2026年1月9日(金)夜に控える米雇用統計の発表を前に、市場には緊張感が漂っています。為替や米金利の動向に左右される外需銘柄が膠着状態となるなか、投資家が目を向けるべきは「自律的な成長」を遂げる国内の内需銘柄です。
2026年の日本経済は、過去最高を更新し続けるインバウンド(訪日外国人)の消費パワーに加え、企業による戦略的な価格転嫁が本格的な実を結ぶフェーズに入りました。
本稿では、来週から本格化する1月決算発表を前に、どの小売・外食銘柄が「化ける」のか、その判定基準を余すことなく紐解いていきます。
「客数増」よりも「利益率向上」を優先して選別

投資家がまず陥りやすい罠が、店舗の混雑具合だけで銘柄を判断してしまうことです。重要なのは増えた客をいかに高い利益に変換できているかという「質の転換」を数値で確認することにあります。
原材料高を克服する「価格決定権」の有無
2026年の小売・外食セクターにおいて、企業の格差を分ける最大の要因は、コスト増を上回る値上げを断行できたかどうかに集約されます。具体的には、既存店売上高が前年比でプラスを維持しつつ、客単価の上昇幅が客数の微減をカバーできている企業を優先すべきです。
「値上げをしても客が離れない」という強固なブランド力こそが、インフレ下における真の価格決定権を証明しています。この構造を持つ銘柄は、原材料価格が安定した瞬間に、上昇した単価がそのまま利益の押し上げに寄与する「利益のレバレッジ」が効きやすくなります。
インバウンド需要を「一時的なブーム」で終わらせない仕組み
訪日外国人の増加は、もはや一時的な追い風ではなく、2026年の日本経済における恒常的な外部要因として定着しました。ここで注目すべきは、単に外国人が多く訪れる店ではなく、彼ら専用の高付加価値メニューや限定商品を投入している企業です。
例えば、一般向けとは別に「インバウンド専用のプレミアム価格帯」を設定している外食チェーンは、客単価の大幅な引き上げに成功しています。こうした二重価格的な戦略を巧妙に取り入れている企業は、国内の節約志向と外貨による旺盛な消費の両方を取り込み、利益の最大化を実現しています。
DX投資による「オペレーション効率」の劇的改善
売上高の拡大と並行してチェックすべきは、販管費率(売上に対する経費の割合)の低下です。セルフレジの導入や調理工程の自動化など、過去2年間のDX(デジタルトランスフォーメーション)投資が2026年にようやく回収期に入った企業を狙います。
人手不足が深刻化するなかで、「少ない人員でより高い単価の商品を捌く」体制が整った企業は、利益率の改善スピードが他社を圧倒します。決算短信の補足資料で、営業利益率が前四半期比で改善傾向にあるかを確認することが、上昇銘柄を見つけ出すための鉄則です。
1月決算でのサプライズが期待できる3つの「特定条件」

決算発表で株価が跳ねる銘柄には、共通の「火種」が隠されています。2026年1月の決算において、ポジティブ・サプライズを引き起こす可能性が高い3つの条件を定義します。
保守的な通期予想に対する「高い進捗率」
1月決算企業にとって、今回の四半期発表は通期目標の達成度を占う重要な試金石となります。2025年期首に日銀の利上げや円安進行を警戒し、あえて保守的(低め)な業績予想を出していた企業ほど、現状のインバウンド特需による上振れが目立ちます。
第3四半期時点で進捗率が80%を超えている銘柄は、決算発表と同時に通期業績の修正や増配が発表される確率が非常に高くなります。こうした「隠れた好業績株」は、発表直前まで過小評価されているケースが多く、投資の期待値は極めて高いと言えます。
「余剰キャッシュ」を活用した株主還元策の発表
好調な業績を背景に、現金を溜め込んでいる企業に対して市場は厳しくなっています。2026年の東証の要請を背景に、今回の決算で自社株買いや大幅増配をセットで打ち出す企業が急増すると予測されます。
特に、インバウンド恩恵で現金の創出力(キャッシュフロー)が急拡大している小売・外食株は、「稼いだ利益を株主に報いる」という姿勢を明確に示す傾向にあります。
業績が良いことは大前提として、さらに「還元への期待感」が株価に織り込まれていない銘柄をスクリーニングすることが、利益を最大化する秘訣です。
実質金利マイナスの継続による「消費意欲」の底堅さ
日銀は緩やかな利上げを続けていますが、物価上昇率を加味した実質金利は、2026年1月現在も依然として低い水準にあります。これが消費者の心理的ハードルを下げ、高単価な商品やサービスへの支出を支える土壌となっています。
「少し贅沢をしたい」という消費者の心理的変化を先取りし、季節限定のイベントやプレミアムな体験を提供できている企業は、1月という本来の閑散期においても予想外の好数値を出すことが期待されます。マクロの停滞感と個人の消費意欲の解離を、数字で見事に捉えている企業に軍配が上がります。
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インバウンド需要の質的変化がもたらす「新・勝ち組」

2026年の訪日客は、単なる「買い物」から「体験(コト消費)」へとシフトを完了させました。この変化に対応できているかどうかが、小売・外食セクターにおける二極化の正体です。
地方分散と「隠れた名店」のグローバル化
東京や大阪といった大都市圏だけでなく、地方の観光地にもインバウンドの波は完全に浸透しました。2026年の投資先として面白いのは、全国に店舗網を持ちながら、特定の地方観光地で圧倒的なシェアを持つ中堅チェーンです。
SNSの拡散により、「わざわざその土地に行って食べる価値」を認知させた企業は、広告宣伝費をかけずに集客を実現しています。
こうした企業は、大都市圏の競争に巻き込まれることなく、高単価なインバウンド需要を独占的に享受できるため、決算数値において他社を圧倒する営業利益率を叩き出すことが珍しくありません。
ナイトタイムエコノミー(夜の消費)への適応力
2026年のインバウンド消費において、最も成長率が高いのが夜間のエンターテインメントや深夜の外食です。訪日客は夜遅くまで活動する傾向が強く、深夜帯の営業を強化しつつ、そこで提供する酒類や特別料理の単価を上げている企業が急成長しています。
「深夜帯の客単価が昼間の2倍以上」という特異な収益構造を持つ外食銘柄は、これまで見落とされていた隠れた成長株です。
深夜の労働力確保という課題を克服し、高収益な時間帯を制している企業は、1月決算において驚異的な上振れを見せる可能性があります。
「メイド・イン・ジャパン」への信頼とブランドの再構築
小売業において、単に輸入品を並べるのではなく、自社開発の高品質な日本製品を前面に押し出している企業も有望です。円安の影響で外国人の目には日本の高品質な製品が「バーゲン価格」に映っています。
ここで単に安売りするのではなく、「日本限定」の付加価値をつけて高値で売る戦略を成功させている企業は、粗利率の改善が著しいです。
2026年の1月決算短信では、粗利益率(売上総利益率)の項目に注目し、昨年比で1〜2ポイント以上改善している企業を探し出してください。それが、高単価シフトに成功した「本物の勝ち組」の証拠です。
「中国不在」でも最高益を叩き出すインバウンド新潮流

2026年1月のインバウンド市場を語る上で無視できないのが、日中関係の緊張に伴う中国当局の「渡航自粛要請」です。かつてのインバウンドは中国勢の「爆買い」が主役でしたが、現在の勝ち組企業は、あえて中国依存を脱却することで利益率を劇的に改善させています。
欧米豪・東南アジア勢が主導する「高単価・長期滞在」へのシフト
中国からの団体旅行が減少する一方で、米国、韓国、台湾、そしてオーストラリアや欧州からの訪日客数は過去最高水準を維持しています。これらの地域からの旅行者は、中国の団体客に比べて滞在期間が長く、1人あたりの旅行支出額が高いという特徴があります。
特に「コト消費」や「食」へのこだわりが強く、1食数万円のコース料理や、地方の高級旅館への宿泊を厭わない層が市場を牽引しています。
この客層の変化を捉え、富裕層向けにサービスを振り切った企業が、客数の減少を単価の爆増で補い、過去最高益を更新する構図が生まれています。
「団体」から「個人(FIT)」への構造変化が招く利益率の向上
かつての中国団体客をターゲットにしていたビジネスは、送客手数料の支払いや安売り競争によって、売上は大きくても利益が薄い傾向にありました。
しかし、現在主流となっている個人旅行客(FIT)は、SNSや自社サイトを通じて自ら店を選び、直接来店します。これにより、中間マージンをカットした「直販モデル」が成立し、小売・外食企業の営業利益率を押し上げています。
決算数値を見る際は、単なる売上高ではなく、販促費を抑えながらも自力で高単価客を呼び込めている「ブランドの自走力」を評価すべきです。
高単価シフトを勝ち抜く精鋭企業

来週からの1月決算発表において、特に「インバウンド×高単価」の成果が数字に表れやすい注目企業をピックアップします。
コスモス薬品(3349):高単価化粧品と免税の相乗効果
ドラッグストア業界の中でも、ポイントカードを廃止し「現金値引き」を徹底する同社ですが、インバウンド拠点の店舗では高単価な国内ブランド化粧品の販売が絶好調です。
2026年5月期の業績予想に対し、1月の中間決算でどこまで進捗を伸ばせるかが注目です。免税手続きの効率化による「レジ回転率の向上」が利益を押し上げる好例となっており、内需の底堅さとインバウンド特需の両輪を最もバランスよく取り込んでいる銘柄と言えます。
吉野家ホールディングス(9861):既存店の高単価化と海外戦略の結実
牛丼チェーンの枠を超え、高単価な「焼肉」「唐揚げ」などの新メニュー投入が成功しています。訪日客にとって、日本のチェーン店は「高品質なのに安すぎる」という認識であり、多少の値上げは全く客足に影響していません。
1月決算では、高価格帯メニューの販売比率がどれだけ上昇したかが焦点となります。また、海外店舗の利益貢献度も高まっており、円安を利益に変える構造への転換が評価される局面です。
高島屋(8233) / 三越伊勢丹ホールディングス(3099):富裕層シフトの象徴
百貨店セクターは、中国の一般観光客が減った一方で、欧米豪の富裕層による高級時計やブランドバッグの購入が支えとなっています。2026年に入り、外商を通じた国内富裕層の消費も旺盛で、まさに「インバウンド×国内富裕層」のダブルエンジンが稼働しています。
1月決算での注目点は、免税売上の伸びもさることながら、一般商品の「定価販売比率」の維持です。値引きに頼らない収益構造が定着していれば、株価のさらなる上振れが期待できます。
情報の非対称性を克服する:SNSの熱狂と「決算書」の乖離を見抜く

投資家は、SNSで話題の「行列」に惑わされることなく、それが企業の持続的な成長に結びついているかを冷静に判断する必要があります。
行列の「中身」を分析し、リピート率を予測する
店が賑わっていても、それが「SNS映え」だけを目的とした一過性のブームであれば、投資先としては危険です。2026年の勝ち組企業は、一見の観光客を「ファン」に変え、自国のECサイト等で継続して商品を購入させる「デジタル・インバウンド」の仕組みを持っています。
決算説明資料等で、国内ECとインバウンドの相乗効果について言及がある企業は、将来の収益安定性が高く、長期保有に適した銘柄と判断できます。
為替の変動をヘッジする「外貨を稼ぐ力」の評価
ドル円相場が150円台後半で推移するなか、円安はインバウンドの強力な追い風ですが、同時に原材料費を押し上げるリスクも孕んでいます。真の優良株は、円安によるコストアップを上回るスピードで、「外貨ベースでの価格設定(ダイナミックプライシング)」を導入しています。
価格を柔軟に変更できるIT基盤を持ち、為替の乱高下を利益に変える、あるいは損失を最小限に抑える仕組みを持っているかどうかが、2026年の投資判断における決定的な差となります。
まとめ:高単価シフトに成功した企業こそが2026年の市場をリードする主役
今夜の米雇用統計がマクロ市場を揺らす一方で、国内の小売・外食セクターは「自力で稼ぐ力」を問われる決算発表へと突き進みます。中国情勢という不透明要因を抱えつつも、それを逆手に取って高単価シフトに成功した企業こそが、2026年の市場をリードする主役となります。
投資家の皆さんは、表面的な「インバウンド関連」という言葉に踊らされるのではなく、企業の損益計算書に刻まれた「利益率の改善」という動かぬ証拠を追求してください。
パニック的な為替の動きに惑わされず、「価値を高く売り、コストをスマートに抑える」という商売の本質を貫いている企業を見極めること。その地道な選別こそが、激動の2026年において、あなたの資産を守り、育てるための唯一の正解となるのです。
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