1月に株価が上がりやすい1月効果は本当?プロがデータを分析し投資戦略を提案

1月に株価が上がりやすい 1月効果は本当? プロがデータを分析し 投資戦略を提案

株式市場には「1月は株価が上がりやすい」という、1月効果(January Effect)と呼ばれるアノマリーがあります。
年末の利益確定売りが一巡し、新年の資金流入や機関投資家のポートフォリオ組み替えが行われるため、株価が上昇しやすくなる経験則です。

しかし、「本当に1月は上がりやすいのか?」「どの指数・どの銘柄群に当てはまるのか?」「根拠はあるのか?」と疑問を持つ投資家も多いはずです。

そこで本記事では、1月効果の基本的な意味や、日本株が実際に上がっているのかどうかを分かりやすく解説します。
その上で、1月の相場にはどのような戦略で臨めば利益を狙いやすいのかを考えていきます。

目次

1月効果とは?意味と由来をわかりやすく解説

1月効果とは、「1月の株式リターンが、他の月と比較して高くなる傾向がある」という市場のアノマリーを指します。
特に、時価総額の小さい小型株において、この傾向が顕著に見られるとされています。

この現象は、1942年に米国の投資銀行家シドニー・ワクテル氏によって初めて発見されたと言われています。

当初は米国の小型株市場で観測されたものでしたが、その後、日本を含む世界各国の株式市場でも同様の傾向が報告され、投資家の間で広く知られるようになりました。

なぜ1月は株価が上がりやすいのか?|背景とメカニズム


1月効果は単なるジンクスではなく、投資家の行動や資金の流れに起因する、いくつかの合理的な背景があると考えられています。
主に考えられている2つの要因をご紹介します。

①小型株効果| 年末に売られた分買い戻されやすい

投資家が年末に行う損出しの売りが、1月効果を生む要因になっていると考えられています。
損出しとは、年間の利益を圧縮するために、含み損を抱えている銘柄を売却して損失を確定させる税金対策のことです。

そして年が明けると、投資家は新たな気持ちで投資を再開します。
そのため、年末に売却した資金や新規の資金を使って、割安になった銘柄を買い戻す動きが活発化します。

「年末の売り」と「年始の買い」が、特に小型株市場の需給を改善させ、株価の反発を招きやすいのです。

② 新年の資金流入(投信・年金・ボーナス資金)

1月は、機関投資家やファンドなどの新たな資金が株式市場に流入しやすくなると考えられます。

機関投資家は、年末の運用報告で成績を良く見せるために、12月中にパフォーマンスの悪い銘柄を売却する場合があります。
そして新年から新たな運用計画に基づき、ポートフォリオに株式を組み入れるための買い付けを開始します。

また、個人投資家にとっても、新NISAの非課税投資枠がリセットされるタイミングでもあるため、新規投資への意欲が高まります。

こうした市場全体への資金流入が買い圧力を生み、相場全体を押し上げる一因となっている可能性があります。

データで見る1月効果|本当に上がりやすい月なのか?


では、1月効果は実際のデータでも確認できるのでしょうか。
過去のパフォーマンスを振り返り、その信憑性を検証してみましょう。

今回は、2015年11月から2025年10月までの過去10年間の日経平均株価、TOPIX、東証グロース指数の月別パフォーマンスを算出しました。

1月の日経平均・TOPIX・グロースの平均騰落率

▼まず平均騰落率を見ると、1月は主要3指数すべてがプラスとなっています。

1月の日経平均・TOPIX・グロースの平均騰落率

1月の他にも4月、7月、11月の平均騰落率がプラスとなっており、1月が特別強いとは言えないかもしれません。

しかし、特にグロース株を中心に構成される東証グロース市場250指数(旧マザーズ指数)が2.97%と大きく上昇している点は特徴的です。
TOPIXも+0.58%と、大型株の影響がより大きい日経平均株価の+0.19%を上回っています。
小型株効果と言われる通り、1月は小型株のパフォーマンスが好調になりやすい傾向が実際にあるようです。

1月の日経平均・TOPIX・グロースの勝率


▼さらに、東証グロース市場250指数やTOPIXは過去10年間で1月の勝率(騰落率が0以上の確率)は70%と高い値になっています。

1月の日経平均・TOPIX・グロースの勝率


TOPIXと東証グロース250指数の勝率がいずれも70%を超えているのは1月と7月だけです。
勝率からも、1月には小型株や成長株に資金が向かいやすい傾向があると考えられます。

1月の日経平均・TOPIX・グロースの騰落率の中央値

▼騰落率の中央値を見てみると1月の東証グロース市場250指数は6.67%となっており、平均値の2倍以上の値になっています。

1月の日経平均・TOPIX・グロースの騰落率の中央値

中央値が平均値を超えているため、大きく上昇した年が多い一方で、極端に大きく下落した年があり、バラつきが大きくなっていると考えられます。
1月で東証グロース市場250指数がマイナスになったのは2016年の「-12.6%」、2020年の「-8.3%」、2024年の「-14.0%」の3回です。

2016年はチャイナショックの余波、2020年は新型コロナの感染拡大が意識され始めた時期、2024年は金利上昇でグロース株が全面安となりました。
外部環境に悪材料があると、下げ幅が大きくなりやすい点には注意が必要です。

1月効果を活かした投資戦略を紹介

ここまでのデータから、

1月の日本株は堅調に推移しやすい
②特に小型株やグロース株が好調
③ただし、下落した場合は下落率が大きくなる傾向がある

という傾向がわかりました。

こうしたデータを活かすのであれば、以下のような戦略が有効だと考えられます。

①グロース株・小型株への短期集中が有効

まず、活用できるのは「グロース株・小型株への短期集中戦略」です。
12月は節税売りやファンドのポートフォリオ調整で小型株が過剰に売られやすい時期ですが、年が明けると新規資金の流入や買い戻しが増え、1月前半にかけて需給が改善しやすくなります。

つまり、1月の強さを狙うなら、12月にかけて調整した成長株を仕込む戦略が合理的です。
テーマ性のある銘柄、たとえばAI半導体防衛関連などの銘柄群には、その年のテーマに乗ろうとする投資家の資金が入りやすいと考えられます。

②手堅く狙うのであればTOPIX型の安定銘柄が有望

ただし、1月のグロース株・小型株は金利の上昇など外部環境が悪化した場合に、下落率が大きくなる傾向があります。
そのため、通常より損切りラインを浅めに設定し、下落の初動で素早く撤退する姿勢が求められます。

リスクをあまり取りたくない場合には、TOPIX型の安定銘柄を買い付けておくのも手です。
TOPIXも1月の勝率が70%となっており、1月効果の恩恵を受けやすいと考えられます。
たとえば、金利上昇に強い銀行株や、海外金利の上昇に伴い円安が進んだ場合に恩恵を受けやすい自動車関連株などを仕込んでおけば、底堅い値動きに期待できます。

大幅な上昇は望みにくいものの、ポートフォリオ全体のボラティリティを抑えつつ利益を積み上げる役割として買いに入る余地は十分にあるでしょう。

1月効果を信じすぎないための注意点

アノマリーは「確実」ではなく「傾向」です。
1月効果は興味深いアノマリーですが、盲信は危険です。

あくまで過去のデータから導き出された「傾向」であり、将来の株価上昇を保証するものでは決してありません。
その年の相場は、金融政策の動向、企業業績、世界経済の状況、地政学リスクといった、より大きな要因によって左右されます。

あくまで投資判断の1つの参考材料と捉えましょう。

まとめ|1月効果を過信せずに総合的な判断を

この記事では、1月効果の仕組みから過去のデータ、具体的な活用方法までを解説しました。
1月相場で利益を狙うには、小型株が堅調に推移しやすい傾向を活かしながらも、外部環境が悪化した際のリスク管理もしっかりと行う必要があると思います。

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執筆者情報

nari

峯岸 恭一

日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)/日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)

総合鉄鋼メーカーに勤務していた経験を活かした、鉄鋼・自動車市場の分析及び情報収集を得意とし、データの集計・分析に基づいた統計学により銘柄の選定を行う希少なデータアナリスト。AIに関する資格も有しておりデータサイエンティストとしても活躍の場を拡げている。

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