「半導体」が大躍進!脱中国・AI新時代の覇権を握る関連テーマ株を徹底解説!

「半導体」が大躍進!脱中国・AI新時代の覇権を握る関連テーマ株を徹底解説!

世界のデジタル化を根本から支える「半導体」は、今や経済安全保障や技術覇権の観点からも最重要インフラとされています。

生成AI、自動運転、5G、IoT、データセンターなど、すべての先端領域で需要が加速しており、2024年以降の設備投資再拡大を背景に、関連銘柄への資金流入も目立ちます。

特に日本国内ではTSMC熊本工場の稼働、ラピダスの2nm量産計画、各種サプライヤーの増産などが動いており、中長期的に成長が期待されるセクター。

本記事では、半導体業界の構造、投資家が注目すべき企業、注意点、将来展望を詳しく解説します。

目次

半導体株は世界経済を動かすテクノロジーの中核銘柄

半導体株とは、スマートフォンや自動車、家電、データセンター、AIなど、現代社会のあらゆる機器やシステムを動かす**“頭脳”を生み出す産業に関わる企業の株式です。設計から製造、製造装置や材料、検査機器、組立・実装まで幅広い工程を担う企業が含まれ、その存在はグローバル経済の成長と安全保障**に直結します。

半導体の主な工程(設計 → 製造 → 組立・検査 → 実装)

設計専門のファブレス、設計から製造まで行うIDM、製造受託のファウンドリ、そしてそれらを支える製造装置メーカー・材料メーカー・検査企業などが存在します。日本は装置・材料・検査分野に強く、世界の先端半導体生産を支える重要な役割を担っています。

業界の多様性と株価の動き方

同じ半導体株でも、工程やビジネスモデルによって収益構造や景気の影響度は異なります。例えば装置・材料メーカーは顧客の設備投資計画に敏感で、ファウンドリは稼働率や**単価(ASP)**が利益に直結します。こうした違いを理解すると、ニュースや業績発表の解釈がしやすくなります。

半導体が注目される5つの要素

半導体は構造的な需要拡大政策の後押しが同時進行しており、日本企業にとってもチャンスが広がっています。

生成AIとデータセンターの拡張が最大のエンジン

生成AIの普及で演算用GPUや専用チップ需要が急増。これに応じて製造装置・検査装置・高純度材料まで広く需要が波及します。チップの微細化やチップレット採用が進み、先端装置の重要性は一段と高まっています。

EV・自動運転でパワー半導体が構造的に伸びる

車載は安全・電力効率が重視され、SiCパワー半導体が採用拡大。自動運転支援(ADAS)や車載レーダー向けセンサー需要も底上げ中です。

脱中国と経済安保で供給網を再構築

米中対立を背景に、日米台欧でのサプライチェーン再編が加速。日本の装置・材料・検査は世界シェアが高く、代替困難な領域が多いため、政策の追い風を受けやすい立場です。

国内プロジェクトの進展が裾野に波及

TSMC熊本工場の稼働やラピダスの先端プロセス挑戦は、関連する装置・材料・計測・人材育成まで需要を広げます。海外依存度の高かった工程の一部が国内で回り始めることで、取引機会が増えます。

サイクル回復の芽と短期的な押し上げ要因

メモリ在庫の整理進展、先端パッケージ能力の増強、データセンター投資の再加速など、短期の追い風も複数重なっています。中長期の構造成長に、サイクルの回復が上乗せされている局面です。

過去に大きく上昇した半導体関連銘柄とその背景

半導体株は景気循環や技術革新の波に乗ることで、短期間で大きく株価が上昇するケースがあります。

ここでは、過去数年間で数倍の上昇を遂げた代表的な半導体関連銘柄を取り上げ、その背景と上昇要因を振り返ります。これらの事例を知ることで、今後の有望株を見極めるヒントが得られます。

【6146】ディスコ—パッケージング工程向け精密加工装置のリーディング企業。

2022年7月~2024年12月までの月足チャート Tradingviewより引用

先端パッケージングやシリコンウエハーダイシング技術がAI・高性能半導体の需要増とともに注目され、2022年末からの株価は5倍以上に急騰。高い技術力と寡占的な市場ポジションが急成長を後押ししました。

【3436】SUMCO—半導体用シリコンウエハーの世界大手。

2016年3月~2018年4月までの月足チャート Tradingviewより引用

2016年から2018年にかけて先端半導体向けウエハーの供給不足が深刻化し、価格上昇が続いたことで株価は約4倍に上昇。安定供給体制と高シェアを武器に、世界的な半導体需要の波に乗った代表的な事例です。

半導体株に投資する際に押さえておくべき注意点

半導体株は中長期での成長期待が高い一方、景気変動や需給バランスの変化に敏感で、株価の変動幅も大きいセクターです。安易なテーマ買いに流されず、業績や需要動向、事業構造を正しく理解したうえでの投資判断が欠かせません。

半導体株は景気循環の影響を強く受けるセクター

半導体は需要拡大局面では急騰しますが、需給が崩れたり、在庫調整局面では大幅に下落する傾向が強く、特に装置・材料系は変動が大きくなりがち。

長期で保有する場合は、シクリカル性(景気連動)を考慮したエントリーポイントが重要です。

「半導体関連株」といっても業種・工程でリスクと成長性が異なる

製造装置・検査装置・露光・素材・回路設計・IPライセンスなど、工程ごとに企業の役割は異なります。

単なる連想買いに乗るのではなく、業績寄与の程度や顧客企業との関係性を確認することが重要です。

半導体株投資の始め方と失敗しないためのポイント【初心者向け】

半導体株は将来性が高く、成長テーマとして魅力的な一方、景気や需給の変化によって値動きが大きい特徴があります。

初心者が安心して投資を始めるには、基礎知識の習得・銘柄選びの基準・リスク管理の3つを押さえることが重要です。

ここでは、初めて半導体株に挑戦する方に向けて、失敗しにくい進め方を解説します。

まずは半導体株の基本を理解する

半導体株と一口に言っても、製造装置メーカー、素材メーカー、検査装置メーカー、チップ設計会社など役割はさまざまです。

どの工程の企業かによって値動きや収益の出方が異なるため、まずは業界のバリューチェーンを把握し、自分が理解しやすい分野から入ると安心です。

小額から分散して始める

最初から1銘柄に大きく資金を投入すると、値動きによって精神的な負担が大きくなります。複数銘柄やETFを組み合わせて、リスクを分散するのが基本です。

ニュースと業績を定期的にチェックする

半導体株は技術革新や政策、需給動向で大きく変動します。決算発表や設備投資計画、世界の半導体需要予測などを定期的に確認し、保有継続か売却かを判断しましょう。

今注目すべき半導体関連銘柄

半導体需要は生成AIやEV、自動運転の普及によって世界的に拡大しており、日本企業にも成長機会が広がっています。

ここでは、今後の市場環境を踏まえ、業績・技術力・需給面で高い注目度を集める半導体関連銘柄をピックアップ。それぞれの強みと今後の成長シナリオを解説します。

【8035】東京エレクトロン—世界シェア上位の半導体製造装置メーカー

2024年5月~2025年8月までの月足チャート Tradingviewより引用

成膜・エッチング・洗浄などの前工程装置を提供し、世界トップクラスの設備メーカー。TSMC・Samsung・Intelなど大手顧客を抱え、2024年度は過去最高益を更新。生成AI・EUV露光の普及で中長期の成長期待が継続。

【6857】アドバンテスト—AI時代を支える半導体検査装置のリーダー

2024年5月~2025年8月までの月足チャート Tradingviewより引用

AI/5G/スマホ向けチップの高密度化に対応する自動検査装置(テスター)を開発。半導体の複雑化に伴い、検査工程の重要性が急上昇しています。EUV時代の良品率維持に必須であり、安定的な収益が見込まれます。

【6920】レーザーテック—EUVマスク検査装置で世界唯一の存在

2024年5月~2025年8月までの月足チャート Tradingviewより引用

EUVマスク欠陥検査装置の専業メーカー。事実上の寡占状態にあり、利益率が高く、売上も数年先まで予約で埋まる状態。ラピダスやIntelが先端ラインを拡大するなか、今後も需要は底堅いと見ています。

その他の半導体関連注目銘柄

銘柄名市場企業概要
【3436】SUMCO東証プライム半導体用シリコンウエハー大手。先端・パワー半導体向けで安定供給体制を強化中。
【7735】SCREENホールディングス東証プライム洗浄装置を主力とし、微細化対応を進める。韓国・台湾での売上比率高い。
【4063】信越化学工業東証プライムシリコン素材で世界最大手。レジストやフォトマスク材料でも存在感あり。
【6981】村田製作所東証プライムパワー半導体やスマホ向け高周波部品を手がけ、IoT成長と連動。
【6762】TDK東証プライム車載・産業機器向けセンサーメーカーとして成長。パワーIC領域も強化。

半導体株はサプライチェーン再編と新需要拡大で成長が続く

半導体産業は地政学リスクへの対応と技術革新の加速によって、構造的な成長局面が続いています。サプライチェーンの再編新たな需要分野の拡大が同時に進行しており、日本企業にとっても世界市場で存在感を高めるチャンスが広がっています。ここでは、その成長を支える2つの主要トレンドを解説します。

脱中国+先端技術競争で「再国産化」の流れが続く

アメリカは、中国への最先端半導体や製造装置の輸出を制限しています。これは安全保障や技術流出を防ぐためです。こうした規制の影響で、これまで中国に依存していた一部の生産工程を、アメリカ・日本・台湾・ヨーロッパなどの国や地域に分散させる動きが加速しています。

日本はEUV(極端紫外線)露光という最新技術に対応できる製造装置や、高品質な素材で世界トップクラスの競争力を持っています。そのため、世界の半導体供給網(サプライチェーン)の中で、より重要な役割を担うようになっています。

2025年以降は自動運転・AI×エッジデバイスが本格普及へ

2025年以降、自動車の自動運転や高度な運転支援(ADAS)が一段と普及すると予想されています。こうした技術には、車載用の高性能半導体が欠かせません。

また、生成AIを小型機器や工場機械に直接組み込む「エッジデバイス」の需要も急増します。例えば、演算を高速化するHPC(高性能コンピューティング)チップやNPU(AI専用プロセッサ)、さらにIoT機器に使われるセンサーや制御用チップなどです。

これらの分野が成長すれば、製造装置メーカー、検査装置メーカー、素材メーカーなど、半導体の生産に関わる幅広い企業に需要が連鎖的に広がっていく可能性があります。

まとめ|半導体株は長期成長と変動リスクの両面を持つテーマ

半導体は私たちの生活のあらゆる分野に欠かせない部品であり、5GやEV、AIといった次世代技術の発展とともに需要が拡大しています。

一方で、景気や需要の波によって株価が変動する特徴もあるため、投資では長期的な成長ポテンシャルと短期的なリスクの両方を意識することが大切です。長期視点を持ちながらも、市況やテーマ性の変化に柔軟に対応できる戦略が成功の鍵となります。

半導体は次世代社会の基盤を支える長期成長分野

半導体は、スマートフォンやパソコンだけでなく、5G通信、電気自動車(EV)、人工知能(AI)、宇宙開発、再生可能エネルギーなど、これからの社会を作るあらゆる分野で欠かせない部品です。

今後の需要は長期的に増え続けると考えられており、国や企業からの政策支援も追い風となっています。そのため、半導体株は「成長テーマ」「業績の伸び」「政策の後押し」という3つの条件が揃った、中長期で保有を検討できるセクターです。

工程別ビジネスモデルを理解し戦略的に銘柄を選定する

一口に半導体株といっても、工程や役割ごとに特色が異なり、関わる工程やビジネスモデルはさまざまです。

この工程によっても値動きの大きさ(ボラティリティ)や期待できる利益が異なるため、複数の分野に分散投資する方法もあれば、一分野に絞って狙う戦略もあります。

どちらにしても、その企業がどの工程を担当し、誰に製品を売っているのか、将来の技術トレンドに合っているかを確認してから投資判断することが大切です。

半導体は、世界の成長産業を下支えする“縁の下の力持ち”でありながら、時に株価が大きく動くダイナミックな投資対象でもあります。

今回の解説を通じて、業界構造や成長分野を正しく理解し、自分の投資スタイルに合った銘柄選びにつなげてください。未来の技術を支える企業を、今から見極めることが、長期的なリターンへの第一歩です。

執筆者情報

nari

INVEST LEADERSを運営する顧問投資会社「日本投資機構株式会社」の代表取締役を含めたスタッフ及びサポートアナリストの記事を掲載しています。株式投資や金融に纏わる話題は勿論のこと、読者の暮らしや生活を豊かにするトピックスや情報を共有していきます。

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