株のテクニカル分析で使われるRCIとは、「買われすぎ」「売られすぎ」といった相場の過熱感を示すオシレーター系のインジケーターです。正式名称は「Rank Correlation Index」、日本語では「順位相関指数」と訳されます(証券会社のツールによっては「順位相関係数」と表記されることもあります)。
個別株のチャートを開いて、株価が上がり続けているのに買っていいものか迷う。あるいは下げ止まったように見えるが、まだ落ちるのか判断がつかない。そんなときに過熱感を数値で示してくれるのがRCIです。
仕組みから見方、計算例、3本線を使った実践的な使い方、そして株ならではの注意点まで順に見ていきましょう。
RCIとは?時間と株価の相関性で過熱感を測る指標

RCIとは、「時間の経過」と「株価の動き」の2つに順位をつけ、その相関関係から相場の過熱感を判断するテクニカル指標です。
株価が上昇し続けるとRCIは+100%に近づいて「買われすぎ」、下落し続けると-100%に近づいて「売られすぎ」を示します。RSIやストキャスティクスと同じオシレーター系ですが、時間(日柄)の概念を取り入れている点が最大の特徴です。
RCIが示す「買われすぎ」「売られすぎ」の仕組み

RCIは、設定した期間内で「時間の順位」と「株価の順位」がどれだけ一致しているかを見ています。
日が新しくなるにつれて株価も一貫して上がっていれば、2つの順位はぴたりと重なります。相関は強くなり、数値は+100%へ。これが「買われすぎ」の状態です。
逆に、日が新しくなるほど株価が下がり続ければ、順位は正反対の関係になり、数値は-100%に近づいて「売られすぎ」と判断されます。値動きの幅ではなく順位を見ているため、トレンドの持続性が数値に表れるわけです。
RCIの計算式と順位相関係数の考え方|5日間の計算例つき
RCIは以下の式で算出されます。
この式は、統計学の「スピアマンの順位相関係数」がベースです。とはいえ、暗記する必要はありません。実際に手を動かせば、何を測っているのかは一度で掴めます。
期間5日、終値が下の表のように動いた銘柄で計算してみます。日付は当日を1位として遡り、株価は高い順に1位から並べます。
| 当日 | 1日前 | 2日前 | 3日前 | 4日前 | |
|---|---|---|---|---|---|
| A:日付の順位 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| B:終値(円) | 1,050 | 1,020 | 1,080 | 1,020 | 980 |
| C:株価の順位 | 2 | 3.5 | 1 | 3.5 | 5 |
| A-C | -1 | -1.5 | +2 | +0.5 | 0 |
ここで見落としやすいのが3.5位という半端な順位。終値が同じ日が複数ある場合は、順位を平均して割り振ります。この例では1日前と3日前がどちらも1,020円なので、3位と4位の平均で3.5位。株は呼値の刻みが決まっているぶん同値が出やすく、この処理は頻繁に発生します。
あとは差を2乗して合計するだけです。d=(-1)²+(-1.5)²+2²+0.5²+0²=7.5。これを式に当てはめると、RCI={1-(6×7.5)÷(5×(25-1))}×100=+62.5%。直近が高値圏寄りだが、+80%には届いていない。そんな状態が数字で見えます。

ズレがまったくない=+100%は、期間中ずっと上がり続けた状態。完全に逆の関係=-100%は、期間中ずっと下がり続けた状態です。
RSIやストキャスティクスなど他の指標との違い
同じく「買われすぎ」「売られすぎ」を測る指標にRSIやストキャスティクスがあります。違いは算出の根拠です。
RSI(相対力指数)が一定期間の「値上がり幅と値下がり幅」から算出されるのに対し、RCIは「日付と株価の順位」から算出されます。
この違いは動きに出ます。RSIは値幅に反応するため、株価が跳ねるたび細かく上下します。対してRCIは値幅に左右されず、順位の並びだけで決まる。細かい上下動が少なく、ラインの傾きがそのまま株価の方向性を示しやすいのがRCIの利点です。
裏を返せば、順位が入れ替わらない限り数値は動きません。値幅が小さくても順位さえ揃えば±100%に張り付く。この性質が、後述するダマシの正体でもあります。
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RCIの基本的な見方と売買サインの読み取り方

RCIを株の売買に活かすには、ラインがどの水準にあるかを見るのが基本です。
目安は+80%以上で「買われすぎ」、-80%以下で「売られすぎ」。この水準を基準に、反転を狙って逆張りのタイミングを計ります。
「+100%」は高値圏、「-100%」は安値圏を示す

RCIは-100%から+100%の間で推移します。
+100%に近づくほど、上昇が続いて「買われすぎ」と判断できる高値圏。-100%に近づくほど、下落が続いて「売られすぎ」と判断できる安値圏です。0に近い状態は、期間中の値動きに方向感がないことを意味します。
0ラインの抜けはトレンド転換のサイン
±80%と並んで見られているのが0ラインです。
RCIが0ラインを下から上に抜けたら買いサイン、上から下に抜けたら売りサイン。計算の仕組み上、プラス圏は「直近で上昇した日が多い」、マイナス圏は「下落した日が多い」ことを意味するため、0ラインの通過は日柄の勢力が入れ替わった合図になります。
±80%の逆張りが「行き過ぎの反動」を狙う使い方だとすれば、0ラインは「トレンドの向きが変わった瞬間」を捉える使い方。同じ指標でも、見る水準で役割が変わります。
天井圏・底値圏での逆張りサイン|株では「売り」の扱いに注意
RCIの代表的な使い方は、過熱感を利用した逆張りです。RCIが+80%〜+100%の天井圏に達したあと下落に転じたら「売り」、-80%〜-100%の底値圏まで下げたあと上昇に転じたら「買い」。これが基本形です。
ただし、株には為替と決定的に違う制約があります。現物株では「売り」から入れません。天井圏からの売りサインを取りにいくには信用取引の空売りが必要で、貸借銘柄かどうか、逆日歩がつくかどうかまで関わってきます。
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現物中心で取引しているなら、天井圏のサインは「新規で売る合図」ではなく保有株の利益確定を検討する合図として読むほうが実戦的です。買いサインは新規建て、売りサインは手仕舞い。この非対称さは、株でRCIを使ううえで最初に押さえておきたい点です。
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ラインが反転するタイミングを狙う|手仕舞いの目安も決めておく
精度を上げるうえで効くのが、「反転を確認してから動く」という一手間です。
+80%を超えたから即売り、は早すぎます。強い材料が出た銘柄では、RCIが天井圏に張り付いたまま株価が上がり続けることがあるからです。ここ、落とし穴です。
+80%ラインを上から下に割り込むなど、明確に向きが変わったのを見てから動く。底値圏からの買いも同じで、-80%を下から上に抜けた初動を捉えます。1本待つだけで、無駄な逆張りはかなり減ります。
入口を決めたら、出口も先に決めておきましょう。逆張りの手仕舞いでよく使われるのは、反対側の±80%に到達したところ、あるいはRCIが水平になって傾きを失ったところ。±80%まで戻り切らずに横ばいへ移行する場面は珍しくないので、「傾きが消えたら利確」を持っておくと取り逃しが減ります。
勝率を上げるRCIの実践的な使い方と応用手法

RCIはもともと1本で使うことを想定して作られた指標です。ただ、複数の期間を並べたり他の指標と併用したりすると、見えるものが増えます。
短期・中期・長期の3本線でトレンドの方向性を見極める
期間の異なる3本のRCI(短期9日・中期26日・長期52日)を同時に表示する。これが実戦での定番です。
短期線で売買タイミングを計り、中期線・長期線で大きな方向性を確認します。長期の52日RCIが高い位置で横ばいに張り付いている状態は、上昇トレンドが続いている証拠。買い目線で構える場面です。
狙い目は、その状態のまま短期の9日線と中期の26日線が下がってきて、底値圏でクロスする場面。教科書どおりの押し目買いのサインです。逆に、26日RCIが下向きに転換したポイントは、9日線より大きな流れを捉えた売り時になります。
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ゴールデンクロス・デッドクロスは「どこで起きたか」を見る
短期RCIが中期・長期RCIを下から上に抜ける「ゴールデンクロス」は買いサイン。上から下に抜ける「デッドクロス」は売りサインです。
ただし、クロスは頻繁に起こります。出るたびに反応していては、ダマシを拾うだけ。大事なのはクロスの有無ではなく、それがどの水準で起きたかです。
-100%に近い底値圏でのゴールデンクロスは、売られすぎからの反転を伴うため信頼度が上がります。+100%に近い天井圏でのデッドクロスも同じ理屈。逆に、0%付近でのクロスは方向感のないもみ合いで起きていることが多く、見送って構いません。

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RCIと移動平均線を組み合わせて分析精度を高める
RCIの弱点であるトレンド相場でのダマシを減らすなら、トレンド系である移動平均線(MA)との組み合わせが効きます。
手順はシンプルです。まず移動平均線で大きな方向を把握し、その方向に沿ったRCIのサインだけを採用する。
移動平均線が上向きで、株価がその上にあるなら上昇トレンド。この局面ではRCIが底値圏から反発した買いサインのみを拾い、天井圏からの売りサインは見送る。それだけで、大きな流れに逆らう取引が消えます。
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RCIを使う上で知っておきたい注意点とダマシ対策

便利な指標ですが、万能ではありません。RCIが機能しない相場は、はっきりしています。

強いトレンド相場ではサインが機能しにくい
RCIが本領を発揮するのは、一定の価格帯で上下を繰り返すレンジ相場です。裏を返せば、強いトレンドが続く局面では機能が落ちます。
好決算やテーマ性で買われた銘柄を思い出してください。RCIは+100%付近に張り付いたまま、株価はさらに上へ。ここで逆張りの空売りを仕掛ければ、踏み上げられて損失が膨らみます。信用の売りは損失に上限がない以上、この場面での逆張りは分が悪い。
強いトレンドが出ているときは、逆張りを封印してRCIを順張りの道具として使う。それが定石です。
もみ合い相場ではRCIが小刻みに動く
トレンドの逆、株価が保ち合いに入った局面にも落とし穴があります。
方向感がないと、RCIは高値圏にも安値圏にも到達しないまま、0%付近で小刻みに上下を繰り返します。傾きがころころ変わり、買いサインと売りサインが交互に点滅する。その全部がダマシです。
この状態で無理に手を出す必要はありません。RCIの傾きが頻繁に変わっているうちは、見送る。取引しない判断も立派な戦略です。
「ダマシ」の発生を見抜き回避するための方法
ダマシを避ける方法は、大きく3つあります。
1つ目は、移動平均線などトレンド系指標との併用。大きな流れに沿ったサインだけを信用します。2つ目は、3本線の向きが揃っているかの確認。長期線が示すトレンドに逆らう短期線のサインは、ダマシの可能性が高いと判断できます。
3つ目は、時間軸を変えて見ること。日足だけでなく週足も確認すれば、短期の振れに振り回されにくくなります。
そして株ならではの前提を1つ。出来高が乏しい銘柄では、RCIのサインそのものが信用しづらくなります。売買が細い銘柄は数枚の注文で株価が飛び、順位の並びが簡単に崩れるからです。決算発表やIRの直後も同じで、テクニカルより材料が優先されます。
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証券会社の取引ツールにおけるRCIの設定方法

RCIは、主要ネット証券が提供するチャートツールにはたいてい標準搭載されています。インジケーターの一覧から「RCI」または「順位相関指数」を選ぶだけで表示できます。
設定画面では期間・線の色・太さを変更できます。3本線を使うなら、それぞれの期間を入力し、見分けがつくように色を変えておきましょう。ツールによっては初期表示が1本だけのこともあるので、そこは追加設定が必要です。
なお、東証の取引時間は前場9:00〜11:30、後場12:30〜15:30。日足のRCIが確定するのは大引け後なので、ザラ場中に見ている数値はまだ動きます。引け間際に慌てて判断しないための、地味だが大事な前提です。
一般的なパラメーター期間(9・26・52)の選び方
RCIの期間設定には定番の数値があります。短期9、中期26、長期52。一目均衡表でも使われる数値で、意識している市場参加者が多いぶん機能しやすいとされています。
時間軸ごとに、よく使われる日数は次のとおりです。
| 時間軸 | よく使われる期間 |
|---|---|
| 日足 | 9日・13日・26日・52日 |
| 週足 | 9週・13週・26週 |
| 月足 | 9ヶ月・13ヶ月 |
短期線は目先の売買タイミング、中期線はスイングトレードの基準、長期線は相場全体の流れの把握に向きます。値動きの荒い小型株では9日でも振られやすく、13日に伸ばすと落ち着くこともある。銘柄ごとに合う日数は違います。
とはいえ、最初から数字をいじる必要はありません。まずは9・26・52の動きに慣れることから。調整はその後で構いません。
[関連]日足・週足・月足の違いと使い分けを解説!移動平均線の設定や勝ちパターンも紹介
RCIに関するよくある質問

株式投資でRCIを使う際に寄せられることが多い質問をまとめました。
まとめ|RCIは株の過熱感を測る道具、使う場面を選べば強い

RCIは、「時間」と「株価」という2つの要素から相場の過熱感を測るテクニカル指標です。基本の見方から3本線のトレンド分析、移動平均線との組み合わせまで、使い道は広がります。
押さえておきたいのは3点。レンジ相場で強くトレンド相場では弱いこと、水準到達ではなく反転とクロスの位置を待つこと、そして現物株では売りサインを利益確定の判断に読み替えること。
指標が教えてくれるのは過熱感だけで、その銘柄を買う理由までは教えてくれません。RCIはあくまでタイミングを測る道具。何を買うかは、業績や材料と合わせて決める必要があります。
とはいえ、約4,000銘柄のチャートを毎日めくってRCIの反転を探すのは現実的ではありません。日本投資機構では、AIが過去のチャートを学習し、買い妙味のある銘柄を絞り込むツールを開発しました。テクニカルの初動を拾う作業は、機械に任せるのも手です。

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執筆者情報
日本投資機構株式会社 アナリスト
準大手の証券会社にて資産運用のアドバイザーを務めた後、日本株主力の投資顧問会社の支店長となる。現在は日本投資機構株式会社の筆頭アナリストとして多くのお客様に株式投資の助言を行いつつ、YouTubeチャンネルにも積極的に出演しており、資産運用の重要さを発信している。

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