選挙関連銘柄の注目テーマと投資戦略を徹底解説

選挙関連銘柄の注目テーマと投資戦略を徹底解説

選挙は国の進路を決めるだけでなく、株式市場にとっても大きなイベントです。政権交代や政策発表をきっかけに特定の銘柄群が急騰する現象は繰り返し見られており、投資家にとっては絶好のチャンスとなります。

しかし同時に、期待先行で値動きが荒くなることもあり、冷静な判断が欠かせません。本稿では、選挙関連銘柄の特徴や注目セクター、過去の急騰事例、そして投資戦略のポイントを初心者向けに整理します。

目次

選挙関連銘柄は政策テーマと連動して動く

選挙関連銘柄は、投票日そのものより「政策の具体化」に大きく反応します。政権交代や与党勝利による政策推進が見込まれると、資金が特定業種に集中する傾向があります。

公共事業株は代表的なテーマ

大規模インフラ投資や災害対策は選挙公約の常連テーマであり、建設、セメント、ゼネコン関連が短期資金の受け皿になります。

国土強靭化や地方創生といった政策が打ち出されれば、道路・橋梁・都市再開発など幅広い案件に期待が膨らみますが、これにより、工事受注や資材需要が想定され、株価は思惑先行で買いが優勢になるのが定石です。

過去には大手ゼネコンなどが急伸

2012年の政権交代では、公共投資拡大の期待を背景に大成建設、清水建設、鹿島といった大手ゼネコンが揃って急伸しました。

特に選挙後は補正予算が素早く編成され、実需に結びつくとの見方から株価は数週間で二桁上昇率を記録。さらにセメント大手の太平洋セメントなど素材関連まで物色が波及し、選挙が政策銘柄を押し上げた典型例となりました。

選挙関連銘柄は広告・メディアの需要増で動く

選挙時期は政党や候補者の広告需要が膨らみ、広告代理店やメディア株に資金が向かいます。特にテレビ・新聞・ネット媒体を押さえる企業が注目されやすいです。

広告代理店は選挙特需を享受

選挙ではテレビCM、ポスター、街頭イベントなど広告費が急増します。電通や博報堂DYなど大手代理店は短期的に受注が膨らみ、売上に上乗せ効果が期待されます。

広告出稿増加により増収

国政選挙のある四半期は広告費が数%単位で押し上げられる傾向があり、決算数値にも反映されます。過去には選挙特需を背景に一時的に株価が上昇した例も確認されています。

テレビ局や新聞社も広告出稿増加により収益を伸ばすケースがあり、選挙はメディア全体にプラス要因となります。

選挙関連銘柄は通信システム整備に連動する

開票速報や集計システムの需要増加は、通信インフラやITサービス株に恩恵をもたらします。

開票速報システムの特需

選挙速報は放送局にとって目玉コンテンツであり、その裏側を支える通信・IT企業が注目されます。NECや富士通は投票集計システムの構築に実績があり、選挙のたびに需要が発生します。

NTTグループなどが反応

衆院選の開票速報では高速・正確なシステム構築が不可欠で、関連受注が明らかになると株価が反応するケースがありました。通信回線を担うNTTグループやKDDIなども、選挙時は安定した需要増が確認されています。

選挙関連銘柄は政権交代期にインフラ需要が高まる

政権交代後の新政策はインフラや防災関連銘柄に波及します。

建設・防災分野が恩恵を受けやすい

新政権は景気刺激策として公共投資を増やすことが多く、建設、防災、設備メーカーが物色対象になります。災害リスクへの備えとして防災インフラ関連が注目されるのも特徴です。

大和ハウス工業などに資金が集まる

選挙後の補正予算では防災システムや公共設備への投資が増額され、大和ハウス工業や竹中工務店関連の銘柄に資金が集まった事例があります。選挙後は短期的な急騰だけでなく、中長期の需要期待も相場を支えることが多いです。

選挙関連銘柄の過去急騰事例とその理由

選挙結果を契機に株価が急騰したケースは繰り返し観測されています。特に政策との結びつきが強い分野は、短期的に二桁上昇を記録することも珍しくありません。

建設株の急騰例

選挙関連銘柄
【1801】大成建設 2011年3月から2020年8月までの月足チャート TradingViewより引用

2012年12月の衆院選で自民党が大勝すると、公共投資拡大への期待から大成建設(1801)、清水建設(1803)、鹿島(1812)といった大手ゼネコン株が連日高騰しました。結果として数週間で株価は二桁上昇を記録し、国土強靭化政策のシンボル銘柄となりました。

広告・メディア株の特需

選挙関連銘柄
【4324】電通グループ 2011年3月から2020年8月までの月足チャート TradingViewより引用

選挙広告の需要は短期的に広告代理店を押し上げます。電通グループ(4324)、博報堂DY(2433)は選挙時期の決算に特需が反映され、売上高が前年同期比で増加した例があります。テレビ局株も広告出稿増を受けて堅調に推移するケースが見られます。

通信システム株の動き

選挙関連銘柄
【6701】NEC 2011年3月から2020年8月までの月足チャート TradingViewより引用

選挙速報や開票集計を担うシステム需要は、NEC(6701)、富士通(6702)といったIT大手にプラス材料として働きます。選挙報道に必要な高速処理や安定した通信基盤の構築が評価され、物色対象になることが繰り返されてきました。

セメント・素材株の上昇

選挙関連銘柄
【5233】太平洋セメント 2011年3月から2020年8月までの月足チャート TradingViewより引用

インフラ投資が掲げられると、建設株と連動して素材株も買われます。2012年の政権交代期には太平洋セメント(5233)が公共投資需要を背景に急伸しました。セメントや鉄鋼は直接的な受注増につながりやすく、短期の思惑買いに加え中期的な需要見通しが評価されやすい分野です。

防災関連銘柄の注目

選挙関連銘柄
【6728】アルバック 2011年3月から2020年8月までの月足チャート TradingViewより引用

地震・台風対策が選挙公約に盛り込まれると、防災システムや建材メーカーが急騰するケースがあります。2014年には災害対策費の増額が報じられ、初動でアルバックや日立建機といった関連株が物色された例があります。

地方創生関連の動き

選挙関連銘柄
【8334】群馬銀行 2011年3月から2020年8月までの月足チャート TradingViewより引用

地方創生が政策テーマとなった際には、地方銀行や地場ゼネコンにも思惑買いが波及しました。選挙後に地域活性化予算が増額されるとの観測から、群馬銀行や北陸銀行などが一時的に買われた経緯があります。

選挙関連銘柄の中でも注目されるイムラとムサシ

選挙関連銘柄のなかで特に物色されやすいのが、投票用紙や開票機といった選挙インフラを支える企業です。なかでもイムラ(3955)とムサシ(7521)は、選挙シーズンになると優先的に買われる傾向が強く、投資家の注目度が高い銘柄です。

イムラ(3955):投票用紙の代表格

選挙関連銘柄

イムラは投票用紙の製造で知られ、全国の自治体選挙に供給実績を持ちます。投票が行われる年は需要が一気に膨らむため、選挙特需の恩恵を直接受けやすい構造です。

特に国政選挙の実施が決まると、短期資金が「選挙用紙=イムラ」という連想で流入するパターンが目立ちます。

ムサシ(7521):開票機シェアのトップ企業

選挙関連銘柄
2022年11月から2025年9月までの月足チャート TradingViewより引用

ムサシは開票機・選挙管理システムで圧倒的なシェアを持ち、ほとんどの自治体で採用されている業界トップ企業です。

選挙の度に機器需要や保守サービスが増えるため、投資家にとって「選挙=ムサシ株高」の構図が定着しています。過去の衆院選や参院選でも、選挙前に株価が先回りで上昇するケースが繰り返し観測されました。

過去の根拠例

2017年衆院選の際、選挙関連需要を背景にイムラとムサシが急伸し、短期間で出来高が数倍に膨らみました。特にムサシは開票速報の効率化需要からテーマ性が強く意識され、株価が一時的に急騰しました。両社は選挙特需と最も直結する存在として、投資家に広く知られています。

選挙は買いという格言を裏付ける国内外の事例

「選挙は買い」という言葉は、日本だけでなく海外でも投資家に語り継がれてきました。選挙は政権交代や政策転換を伴うため、市場が動き出す“きっかけ”になりやすいのです。

国内の具体例

・2005年 郵政解散・総選挙
自民党の圧勝で「改革期待」が一気に広がり、TOPIXは翌営業日に約3%上昇。郵政関連株や銀行株が軒並み高となりました。郵政民営化という国策テーマが明確だったため、投資家心理が強く刺激されました。

・2012年12月 衆院選
自民党大勝を受け、日経平均は翌日から急伸し、わずか1週間で約1,000円高。アベノミクスの柱である公共投資と円安政策が意識され、ゼネコンや輸出関連に資金が集中しました。以降の日本株上昇相場の起点となった選挙です。

・2019年7月 参院選
与党が過半数を維持したことで政策継続への安心感が広がり、建設・防災関連銘柄が物色されました。特に「国土強靭化」がテーマとして再注目され、ゼネコンや建材関連が短期的に堅調に推移しました。

・2021年10月 衆院選
自民党が単独過半数を維持し、政権基盤の安定が意識されました。翌営業日の日経平均は一時+700円高まで急騰。金融緩和の継続や景気対策への期待が背景にあり、輸出株や内需株が幅広く買われました。選挙が相場に安心感を与えた代表例です。

海外の具体例(米国)

・2008年 米大統領選(オバマ政権誕生)
金融危機下で行われた選挙では、大規模な景気刺激策への期待からS&P500は選挙後1か月で約10%上昇。インフラ関連や再生可能エネルギー株が強く物色され、政策が市場に直接影響することを示しました。

・2016年 米大統領選(トランプ政権誕生)
意外な結果に市場は一時混乱しましたが、減税やインフラ投資への期待が勝り、NYダウは選挙翌日から約2か月で10%超上昇。特に銀行や建設関連が大幅高となり、政策連動型の典型例となりました。

・2020年 米大統領選(バイデン政権誕生)
環境政策やEV普及が選挙公約に盛り込まれ、テスラや再生可能エネルギー株が急伸。NASDAQは選挙後から年末にかけて20%以上上昇し、テーマ株の強さが改めて裏付けられました。選挙は新しい産業テーマを市場に広げる起爆剤ともなります。

・米中間選挙の傾向
戦後70年の統計で、中間選挙後の米株市場は約8割のケースで上昇。政権運営が安定し、政策の不透明感が薄れるため投資家がリスクを取りやすくなるのが理由です。中間選挙は米株投資においても「買い場」と認識されやすいイベントです。

市場心理と格言の意味

「選挙は買い」とは、選挙当日に株を買えば必ず儲かるという意味ではありません。選挙をきっかけに投資家が将来の政策や景気対策を先読みして動くという心理を表しています。

短期的には思惑買いによる急騰があり、長期的には政策実行が業績に結びつく。この二段構えの動きが相場で繰り返されるため、格言として定着してきました。

投資初心者にとっては「なぜ選挙で株価が動くのか」を理解するうえで、非常に分かりやすい指標と言えるでしょう。

その他の選挙関連注目銘柄

銘柄名 市場企業概要
【6914】オプテックスグループ東証プライム自動ドア・人感センサーの分野で世界シェアを持つ老舗メーカー。選挙会場や公的施設における入退場管理や人数カウントシステムを提供しており、投票所の管理・監視インフラに関わる銘柄として注目される。
【4754】トスネット東証スタンダードイベント・施設警備を全国で展開し、選挙期間中は投票所・開票所・候補者演説会場の警備や車両誘導に多数実績あり。地域密着型の事業展開で、選挙実施の“現場インフラ”を担うニッチ銘柄として注目される。
【3103】ユニチカ東証プライム高機能繊維や合成樹脂を手がける素材メーカーで、屋外掲示板用の耐水紙・合成紙(ユポ紙)の供給実績を持つ。選挙期間中はポスター貼付や掲示板需要が高まり、隠れた“素材系選挙銘柄”として短期的に注目されやすい。
【9385】ショーエイコーポレーション東証スタンダードラミネート製品や販促資材を展開。特に屋外掲示板やポスター貼付関連の加工技術で選挙需要との接点を持つ。目立たないが選挙インフラの裏方として存在感があり、動意づくと仕手化することもあるニッチ銘柄。
【4395】アクリート東証グロースセキュアなSMS送信サービスを手がけ、有権者への投票確認・候補者案内などに使われるSMS通知事業を展開。選挙公報のデジタル化が進む中、政治活動×モバイル通知という新しい選挙DXの担い手として注目。

選挙関連銘柄の将来展望はデジタル化と新政策

今後の選挙関連銘柄は、デジタル選挙や新しい政策テーマによって広がりを見せます。

デジタル広告の拡大

ネット選挙が解禁されて以降、SNS広告や動画配信を手掛ける企業が注目度を増しています。YouTube広告やX(旧Twitter)広告の需要は年々増加傾向です。

政策テーマの転換

環境・エネルギー・DXなどの新政策が選挙公約に盛り込まれることで、関連企業に新しい資金流入が起こる可能性があります。例えば再生可能エネルギーやEV関連企業も将来的に「選挙関連銘柄」として物色対象になるでしょう。

選挙関連銘柄を熱く動かすこれからの政治課題

日本の選挙は今後ますます「人口減少」「高齢化」「財政健全化」「エネルギー政策」といった重たい課題と直結していきます。

つまり選挙関連銘柄も、単なる短期物色ではなく、中長期テーマとして存在感を増していく可能性が高いのです。

高齢化社会と防災需要

高齢化や地方衰退に対応する政策では、医療・介護インフラや防災設備が重点的に拡充される見込みです。関連銘柄は「選挙シーズン=一時的な特需」から「社会課題解決の長期投資テーマ」へ格上げされる可能性があります。

エネルギー・環境政策の加速

エネルギー自給率の低さや脱炭素目標の達成は、どの政権でも避けられない課題です。次回選挙では再エネ、蓄電池、水素関連が公約の柱となり、関連銘柄は“新しい選挙特需”を背負うでしょう。

未来への投資家視点

選挙は過去から「買い」の格言で語られてきましたが、これからは「未来の国策を先取りする買い」へと進化します。

人口減少を背景にした地方インフラ投資、エネルギー転換、デジタル行政の整備など、次の選挙では日本の行く末を決めるテーマが株価を大きく動かすはずです。

投資家にとっては、今こそ選挙関連銘柄を単なる短期材料から中長期の勝ち筋へと捉え直す好機です。

選挙関連銘柄の選定チェックリスト

初心者でも無理なく銘柄を絞り込めるよう、次の観点が有効です。

選ぶ前に見るべき3つの視点

選挙関連銘柄を選ぶ際は、以下のポイントを順番に確認していくと、失敗しにくくなります。

①政策テーマと企業の事業内容が合っているか?

たとえば「国土強靭化」が選挙で注目されているなら、道路・橋梁・防災に関わる会社を探すべきです。選挙で話題になっている政策と、企業が実際に行っている事業が一致しているかを必ずチェックしましょう。

②“一時的な注目”ではなく、業績に本当に影響しそうか?

選挙のときだけ注目されている銘柄もありますが、一過性の話題ではなく、その企業の業績に実際にプラスになるかを見極めることが大切です。過去の決算なども参考に、選挙後にしっかり利益が出ているかをチェックしましょう。

③その企業は競争力や実績があるか?

選挙関連で注目される企業が複数ある場合、受注実績やシェア、技術力などで一歩抜けているかどうかが判断材料になります。たとえば、開票機で有名なムサシや、投票用紙の実績があるイムラなどは、毎回注目されるだけの理由があります。

銘柄の“狙い方”をタイプ別に考える

選挙関連銘柄はすべて同じように動くわけではありません。どのタイミングで、どんな値動きが期待できるかを考えると、戦略が立てやすくなります。

広告代理店(電通・博報堂など)
 →選挙前後の短期で売上が急増するため、短期狙いに向いています。

建設株(大成建設・鹿島など)
 →公共投資の政策が出たあとに受注が増えるため、中長期狙いに向いています。

選挙インフラ株(イムラ・ムサシなど)
 →国政選挙が近づくと先回り買いが入りやすく、中短期どちらも狙いやすい銘柄です。

迷ったらETFや分散投資でカバーするのも手

「どれを選べばいいかわからない」「ひとつの銘柄に絞るのが不安」という人は、ETF(テーマに連動した複数銘柄のパッケージ)を使って分散投資するのもおすすめです。リスクを抑えながら、選挙相場のチャンスを活かすことができます。

まとめ

選挙関連銘柄は、政権交代や政策発表を契機に資金が流入するテーマ株です。代表的な対象は公共事業、広告、通信、メディアであり、過去には短期的な急騰も確認されています。

一方で期待先行で値動きが荒いリスクもあるため、政策実行や業績寄与度を冷静に見極める姿勢が重要です。初心者でも基本ルールを守れば、選挙シーズン特有の相場を投資のチャンスとして活かせます。

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執筆者情報

nari

大畠 典仁

本部長

準大手の証券会社にて資産運用のアドバイザーを務めた後、日本株主力の投資顧問会社の支店長となる。現在は日本投資機構株式会社の筆頭アナリストとして多くのお客様に株式投資の助言を行いつつ、YouTubeチャンネルにも積極的に出演しており、資産運用の重要さを発信している。

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