好決算なのに株価が下がる理由は?下落時に知っておきたい売買の考え方を解説!

好決算なのに株価が下がる理由は?下落時に知っておきたい売買の考え方を解説!

好決算を発表したのにも関わらず、その企業の株価が大きく下落することが度々あります。

こうした値動きを見かけて、「業績が良いのになぜ買われないの?」「株価は業績が良ければ上がるんじゃないの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、「好決算を発表したのに株価が下落してしまう」原因について解説し、そうした銘柄は買いなのかを考えていきます。

目次

企業が好決算を発表しても株価が下がる可能性はある

企業が好決算を発表したにもかかわらず株価が下落する。一見すると矛盾しているように感じますが、株式市場では決して珍しいことではないです。

株価は単に「業績が良いから必ず上がる」「悪いから必ず下がる」という単純な構図ではありません。投資家の心理や市場全体のムード、為替や金利などの様々な要因が複雑に絡み合い、日々刻々と変化する“期待値”によって価格が形成されています。

そのため好決算が発表されても、投資家がすでに織り込んでいたり、将来の成長に不安を感じたりすれば、株価はむしろ下落に転じることもあります。

好決算を発表したのに株価が下がる5つのケース

ケース1. 市場予想を下回る決算で失望売りが波及

有名な企業であれば、実際の決算発表の前に多くアナリストが業績を予想しています。
規模が小さい企業ではアナリストがカバーしていないケースが多いですが、その場合でも「会社四季報」などが業績予想を発表しています。

こうした情報を見ながら多くの投資家が銘柄を売買していますから、予想を下回る決算内容が発表されると失望が広がってしまいやすいです。

ケース2. 「織り込み済み」で利益を確定する売りが加速

決算内容が市場予想通りの結果であったとしても、決算発表を機に利益を確定する売りが加速する可能性があります。
特に、事前に株価が業績の上振れなどを期待して大きく上昇していた場合には、利益を確定する売りが強まりやすいと考えられます。
またPERやPBRが高い銘柄も投資家の期待がすでに株価に織り込まれている可能性が高いため、決算で良い材料が出ても下落することがあります。

ケース3. 業績のピークアウトで「好材料出尽くし感」が台頭

現在の業績が良好であったとしても、将来の業績が悪化しそうであれば、株価は下落してしまいます。

特需など一過性の要因で収益が伸びている場合には、特にこの「好材料出尽くし感」が意識されやすいと言えるでしょう。
また、たとえ増収増益が続いていたとしても、高い成長率が期待されてきた企業の収益の伸び率が失速することで、投資家が将来の収益性(ROAやROE)の低下を懸念し、株価が下がることもあります。

ケース4. 企業のネガティブニュースが株価を押し下げる

決算が好調でも不祥事や経営方針の不透明感など、対象企業に関するネガティブニュースが出ると、投資家心理に大きな影響を与えます。
こうした情報が公表された瞬間、短期的な売りが加速し、好決算のポジティブな材料を上回って株価が下落することがあります。

ケース5. 外部環境の変化が株価に影響

企業固有のニュースとは別に、為替の急変動や金利上昇、米国株の急落による世界株安などの外部環境も、好決算銘柄の株価を押し下げる要因になります。
特に、輸出企業や成長株は外部環境の変化に敏感で、企業の業績が良くても、市場全体の不安感から短期的につれ安することがあります。

好決算にもかかわらず株価が下がった事例

好決算が発表されたにもかかわらず、株価が下落するケースは少なくありません。
ここでは実際に、決算内容は良好だったものの株価が下落した事例を紹介します。

MonotaRo(3064):好決算も織り込み済みで株価下落

MonotaROは2025年12月期第2四半期決算で、売上高・営業利益・純利益すべて前年同期比で増加する好決算を記録しました。

しかし、決算発表後に株価は下落。背景には、事前に開示されていた月次業績などから、投資家が既に成長鈍化を意識しており、好材料が市場に織り込まれていたことが考えられます。

さらに、好調な増益を達成したものの決算資料で通期予想が据え置いているため、市場は今後の成長持続に慎重な見方を示したと考えられます。

ディー・エヌ・エー(2432):黒字転換でも材料出尽くしで下落

ディー・エヌ・エー(DeNA)は、2024年10月にリリースされたポケポケが想定を大きく上回るヒットとなり、ゲーム事業が業績を押し上げました。

これにより、2025年2月に発表された決算では前年同期から黒字に転換。株価は半年で約2倍以上に急騰し、事業のV字回復を期待する買い注文が集中しました。

しかし、2025年5月には決算発表後にもかかわらず、株価が一時的に急落する局面も見られました。背景には、ゲーム事業は好調でも、それ以外の事業への懐疑的な見方や、今後の成長が市場期待に届かないのではという懸念があったことが影響しています。

保有銘柄が好決算を発表したのに下落!どうすれば良い?

保有銘柄が好決算を発表したにもかかわらず株価が下落すると、つい焦って売却を考えてしまいがちです。
しかし、下落の背景を正しく見極めることで、短期的な調整なのか構造的な懸念によるものなのかを判断できます。

下落した要因を見極める

保有銘柄が好決算を発表したのに株価が下落した場合、その下落が短期的なものか長期的なものかを見極めることが重要です。
たとえば、先ほどのケースのうち「市場予想の下振れ」や「業績のピークアウト」による下落は、不透明感が続き、株価調整が長引きやすい傾向があります。

一方、業績自体は市場予想に沿っていたにもかかわらず、株価が一時的に売られただけであれば、売り一巡後に再び買いが入りやすく、株価は回復する可能性が高いです。

このため、まずは下落の背景を冷静に分析し、感情的に売却しないことが大切です。

会社予想・アナリスト予想と照合する

決算発表後の株価の動きを判断するには、会社四季報や証券会社のアナリストレポートに記載された業績予想と実際の数字を照合することが有効です。

数字そのものの増減だけで判断するのではなく、「市場がどの程度の成長を期待していたか」とのギャップを確認することがポイント。

たとえ売上や利益が前年同期比で増加していても、市場予想を下回れば株価は短期的に下落することがあります。
逆に予想を上回れば株価が上昇しやすく、買いタイミングの参考にもなります。

決算説明会やIRコメントを参考にする

決算短信だけでなく、決算説明会やIRで発表されるコメントを確認することも大切です。

経営者が増配方針や新規事業の拡大方針を明言していれば、企業の今後の成長性やリスク要因を把握でき、株価下落後も投資家心理は落ち着きやすくなります。

一方、コスト上昇や利益率圧迫の懸念が示される場合は、中長期的な調整に備える必要があります。
これらの情報をもとに、株価下落が短期的な調整によるものか、構造的な成長鈍化によるものかを判断できます。

決算発表前後の売買タイミングの考え方

好決算を発表したとしても株価が下落してしまうことがあるため、ただ「業績が良いから」という理由だけで決算発表を持ち越すのはオススメできません。

業績が良い銘柄であったとしても、決算発表で下落する可能性を視野に入れながら、売買判断を行う必要があります。

決算後の下落を許容出来ないという場合は、いっそ決算前に売ってしまうのも作戦の1つです。

勿論、その場合は決算で上昇した場合の利益を取り逃すことになります。

しかし、決算で大きく下落してしまって、売りたくても売れなくなってしまうという最悪の事態は回避できます。

長期保有を念頭に置いている場合は、保有株数を減らしておいて下落した場合には買い増しを狙うのも良いでしょう。

また、決算発表後の下落は、事前に企業価値が高く評価されすぎている場合や、期待感から株価が上昇しすぎている場合に起きやすいです。

逆に言えば、決算発表前に株価が安値圏に位置しており、株価が期待を織り込んでいないようであれば、大きく下落するリスクは少ないと言えます。

「決算発表前」には、保有銘柄の整理を考えよう!

好決算にもかかわらず株価が下落する要因は様々で、今回ご紹介した他にも相場全体の環境が関わってくるケースなどが考えられます。

決算発表後の株価はどうしても普段よりも変動が大きくなりますから、決算発表前には、保有銘柄の直近の情報を改めて調べておくのも重要でしょう。

もし下落したとしても保有を続けたいと思える銘柄なのかを改めて考えて、銘柄を整理する機会にできると良いですね。

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執筆者情報

nari

峯岸 恭一

日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)/日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)

総合鉄鋼メーカーに勤務していた経験を活かした、鉄鋼・自動車市場の分析及び情報収集を得意とし、データの集計・分析に基づいた統計学により銘柄の選定を行う希少なデータアナリスト。AIに関する資格も有しておりデータサイエンティストとしても活躍の場を拡げている。

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