助金・政策依存の需要は変動しやすい

家庭用蓄電システムや再エネ連携型の蓄電需要は、補助金制度に大きく依存しています。

ニチコンのNECST事業における26年3月期第3四半期累計の売上高が前期比17.1%減の484億円に落ち込んだ背景には、補助金環境の変化があります。

国の補助金予算は毎年変わるため、制度の改廃が需要の急変を引き起こすリスクがあるのです。
長期脱炭素電源オークションによる20年間の固定収入など、系統用蓄電池も政策支援に依存している面があり、電力政策が転換すれば市場全体に影響を与える可能性が警戒されます。

まとめ|蓄電池関連銘柄に中長期で注目!

第7次エネルギー基本計画やAIデータセンターの電力需要増加、2026年4月の制度変更といったの追い風が重なる蓄電池関連銘柄は、中長期の投資テーマとして期待されます。

ただし銘柄によって事業の中身は大きく異なります。
それぞれの事業の特性と蓄電池比率を決算発表で確かめて、投資対象を決める必要があるでしょう。

また、原材料価格の高騰や政策変更の可能性もリスクシナリオとして念頭に置いておきましょう。

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執筆者情報

nari

石塚 由奈

日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)

国内株式、海外株式、外国為替の領域で経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーのもと、金融市場の基礎・特徴、マクロ経済の捉え方、個別株式の分析、チャート分析、流動性分析などを学びながら、日本投資機構株式会社では唯一の女性アナリストとして登録。自身が専任するLINE公式など各コンテンツに累計7000名以上が参加。Twitterのフォロワー数も3万人を超える人気アナリスト。

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