ヤマハ発動機が63%下方修正&減配を発表し株価急落!業績悪化の理由と今後の見通しは?

ヤマハ発動機が 63%下方修正&減配を発表し 株価急落! 業績悪化の理由と 今後の見通しは?

ヤマハ発動機が、2026年2月2日に25年12月期通期の純利益の下方修正を発表しました。
具体的には、純利益を前回予想から63.3%引き下げています。

これを受けて、株価は2月2日の終値1,165.0円から2月4日の終値1,047.5円まで、1日で10.8%下落しました。
株価は決算発表前から軟調な値動きを見せていましたが、さらに一段下落した形です。

今後株価が回復する可能性はあるのか、本記事はアナリストがヤマハ発動機株の先行きを展望したいと思います。

目次

ヤマハ発動機の株価が1日で10%下落した理由

【7272】ヤマハ発動機 日足チャート 2025年7月7日~2026年2月10日 
※TradingViewより引用

ヤマハ発動機は、繰延税金資産の取崩しに伴う法人税等調整額(損)の計上を主要因として下方修正を行いました。
これは将来の収益性悪化が予想されると必要になる会計処理です。

繰延税金資産とは何か、そしてなぜヤマハ発動機は収益性が悪化したのかを見ていきましょう。

繰延税金資産とは?収益性悪化が予想されると損失計上の必要性

繰延税金資産とは、将来の税金の支払いを減らす権利を、資産として貸借対照表に計上したものです。

会計のルールと税法のルールでは経費の認められ方が異なります。
そうしたルールの違いから、税金を払いすぎてしまう場合があり、その分を将来控除できるように「繰延税金資産」として計上しておくのです。

しかし、控除できる期間には限りがあります。
期限内に黒字が出ない見通しとなった場合には、そもそも税金を支払う必要がなくなるため、繰延税金資産として計上していた分の権利は使えなくなってしまいます。

この権利消失の見通しが立った場合に、計上していた繰延税金資産を取り崩す会計処理を行い、損を出す必要があります
つまり、今回のヤマハ発動機の下方修正は、事業環境の変化に伴う将来の収益性悪化を織り込んだものです。

ヤマハ発動機の収益性が悪化した理由は?

収益性の悪化について、ヤマハ発動機は同社とその子会社であるYamaha Motor Corporation, U.S.A.(YMUS) における米国の関税政策によるコストの増加や事業環境の変化を要因としています。
もともと関税の影響を価格転嫁でカバーする方針を示していましたが、カバーしきれなくなってしまったとみられます。
これを受けて、業績の先行き不透明感が強く意識され、株価は下落しました。

また、同時に発表した25年12月期の年間配当の減額修正も株価下落に拍車をかけたと考えられます。
年間配当は、従来計画の50円から35円に減額しました。

ヤマハ発動機の下方修正に兆候はあったのか?

こうしたヤマハ発動機の下方修正は事前に予想できたのでしょうか?
少し前の決算発表から振り返って、同社の事業環境を確認してみましょう。

実は25年12月期の下方修正は2度目

ヤマハ発動機は、2025年8月5日の25年12月期第2四半期の決算発表時にも、業績の下方修正を行っています。
この決算でも、米国の追加関税によるコストの増加などによる売上や利益の減少が見込まれるとして、繰延税金資産の一部を取り崩しリスクを織り込み、下方修正を行いました。

また、下方修正を行った後の通期の純利益予想は450億円としましたが、第2四半期累計での純利益は531億円に達していました。
つまり、この時点で下期の純損益は赤字になる見通しとしていたわけです。

しかし、この時点で想定していたよりも、さらに厳しい事業環境が続いたとみられます。

第3四半期時点では、第4四半期単体では黒字となる計画

▼2025年11月5日に発表した第3四半期決算時点での、8月5日に発表した通期の業績予想数値に対する進捗率は、以下のようになっていました。

第3四半期累計の純利益の通期業績予想に対する進捗率は、96%と100%を割り込んでいました。
この時点では、業績予想の2度目の下方修正は行っていなかったため、第4四半期単体の純利益は黒字になる見通しであったと考えられます。

8月5日の業績修正時点で既に追加関税の影響などを加味しているとしていたため、資料だけを見て、さらにもう一段の下方修正を予想するのは難しいケースでした。

ヤマハ発動機に将来性はあるのか?

ここからは、決算内容や会社からの説明を踏まえて、ヤマハ発動機が強みとしている部分と、事業の逆風や弱みについて整理し、業績や株価が回復する条件を考えたいと思います。

ヤマハ発動機は2輪のみに依存していないことが強み

ヤマハ発動機といえば2輪車の印象が強い人が多いと思います。
実際、売上高は2輪車を中心とする「ランドモビリティ」セグメントが主軸となっています。

しかし、同社はマリン、ロボティクス、金融サービス、その他などのセグメントも有しており、ランドモビリティだけが稼いでいるわけではありません。

▼セグメントごとの利益を確認すると、マリンセグメントもランドモビリティセグメントと同等の利益を出しています

ひとつのセグメントに依存していないことが同社の強みと言えるでしょう。
しかし、現在は主軸であるランドモビリティ、マリンともに関税の影響を受けて減益となっており、これが将来の不安材料となっています。

ヤマハ発動機の株価回復の条件とは?


ここまで見てきたようにヤマハ発動機の株価は、米国の追加関税によるコスト増加と事業環境の変化によって、将来稼げるであろう収益が減少したため下落しています。
これに対して同社は、米国事業を中心に収益構造を見直し、コスト競争力の強化に着手する方針を示しています。

今後は、2026年2月13日に控えている本決算で、さらに具体的な方針が示されるかに注目が集まります。
具体的な収益構造を見直し・コスト競争力強化の方法が示されて、将来の業績の不安感が払しょくされれば、株価回復に繋がる可能性が高いでしょう。
逆に、不安感が払しょくできなければ、軟調な株価推移が継続する可能性が高いです。

ヤマハ発動機はどこまで下がる?下値目処を分析

最後にヤマハ発動機の株価の下値目処についても確認しておきましょう。

▼以下のチャートには、ヤマハ発動機の株価と、PBR0.75倍となる株価を結んだラインを示しています。

PBR0.75倍のラインを大きく割り込んでいるのは、リーマンショックやコロナショックといった大きなネガティブイベントがあった時だけです。
つまり、マクロ環境が極端に悪化した時期以外は、PBR0.75倍となる株価が下値目処として強く意識されているようです。

現在で言うと約970円が0.75倍ラインとなっています。
PBR0.75倍となる株価は、純資産が増加すれば、それに伴って上昇していきます。
逆に、今回のように繰延税金資産の取り崩しが行われると純資産が減少しますので、0.75倍となる株価も下落してしまいます。

まとめ|下値目処を意識しながら会社の方針を確認しよう

今後、業績回復の見通しが立たずに、再度資産の取崩しなどが行われた場合、970円を割り込んでの下落もあり得ると考えられます。
逆に、具体的な業績回復までの見通しが立てば、970円近辺を下値目処として株価は回復に向かう可能性が高いです。

こうした見通しの下、今後の決算内容を見ていくと、戦略的な売買判断ができると思います。

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執筆者情報

nari

峯岸 恭一

日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)

総合鉄鋼メーカーに勤務していた経験を活かした、鉄鋼・自動車市場の分析及び情報収集を得意とし、データの集計・分析に基づいた統計学により銘柄の選定を行う希少なデータアナリスト。AIに関する資格も有しておりデータサイエンティストとしても活躍の場を拡げている。

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