住宅設備の単品交換を主軸に成長を続けてきた株式会社交換できるくん(7695)。
サービス名を社名に掲げ2020年に上場した同社は、2026年10月1日付で「リフォームテクノロジー株式会社」に商号を変更します。
同時に、交換できるくん事業を新設子会社へ承継し、持株会社体制へ移行する予定です。
これに先立って2026年6月には、創業者の栗原将氏から佐藤浩二氏に社長のバトンが引き継がれました。
佐藤社長はIT業界で経営者としてキャリアを積み、2021年からは同社の取締役に就任し、経営基盤を整えてきた人物です。
IT業界出身の佐藤浩二代表取締役社長は、交換できるくん社を中心とするグループをどんな姿に育てていくのでしょうか。
交換できるくん事業の強みや成長戦略、グループ企業それぞれの役割について、投資インフルエンサーであるきこさんとともに深掘り取材しました。
他社がやりたがらない単品交換で利益を出す「交換できるくん」
はじめに、同社の主力事業である交換できるくんについて、改めて確認しておきましょう。
交換できるくんの強みは、リフォーム市場における「儲からないから誰もやりたがらない領域」を、利益が出る事業に変えた点にあります。
この「誰もやりたがらない領域」とは、ビルトインガスコンロやレンジフード、蛇口・水栓、浴室乾燥機などの単品交換です。

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こうした単品交換は単価(交換工事費)が低いにもかかわらず、通常は訪問見積もりが必要。
現地に見積もりに行き、見積書を作成して、依頼者が検討した末に工事が決まって、再度日程調整をした上で職人さんが工事に訪れるといった手順を踏むと、なかなか採算が合わないのです。
そのため、工事を請けるにしても、利益があまり出ないのを覚悟した上で、浴室やキッチン全体のリフォーム営業のためと割り切る業者がほとんどでした。
しかし、依頼者側は汚れたガスコンロや調子の悪い蛇口・水栓、浴室乾燥機を交換したいだけで、大がかりなリフォームをする意向はない場合が多く、ここにミスマッチが生まれていました。

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佐藤氏「住宅設備単品の交換は、リフォーム会社や水道修理店など色々な会社が手掛けていますが、採算性の面から積極的に取り組む会社は多くありませんでした。
そのため、お客様にとっても、どこに依頼すればよいか分かりにくい状況がありました。
そうした領域で収益性のある仕組みを構築できれば、他社との差別化につながると考え、現在の事業モデルを構築してきました」
ネット見積もりのノウハウを蓄積
他の会社が「儲からないから」とやりたがらない領域で、同社はどのように利益を出しているのでしょうか。
きこ「利益を出せるように、具体的にどんな工夫をしてきたのですか」
佐藤氏「リフォームを行う場合、通常はほとんどの場合、お客様のところへ事前に見積もりに行きます。
ここをなくしているのが、コストを減らせる一番大きな要因です。
また、成約率もポイントになってきます。
見積もりに行った分を全て受注できれば、そこまで利益を削るようなコストにはなりませんが、仮に10件の見積もりのうち1件しか成約しなければ、残り9件分の見積もりコストを1件の受注で吸収しなければなりません。
訪問しない我々の場合でも、見積もりを作成するスタッフは必要ですので、成約率を高くする工夫もしています。
さらに、施工の効率化などもトータルで行い、コストがかからないモデルを実現しています」

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きこ「御社だから訪問しなくても見積もりを高い精度でできている部分もあるかと思います。
これを他社がやろうとしても、御社と同じレベルでは実現できない理由は、どこにあるのでしょうか」
佐藤氏「お客様の設置状況を見ないと、工事できるかが分からない場合もあります。
そこで、写真を撮って送っていただくのですが、ただ『写真を送ってください』と言うと、商品だけを送ってくる方がいらっしゃいます。
私たちが実際に確認したいのは、商品そのものだけでなく、周辺の設置状況ですので、そこを撮ってもらうようにサイトの中で誘導しています」
たとえばエアコンの場合は、コンロや食洗機のようなビルトインではなく、機器による違いがあるため、天井や壁とのすき間を確認する必要があります。
室外機であれば、設置場所に人が通れるか、集合住宅で特殊な工事が必要な位置ではないかなど、確認すべき点は商品ごとに異なります。
佐藤氏「一つの商品カテゴリーを扱うのであれば、やってやれないことはないかもしれませんが、当社は幅広い商品を扱うので、ひとつひとつをお客様がわかるように依頼フォームに反映させているところが強みでもあり、スピーディで正確な見積もりの作成を支えるベースにもなっています」
お客様のためになる情報を提供し、自社で集客
きこ「御社は他にも、自社サイトで集客しているため、チラシを配るなどして営業活動を行うよりも、集客コストが下げられている面があるかと思います。
一方で、『これまで有効であったSEO対策(検索エンジン最適化)が十分に機能しなくなる可能性』もリスクとして挙げられています。
今は生成AIの普及によって、検索ではなくAIに聞く人が増えている部分もあるかと思いますが、この影響をどのように捉えていらっしゃいますか」
佐藤氏「基本的に検索エンジンは、客観性・公共性の高い情報を上位に表示させる傾向があります。
そこで我々は、売るための情報ではなく、お客様にとって役に立つような情報を継続的にサイトへアップしています。
商品の販売に直接結びつかない情報も含め、お客様にとって有益な情報を充実させることで、結果として検索エンジンからも評価されやすくなると考えています」

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きこ「より細かく、役に立つ情報が他になければ、知りたい人は見るしかないですものね」
佐藤氏「それと、お客様からの口コミ情報とか、当社が発信する情報じゃないものをたくさん載せています。
AIも現時点では、客観的で公共性の高い情報をおすすめしているので、当社にとっては追い風だとみています。
将来的にAIがどうなるか分からない部分はありますが、お客様にとって、有益な情報やサービスを誠実に提供し続けることが、結果として評価につながると考えています。
AIを取り巻く環境がどのように変化しても、お客様にとってメリットのあるビジネスを展開するのが、基本的な方針になります」
小手先の対策ではなく、お客様の役に立つ情報を提供する原則を貫いてきたことが、結果的に最大のリスクヘッジになっています。
「交換士」育成のためにアカデミーを開講
交換できるくんのユニークな点として、工事までを自社で手掛け、その品質を担保している点も挙げられます。
交換工事に特化した交換士を自社で抱えたり直接契約したりして、効率的に施工スケジュールを管理。
1日に数件の工事現場を効率良く回ってもらえば、1件当たりの工事単価が高くなくても、交換士にとっても、効率的に収入を得られる仕組みにつながります。
実際、年収が1,000万円以上の交換士も多いといいます。

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同社は、その工事を担うスタッフを育成するために、住宅設備の交換工事に必要な技術を実践的に学べる「交換技能アカデミー」を2024年11月1日に開校しました。
きこ「交換技能アカデミーの開校から1年半余りたっていると思うんですけど、卒業生の定着状況ですとか、他業界からの引き合いですとか、手応えはいかがでしょうか」
佐藤氏「アカデミー卒業生は、現在も現場で活躍してくれています。皆さん意欲的に取り組んでおり、非常に心強く感じています。
ただ、AIとの共存が重要となってきている時代だからこそ、意義のある取り組みだと思っておりますが、一般の方々への認知が十分とはいえないため、PR活動を頑張っていきたいです。
応募いただいている中には、ご本人の意向に加えて、ご家族から勧められて応募されるケースも少なくありません。
配偶者や親御様が『手に職をつけて欲しい』とおすすめしたりするので、そういう方々にも広く知っていただきたいです」
現在、同社が抱える交換工事を手掛けるスタッフ「交換士」の数は250名を超えています。
佐藤社長によれば、もう少し交換士が増えて300名程度の体制となれば、同社が中期経営計画で掲げる2028年3月期の売上高目標200億円達成に向けた一つの目安になるとのこと。
その上で、「我々は売上高200億円だけを見据えているわけではない」と話します。
佐藤氏「今はどちらかというと、一人親方を含む個人事業主の方々と直接契約が中心です。
しかし、200億円の先を考えると、法人企業との連携も進めながら施工のネットワークを拡大していく必要性があるなと考えています」
営業コストを削るネット見積もり、自社サイトでの集客、品質を守る自社施工。
これらが揃うことで成立するビジネスモデルを、同社は20年以上かけて磨いてきました。

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事業ではなく「会社経営」のスペシャリスト

そして、交換できるくん事業を主軸に、M&Aによって取得したグループ企業とともにさらなる成長を狙うため、同社は2026年10月に持株会社体制へと移行します。
そこで新社長に就任した佐藤社長は、30代後半から経営者としての道を歩んできました。
きこ「ご自身のご経歴を、今後、経営のどのような場面で生かせるとお考えでしょうか」
佐藤氏「私は37歳頃から、創業者ではない立場で経営を任されるキャリアを歩み、以来、経営者として複数の企業経営に携わってきました。
交換できるくん社には、上場してちょうど半年ほどが経った頃に入社しています。
上場企業としての義務を果たし、経営基盤をつくることに課題があったタイミングで、ご縁があって入社しました。
それ以降は、経営管理体制の整備や資本戦略の策定などに携わってきました」
佐藤社長が入社して以降、同社のグループ会社は着実に増えていきます。
こうした変化を受けて、交換できるくん社はホールディングス化に舵を切りました。
佐藤氏「過去に私がグループ経営に携わってきたことで、このタイミングで経営のバトンを引き継ぎました」
得意な領域を突き詰め、利益を出す会社の集合体を目指す

では、佐藤社長は交換できるくん事業とグループ会社をどのように育てていくのでしょうか。
きこ「今後の経営にあたって、何を推進していきたいですとか、優先順位はお決まりになっていますか」
佐藤氏「交換できるくんの事業成長が引き続き最重要の経営テーマです。
世の中の変化とともに、お客様のニーズも変わっていきますので、それに合わせて、交換できるくん自体を進化させていく必要性は継続的にあります。
これに関しては、これまで以上に力を入れていきます。
加えて、既存のグループ各社が自分たちの得意な領域を深掘りして、それぞれの領域で高い競争力を持つ事業へ成長してもらうのが、グループ化した上での一番の目的になってきます。
大きく成長させるよりも、得意な領域を突き詰めていって、利益をきちっと出すことを期待しているんです。
個人のお客様のニーズが非常に多様化しているので、一社が多岐にわたる商品やサービスを提供していくのは、難しくなってきています。
特定分野に特化した、いわゆるカテゴリーキラー型の事業の方が、事業の価値を高められると思います。
一方で、単一カテゴリーキラーでは成長余地に一定の限界があります。
そこで、カテゴリーキラーの中で利益を出せるようなモデルを作って、結果としてグループで大きく成長していけば良いと考えています」
佐藤社長が強調したのは、あくまで交換できるくん事業が主軸である点と、グループ各社が利益をしっかり出せるようにする点でした。
グループ各社の位置づけと戦略
ここからは、グループ各社の位置づけや戦略を見ていきましょう。
交換できるくん社は、自社の施工を担うほかBtoB向けの「住設DXサービス」を手掛ける株式会社KDサービス、システム開発会社の株式会社アイピーエス、住宅設備機器の長期保証サービスを提供する株式会社IMI、札幌市を中心にリフォーム事業を展開する株式会社キッチンワークスなどをグループ会社としています。

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前述のとおり、各社に求めるのは「得意領域を深掘りし、利益を出すこと」です。
それぞれ、どのような得意領域を持っているのか、佐藤社長に改めてうかがいました。
アイピーエス社|「システムごと」引き受けるから関係が深まる
2024年1月にグループ入りしたアイピーエス社は、1985年に創業されたシステム開発会社です。
きこ「アイピーエス社をグループに迎えた理由として、システム開発の内製化やDX強化などを過去の決算説明会等で挙げられていたかと思います。
具体的にどのような成果が出ているか、実例があればおうかがいしたいです」
佐藤氏「当社グループのシステム開発に加え、住宅設備メーカーさんへのシステム提供などを行っています。
皆さんが住宅設備を使っていて壊れたときには、メーカーに修理を依頼されると思います。
その修理依頼を、メーカーは委託している業者にやってもらう形を取っています。
そうした委託業者の一つとして、当社のグループ会社であるKDサービスもメーカーの修理業務などを行っています。
実は、そこで委託業務だけではなくて、システムの提供もしています。
メーカーに修理依頼が来たときに、委託先に作業を依頼するようなシステムです。
例えば、現場に近い委託先を手配することで、移動時間や交通費などのコストを抑えることができます。
単に作業の依頼を受けるだけではなく、こういったシステムを含めて事業の効率を上げるようなケースで、アイピーエス社が下支えになっています」
きこ「メーカーさんにシステム提供をすることで、交換できるくん事業にも良い影響が出ていますか」
佐藤氏「メーカーとの関係はより強固になりますし、システムを入れると単なる業務委託の関係にとどまらず、より深いパートナーシップにつながるため、関係性は当然良くなってきます」
グループにシステム開発会社を持つことで、自社の強みを活かした周辺システムの開発がスムーズにでき、結果としてより多くの価値を顧客に提供できているのです。

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KDサービス社|BtoB事業と住宅設備ECプラットフォーム「Replaform」運営

自社の住宅設備施工を担うほか、BtoB向けの「住設DXサービス」などを展開しているのがKDサービス社です。
同社は、工事付き住宅設備ECを手軽に開始できるクラウド型プラットフォーム「Replaform」の運営も手掛けています。
交換できるくん社は2025年11月に、ホームセンター大手のカインズと資本業務提携を締結。
この提携の際にも、同社のノウハウをソリューション化した「Replaform」をカインズに提供すると開示がありました。
どのようなプラットフォームでどのような狙いがあるのか、この点についてもうかがいました。
佐藤氏「『Replaform』については、入口はそのクライアント企業様のサイトになっていますが、その裏側は当社が黒子として全部やりますというのがコンセプトになっています。
当然ながら、当社のノウハウを活用できる点が、大きな特徴です。
また、単品交換そのものの利益だけを目的とするのではなく、将来のリフォーム需要につながる顧客接点として活用いただくことを想定しています。
住宅設備の単品交換をきっかけに将来的に別のリフォーム需要が生じる可能性があります。
そうしたお客様を獲得するチャンスを拡大するために、将来のリフォーム需要につながる顧客接点として、使っていただきたいです」
クライアント企業にとって「Replaform」は、「儲からない単品交換」を外部化しつつ、将来の大型リフォーム顧客を獲得する入り口になります。
カインズ社との取り組みも、Web完結型にとどまらず、店舗での活用を含めて協議が進んでいるとのことでした。
IMI社|故障データを持つ会社が保証をやる意味

交換できるくん社は、2025年6月に住宅設備保証事業を展開するIMI社をM&Aにより子会社化し、住宅設備保証事業に新規参入しました。
住宅設備保証事業に参入した狙いはどこにあるのでしょうか。
きこ「保証事業もグループ化されていますが、どのような形に今後していきたいのかをおうかがいできればと思います」
佐藤氏「保証事業は、比較的高い収益性が期待できる事業です。
グループ化していく上で、交換できるくん以外の事業は、特に利益創出を重視しています。
交換できるくん事業への成長投資を支える収益基盤として、グループ会社の中でも特に利益成長が期待できるのがIMIの保証事業です。
住宅設備周りの保証市場は、もう既に複数の事業者が参入しています。
しかし、住宅設備の交換を専業でやっている会社が保証を提供しているケースは、他にはありません。
我々は、住宅設備機器の故障のトレンドなども分かりますし、壊れたときにお客様が求めていることも分かります。
また、保証の内容を細かく分析することで、保証事業の収益性を上げられるのではないかとも考えています。
市場におけるリアルな故障率がわかるので、手堅く将来の修理コストが試算でき、コスト削減が可能とみています。
住宅設備機器交換の知見をうまく生かした保証事業を展開するのが、我々の最大の狙いです」
きこ「住宅設備機器交換のデータが蓄積されているからこそ、できるわけですね。
今のところまだ、収益寄与は限定的かと思うのですが、いつ頃から利益が効いてくる絵を描いていらっしゃいますか」
佐藤氏「保証事業の単価はそれほど大きくないので、収益的にインパクトが出るのは少し先なんです。
少し長い目で見ざるを得ないんですけれども、グループ全体の利益を押し上げる要因になるのは間違いないと考えています」
保証契約は収益認識のルール上、10年間に按分して計上されるため、足元の業績への寄与は限定的。
しかし、利益率が高く、既存事業の知見を活かしながらグループ全体の利益を押し上げられる事業として、佐藤社長は保証事業への期待をにじませました。
キッチンワークス社|リフォーム業界のビジネスモデルを変える

もう1社、2025年9月に交換できるくん社がM&Aによって取得した企業が、札幌市を中心にキッチンやユニットバスのリフォームを行うキッチンワークス社です。
きこ「キッチンワークス社は、地域に根付いた普通のリフォーム会社というイメージを持っているのですが、グループ化にはどのような狙いがあるのでしょうか」
佐藤氏「我々の新しいホールディングス会社『リフォームテクノロジー』には、リフォーム業界のビジネスモデルを変えたいという大きな目的があります。
日本には、キッチンワークスのような地域密着型のリフォーム会社が数多く存在します。
そういった会社は、事業承継の課題を抱えているほか、部材コストや集客コストがかかって、利益を出せる構造でやっているところは、それほど多くありません。
そういった地域のリフォーム会社さんも、どうにかしてうまくいくようにできないかと考えています。
そのモデルケースとして考えているのが、このキッチンワークスなんです」
浴室やキッチン全体のリフォームとなると、訪問せずにネットで見積もりを済ませるのはさすがに困難。
しかし、集客や共同での商品購入、効率的な職人の手配等では、同社の培ってきた強みを活かせる部分があるといいます。
佐藤氏「当社の住宅設備交換のクオリティーを気に入っていただいたお客様から、それ以外の領域のご相談もたくさんいただいています。
この集客力をうまく活かすほか、商品調達など、お客様へサービスを提供するプロセスを効率化するとともに、品質を上げて利益を出すようなビジネスを、このキッチンワークスで実現しようとしています。
さらに、それを全国の地域リフォーム会社とのネットワークへ展開し、そこから利益を得られるモデルを作っていくのが目的です。
キッチンワークス一社の話だけではなく、今後の持株会社、リフォームテクノロジーが目指す将来構造の一つです」
自社で全国展開するのではなく、各地の優良リフォーム会社に集客とノウハウを提供する構想です。
28年3月期に連結売上200億円、営業利益10億円を目指す
持株会社体制へ移行し、グループ全体での利益創出を狙う交換できるくん社。
ここからは同社の足元の状況を数字で確認していきましょう。
2026年5月14日に発表した27年3月期の業績予想では、売上高が前期比21.4%増の153億円、営業利益が同2.6倍の4億5,000万円となる見通しを開示しています。
さらに中期経営計画では、28年3月期に売上高200億円、営業利益10億円を目指す方針です。

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この計画を達成するための足元の取り組みについてうかがいました。
交換できるくん事業の反響に手応え

きこ「中期計画における成長戦略として、ブランド力・知名度の向上を狙って、テレビCMなどに広告費を投じられていると思います。
足元の手応えはいかがでしょうか」
佐藤氏「手応えとしては、去年の年末くらいから、非常にお客さんからの反響が良くなってきています。
このタイミングでは、CMをやっていないんです。
CMのボリュームを減らしているのにもかかわらず反響が上がってきているので、少しずつ認知度が上がってきているのではないかと考えています」
きこ「そうした反響があるなかで、中期経営計画の売上高200億円に向けて、交換できるくん事業の成長をどこまで積み上げる計画ですか」
佐藤氏「前期の売上高126億円のうち、交換できるくんが100億円程度でした。
それでいきますと、交換できるくん事業で約150億円を担う想定です。
残りに関しては、それ以外の会社で埋めていきます。
今の試算でいけば、売上高200億円、営業利益10億円は十分に可能な範囲だとみています。
お客様からの信頼を維持・向上していくためにも、品質は落とせませんので、そこを見ながらの成長を考えています」
交換できるくん社は、順調に売上高を拡大してきた一方で、25年3月期や26年3月期の利益は広告投資やM&A関連の一時費用の影響で伸び悩んでいました。
しかし、前述のような意図を持ったM&Aが進み、顧客の反響も良くなっているといいます。
その点では、中期経営計画の目標数値達成や佐藤社長が何度も強調した「利益をしっかり出していく体制」の確立に向けて、歩みを進める段階に入りつつあるとみられます。
「市況はあまり気にしていない」狙うのは購買行動のシフト

一方で、市況変動や競争環境の変化は業績を下振れさせるリスク要因にもなり得ます。
これらの点について、どのように考えているかもうかがいました。
きこ「2025年ごろから市況が急回復して、足元は非常に好調と説明される一方で、26年3月期の上半期は、関連キーワードの検索ボリュームが前年同期比90%程度に落ち込んだといったご説明もありました。
消費動向の影響もあるかと思うのですが、御社の業績を考える上では、この辺りをどのように捉えれば良いでしょうか」
佐藤氏「業績は四半期単位で発表しますが、住宅設備機器の需要は、四半期単位だと上下動がある程度あります。
しかし、住宅設備を飽きたから替える人はなかなかいなくて、『壊れたからどうしよう』と考えるのが大半なんです。
補助金があるとか、ボーナスが減ったからやめようとか、そのぐらいの振れ幅はあるんですけど、1年とか、長ければ2年とかで通して見れば、ほとんど需要は変わらないんです。
なので、去年の前半、あまり良くない状況があったんですけど、後半には回復しています。
そして、後半が良かったからこのまま良いかというと、恐らく年単位でならして見ると、需要自体はほぼ変わらないと思います。
ただ、その中で当社が狙っているのは、一定の需要が続くと想定される中で、どれだけECで買ってくれる人を増やすかです」

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きこ「シェアを獲得する上では、競合の状況も関係してきますよね」
佐藤氏「関係はありますが、住宅設備の単品交換だけをやっている強力な競合っていうのは、ほぼないんです」
給湯器などでは広告を積極展開する事業者もいますが、単一商材に特化したモデルは難しいと佐藤社長は指摘しました。
特に、新規参入しやすい商材は、安価な事業者が次々に参入するため集客コストが上昇し、採算が出にくい構造に変わってきているのです。
対する同社の強みは、複数商材を扱っている点にあります。
佐藤氏「当社で買っていただいたお客さんは、ほぼ必ず他の商品も当社で買ってくれるんです。
当社のお客様が増えれば増えるほど、給湯器やエアコンを交換するお客様も、必然的に増えていきます。
そうすると、マーケティングコストをかけずとも、お客様が獲得できる可能性が出てきます。
一つの商品カテゴリーにこだわらず、交換できるくんをご利用いただいたお客様を増やせるかが、一番重要だと思っています」
「もっと評価が高くてもいい」業界内の評価と、株式市場のギャップ

2025年3月にシステム開発体制強化に伴うアイピーエス社との内部取引の増加やM&A関連費用の発生を要因とした各利益予想の下方修正を行って以降、同社の株価は上値が重くなっています。
2026年5月中旬には、27年3月期の増収増益計画発表を受けて上昇する場面もありましたが、足元では再度伸び悩んでいる状況です。

※TradingViewより引用
こうした市場の評価について率直な見解をうかがいました。
きこ「現在の市場の評価について、御社として課題に感じられている点ですとか、投資家に今後さらに伝えていきたい事業価値があればお聞かせください」
佐藤氏「我々としては、もっと市場の評価が高くても良いのではないかと当然思っています。
リフォームについてよく知れば知るほど、交換できるくんの事業の評価は非常に高いです。
一般的に、住宅設備の交換やリフォーム事業は、採算が悪いのが大きな課題なんです。
その中で、上場して利益を出している点に関しては、同業界の中の皆さんからすると評価が高くて、そのビジネスモデルを真似るよりは、活用したいという意向になっているんです。
なぜ真似しないかといえば、投資にかかる費用を回収できるほど、ビジネスの規模が大きくないとみているからです。
だから、そこに投資するぐらいなら別のところに投資した方がいいとご判断されています」
同じ仕組みを一からつくるには相応の投資が必要ですが、大手の企業規模から見れば、そこから得られるリターンは投資判断を通すほど大きくありません。
だからつくるのではなく使うという結論になるわけです。
佐藤氏「大手企業との資本提携や業務提携を見ていただいているとおり、ご相談もたくさんいただいています。
『よくつくりましたね』というのが、皆さんからの評価でもあるんです。
こうした価値を投資家の皆さんにどう説明するかが、我々の課題です。
7兆円を超えるリフォーム市場のなかで、今後も成長していく価値のある企業だと、業界の大半の人は見ているので、それを分かってもらいたいです。
また、交換できるくんは住宅設備に特化していますけれども、リフォームテクノロジー自体は、もっと幅広くリフォームの業界を変えようと考えています。
これはチャレンジですけれども、そこも評価してもらえるように、結果を出していこうと考えています」
「誰もやりたがらない領域」から、業界のモデルチェンジへ

採算が合わず、誰もやりたがらなかった領域で、利益が出せるビジネスモデルを構築してきた交換できるくん社。
時間をかけて築かれたこの仕組みは、他社が簡単に追いつけるものではありません。
そして2026年10月、同社は持株会社リフォームテクノロジーとして新たな船出を迎えます。
このリフォームテクノロジー社が将来的に目指す売上高の規模について、「1,000億円」と佐藤社長は話します。
この1,000億円は、リフォーム業界におけるトップ企業の売上高規模と重なります。
そのうち、7割程度を交換できるくん事業が占め、残りの3割を担うグループ会社で「リフォーム業界でもこんなに利益が出るんだ」と言われるようなしっかりとした利益を創出する考えです。
交換できるくん社には、収益性の低さに多くの企業が悩むリフォーム業界のなかでも、特に儲からないとされてきた領域で利益を出してきた実績があります。
その経験値をグループ各社にどう広げていくのか、今後の展開に注目したいところです。
短期的にも、利益が実際に数字として表れてくるかは注目点となります。
足元の予想PER(株価収益率)は21.2倍(2026年7月時点)。
中期経営計画で掲げる28年3月期の営業利益10億円を達成でき、EPSの拡大につながれば、現在の株価評価にも割安感が生じる可能性があります。
「CMを減らしても反響が増えている」という手応えが続くのか、保証事業をはじめとするグループ各社の利益貢献がいつから効いてくるのか。
持株会社リフォームテクノロジーの船出が、どのような結果に結びついていくのか。
その歩みを、これからも追いかけたいと思います。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。

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執筆者情報
投資インフルエンサー
野村證券株式会社2017年入社。法人営業を経験し、CEO賞を受賞。現在はJUNGLE TOKYO GINZAに在籍をしながら、投資インフルエンサーとして活動。各種メディアにも出演。
執筆者情報
日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)
国内株式、海外株式、外国為替の領域で経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーのもと、金融市場の基礎・特徴、マクロ経済の捉え方、個別株式の分析、チャート分析、流動性分析などを学びながら、日本投資機構株式会社では唯一の女性アナリストとして登録。自身が専任するLINE公式など各コンテンツに累計7000名以上が参加。Twitterのフォロワー数も3万人を超える人気アナリスト。

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