任天堂(7974)の株は今が買い時?株価急落の理由と今後の見通しを解説

任天堂(7974)の株は今が買い時?株価急落の理由と今後の見通しを解説

「Nintendo Switch 2」が堅調な販売を記録している一方で、任天堂の株価は上場来高値から大幅な調整局面にあります。
日本を代表するコンテンツ・IP株として人気を博していたところから、急激に下落に転じたため、先行きを気にかけている方も多いでしょう。

そこで本記事では、いったいなぜ株価が下落したのか、今後の回復には何が必要なのかを解説していきます。

目次

任天堂の株価が高値から40%超の下落

【7974】任天堂 日足チャート 2025年4月16日~2026年2月25日

任天堂の株価は、2025年8月18日に上場来高値の1万4,795円をつけました。
しかし、昨年12月頃から下落トレンドに転じ、2026年2月6日には8,326円まで下落。
高値からの下落率は約43%に達しました。

特に2月3日の決算発表を受けて、窓を開けて下落する動きとなっています。
足元でも日足チャートでは陰線が目立っており、上値の重さが意識される推移です。

なぜ任天堂は決算発表を受けて下げ幅を拡大する動きとなったのでしょうか。
ここからは決算内容を詳しく確認していきましょう。

好決算なのに急落|任天堂の26年3月期第3四半期決算を読み解く

2026年2月3日に発表された任天堂の26年3月期第3四半期決算(25年4-12月)の数字を一見すると、非常に好調です。

売上高は1兆9,058億円で、前年同期(9,562億円)から2倍以上に増加しています。
営業利益も3,003億円と、前年同期比21.3%増です。これだけ見れば文句なしの好決算に見えます。

ところが決算発表の翌日に、任天堂の株価は一時12.6%安の8,806円まで急落しました。

売上は2倍なのに利益の伸びが21%にとどまった理由

市場が決算内容をネガティブに受け止めた最大の理由は、売上の伸びに利益が追いついていなかったからです。
決算をよく見ると、売上原価は前年同期の3,906億円から1兆1,934億円へと約3倍に膨らんでいます

背景にあるのは、世界的なAI需要の急拡大によるメモリ価格の高騰です。
Nintendo Switch 2は初代Switchに比べてメモリを大幅に増量した高性能機であるため、製造コストが大きく上昇しました。

加えて、第3四半期単体の営業利益が1,552億円と市場予想の1,807億円を下回り、通期業績予想を据え置いたことも嫌気されました。

任天堂株の買い時を判断するための基礎知識

任天堂は1889年創業の老舗企業であり、1983年のファミリーコンピュータ発売以来、ゲーム産業の世界的リーダーとして君臨してきました。
ゲームボーイ、ニンテンドーDS、Wiiといった数々のヒット商品を生み出してきた一方で、常に好調であったわけではないことも投資家としては忘れてはいけません。

「Wii U」不調で株価が低迷した時期も

特に、2012年発売の「Wii U」時代は深刻な低迷期となりました。

爆発的ヒットを記録したWiiの後継機として投入されたWii Uは、コンセプトが市場に浸透せず、販売台数が大きく伸び悩みました。
この影響で、任天堂は2012年3月期から3期連続の営業赤字を計上。
株価も長期にわたって低迷を余儀なくされました。

この時期には「任天堂はスマートフォンゲームに押され、専用機ビジネスは終わった」という悲観論が市場を支配していました。

こうした評価が変わった大きな転換点は2017年です。
据え置き型と携帯型の利点を融合させたSwitchは世界的に受け入れられ、累計販売台数は1億5,000万台を超える空前の大ヒットとなりました。
これにより、株価はWii U時代の低迷期から数倍の水準へと上昇したのです。

PER(株価収益率)で見た任天堂株のバリュエーション

株価の割安・割高を測る指標のひとつにPER(株価収益率)があります。
PERは「株価÷1株あたり利益」で計算され、数値が高いほど割高、低いほど割安とされます。

任天堂のPERは20年3月期から24年3月期にかけて12倍台から21倍台で推移してきました。
それにも関わらずNintendo Switch 2への期待が高まった25年3月期には49倍になった場面もあり、相当な期待値が株価に折り込まれていました。

2026年2月25日時点のPERは28倍です。
高値から40%以上下落したとはいえ、歴史的な平均水準と比べるとまだ割高な水準にあります。
「安くなったから買い時」と飛びつく前に、この点は必ず頭に入れておきましょう。

任天堂株の今後の見通し|株価回復に必要な3つの条件

では、任天堂の株価は今後どうなるのでしょうか。
回復のカギを握る3つのポイントを解説します。

条件①| ソフトのヒットや大型タイトルの発表

任天堂のビジネスは、ハードを普及させ、利益率の高いソフトで回収するというモデルが基本です。
実際、任天堂は初代Switch発売7年後の2024年3月期に純利益で過去最高益を記録しています。
営業利益のピークは巣ごもり需要に沸いた2021年3月期でしたが、ライフサイクルの終盤まで高い収益性を維持した点は特筆すべきです

Switch 2も、今後ソフトタイトルが増えるほど収益性が高まっていくと考えられます。
今後の注目は、「ゼルダの伝説」や「スーパーマリオ」シリーズなど看板IPの新作がいつ投入されるかという点です。
大型タイトルの発表があれば、それ自体が株価の上昇トリガーになる可能性があります。

目先の注目タイトルとしては、2026年3月5日に発売予定の「ぽこ あ ポケモン」が挙げられます
前評判は高く、発売後の売上も市場の想定を上回れば、任天堂の買い材料になる余地があります。

条件②| メモリ価格の落ち着き、もしくは値上げ

任天堂は決算説明会で「直ちに大きな影響はない」としていますが、メモリ価格の高騰が長引けば来期以降の利益率を直撃します。
逆にメモリ価格が落ち着いてくれば、製造コストが下がり、利益率の回復が期待できます。

また、2026年2月17日には米メディアBloombergが、AI需要によるメモリ価格高騰を受けてNintendo Switch 2の値上げを検討していると報道しました。
任天堂は決算説明会で「1台売るごとに赤字になる状況は避けたい」とも発言しており、値上げが実現すれば採算性の改善につながります。

条件③|AIにより競争が激化するとの懸念の後退

「生成AIの急速な進化によってゲーム制作のハードルが下がり、任天堂の優位性が揺らぐのではないか」との警戒感も任天堂株の下落を招いた一因でしょう。
実際、グラフィック生成、プログラミング、バグチェックなどの工程が自動化されることで、小規模なスタジオでも大手並みのクオリティのゲームを短期間で制作できるようになると考えられます。

ただし、任天堂が保有するIP(知的財産)の価値は不変でしょう。
どんなにAIが精巧なアクションゲームを生成したとしても、それが「マリオ」でなければ、任天堂のファンは満足しないのではないでしょうか。

また、任天堂自身もAIによる開発効率化によって、魅力的なIPを用いた人気ソフトの投入サイクルを早め、収益拡大を実現する余地があります。
AIによる競争激化への過度の警戒感が後退した場面では、改めてIPを評価した買いが戻って来る余地があります。

任天堂株の買い時を見極めるための注意点

ここでは、実際に任天堂株への投資を検討している初心者の方向けに、具体的な注意点をまとめます。

テクニカル面での下値の目安

週足チャートを見ると、現在の株価水準(8,000〜9,000円台)は2023年〜2024年にかけて長期間もみ合っていたゾーンと重なります。
2026年2月6日につけた8,326円が当面の下値の目安として意識されやすい水準です。

この水準を大きく割り込んでくるようであれば、相場の見方を切り替える必要があります。

下げ止まりのサインとして何を見るべきか

次の決算(2026年5月発表予定の本決算)でメモリ等のコスト負担が改善し始めた兆候が確認できれば、株価の反転につながりやすくなります
大型ソフトタイトルの発表や海外販売の回復を示すデータも、重要なシグナルです。

リスクシナリオも必ず確認を

メモリ価格高騰が長引いた場合、来期(27年3月期)の利益が今期を下回るリスクがあります。
また、円高が急速に進んだ場合も、海外売上比率が77%と高い任天堂には逆風です。

損切りラインの目安として、短期的に狙う場合は8,000円前後を設定しておくことを検討したいです。
押し目買いを狙う場合は、決算発表や主要タイトルのリリース発表などのタイミングを確認してから動くのが基本です。

まとめ|任天堂株は「今すぐ買い」ではなく「条件が揃ったら買い」

任天堂の株価は、Nintendo Switch 2の販売好調・大幅増収増益にもかかわらず、製造コスト増による利益率低下への懸念から高値比43%の下落となっています。

PERはまだ28倍台と歴史的平均を上回っており、単純に「安くなった」とは言い切れません
一方で、Switch 2の普及拡大やソフトラインナップの充実、メモリ価格の落ち着きといった条件が重なれば、株価が見直される余地は十分あります。

「任天堂株の買い時はいつか」という問いに対するシンプルな答えは、コスト改善の兆しが決算で確認でき、ソフトの大型タイトルが揃い始めたときです。
焦らず次の決算や製品ラインナップの発表を待ちながら、状況を見極めていきましょう。

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執筆者情報

nari

江口 裕臣

日本投資機構株式会社 テクニカルアナリスト(CMTA®)

著名な元機関投資家や経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーより培った知識と経験を基に、数多くの市場動向の予測や個別銘柄の動向をピンポイントで分析。銘柄の推奨実績において社内の月間最高勝率記録を持つテクニカルアナリスト。

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