東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド(4661)の株価が、2024年の高値5,765円から2026年4月30日には約7年ぶりの安値圏となる2,188円まで下落しました。
売上高が過去最高を更新しているにもかかわらず、なぜここまで売り込まれているのでしょうか。
本記事では、4つの下落要因を整理し、今後の見通しを解説します。
オリエンタルランドの株価が下げ止まらない4つの理由

2026年4月28日の決算発表を受け、翌営業日のオリエンタルランドの株価は前日比10%超の大幅安となりました。
2024年につけた高値5,765円からの下落率は約62%に達しています。
業績が極端に悪化したわけではなく、売上高・客単価はいずれも過去最高を更新しています。
それでも株価が下がり続けている背景には、「2期連続の減益見通し」「構造的なコスト増」「大株主による需給悪化」「高バリュエーション」という4つの問題があります。
かつてはPER50〜60倍という「夢の国プレミアム」が許容されてきましたが、成長鈍化とコスト増が続くなか、高い期待を維持するのが難しくなっています。
理由①|2期連続の減益見通しが市場の失望を招いた
2026年4月28日に発表されたオリエンタルランドの26年3月期通期の売上高は、前期比3.7%増の7,045億円と過去最高を更新しました。
しかし、営業利益は同2.1%減の1,684億円と減益で着地しています。
さらに直近3ヶ月(26年1-3月)の営業利益は前年同期比27.2%減の269億円と、下半期に減益幅が拡大しました。
人件費・修繕費などのコスト増が下半期に集中したほか、インバウンド客数が期初予想を下回っています。
市場をさらに失望させたのが、27年3月期の業績予想です。
売上高は前期比2.8%増の7,243億円を見込む一方、営業利益は同4.5%減の1,607億円と2期連続で減益となる見通し。
IFISコンセンサスで予想されていた約1,940億円を約17%下回るネガティブサプライズで、増配(年間16円予想)や特別株主優待の発表も株価下落を止められませんでした。

理由②|「増収減益」を生むコスト増が続く見通し
売上高は増えるのに利益が減るのは、費用の増加ペースが収益の増加ペースを上回っているからです。
そしてこのコスト増は一時的なものではなく、27年3月期以降も続く見通しです。
26年3月期のテーマパーク事業における営業利益の減少要因を決算説明会資料で確認すると、人件費の増加によって利益が112億円減少(賞与・一時金の計上差額-44億円、正社員人件費-43億円、準社員人件費-16億円)。
加えて諸経費の増加による利益減少が112億円(メンテナンス費-35億円、システム関連費用-25億円、租税公課-21億円)に上り、合計224億円が利益を押し下げました。
27年3月期もメンテナンス費や25周年イベント関連費用の増加を見込んでおり、先行投資が続く見通しです。

ホテル大規模修繕工事が27年3月期業績をさらに直撃|ミラコスタ最大11ヶ月休室
27年3月期の業績をさらに押し下げる要因が、ホテル事業の大規模修繕工事です。
決算説明会資料によると、2028年の東京ディズニーリゾート45周年に向けた客室修繕として2ホテルが長期工事に入ります。
東京ディズニーシー・ホテルミラコスタは2026年8月19日〜2027年7月20日、東京ディズニーセレブレーションホテルは2026年7月1日〜2027年3月31日の工期です。
ホテル事業全体でこの修繕工事を主因として売上高が約32億円減、営業利益が約61億円減となる見込みです。
26年3月期のホテル事業は売上高が前期比7.8%増の1,190億円・営業利益が同20.9%増の368億円と絶好調だっただけに、この反動は大きな痛手となります。
修繕完了後の集客力向上というプラス面はありますが、27年3月期の数字には直接マイナスが出ます。

入園者は横ばい・客単価頼み|成長モデルの変質をどう見るか
26年3月期のテーマパーク事業を分解すると、年間入園者数は前期比0.1%減の2,753万人とほぼ横ばいです。
事実上「入園者数の増加による成長」は止まっています。
その代わりにゲスト1人当たり売上高が前期比3.2%増の1万8,403円と過去最高を更新し、収益を支えている状態です。
現在の入園者数は、コロナ前のピークだった2018年度(3,255万人)と比べると、まだ約500万人少ない水準にあります。
変動価格制の導入によって来園コストが上昇している上に、インバウンドの回復も想定通りには進んでいません。
会社側も入園者数の増加よりゲスト1人当たり売上高の向上を優先する戦略にシフトしており、入園者増を起点とした業績の大幅回復は見込みにくいです。
客単価を引き上げてきた主な施策は、チケットの変動価格制とアトラクション待ち時間をスキップできる有料サービス「ディズニー・プレミアアクセス」の導入です。
決算説明会資料によると、27年3月期はゲスト1人当たり売上高を前期比1.7%増の1万8,712円と見込んでいます。

理由③|大株主売却が需給を悪化させた

業績以外にも、需給の問題が株価に大きく影響しています。
実は大株主の継続的な売却が、オリエンタルランドの上値を重くしてきたのです。
筆頭株主・京成電鉄がアクティビストの圧力で1,800万株を売却
筆頭株主の京成電鉄(保有比率約20%)は、2024年3月にオリエンタルランド株約1,640万株を801億円で売却しました。
続いて2024年11月にも1,800万株を1株3,435円、総額618億円で売却しています。
この背景には英国のアクティビスト「パリサー・キャピタル」からの圧力があります。
パリサーは、2026年3月末までに保有比率を15%未満に引き下げるよう繰り返し要求してきました。
さらに第3位大株主の三井不動産も別のアクティビスト「エリオット・マネジメント」から売却を求められており、大株主による売り圧力は1社にとどまりません。
これらが株価の上値を抑える需給の緩みとして作用し続けています。
有利子負債が1年間で約600億円増|社債発行で膨らむ財務リスク
貸借対照表を確認すると、社債が2,100億円から2,900億円へ約800億円増加し、長期借入金も19億円から106億円に増えています。
結果として有利子負債が1年間で約600億円増加し3,267億円に達しました。
ホテル修繕工事やクルーズ事業準備などの設備投資が背景にあります。
日銀が利上げを続けるなか、借入利息の負担が重くなるリスクがあり、財務面での懸念材料の1つです。
理由④|PER32倍と割高感が解消されていない

オリエンタルランドのPER(株価収益率)は、株価が大きく下がった現在でもまだ約32倍(2026年5月1日時点)と高い水準です。
同業他社と比較するとその割高感がよくわかります。
富士急ハイランドを運営する富士急行(9010)のPERは約23倍、サンリオ(8136)は約21倍です。
ディズニーブランドの圧倒的な強さと安定したキャッシュフローを評価して高PERが許容されてきた側面はあります。
しかし、成長率が鈍化し2期連続の減益が続く局面では、将来の成長を期待したプレミアムが剥落しやすくなります。
かつてPER50〜60倍台で取引されていた同社ですが、現在の32倍でもまだ割安とは言い切れません。
日銀利上げの局面では高PER銘柄が売られやすい仕組み
金利が上がると将来もらえるお金の現在の価値が低下します。
遠い将来の利益に大きな価値を置く高PER株ほど、この影響を受けやすいです。
日銀は2024年以降、段階的な利上げを続けており、2026年度中にさらに1〜2回の利上げがあるとの見方もあります。
こうした金利上昇の流れがオリエンタルランドのような高PER銘柄への向かい風となり、戻り待ちの売りが出やすい状況が続いています。
[関連]金利上昇でグロース株が大きく下落するのは何故?プロが根本的な理由を解説!
中長期のプラス材料|反転のきっかけは何か

下落材料が続く一方、中長期で見たプラス材料も存在します。
いつ底を打つかの判断は難しいですが、好材料を把握しておくと投資判断の助けになります。
ディズニーシー25周年「スパークリング・ジュビリー」の集客効果に注目
東京ディズニーシーは2026年4月15日から2027年3月31日まで25周年記念イベント「スパークリング・ジュビリー」を開催しています。
決算説明会資料によると、27年3月期の入園者数予想は前期比1.7%増の2,800万人を見込んでいます。
過去の周年イベントでは来園者が増加し、グッズ消費も活性化した実績があります。
株価反転に向けた最初の確認ポイントは、2026年7月末頃に発表を予定する27年3月期第1四半期決算で、入園者数と収益性の改善が確認できるかです。
2028年就航・ディズニークルーズが次の成長軸に
次の大きな成長の柱が「ディズニー・クルーズライン・ジャパン」事業です。
2026年4月3日に全額出資子会社「株式会社オリエンタルランド・クルーズ」が設立され、2028年度の就航開始・2029年度の通年稼働を目指しています。
決算説明会資料によると、27年3月期の「その他の事業」への投資額は1,002億円(前期84億円から918億円増)に達しており、この大半がクルーズ事業への先行投資です。
客室・飲食・エンターテイメントをワンパッケージで提供するクルーズ事業は、入園者数に左右されない新たな収益源として機能する可能性があります。
ただし本格就航までには時間がかかるため、株価材料として本格的に評価されるのは28年度以降になりそうです。

まとめ|オリエンタルランド株は今後どう動くか

オリエンタルランドの株価下落の理由は、「2期連続の減益見通し」「人件費・修繕費・ホテル工事によるコスト増」「大株主の継続売却による需給悪化」「PER32倍の割高感」の4点に集約されます。
一方、中長期では25周年イベントの集客効果と2028年就航予定のクルーズ事業という成長材料もあります。
株価反転に向けては、27年3月期第1四半期決算(2026年7月末頃発表予定)で入園者数と収益性の改善が数字で示されるかが、最初のポイントになります。
買いを狙っている場合には、次回決算発表に焦点を当てながら、入園者数の動向を見極めるのが良いでしょう。
本格反転はクルーズ就航とディズニーランドの45周年が重なる2028年頃になるかもしれません。
需給悪化が続いているため、夏の決算発表前後で価格の落ち着きを見ながら打診買いを狙うなど、慌てずに売買判断を行いたい局面です。

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執筆者情報
日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)
総合鉄鋼メーカーに勤務していた経験を活かした、鉄鋼・自動車市場の分析及び情報収集を得意とし、データの集計・分析に基づいた統計学により銘柄の選定を行う希少なデータアナリスト。AIに関する資格も有しておりデータサイエンティストとしても活躍の場を拡げている。

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