ロボタクシー関連銘柄には、配車アプリのGO、自動運転ソフトのティアフォー、地図のダイナミックマッププラットフォームなどがあります。同じテーマでも、サービスの利用料を得る企業と、部品や開発支援を提供する企業では、収益の仕組みが異なります。
この記事では、海外の商用化と日本の導入計画を確認したうえで、国内上場10社の事業と業績を整理します。現在の利益と、将来のロボタクシーによる収益機会を分けて読むための解説です。情報は2026年9月7日時点の開示に基づきます。
ロボタクシーとは|条件を限定して無人運転するタクシー

ロボタクシーは、自動運転システムが運転を担うタクシーです。ただし、無人で走れる範囲には条件があります。まず自動運転のレベルと、車両を動かすために必要な技術・運営の役割を整理しましょう。
商用化の中心はレベル4|運行できる範囲には条件がある
商用化が進むロボタクシーの中心は、決められた条件の中でシステムが運転をすべて担うレベル4です。運行する地域、道路、速度、天候などの条件をODD(運行設計領域)と呼びます。
例えば、許可された市街地で無人運転できても、そのまま全国の道路を走れるわけではありません。条件に限定されないレベル5とは異なります。また、運転者が常時監視するレベル2の実証も、自動運転のニュースとして扱われます。「自動運転」という名称だけで判断せず、運転の責任を誰が担い、どこまで走れる計画なのかを確認してください。
自動運転AIから運行管理まで複数の企業が関わる
ロボタクシーは運転技術と日々の運営の組み合わせで成り立ちます。周囲を認識するカメラやLiDAR、判断を担うAI、計算を処理する車載半導体などが必要です。高精度地図を使う方式もあれば、依存を抑える方式もあります。
利用者から見えるのは配車アプリですが、その裏側には車両の整備、充電、清掃、遠隔での支援が欠かせません。収益も配車手数料、ソフトウェア利用料、部品販売、運行管理料などに分かれます。自動運転関連銘柄を調べる際は、企業がどの工程を担当し、誰から代金を受け取るのかを押さえましょう。
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ロボタクシーが注目される理由|海外の商用化と国内の導入計画が進む

ロボタクシーが投資テーマとして注目される背景には、海外でのサービス拡大と日本の導入計画があります。ただし、海外の乗車実績、日本の政策目標、個社の試験運行は、それぞれ進展の段階が異なります。
海外では無人の乗車サービスが広がっている
Waymoは2026年3月31日の公式発表で、完全自動運転の乗車が週50万回を超えたと説明しました。9月1日には、利用者への無人乗車の提供都市が14都市に達したと発表しています。新たな都市では段階的に利用者を受け入れるため、全域で誰でも使えるという意味ではありません。
百度のApollo Goも、5月18日の決算発表で1〜3月の完全無人乗車が320万回だったと公表しました。8月18日の発表ではドバイでの無人商用運行にも言及しています。実際の利用が積み上がる一方、地域ごとの採算は乗車回数だけでは分かりません。
日本でも政策支援と東京での試験運行計画が進む
政府は2026年1月16日に閣議決定した第3次交通政策基本計画で、2030年度に自動運転サービス車両1万台を目指しています。対象にはバスや幹線輸送トラックも含まれ、ロボタクシーだけの導入目標ではありません。
東京では、Waymo・GO・日本交通の連携に加え、Uber・Wayve・日産自動車による2026年後半の試験運行計画が発表されています。政策目標は市場の方向性を示しますが、その台数が特定企業の受注になるとは限りません。運行地域や役割分担は、各社の発表で個別に確認する必要があります。
配車サービスと開発企業の提携が広がる
Uberのような配車企業は、自動運転技術や車両をすべて自前で開発せず、外部企業と組んで利用者につなぎます。開発側は配車の仕組みや利用者との接点を活用でき、配車側は提供する移動サービスを増やせます。
アプリの利用者基盤と運行を支える企業の両方が必要です。Waymoの日本での取り組みでも、日本交通が車両管理や運転業務を担い、GOが国内展開を支援しています。自動運転ソフトだけでは、利用者を乗せ続けるサービスにはなりません。ただし、提携各社が料金をどう分けるかによって、普及後に残る利益は変わります。
ロボタクシー関連銘柄10社|担当する事業と収益の立ち位置が異なる

以下は国内上場10社を、ロボタクシーに関わる事業別に並べた一覧です。買い推奨や割安度の順位ではありません。営業損益は全社の数値で、ロボタクシー単独の利益ではありません。赤字はマイナスで表記しています。
配車・ソフトウェア・地図の5社を比較
黒字企業と開発赤字が続く企業が混在しています。金額は億円、1Q・3Qは各決算期の第1・第3四半期累計です。
| 銘柄(コード) | 担当領域・関与 | 営業損益 | 対象期間 |
|---|---|---|---|
| GO(581A) | 配車 | 70.41 | 26年5月期 |
| ティアフォー(593A) | 自動運転ソフト | -68.26 | 26年9月期3Q |
| フィックスターズ(3687) | 高速化支援 | 22.22 | 26年9月期3Q |
| ヴィッツ(4440) | 安全検証 | 5.86 | 26年8月期3Q |
| ダイナミックマッププラットフォーム(336A) | 高精度地図 | -9.99 | 27年3月期1Q |
導入支援・走行データ・車両部品の5社を比較
大型3社は採用状況や計画を比較します。欄の「—」は営業損益の比較対象外で、赤字を示す記号ではありません。金額は億円、Qは四半期累計です。
| 銘柄(コード) | 担当領域・関与 | 営業損益 | 対象期間 |
|---|---|---|---|
| アイサンテクノロジー(4667) | 導入支援 | 0.06774 | 27年3月期1Q |
| スマートドライブ(5137) | 車両データ管理 | 3.09 | 26年9月期3Q |
| 日産自動車(7201) | 車両・試験運行計画 | — | — |
| ルネサスエレクトロニクス(6723) | 車載半導体・協業 | — | — |
| ソニーグループ(6758) | 車載センサー・案件採用未確認 | — | — |
配車・ソフトウェアを担う企業は利用料と開発支援で収益を得る

配車アプリやソフトウェアは、運転を支える中心的な領域です。ただし、自動運転への関与が強いほど利益が大きいとは限りません。すでに利益を生む既存事業と、先行投資が続く事業を分けて各社を見ていきます。
GO|配車事業の利益と自動運転の将来性を分けて見る
GO(581A)の強みは、国内の配車アプリを通じた利用者との接点です。26年5月期決算説明資料p.9(2026年8月3日訂正版)によると、売上高414.46億円、営業利益70.41億円でした。前期比でそれぞれ31.8%、158.1%増えています。

ただし、現在の利益をロボタクシーの実績として扱えません。同資料p.11ではアプリ配車事業の売上高が195.66億円、タクシー関連サービス事業が182.15億円です。既存の有人タクシーを支える事業が収入の中心を占めます。将来の無人運行が、既存アプリの利用や手数料収入をどこまで増やすかを追う銘柄です。
ティアフォー|自動運転の開発投資で営業赤字が続く
ティアフォー(593A)は、オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」の開発を主導する企業です。2026年8月14日公表の決算説明資料p.31・36では、26年9月期第3四半期累計の売上高は51.78億円、営業損失は68.26億円でした。

研究開発費は59.89億円に達し、通期も112.39億円の営業損失を計画しています。補助金収入36.61億円は営業外収益であり、本業の黒字化を意味しません。自動運転との関係は直接的ですが、量産や継続利用による収入が開発費を賄うまで、資金調達と現金の減少を確認する必要があります。
[関連]ティアフォー(593A)の株価と将来性|黒字化の目安800台と予想PSR18倍
フィックスターズ|自動運転などの高速化支援で営業増益
フィックスターズ(3687)は、ソフトウェアの処理を速め、計算資源を効率よく使う技術を持ちます。自動運転アルゴリズムの高速化を支援する一方、生成AIやGPUを使う分野にも事業を広げています。
2026年8月7日公表の決算補足説明資料p.5によると、26年9月期第3四半期累計は売上高79.17億円で前年同期比11.9%増、営業利益22.22億円で6.5%増でした。営業利益は増加していますが、純利益は19.2%減です。全社業績を自動運転案件だけの成果と捉えず、開発支援の継続受注がどの分野で積み上がっているかを確認しましょう。

ヴィッツ|シミュレーションと機能安全で開発を支える
ヴィッツ(4440)は、組み込みソフトウェアやシミュレーション、機能安全を手掛けます。機能安全は、故障時にも危険を抑えるための設計や評価です。仮想空間で走行環境を再現する「WARXSS」などを展開しています。
2026年7月14日の決算短信1ページ目では、26年8月期第3四半期累計の売上高は42.97億円、営業利益は5.86億円でした。それぞれ前年同期比16.7%、25.8%増です。公道で試しにくい場面を検証する工程に関わる企業であり、ロボタクシーの運賃を得る立場ではありません。顧客の開発予算や案件の継続性が収益を左右します。
地図・導入支援・走行データの企業は用途ごとに需要を捉える

地図の提供、自治体への導入支援、法人車両の管理は、異なる需要に応える事業です。自動運転の普及による恩恵を一律には計算できません。各社が販売するデータやサービスの用途と、関連部門の採算を見ていきます。
ダイナミックマッププラットフォーム|ライセンス売上が増加
ダイナミックマッププラットフォーム(336A)は、高精度3次元地図などのデータを提供します。2026年8月7日公表の決算説明資料p.36・48によると、27年3月期第1四半期は売上高11.47億円で前年同期比21.3%減、営業損失9.99億円でした。

一方、ライセンス売上高は10.0%増の6.45億円です。全体の減収と、利用許諾による収入の増加は分けて捉える必要があります。地図に強く依存しない自動運転方式が広がれば、車載用途の需要構成は変わり得ます。ただし、同社のデータにはAIの学習・検証などの用途もあり、特定方式の普及だけで需要の消失を決めつけられません。
アイサンテクノロジー|導入支援の拡大と関連部門の採算が課題
アイサンテクノロジー(4667)は、3次元地図や自動運転の導入支援を手掛けます。2026年8月7日公表の決算補足説明資料p.8・9では、27年3月期第1四半期の売上高は12.38億円、営業利益は約677万円でした。全社では営業黒字ですが、モビリティDX事業は約1.57億円の営業赤字です。


9月2日には軽井沢町の自動運転バス実証への参画を発表しました。ただし、実証は運転者が監視するレベル2で、無料の運行です。無人タクシーの営業開始とは異なります。導入支援の件数に加え、継続運行や保守の契約が関連部門の損益改善につながるかを確認したい企業です。
スマートドライブ|法人車両のデータ管理を手掛ける
スマートドライブ(5137)は、法人車両の位置や走行データを収集し、運行状況や安全運転を分析するサービスを提供しています。2026年8月13日公表の決算説明資料p.10では、26年9月期第3四半期累計の売上高は28.82億円、営業利益は3.09億円でした。

同日の決算短信1ページ目では、前年同期比で売上高36.5%、営業利益19.4%増です。ただし、法人車両管理の成長とロボタクシーの採用実績は別です。本記事で確認した資料では、特定のロボタクシー案件への採用は確認できていません。運行データの周辺企業として、顧客数や継続利用の拡大を追う位置づけです。
車両・半導体・センサーの大型株は個別案件の採用状況を見る

大型株は技術や供給体制を持つ一方、幅広い事業を展開しています。提携の発表だけで全社利益への寄与は測れません。日産、ルネサス、ソニーについては、確認できた案件や製品と、まだ確定していない範囲を整理します。
日産自動車|リーフとWayveの技術で東京の試験運行を計画
日産自動車(7201)は、リーフをベースにWayveの自動運転技術を組み合わせ、Uberの配車サービスにつなぐ計画です。2026年3月12日の共同発表では、同年後半に東京で試験運行を始め、初期は訓練を受けた安全要員が同乗するとしています。
8月13日には日の丸交通の参加も発表され、車両基地の管理、整備、清掃、充電などを担うと説明されました。最初から運転席が無人になる計画ではありません。日産にとっては車両供給や技術の事業化につながる機会ですが、今回の計画だけから販売台数や利益額までは見積もれません。
ルネサスエレクトロニクス|ティアフォーと車載半導体で協業
ルネサスエレクトロニクス(6723)は、車載半導体を通じて自動運転に関わります。ティアフォーの2026年8月20日の開示では、R-Car Gen5とAutoware、認識から運転操作までを一体で学習するAIなどを組み合わせた協業を発表しています。
ただし、同開示は覚書(MoU)やその他の契約締結を伴わないと明記し、ティアフォーの当期業績への影響も軽微としています。共同開発の方向性が示された段階で、量産受注や販売額の確定ではありません。半導体の採用が車種や運行車両へ広がるかを、その後の開示で追う必要があります。発表の大きさと売上への近さを分けて読む例です。
ソニーグループ|車載センサーの技術と採用状況を確認する
ソニーグループ(6758)は、車載カメラ用のイメージセンサーを展開しています。傘下のソニーセミコンダクタソリューションズは、2025年10月28日に高速通信規格A-PHYに対応する回路を内蔵した車載センサー「IMX828」を発表しました。
外付け部品を減らす設計は、カメラの小型化や省電力化につながります。ただし、車載製品があるだけでロボタクシーへの採用確定とは言えません。この記事で扱う特定の運行計画への採用は未確認です。搭載される車種、1台当たりの採用数、センサー事業全体に占める規模が分かってから収益への影響を考えます。
ロボタクシー関連銘柄への投資では採算と資金繰りまで確認する

成長が見込まれる市場でも、株主に利益が残るまでには開発や運行の費用がかかります。サービスの普及と投資収益は同じではありません。最後に、企業発表や決算を読む際に確認したい5つの点を整理します。
実証実験・正式受注・売上計上を区別する
協業の発表、実証実験、運行許可、正式受注、売上計上は、それぞれ別の段階です。例えば、技術検証を始める合意があっても、有償契約の金額や納入時期まで決まっているとは限りません。
開示では契約の有無、相手先、対価、業績への影響を確認してください。実証そのものが有償の案件もあり、売上が立っただけで一般利用者向けの営業運行が始まったとは言えません。反対に、運行許可を得ても車両の稼働が始まらなければ運賃収入は増えません。何が実現し、何が今後の計画として残っているかを一段階ずつ読み分けましょう。
運行台数だけでなく稼働率とコストを確認する
運転手がいなくなれば、人件費の一部は減らせます。しかし、高価な車両やセンサー、通信、保険、遠隔での支援、整備の費用は残ります。配備台数が増えても、乗客を乗せない移動や待機が長ければ利益は出にくくなります。
確認したいのは、1台当たりの有償乗車回数と、走行距離当たりの収入・費用です。充電や点検で運行できない時間、回送の距離も採算に影響します。これらが未開示なら、台数や乗車回数だけから黒字化を断定するのは避けましょう。運行会社の採算が悪化すれば、部品やシステムの導入計画にも影響が及び得ます。
高精度地図やセンサーの需要は採用方式によって変わる
自動運転の設計は一つではありません。高精度地図やLiDARを積極的に使う方式と、カメラ映像やAIによる判断を重視する方式では、必要な部品やデータの組み合わせが変わります。LiDARはレーザーで物体までの距離を測るセンサーです。
ただし、AI中心の方式でも地図やセンサーを一切使わないとは限りません。Wayveの高精度地図への依存を抑える設計を、あらゆる地図が不要になる話へ広げるのは不正確です。地図やセンサーに投資する際は、市場全体の台数に加え、採用される方式、1台当たりの搭載量、販売単価を確かめてください。
運行許可・事故対応・保険の条件を確認する
日本では2023年4月1日から特定自動運行の許可制度が施行され、条件を満たした運転者のいない運行が制度上可能になっています。警察庁の「令和6年警察白書」も、この許可制度を説明しています。
したがって、事故対応や保険の制度が何もないという説明は誤りです。一方、第3次交通政策基本計画は事故時の補償や遠隔で複数台を管理する仕組みの明確化を課題に挙げています。投資家は個別サービスの許可範囲、運行を止める条件、事故時の対応体制を確認する必要があります。制度の存在と、事業者が運行条件を満たせるかは別の問題です。
赤字・資金調達・株価に織り込まれた期待を確認する
開発段階の企業では、売上高が伸びても研究開発費が先行し、現金が減り続ける場合があります。営業損益に加え、営業キャッシュフロー、手元資金、今後の投資額を確認してください。IPOなどの資金調達があれば、決算時点の残高に含まれているかも重要です。
追加の株式発行は開発を支えますが、既存株主の持ち分の希薄化につながります。また、有望な企業でも現在の株価が割安とは限りません。赤字でPERが使いにくい場合も、将来の利益予想を強気に置くだけでは評価できません。商用化が遅れた場合の追加資金と、想定を下回る収益を織り込んで考えましょう。
まとめ|ロボタクシーの普及と各社の利益を分けて考える
ロボタクシー関連銘柄は、配車、ソフトウェア、地図、運行支援、車両・部品に分かれます。まず企業がどの役割を担うかを押さえましょう。
GOやフィックスターズなどには現在の利益がありますが、すべてがロボタクシーから生まれた利益ではありません。開発投資が続く企業では、収益化までの資金も必要です。
投資判断では、提携が受注へ進み、売上から利益と現金が残るかまで確認してください。市場の拡大だけでなく、その企業が収益を得る条件を追う姿勢が大切です。

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執筆者情報
金融ライター
2016年大手証券会社に入社、2018年に最大手オンライン証券会社に入社し、機関投資家部門(ホールセール)を立ち上げ、翌年2019年には同社シンガポール拠点設立。2022年より日系証券会社の運用部にてポートフォリオマネジャーの経験を得て以降、一貫して運用業務に従事。

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