台風シーズンが近づくと、防災や復旧需要への期待から台風関連銘柄が注目を集めます。2026年6月3日には台風6号「チャンミー」が沖縄本島を直撃したあと和歌山県南部へ上陸しました。これは観測史上4番目に早い上陸で、6月に日本へ上陸した台風は14年ぶりです。東京都心では6月として観測史上最多の雨量を記録するなど、各地に災害級の大雨をもたらしました。
こうした大型台風は住宅や道路、送電設備などに被害を与える一方で、復旧工事や防災設備の更新需要を生み出します。そのため株式市場では、水害対策や排水インフラ、防災設備関連企業へ資金が向かうケースも少なくありません。
台風関連銘柄は短期的な思惑だけでなく、中長期の防災需要という側面も持つテーマです。本記事では、台風関連銘柄が注目される理由や恩恵を受けやすい企業について、私のアナリストとしての見解を基に詳しく解説します。
台風関連銘柄は災害対策需要の拡大で注目される

台風関連銘柄は、台風そのものによって注目されるわけではありません。実際には、台風によって発生する防災需要や復旧需要、インフラ更新需要への期待から資金が流入するテーマです。近年は豪雨や大型台風による被害が全国各地で発生しており、防災対策の重要性は年々高まっています。そのため、台風シーズンが近づくと関連企業へ注目が集まりやすくなります。
台風被害の拡大がインフラ更新需要を押し上げている
大型台風が発生すると、住宅や道路、河川設備、送電網など幅広い分野で被害が発生します。その結果、防災設備の導入や老朽化したインフラの更新が進み、防災関連企業への需要拡大につながります。台風関連銘柄は災害発生後だけでなく、被害を未然に防ぐための投資拡大によっても注目される点が特徴です。
台風関連銘柄は復旧工事や設備更新の恩恵を受けやすい
台風通過後には道路や橋梁、送電設備などの復旧工事が行われます。また、同じ被害を繰り返さないために設備の強化や更新が進むケースも少なくありません。そのため建設会社や防災設備メーカー、電力インフラ関連企業などは、中長期的な需要増加の恩恵を受ける可能性があります。
台風関連銘柄は水害対策と防災インフラが中心

台風関連銘柄と一口に言っても、恩恵を受ける企業はさまざまです。株式市場では単に「災害関連」として扱われるのではなく、防災、水害対策、電力・通信インフラといった分野ごとに物色される傾向があります。どの需要が拡大するのかを理解しておくことで、関連銘柄の整理もしやすくなります。
水害対策や排水インフラ関連は台風テーマの中核を担う
大型台風では河川氾濫や浸水被害が発生しやすく、堤防整備や排水設備の強化が課題となります。そのため、不動テトラのような護岸・港湾工事を手掛ける企業や、日本ヒューム、NJSのような上下水道・排水インフラに関わる企業は台風関連銘柄として注目されることがあります。近年は豪雨被害も増えており、水害対策は継続的なテーマとなっています。
停電対策や防災設備関連にも資金が向かいやすい
台風による停電や通信障害は社会活動へ大きな影響を与えます。そのため、電力ケーブルを手掛ける古河電気工業やSWCC、防災設備大手のホーチキ、防災表示システムを展開する星和電機なども関連銘柄として注目されます。災害発生後の復旧需要だけでなく、被害を未然に防ぐ設備投資需要とも関連性を持つ点が特徴です。
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台風関連銘柄は大型台風発生時に資金が集中しやすい

台風関連銘柄は、防災や復旧という中長期テーマで注目される一方、大型台風の接近や上陸が報じられた際には短期的な資金流入が発生することもあります。株式市場では将来の需要を先回りして織り込む傾向があるため、被害発生前から関連企業の株価が動き始めるケースも少なくありません。
過去の大型台風では建設・防災関連株が物色された
過去には2018年の台風21号や2019年の令和元年東日本台風(台風19号)など、大規模な被害をもたらした台風が発生しました。その際には、建設会社や防災設備メーカー、電力設備関連企業などへ注目が集まり、関連銘柄が物色される場面が見られました。
もちろん、すべての台風で株価が上昇するわけではありません。しかし、市場が復旧需要や設備更新需要を意識すると、関連銘柄へ資金が向かう傾向があります。
株価は被害そのものより需要拡大への期待で動く
投資初心者が誤解しやすいポイントですが、株価は台風被害の大きさだけで動くわけではありません。市場参加者が「今後どの分野に需要が発生するのか」を予想し、その期待を先回りして売買しています。
そのため台風関連銘柄を分析する際は、被害状況だけでなく、防災投資や復旧工事、インフラ更新など、どの分野へ予算や需要が向かうのかを確認することが重要になります。
台風関連銘柄の本命株3選

台風関連銘柄を探す際は、「どの需要の恩恵を受ける企業なのか」を意識することが重要です。ここでは台風による水害対策や排水インフラ整備と関わりの深い企業を中心に紹介します。
【1813】不動テトラ
不動テトラは護岸工事や港湾工事、河川整備などを手掛ける建設会社です。大型台風による高潮や河川氾濫への対策需要が高まる中、防災・減災関連銘柄として注目されることがあります。
特に消波ブロック「テトラポッド」で知られており、海岸保全や堤防強化といった分野との関連性が高い企業です。26年3月期の連結業績は売上高817億円(前期比+17.5%)、営業利益59.19億円(同+86.3%)と大幅な増収増益でした。
【5262】日本ヒューム
日本ヒュームは下水道管や雨水排水設備向けコンクリート製品を手掛けています。近年は都市部で浸水被害が増えており、雨水排水能力の強化や下水道更新需要への期待が高まっています。
台風や豪雨による内水氾濫対策の観点からも注目されやすい銘柄です。26年3月期は下水道関連事業が伸び、売上高402.39億円(前期比+8.6%)、営業利益25.23億円(同+24.8%)と過去最高を更新しました。
【2325】NJS
NJSは上下水道分野に特化した建設コンサルタントです。自治体向けに老朽化した上下水道設備の更新計画や耐災害化支援を行っており、水害対策や排水能力向上に関わる案件も手掛けています。
台風被害が増えるほど、水インフラ整備需要の拡大が期待されます。25年12月期の連結業績は売上高248.54億円(前期比+10.0%)、営業利益32.68億円(同+9.2%)と増収増益でした。
その他の台風関連注目銘柄
| 銘柄名 | 市場 | 企業概要 |
| 【6748】星和電機 | 東証スタンダード | 防災表示板や道路情報システムを展開。台風時の避難誘導や交通規制関連需要が期待されます。 |
| 【5801】古河電気工業 | 東証プライム | 電力・通信ケーブル大手。台風による停電や通信障害発生後の復旧需要に関連。 |
| 【5805】SWCC | 東証プライム | 送配電用電線を主力とし、電力インフラ強化や老朽設備更新の恩恵が期待されます。 |
| 【6745】ホーチキ | 東証プライム | 防災設備大手。自治体や企業の防災投資拡大に伴う需要増加が期待されます。 |
| 【7734】理研計器 | 東証プライム | インフラ復旧現場で使用されるガス検知器を展開し、災害対応需要との関連性を持ちます。 |
台風関連銘柄は短期急騰だけで判断しない

台風関連銘柄は、大型台風の接近や上陸が報じられると短期間で大きく動くことがあります。しかし、話題性だけで買われた銘柄は、その後に利益確定売りが出やすい点にも注意が必要です。台風関連銘柄へ投資する際は、短期的な思惑だけでなく、実際に業績へどのような影響があるのかを確認したいところです。
テーマ性だけで株価が先行するケースもある
株式市場は将来の需要を先回りして織り込むため、台風発生直後に関連銘柄へ資金が集中することがあります。しかし、実際の受注増加や業績改善が確認できなければ、一時的な上昇で終わるケースも少なくありません。そのため、株価上昇だけを見るのではなく、企業がどの事業で台風対策需要を取り込めるのかを確認することが重要です。
受注残高や業績動向もあわせて確認したい
例えば不動テトラであれば護岸工事や河川整備、日本ヒュームやNJSであれば排水設備や上下水道関連の需要が業績へ反映されるかが重要になります。また、古河電気工業やSWCCなどの電力インフラ関連企業についても、設備更新需要の継続性を確認したいところです。
台風関連銘柄はテーマ性だけで判断するのではなく、受注残高や業績推移もあわせて分析することで、より冷静な投資判断につながります。
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台風関連銘柄投資で確認したいリスク

台風関連銘柄は、防災や復旧需要を背景に注目されやすいテーマです。しかし、台風が発生するたびに必ず株価が上昇するわけではありません。関連銘柄へ投資する際は、テーマ性だけで判断するのではなく、企業業績や市場環境もあわせて確認することが重要です。
台風発生だけでは業績へ直結しない場合もある
台風関連銘柄は思惑で買われることがありますが、実際に業績へプラスの影響が出るまでには時間がかかるケースがあります。防災投資や復旧工事は予算化や発注まで一定の期間を要するため、株価上昇と業績改善のタイミングが一致するとは限りません。
そのため、短期的なニュースだけで飛びつくのではなく、企業の受注状況や業績見通しも確認しておきたいところです。
台風の発生状況によって注目度が変化する
台風関連銘柄は、毎年一定の注目を集めるテーマではあるものの、実際の台風発生数や被害規模によって市場の関心度は変化します。台風シーズン前に期待買いが入ったとしても、大きな被害が発生しなければ関連銘柄への資金流入が限定的となるケースもあります。
また、企業業績は台風だけで決まるわけではありません。防災投資やインフラ更新需要といった中長期的なテーマも重要ですが、「台風関連だから上がる」と単純に考えるのではなく、本業の業績や受注動向もあわせて確認することが大切です。
まとめ|台風関連銘柄は防災・復旧需要の中身で選ぶ
台風関連銘柄は、大型台風の発生そのものではなく、防災対策や復旧工事、インフラ更新によって生まれる需要から注目されるテーマです。特に不動テトラ、日本ヒューム、NJSは、水害対策や排水インフラといった台風対策の中核分野と関わりが深く、本命株として注目されます。
また、古河電気工業やSWCC、ホーチキ、星和電機、理研計器なども、停電対策や防災設備、インフラ復旧の観点から関連性を持つ企業です。ただし、台風関連銘柄はテーマ性によって短期的に物色されるケースも多いため、株価の動きだけで判断するのではなく、受注状況や業績への影響も確認しながら投資判断を行いたいところです。
台風関連銘柄を分析する際は、「どの企業がどの需要の恩恵を受けるのか」という観点を持つと、より本質的な投資機会を見つけやすくなります。

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執筆者情報
日本投資機構株式会社 アナリスト
準大手の証券会社にて資産運用のアドバイザーを務めた後、日本株主力の投資顧問会社の支店長となる。現在は日本投資機構株式会社の筆頭アナリストとして多くのお客様に株式投資の助言を行いつつ、YouTubeチャンネルにも積極的に出演しており、資産運用の重要さを発信している。

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