2026年1月末から2月中旬にかけてピークを迎えた国内企業の決算発表で市場の注目を集めたのが、AI・半導体関連の中小型株です。
生成AIの普及拡大やデータセンター投資の加速を背景に、半導体テストや光通信部品といった裏方企業にまで恩恵が波及し、業績の大幅な上方修正が続出しました。
本記事では、今回の決算シーズンで特に好調だった4銘柄をピックアップし、それぞれ好決算の背景と今後の投資判断のポイントを解説します。
2026年2月決算でAI・半導体関連株が急騰した背景

AI向けの設備投資サイクルがいよいよ本格化しています。
エヌビディアの次世代GPU「Blackwell Ultra」の量産に伴い、先端半導体の製造・検査・実装に関わるサプライチェーン全体に需要が広がっています。
さらに、AIサーバーを稼働させるデータセンターの新設ラッシュにより、高速光通信や高性能パッケージ基板への需要も急増しています。
こうした追い風を受け、今回の決算発表では半導体関連の中小型株を中心に、大幅な上方修正や増配を発表する企業が相次ぎました。
大型株のアドバンテストや東京エレクトロンだけでなく、ニッチな技術領域で高いシェアを持つ企業にまで投資資金が流入しています。
今回は、決算発表後に特に大きく株価が動いた以下の4銘柄について詳しく解説します。
| コード | 銘柄名 | 決算発表日 | 業績ハイライト |
|---|---|---|---|
| 6227 | AIメカテック | 2月13日 | 経常利益前年同期比115倍、通期約2倍に上方修正 |
| 6855 | 日本電子材料 | 2月6日 | 営業利益前年同期比77.5%増、4期ぶり最高益更新 |
| 6961 | エンプラス | 1月30日 | 経常利益18.2%上方修正、増益率1%→19.4% |
| 6777 | santec Holdings | 1月30日 | 通期売上300億円・営業利益93億円に大幅増額 |
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AIメカテック(6227)|経常利益が前年同期比115倍・通期予想を約2倍に上方修正

※TradingViewより引用
AIメカテックは、フラットパネルディスプレイ(FPD)や半導体パッケージの製造装置を手がける装置メーカーです。
インクジェット技術を応用した高精度な塗布装置に強みを持ち、近年はAI用先端半導体の大規模パッケージ基板の製造に欠かせない装置メーカーとして注目度が急上昇しています。
2月13日に発表した2026年6月期中間決算(7-12月)では、売上高が前年同期比106.1%増の146.15億円、営業利益は28.57億円と前年同期の0.86億円から飛躍的に拡大しました。
経常利益は前年同期比115倍の27.6億円に急拡大しており、AI用先端半導体向けのパッケージ基板製造装置の大口受注が寄与した形です。
さらに通期の経常利益予想を従来の22.7億円から44.9億円へ約98%上方修正し、過去最高益をさらに上乗せする見通しとなりました。
1株を3株にする株式分割も併せて発表しており、個人投資家の参入しやすさへの配慮も好感されました。
決算発表翌営業日の株価はストップ高となり、2月21日には一時24,000円をつけるなど急騰が続いています。
日本電子材料(6855)|プローブカード絶好調・4期ぶり過去最高益更新

日本電子材料は、半導体ウエハーの良品・不良品を判別する検査工程に使われる「プローブカード」の専業メーカーです。
特にDRAMやNANDフラッシュといったメモリー半導体向けで高い技術力を誇り、HBM(High Bandwidth Memory)の増産トレンドと直結する立ち位置にあります。
2月6日に発表した2026年3月期第3四半期累計(4-12月)決算では、売上高が前年同期比40.3%増の206.75億円、営業利益は同77.5%増の50.28億円と大幅な増収増益を達成しました。
メモリー向けプローブカードの拡販が大きく進んだことに加え、国内工場の高い稼働率が利益率の改善に貢献しています。
通期予想は売上高281億円(前期比17.9%増)、営業利益65億円(同41.8%増)に上方修正され、一気に4期ぶりの過去最高益更新が見える形となりました。
好業績に伴い年間配当も60円から80円に増額修正しており、決算発表翌日の株価はストップ高となりました。
エンプラス(6961)|テストソケット好調・通期経常利益を18%上方修正

【6961】エンプラス 日足チャート 2025年9月1日~2026年2月26日
エンプラスは、半導体テスト用のICソケットやバーンインソケットを主力とする精密部品メーカーです。
エンジニアリングプラスチックの精密加工技術に強みがあり、半導体以外にも自動車向けギヤ部品やLEDレンズなどの事業も展開しています。
半導体テストソケットはAI向けGPUやサーバー用チップの最終検査工程に不可欠な部品であり、AI半導体の高機能化・大型化に伴ってソケットの高付加価値化が進んでいます。
1月30日に発表した2026年3月期第3四半期累計(4-12月)決算では、売上高が前年同期比12.4%増の323.74億円、営業利益は同27.3%増の52億円と堅調に拡大しました。
特に10-12月期(第3四半期単体)は経常利益が前年同期比97.1%増と大きく伸び、売上営業利益率も前年同期の8.0%から18.7%に急改善しています。
通期の経常利益予想は55億円から65億円に18.2%上方修正され、増益率は1.0%から19.4%に拡大する見通しとなりました。
決算発表翌日の株価はストップ高となりました。
santec Holdings(6777)|光部品が急拡大・通期売上を300億円に大幅増額

santec Holdingsは、光通信用の光部品(光パワーモニター、光フィルター、光可変減衰器など)と光測定器を製造する光技術の専業メーカーです。
愛知県小牧市に本社を置き、海外売上高比率が約77%と高いグローバルニッチトップ企業です。
近年はデータセンター向け光ファイバーケーブルの検査装置の需要が急拡大しており、AI関連銘柄としても注目されています。
1月30日に発表した2026年3月期3四半期累計(4-12月)決算は、売上高が前年同期比22.7%増の212.48億円、営業利益は同26.1%増の68.36億円と大幅な増収増益を記録しました。
データセンター向けのコネクター付き光ファイバーケーブル検査装置が好調に推移し、光モニターなどの光部品も堅調に伸びています。
通期予想は売上高を260億円から300億円(前期比25%増)へ、営業利益を74億円から93億円(同25%増)へと大幅に増額修正しました。
年間配当も50円上乗せし200円に引き上げており、発表翌営業日には株価がストップ高となり、足元では20,000円を突破しています。
AI・半導体関連株の今後は?急騰後に買う際の投資判断のポイント

ここからは、過熱感を感じてここから買いに入って良いか悩んでいる方に、売買判断を行う上でのポイントを解説します。
ポイント①|PER水準を冷静に確認する
上記4銘柄はいずれも好決算を背景に株価が急騰していますが、急騰後の株価には「今後も同じ成長率が続く」という期待がすでに織り込まれている可能性があります。
特にAIメカテックのように予想PERが50倍を超える水準まで買われている銘柄では、少しでも成長鈍化のシグナルが出れば株価が大きく調整するリスクがあります。
決算直後に飛びつくのではなく、上方修正後の予想利益ベースでPERやPEGレシオ(PER÷利益成長率)を計算し、成長性に見合った株価水準かどうかを冷静に見極めることが重要です。
ポイント②|受注残と設備投資計画をチェック
AI半導体向けの設備投資は現在も拡大基調にありますが、過去には2018〜2019年のメモリーバブル崩壊のように、急激な需要拡大の後に急減速した事例もあります。
今回取り上げた銘柄に投資する場合は、単に直近の四半期業績だけでなく、受注残の推移や主要顧客(TSMC、SK hynix、エヌビディアなど)の設備投資計画の動向まで目を配る必要があります。
特に日本電子材料やAIメカテックのように受注が特定の大型案件に偏りやすい装置・部材メーカーでは、翌四半期以降の受注パイプラインの確認が不可欠です。
ポイント③|増資を嫌気した売り一巡後が狙い目か
2月26日には、日本電子材料(6855)が公募増資を発表しました。
今回の公募増資は174万株の新株を発行するもので、発行済み株式数に対する希薄化率は13.7%に達します。
理論上は株価が13.7%下落する計算となり、昨今のAI・半導体関連株の上昇局面での発表は意外感を持って受け止められました。
特に、同社が以前の大型設備投資の際に「資金は自己資金と借入で賄う」と明言していた経緯があるため、方針転換が投資家の嫌悪感を強めた可能性があります。
これを受けて、日本電子材料と同業の日本マイクロニクス(6871)や、同様に株価が上昇していたAIメカテック(6227)などが、つられて下落する場面が見られました。
一般的に増資による希薄化は短期的にはネガティブですが、今回は財務改善目的ではなく、AI関連の成長に向けた前向きな投資資金の調達という側面が強いため、長期的には投資家から評価される余地もあります。
また、増資リスクの限定的な銘柄については、連想売りが一巡した場面が買いチャンスとなり得るでしょう。
まとめ|AI・半導体関連銘柄に引き続き注目

2026年2月の決算シーズンは、AIメカテック、日本電子材料、エンプラス、santec Holdingsといった中小型のAI・半導体関連銘柄が一斉に好決算を発表し、市場の注目を集めました。
共通しているのは、AI半導体の大規模化・高速化の恩恵が、装置、検査部材、テストソケット、光通信部品といったサプライチェーンの幅広い領域に波及しているという点です。
ただし、急騰後の株価にはすでに高い成長期待が織り込まれている面もあります。
これから投資を検討する場合は、バリュエーション水準の確認、AI投資サイクルの持続性の見極めといった点を踏まえた冷静な判断が求められます。
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執筆者情報

Marina Bay Capital Advisors Pte Ltd (シンガポール) CEO / 記事監修
大学卒業後、ゴールドマン・サックス証券など大手証券会社の投資調査部にてシニアアナリストとして日本株を担当。日経アナリストランキング首位。日本経済新聞、テレビ東京等のメディアにも多数出演。その後、世界有数の株式ヘッジファンドにて日本株ロング・ショートファンドの運用に従事。日本株運用のマネージング・ディレクター、日本株運用責任者などを歴任。ロング・ショート運用を通じて、国内外の様々な業界や企業に精通。

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