ヒューマンメイドの将来性・配当・株価見通しは?ブランド株として注目!

ヒューマンメイドの将来性・配当・株価見通しは?ブランド株として注目!

世界的デザイナーであるNIGO氏が率いるアパレルブランド「ヒューマンメイド(HUMAN MADE)」が、2025年11月27日に東証グロース市場に上場。
想定時価総額717億円とアパレル系のIPOではかなり大型の案件です。

独自の世界観と高いブランド力、そして海外売上の高さを背景に、国内外の機関投資家からも関心を集めているカルチャー株・ブランド株と言えるでしょう。
本記事では、事業内容や業績・成長性に加え、配当や株価のセカンダリー戦略まで、投資家目線で整理していきます。

目次

ヒューマンメイドとは?会社概要と事業の強み

ヒューマンメイドは2016年設立、本社を東京・品川区に置くアパレル企業で、衣料品や雑貨を中核ブランド「HUMAN MADE」名義で展開しています。
ヴィンテージライクなデザインと職人的なものづくりを重視するカルチャー企業としての色彩が強いのが特徴です。

ECと国内外の直営店に加え、世界各国の有力セレクトショップへの卸売、著名ブランドとのコラボレーションを通じてグローバルにファンベースを拡大してきました。
日本市場には企画会社・SPAは多いものの、ブランドそのものに投資できる上場銘柄は多くないため、ヒューマンメイドは希少なブランド企業としての位置付けが期待されます
特に以下のような点が同社の強みだと考えられます。

強み①|世界的ファッションアイコンによるブランド力

ヒューマンメイドの創業者のNIGO氏は、「A BATHING APE®」やKENZOなどを手掛けてきた世界的ストリートファッションデザイナーです。
その名は欧米・アジアのファッション感度の高い層に広く知られています。

ナイキ、リーバイス、ポケモンなど世界的ブランドとのコラボレーション実績も豊富で、1つひとつのコラボがニュースとして拡散されるため、広告宣伝費を過度にかけずとも世界中でブランド認知を高められています

強み②|海外売上高比率の高さ

ヒューマンメイドは、インバウンド需要の取り込みを進めており、25年1月期の国内店舗の免税売上は全体の約37%まで拡大しています。
また、32か国以上に商品を卸しており、売上の約64%が海外需要と収益の中心がグローバル市場に移っています。

今後は中国などポテンシャルの大きい国を「主戦場」と位置付けて、リスクを取りながら現地法人や直営店・ECの整備を進める方針です。

強み③|希少性の高い商品構成による高い粗利率

ヒューマンメイドは「セールをほとんど行わず、作った商品はほぼ完売させる」戦略を採用しており、いわゆる大量生産・値引き販売型のアパレルとは真逆のビジネスモデルです。
限定的なロットで高付加価値の商品を展開することで高いマージンを実現しており、粗利率は7割前後に達したとの報道も出ています。

ヒューマンメイドの売上高規模は?決算を確認

ヒューマンメイドの直近5期の売上高を見ると、21年1月期の18.5億円から25年1月期の112.6億円と、この4年間で約6倍まで拡大しています。
また、経常利益も5.8億円から31.8億円と高成長を続けています。
さらに、25年1月期の営業利益率は28.2%、ROEも41.9%超と、上場アパレルの中でも突出した収益性を示しています。

26年1月期の売上高は136.97億円(前期比21.7%増)、経常利益は36.35億円(同14.5%増)と、増収増益を見込んでいます。

成長のけん引役は、訪日外国人の増加を背景としたインバウンド売上と、海外EC・海外卸売の拡大であり、円安環境も追い風になっています。

ヒューマンメイドの成長を支えるファッション市場の拡大

世界のストリートウェア市場は、調査会社Mordor Intelligenceによると2025年時点で約2,100億ドル規模とされ、2030年にかけて年平均約4%の成長が見込まれています

特に、高感度ストリートや“少し高めのデザイナーズブランドへの志向が若年層・富裕層の双方で強まっています。
ヒューマンメイドのようにカルチャー性の高いブランドには、アパレルとしてだけでなくコレクション品としての需要も生まれています。

ヒューマンメイドは、今後も新ラインやコラボレーションを通じて多様な顧客層にリーチする方針です。

ヒューマンメイドと同業他社を比較

ヒューマンメイドの強みを把握するために、同業他社と営業利益率を比較してみましょう。

ブランド力を重視し海外展開も行う国内アパレル企業である、ユナイテッドアローズとオンワードホールディングスを比較対象に挙げると、今期の予想営業利益率はいずれも5%前後にとどまります
(ユナイテッドアローズ:5.4%、オンワードホールディングス:5.0%)

一方で、ヒューマンメイドの直近期の営業利益率は28.2%となっており、同じアパレルでも粗利構造がまったく異なることが分かります。

大量生産・値引きセールに頼るよりも、「少量高単価」「完売前提」のモデルでブランド価値を維持している点が、同社が市場でプレミアム評価を受けやすい理由と言えるでしょう。

上場後に株価上昇のチャンスはあるか?

ヒューマンメイドの公開価格ベースの予想PERはおおよそ26〜27倍、PBRは8倍台となっています。
バリュー株というよりは成長株としての価格付けです。

一方で、時価総額約717億円という規模感にもかかわらず、機関投資家からの需要は高く、ブルームバーグによれば仮条件提示翌日のブックビル倍率は10倍超に達したとされています。

いわゆる「ブランド銘柄」「カルチャー銘柄」は、ファンベースと話題性を背景にテーマ株として資金が入りやすい傾向があり、ヒューマンメイドもこのカテゴリーに属する銘柄と考えられます。
詳しくポイントを見ていきましょう。

ポイント①|「ブランド銘柄」というテーマで資金が入りやすい

株式市場では、話題性のある新しいテーマに資金が向かいやすい傾向があります。

ヒューマンメイドは、世界的デザイナーであるNIGO氏による海外ファンが多い稀少な日本発ブランドで、コラボを発信源とした継続的な話題性といった魅力を持つため、IPOの中でも特に注目を集めるカテゴリに属する銘柄です。
つまり、上場後のセカンダリー市場でも、投資家の「買う理由」が多く、資金が入りやすい銘柄と言えます。

ポイント②|海外比率が高く、業績が伸びやすい

成長株のセカンダリー投資で意識されやすいのは、中期の売上成長シナリオが描けるかという部分です。

ヒューマンメイドの場合、海外ECの拡大や世界的コラボによる認知拡大、ブランド力を活かした価格決定権が強く利益率を高めやすい構造など、業績の追い風となる要素が明確です。

これは、株価が評価される上で非常に重要であり、数字で成長が証明されやすい=バリュエーションの切り上げ余地が大きいと考えられます。

ヒューマンメイド株の投資戦略と注意点

ヒューマンメイドに投資する際には、IPOの基本情報だけではなく、需給構造を見極めて、セカンダリー投資におけるタイミングとスタンスをどう取るかが重要です。

ここでは、IPOの基本情報とリスク、そして実際に投資する場合の戦略について整理します。

ヒューマンメイド株 IPOの初値&基本情報

ヒューマンメイドに投資する上で、まずは基本的な情報を押さえておきましょう。

公開価格3,130円
時価総額717億円(公開価格ベース)
上場市場東証グロース
主幹事野村證券・みずほ証券の共同主幹事

ヒューマンメイドの配当と株主還元方針

現時点でヒューマンメイドに配当実績はありません。
上場後もしばらくは、国内外の出店・EC投資・人材採用など成長投資を優先するフェーズが続くと考えられるため、「配当をもらう銘柄」というよりは「ブランド価値と株価の成長に乗る銘柄」と捉えるのが現実的です。

上場後の株価はどうなる?セカンダリー投資のポイント

上場後の株価の動きを予想する上では、「誰が株を持っているか」「今後株を売る可能性があるか」という需給バランスの見極めが重要です。

大株主にベンチャーキャピタルは確認されず、NIGO氏やPharrell氏など既存株主には180〜360日のロックアップが設定されているため、少なくとも上場から半年〜1年は大口の売り圧力は限定的とみられます。

また、初値が公開価格3,130円を超えるかには注目です。
ヒューマンメイドの場合、投資家の注目度が高いため、初値が公開価格を下回るいわゆる「公募割れ」になる可能性は低いとみています。

セカンダリーを狙うならまずは、初値がついてから上値追いとなるかを見極めましょう。
初値形成後は、以下の点に注意して売買判断をしたいです。

初値形成直後のボラティリティに注意

IPO規模が大きく、公開価格前後に短期資金が出入りしやすいため、初値直後は値動きが荒くなる可能性があります。初値が公開価格の1.3〜1.5倍程度であれば、中期的な成長を見込みつつ押し目を待つ、という戦略も検討余地があります。

決算ごとの成長トレンドを確認

高いPER・PBRが許容されるのは、成長と高い利益率が続いている間です。
長期目線で投資する場合には、売上成長率やインバウンド・海外売上比率の推移、粗利率が維持できているかを、四半期決算ごとにチェックするのが良いでしょう。

ブランドリスク・キーパーソンリスク

ブランドビジネスの宿命として、カルチャーの潮目やデザイナーの評価が変わると、売上も急変するリスクがあります。
NIGO氏のクリエイティブへの依存度が高い点は、長期投資家にとって常に意識しておきたいポイントです。

まとめ|希少なブランド企業としての成長に期待

ヒューマンメイドは、世界的デザイナーNIGO氏が創業したストリートブランドで、海外売上比率の高さと7割前後の粗利率を誇る、希少な「ブランド企業」型のIPOです。
2025年1月期までの売上・利益は右肩上がりで、高成長ストーリーが明確です。

一方で、公開価格ベースのPER30倍超・PBR10倍超とバリュエーションは高く、配当も当面期待しにくいため、投資を行う際には「ブランド価値と成長シナリオが続くか」を常に点検する必要があるでしょう。
ロックアップや機関投資家需要を踏まえると、需給面は比較的良好であり、決算ごとに成長が確認できる限り、ブランド株として中長期の株価上昇余地は十分にあると考えられます。

セカンダリーでの投資を検討する場合は、初値の位置とその後の調整局面を冷静に見極めつつ、「ブランドの世界観に共感できるか」「3〜5年後も今のファンベースが広がっているか」という視点で、自分なりの投資ストーリーを描いていくと良いでしょう。

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執筆者情報

nari

遠藤 悠市

日本投資機構株式会社 投資戦略部 室長

大学時代に投資家である祖母の影響で日本株のトレーディングを始める。大学時代、アベノミクスの恩恵も受けて資金を増やすことに成功する。卒業後、証券会社、投資顧問会社を経て2019年2月より日本投資機構株式会社の分析者に就任。モメンタム分析を最も得意としており、IPO(新規上場株)やセクター分析にも長けたアナリスト。

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