「億り人」という言葉が市民権を得て久しいですが、実際に1億円の資産を築いた人はどれくらいいるのか、ご存じでしょうか。
野村総合研究所の2025年2月の調査によれば、純金融資産1億円以上の世帯は日本全体で165万世帯。全世帯の約3%です。100人いたら3人しかいない計算ですが、裏を返せば「全員が狙える話ではないが、ゼロではない」という数字でもあります。
では、普通の会社員が100万円を元手に1億円を目指すとき、現実的にどういうルートがあるのか。今回は複利のシミュレーションと、ステージごとに変わる投資の考え方を整理してみます。
億り人とは何か|実態と平均像を知る

まず「億り人」の実像を整理しておきます。巷のイメージでは「株で一発当てた人」という印象が強いですが、データを見るとずいぶん違います。
億り人の定義と日本における人数・割合
野村総研の定義では、純金融資産(預貯金・株式・投資信託などから負債を引いた額)が1億円以上の世帯を「富裕層」、5億円以上を「超富裕層」と呼びます。2023年時点でこの両者を合わせると165.3万世帯。2021年の148.5万世帯から11%増えています。
増加の背景にあるのは株高と円安です。リスク性資産(株や投資信託)の比率が高い世帯ほど、この2年で資産が膨らみました。「勝ち組は最初からリスクを取っていた人たち」という構図が、データにはっきり出ています。
億り人はどんな投資手法で資産を築いたのか|野村総研調査から読む実態
野村総研が注目しているのが「いつの間にか富裕層」という新しい層です。従来の富裕層というと経営者や地主のイメージがありましたが、最近の増加分の多くは40〜50代の普通の会社員。持株会・確定拠出年金・NISAを地道に続けていたら、気がついたら1億円を超えていた、というパターンです。
この「いつの間にか富裕層」に共通するのは、株式などのリスク性資産への積極的な投資を継続していた点です。「コツコツ積み立てただけ」ではなく、「株式の比率を高く保ち続けた」というのが正確なところ。預貯金だけでは、どれだけ頑張っても届かない水準です。
「運よく当たった人」だけではない|再現性のある億り人の共通点
億り人の資産形成パターンを整理すると、大きく3つに分かれます。
①持株会や確定拠出年金で積み上げた
②株式などのリスク資産に積極的に投資した
③退職金の運用に成功した
——いずれも株式が主役です。
「一発当てた人」もいますが、それは少数派。再現性があるのは「株式比率を高く保ちながら長期で持ち続けた」という方法です。地味に聞こえますが、これが現実です。
100万円から1億円まで|複利シミュレーションで現実を知る

夢物語として語られがちな「100万円から1億円」ですが、数字に落としてみると意外と現実的な話でもあります。ただし「意外と現実的」というのは、時間がかかるという意味でもあります。
年利5%・10%・20%それぞれで何年かかるか
元本100万円を複利で運用した場合、1億円(100倍)に到達するまでの年数は次のようになります。
| 年利 | 1,000万円まで | 1億円まで |
|---|---|---|
| 5% | 約47年 | 約94年 |
| 10% | 約24年 | 約48年 |
| 20% | 約13年 | 約25年 |
| 30% | 約9年 | 約18年 |
年利5%では94年かかります。これは「インデックス投資だけでは1億円は難しい」という現実を示しています。年利10%で48年。現役で働きながら達成するには、もう少し高いリターンか、元本の上積みが必要になります。
[関連]インデックス投資の敵は暴落ではなく退屈|オルカン&SP500の投資戦略
元本100万円からのスタートが現実的な出発点である理由
「0円から始めればいい」という話ではありません。投資で複利を効かせるには、まとまった元本が必要です。100万円あれば年利10%で10万円の利益になりますが、10万円では1万円にしかなりません。
0円から100万円を貯めるフェーズは、投資の話というより節約と収入の話です。この段階を抜けてから、ようやく「お金を働かせる」ゲームが始まります。別コラムでも触れていますが、最初の100万円を作るまでが最初の関門です。
「入金力」が最初の壁|元本を増やすことの重要性
シミュレーションを見ると、リターンを高めることに目が行きがちですが、もう一つ強力な変数があります。それが追加入金です。毎月5万円を積み上げながら年利10%で運用した場合、100万円スタートでも15〜20年で1億円に届く計算になります。
「運用リターンを上げる」より「入金できる金額を増やす」方が、初期の段階では効果が大きいです。副業・昇給・支出削減——投資の話をする前に、入金力をどう上げるかを考えた方がいい局面は多いです。
100万円→1,000万円|投資の「型」を身につける最初の壁

複利の面白さが本格的に出てくるのは元本が大きくなってからですが、そこまでたどり着くのが一番しんどいフェーズです。100万円を10倍の1,000万円にする道のりには、さまざまな罠があります。
このフェーズが特に難しい理由|元本が小さいうちは複利が効きにくい
100万円の10%は10万円。これを再投資しても翌年の元本は110万円で、増分は1万円しか変わりません。複利の恩恵が体感できるようになるのは、元本が500万〜1,000万円を超えてからです。それまでは「頑張った割に増えない」という感覚が続きます。
この停滞感で投資をやめてしまう人が多いのも、このフェーズです。ここを乗り越えるには「今は仕込みの時期」という認識を持ちながら続けるしかありません。
損切りと銘柄分散|まず生き残ることを優先する
元本が小さいうちに一番やってはいけないのは、大きな損失を出してゼロに近い状態に戻ることです。100万円が50万円になれば、元に戻すだけで2倍にしなければなりません。
損切りのルールを決めておくこと、1銘柄に資産の大半を集中させないことが、このフェーズでの最優先事項です。「勝つこと」より「生き残ること」。地味ですが、ここを守れるかどうかが後のフェーズへの分岐点になります。
テーマ株で攻めながらインデックスで守るコア・サテライト戦略
資産全体を守りながら積み上げていくのに有効なのがコア・サテライト戦略です。資産の6〜7割を「コア」としてインデックスファンドや安定配当株に置き、残りの3〜4割を「サテライト」として成長テーマ株や個別銘柄に充てる方法です。
コアが安定した土台になるので、サテライト部分で積極的に動いても資産全体が壊滅するリスクを抑えられます。サテライトで失敗してもコアがある、サテライトで大きく勝てばコア部分の利益も上乗せされる——そういう設計です。
1本のテンバガーが壁を一気に突破する|試算と活かし方
コア・サテライト戦略でサテライト部分(30万円)にテンバガー銘柄を1本持てた場合、どうなるでしょうか。30万円が300万円になります。元の資産が100万円だったとすれば、コア70万円+サテライト300万円で合計370万円。複利だけで稼ぐなら何年もかかる道のりを、1本で一気に縮められます。
テンバガーを「必ず当てなければならないもの」と考えると重荷になりますが、「当たればラッキーではなく、狙いにいくもの」と捉えると戦略が変わります。サテライト部分で成長テーマ株を意識的にリサーチし、複数銘柄に分散して仕込んでおく。当たれば1,000万円の壁が一気に近づく。これがテンバガーの正しい使い方です。
[関連]テンバガーの候補銘柄と10倍を達成するお宝株の特徴を解説!
1,000万円→1億円|複利と時間が主役になるフェーズ

1,000万円を超えると、ゲームの性質が変わります。入金力よりも運用リターンの影響が大きくなり、お金が本格的にお金を生み始めます。
1,000万円を超えると「お金がお金を生む」構造になる
1,000万円の10%は100万円です。月8万円以上を副業や節約で捻出するのは大変ですが、1,000万円の運用で生み出せる利益は、追加入金を凌駕し始めます。ここから先は「働いて稼ぐ」より「資産が稼ぐ」比率が高くなっていきます。
1,000万円から年利15%で運用した場合、1億円到達まで約17年。年利20%なら約13年です。ここまで来れば、あとは時間が味方になります。
「売らない」という選択が複利を最大化する
複利の恩恵を最大化するうえで、意外と見落とされがちなのが「売らないこと」の重要性です。含み益が出ると売りたくなるのは自然な心理ですが、売ってしまった瞬間に複利の計算がリセットされます。
10倍になった銘柄を持ち続ければ次の10倍も狙えますが、利確した100万円を再投資してゼロから始めても同じことはできません。「持ち続けること」は戦略です。もちろん業績が崩れれば話は別ですが、成長が続いている銘柄を「利益が出たから」という理由だけで手放すのは、複利の敵です。
このフェーズで有効な集中投資の考え方
1,000万円を超えると、過度な分散がリターンを薄める可能性も出てきます。確信を持てる銘柄に一定の集中投資をすることで、複利の効果をより大きく享受できます。ただしこれは「十分な分析ができている」「損失が出ても立て直せる資産規模がある」という前提のうえでの話です。
分散はリスクを下げますが、リターンも下げます。このトレードオフをどこで取るかが、このフェーズの腕の見せ所です。
億り人への道で陥りやすい3つの失敗

長い道のりの中で、多くの人が同じパターンで躓きます。知っておくだけで避けられる失敗なので、確認しておきましょう。
焦りから「一発逆転」を狙って資産を溶かす
「なかなか増えない」という停滞感から、信用取引やレバレッジを使って一気に増やそうとするのが最も多いパターンです。うまくいけば加速できますが、失敗すると元本が大きく毀損します。元本が減れば複利の計算が大きく狂い、億り人への道が数年単位で遠のきます。
特に「大きく損をした後」に焦って取り戻そうとするのが危険です。損失を取り戻そうとするとき、人は普段より大きなリスクを取りたくなります。これが「損失の連鎖」の始まりです。
利益確定を急ぎすぎて複利効果を手放す
「少し上がったら売る」を繰り返すと、複利が全く機能しません。10倍になる銘柄は、途中で30〜50%下がる局面が何度も来ます。そのたびに売っていたら、10倍の恩恵は受けられません。
売る理由は「業績が変わった」「テーマが終わった」であるべきで、「上がったから」は売る理由になりません。
テーマ株に全力集中して分散を忘れる
成長テーマへの集中投資が功を奏した経験があると、次も同じことをしたくなります。しかしテーマ株は、外れたときの下落も急激です。全資産を一つのテーマに集中させていると、そのテーマが崩れたとき逃げ場がありません。
コア・サテライト戦略の「コア部分を守る」という設計は、こういうリスクへの保険でもあります。サテライトで大きく張りながら、コアで最悪の事態を防ぐ。このバランスを忘れないことが、長丁場を生き残る条件です。
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まとめ|テンバガーも夢ではなく「戦略の一部」として組み込む

100万円から1億円への道のりを整理すると、こんな流れになります。まず入金力を高めながら100万円を守り、コア・サテライトで少しずつ増やしていく。サテライト部分でテンバガーを狙いにいき、当たれば1,000万円への壁を一気に縮める。1,000万円を超えたら複利と時間を武器に、売らずに持ち続ける。
テンバガーはこの流れの中の「アクセル」です。なくても前に進めますが、あれば何年分もの時間を節約できます。「テンバガーを当てなければ億り人になれない」ではなく、「テンバガーは確率を上げる手段のひとつ」という位置づけが正確です。
再現性があるのは、焦らず・売らず・分散しながら長期で株式資産を積み上げていくことです。「いつの間にか富裕層」という言葉が示す通り、気がついたら1億円を超えていた——そういう道のりが、実は最も現実的な億り人への近道かもしれません。

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日本投資機構株式会社
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