株の底打ちはどう判断する?トランプ相場の急落実例で学ぶサインの見極め方

日本投資機構 編集部

日本投資機構株式会社

株の底打ちはどう判断する?トランプ相場の急落実例で学ぶサインの見極め方

2025年4月の関税ショック、2026年3月の中東ショック——トランプ政権が発足してから、株式市場は短い間隔で急落を繰り返しています。次のショックがいつ来るかは誰にもわかりません。だからこそ「これが底なのか、まだ下があるのか」を判断する力が、今の相場で生き残るうえで欠かせないスキルになっています。

ただ正直に言うと、底打ちは後から振り返って初めてわかるもので、リアルタイムで断言することはプロでも難しいです。それでも「このあたりが底っぽい」と判断するためのサインは存在します。過去の相場で繰り返し現れたパターンを知っておくだけで、焦って売ったり、反発を取り逃がしたりするリスクをかなり減らせます。今回は底打ちのサインをテクニカル・ファンダメンタルズ・市場心理の3つの視点で整理し、実際に起きた2つの急落を実例として検証します。

目次

底打ちとは何か|「底を打った」と言えるのはいつ?

株の底打ちはどう判断する?トランプ相場の急落実例で学ぶサインの見極め方

まず言葉の整理から。底打ち・底入れ・セリングクライマックスは似ていますが、少しニュアンスが違います。ニュースや相場解説で混乱しないよう、違いを把握しておきましょう。

底打ち・底入れ・セリングクライマックスの違い

底打ち・底入れは同じ意味で、株価が下落トレンドの最安値をつけて上昇に転じることを指します。「底を打った」「底入れした」と過去形で使うことが多く、その時点ではまだ確定していないのが普通です。

セリングクライマックスは、底打ちの過程で起きる現象です。パニック売りが一気に集中し、出来高が急増しながら株価が大きく下落する「売りの最終局面」のことで、売りたい人が出尽くすことで需給が転換し、そこから反発しやすくなります。2025年4月の関税ショックや2026年3月の中東ショックでも観察されました。

底打ちが後からしかわからない理由は、「最安値かどうか」は時間が経って初めてわかるからです。反発したと思ったら再び安値を更新する「2番底」もあるため、1回の反発だけで底打ち確定とは言えません。

テクニカル分析で見る底打ちのサイン

株の底打ちはどう判断する?トランプ相場の急落実例で学ぶサインの見極め方

チャートや数値指標で「売られすぎ」や「トレンド転換」を読み取る方法です。1つだけでは信頼性が低く、複数のサインが重なるほど確度が上がります。

①セリングクライマックス|出来高急増+大陰線が「売り尽くし」のサイン

底打ちの典型的なパターンがセリングクライマックスです。目安として知られているのが、ストップ安銘柄が200銘柄超・東証プライム全体の売買代金が時価総額の1%超という数字です。こういった異常な投げ売りが集中した日の翌日以降、底打ちに向かいやすくなります。

2025年8月5日はまさにこのパターンで、日経平均は1日で4,451円安と過去最大の下落幅を記録しました。しかしその翌日から急反発が始まり、結果的にその日が底となりました。

②ローソク足の長い下ヒゲ|「買いが集まってきた」証拠

ローソク足の長い下ヒゲは、一時的に大きく売り込まれた後すぐに買い戻されたことを示します。「ここまで下がったら買いたい人が現れた」という値段の目安になるため、下値支持として機能します。

長い下ヒゲの翌日にさらに陽線が続くと、買いの勢いが増している証拠として信頼性が高まります。単発ではなく2〜3本の流れで確認するのがコツです。

③RSIが30以下|数字で「売られすぎ」を確認する

RSI(相対力指数)は、一定期間の値動きをもとに買われすぎ・売られすぎを0〜100の数値で示す指標です。30以下で売られすぎ、70以上で買われすぎが目安です。

RSIが30を下回ったからといってすぐ反発するわけではありませんが、過去の急落局面では30を割り込んだタイミング前後が底に近かったケースが多いです。他の指標と組み合わせて使うと効果的です。

④25日移動平均線からの乖離|「下げすぎ」を数字で見る

株価が25日移動平均線からマイナス7〜8%以上かい離すると「下げすぎ」とみなされ、反発しやすくなります。ただし歴史的な急落ではこれを大きく超えることもあります。

2025年4月の関税ショックでは4月7日時点でマイナス15.1%、2025年8月5日の急落ではマイナス20%超まで売り込まれてから底をつけました。大きな急落ほどオーバーシュートしやすく、「マイナスが大きいほど反発余地がある」という読み方が現実的です。

⑤騰落レシオが70以下|市場全体の売られすぎを見る

騰落レシオは、25日間の値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で割った指標です。70以下で売られすぎ、120以上で買われすぎが目安とされています。日経平均だけでなく市場全体が売られているかどうかを確認するのに使います。

自分の保有銘柄だけ見ていると「自分の銘柄が下げているだけで相場は大丈夫」と誤解しがちですが、騰落レシオが70を割り込んでいる場合は市場全体が売られすぎの状態です。

⑥ゴールデンクロス|底打ち「確認」のサイン

短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜けるゴールデンクロスは上昇トレンドへの転換を示す代表的なサインです。ただしこれが出るのは底打ちからしばらく経った後なので、「底で買う」ためのサインというより「底打ちを確認してから乗る」ためのサインです。

2025年4月の関税ショック後は5月にゴールデンクロスを達成、2026年4月下旬時点でも25日・75日移動平均線がゴールデンクロス目前の状態にあり、上昇トレンド復帰の確認目安として機能しています。

ファンダメンタルズ・市場心理で見る底打ちのサイン

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テクニカルだけでなく、バリュエーション(株価の割安感)や投資家心理の指標も底打ち判断に役立ちます。

日経平均PBRが1倍に近づいたとき

PBR(株価純資産倍率)1倍は、株価が企業の解散価値と等しい水準を意味します。日経平均全体のPBRが1倍に近づくと「さすがに売られすぎ」という意識が広がり、買い支えが入りやすくなります。

過去5年の日経平均PBRの最低値は、2020年3月が0.82倍、2021年8月が1.15倍、2022年9月が1.09倍、2023年1月が1.08倍、2024年8月が1.15倍でした。2025年4月の関税ショック時も1.2倍台まで低下しており、PBR1倍割れが近づくほど下値支持が強くなると覚えておきましょう。

Fear & Greed Indexが20以下になったとき

Fear & Greed Index(恐怖と強欲指数)は、市場の投資家心理を0〜100の数値で示す指標です。数値が低いほど投資家が恐怖に支配されており、経験則では20以下が「陰の極」として底打ち反転の目安とされています。

恐怖が最大になったとき、往々にして相場は底に近いです。逆張り投資の基本的な考え方のひとつです。

個人投資家センチメントの悪化+機関投資家のポジション圧縮が重なったとき

個人投資家の先行き見通しが極端に悪化し、かつ機関投資家がポジションを大幅に落とした状態が重なると、「もう売る人が少ない」状態に近づきます。2025年4月の関税ショック時はこの状態が重なり、底打ち後に海外勢が大幅な買い越しに転じて急反発しました。

実例で検証|トランプ相場の2つの急落はどう底打ちしたか

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ここまで解説したサインが、実際の相場でどう現れたかを2つの事例で振り返ります。

2025年4月・関税ショック|材料面の好転がテクニカルの売られすぎと重なった

2025年4月2日にトランプ大統領が相互関税の詳細を発表すると、想定を超える高税率に市場が反応し日経平均は急落。4月7日の終値は31,136円と年初来安値を更新し、前週末比2,644円安と過去3番目の下落幅を記録しました。

底打ちのサインとして観察されたのは、日経平均VIが50超のパニック売り25日移動平均からのマイナス15.1%乖離VIX指数40台への急上昇です。そして4月9日に相互関税の上乗せ分90日間停止が発表されると相場は急反転。5月13日には38,183円まで回復し、底から約1カ月で20%超の反発となりました。

2026年3月・中東ショック|2度のVIスパイクを経て3月31日が底に

2026年2月28日の米国・イスラエルによるイラン攻撃をきっかけに日経平均は急落し、3月4日・9日と2度にわたって日経平均VIが50を超えました。3月31日に年初来安値51,063円をつけた後、4月以降は反発に転じています。

底打ちのサインは、VIの2度のスパイク、25日移動平均からの大幅マイナス乖離、SOX指数が3月30日を底に反発して13連騰・上昇率26%、そして米・イランの停戦協議進展による地政学リスクの後退——これらが重なった形でした。4月16日には終値ベースの史上最高値59,518円まで上昇し、4月23日には一時6万円を突破しています。

2つの実例から学べること

どちらのケースも「テクニカルの売られすぎ」と「材料面でのリスク後退」が重なったタイミングで底打ちが確定しています。逆に、材料が解消されないまま反発した場合は2番底のリスクが残ります。下落の原因が「一時的なパニック売り」なのか「構造的な問題」なのかを見極めることが、底打ち判断で一番大切なポイントです。

まとめ|底打ちの判断は複数のサインを組み合わせて確認する

株の底打ちはどう判断する?トランプ相場の急落実例で学ぶサインの見極め方

底打ちを見極めるサインをまとめます。セリングクライマックス(出来高急増+大陰線)、ローソク足の長い下ヒゲ、RSIが30以下25日移動平均線からの大幅マイナスかい離騰落レシオ70以下日経平均PBRが1倍付近Fear & Greed Indexが20以下——これらのうち複数が重なったときに「底に近い」と判断する根拠が強まります。

トランプ政権が続く間は、次のショックがいつ来るかわかりません。完璧な底で買おうとするより、底っぽいところから少しずつ買い始める分割エントリーの方が、長い目で見れば着実に成果につながります。サインを頭に入れながら、落ち着いて相場と向き合いましょう。

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nari

日本投資機構 編集部

日本投資機構株式会社

INVEST LEADERSを運営する顧問投資会社「日本投資機構株式会社」の代表取締役を含めたスタッフ及びサポートアナリストの記事を掲載しています。株式投資や金融に纏わる話題は勿論のこと、読者の暮らしや生活を豊かにするトピックスや情報を共有していきます。

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