レアアース関連銘柄の将来性と投資戦略を徹底解説

レアアース関連銘柄の将来性と投資戦略を徹底解説

レアアースはEV・風力発電・半導体に欠かせない戦略資源であり、中国の供給支配が長らくリスクとされてきました。過去には輸出規制や政策期待をきっかけに関連銘柄が急騰した事例も多く、投資テーマとして根強い人気を持ちます。

本稿では、投資初心者にも理解できる形でレアアース市場の基礎から過去の急騰例、代表的な関連銘柄、将来展望までを整理し、分散投資の一助となる視点を解説します。

目次

レアアースは各国が確保に力を入れる「戦略資源」

レアアース

レアアースは17種類の希土類元素の総称で、EVモーター、風力タービン、半導体、さらには防衛装備にまで広く使われています。これらの消費が増える一方で、供給には限界があるため、各国が確保に力を入れる「戦略資源」とされています。

用途の広がり

EVの永久磁石、スマートフォンのスピーカー、データセンター用のサーバー、レーダーやミサイルの制御システムなど、活用範囲は多岐にわたります。複数の成長産業と直結しているため、レアアース価格は世界経済の動向と密接に連動します。

供給の偏在

世界のレアアース鉱山生産量の約 6~7割を中国が担い、精製・分離・加工工程(中間処理)では中国が約 9割を支配しているとの見方が有力です。

この偏在構造は国際市場にとって大きな不安定要因となり、過去には輸出規制や外交摩擦を背景に価格が急騰したこともあります。一国依存の供給体制自体が、投資家にとってリスクとチャンスを同時に意識させる要素となっています。

レアアースの市場規模と需要の拡大

レアアース市場は、脱炭素化やデジタル化の進展を背景に拡大基調を維持しています。特にEVや再エネ関連の設備投資が続く限り、中長期的に需要は堅調と見込まれています。

市場規模の推移

多くの調査で、世界のレアアース元素市場規模は 2024年時点で 3〜4 十億ドル程度と推定され、2030年には 6〜7 十億ドル水準に拡大する見通しが一般的です(例:Grand View Research による 2024 → 2030 の CAGR 8.6% の予測)

一方、磁石用途限定や用途特化型の強気シナリオでは、2040年に数十~数百億ドル規模に拡大するという仮説も見られます。(例:Adamas Intelligence は磁石用途レアアース酸化物の価値が 5倍になる可能性を示唆)

需要のドライバー

EVモーターに使われるネオジム磁石は1台あたり数kgが必要とされ、販売台数の拡大と比例して需要が急増しています。さらに、風力発電や産業用ロボット、データセンターなどでも用途が広がっており、エネルギー転換と技術革新が需要成長を下支えしています。

レアアース関連銘柄は資源ナショナリズムの影響を強く受ける

供給を中国が握っている構造から、政策や外交が価格・株価に与える影響は大きく、資源ナショナリズムの動きが投資家心理を刺激しやすい状況にあります。

代替供給の動き

オーストラリアのライナスや米国マウンテンパス鉱山など、他国の供給体制強化が進められており、日本でもベトナム・インドとの調達多角化が模索されています。供給多様化には時間を要しますが、テーマ性の持続に寄与しています。

レアアース関連銘柄の過去急騰事例

レアアース市場は供給国の思惑や国際情勢に左右されやすく、突発的なニュースが株価を大きく動かしてきました。過去の急騰事例を振り返ることで、投資家がどのように反応するかを理解できます。

2010年:中国輸出規制ショック

石原産業 2009年12月から2011年5月までの月足チャート TradingViewより引用

中国が輸出規制を強化すると、レアアース価格は一気に高騰。石原産業(4028)も同年2倍以上に跳ねました。供給不安が投資家心理を直撃し、「代替調達」「備蓄関連」のテーマ買いが殺到した典型です。

2017年以降、アサカ理研が度々急騰

アサカ理研 2017年1月から2018年3月までの月足チャート TradingViewより引用

中国の違法採掘取り締まりが強化されると、リサイクル事業を展開するアサカ理研(5724)が脚光を浴び、株価は数か月で2倍近くに上昇しました。

投資家は「資源循環」という新テーマに敏感に反応し、持続可能性の要素が株価の裏付けとなった局面です。

2020年:EVシフトの追い風

アサカ理研 2020年1月から2021年1月までの月足チャート TradingViewより引用

世界的にEV販売が前年比で倍増すると、モーター用磁石需要が急拡大。アサカ理研が再び買われ、アサカ理研は年初から年末にかけて株価が約3.5倍に上昇しました。

投資家は「脱炭素=レアアース需要」という単純明快なストーリーに資金を集中させました。

2022年:資源安全保障の意識

アサカ理研 2021年12月から2022年12月までの月足チャート TradingViewより引用

ロシア・ウクライナ情勢で資源ナショナリズムが強まると、非鉄金属全体が急伸。ここでもアサカ理研は1か月で株価が40%上昇しました。安全保障を背景としたテーマ株買いは、市場心理が「防衛・資源確保」へ傾く好例でした。

レアアース関連銘柄における投資家心理の特徴

レアアース関連銘柄の値動きは、材料の鮮度やテーマ性の強さに大きく左右されます。投資家は供給リスクや新産業シナリオを敏感に意識し、突発的なニュースをきっかけに一斉に動く傾向が強いのが特徴です。

供給不安と群集行動

中国依存のリスクや輸出規制報道が出ると、代替調達や備蓄関連株に資金が集中します。需給リスクは「防衛本能」に近い反応を市場に生み、群集行動として急騰に直結します。

新産業テーマとの直結

EVや再エネが政策や産業ニュースで強調されると、モーターや電池に絡む銘柄が先行して上昇します。投資家は「次の成長シナリオ」を先取りしようとするため、思惑買いが繰り返されやすい領域です。

地政学リスクと投機資金

外交摩擦や安全保障の報道が出た際は、防衛や海洋資源関連銘柄に短期資金が殺到するケースが多く見られます。急騰幅が拡大しやすい一方で反動も早いため、材料の持続性が投資成果を分ける要因となります。

レアアース関連銘柄の急騰事例:三井海洋開発に集まる視線

2022年7月から2025年9月までの月足チャート TradingViewより引用

レアアースを直接採掘する企業ではないものの、海底資源開発の技術力を持つ三井海洋開発(6269)は、近年「レアアース国産化」の期待から投資家の注目を浴びています。

資源ナショナリズムが強まる局面では、安全保障や政策の後押しを背景に株価が大きく動くことが特徴です。

海底資源の可能性

南鳥島周辺の海域では、世界有数規模のレアアース泥が発見され、国家プロジェクトとして調査・採掘の研究が進められています。

こうしたニュースが出るたびに、海洋資源関連の中心株として三井海洋開発が強く買われる傾向があります。

株価の爆発力

2023年末から2024年にかけては「海底鉱物資源の国産化期待」が再燃し、株価は短期間で2倍近く上昇しました。

投資家心理は「未知のフロンティアを切り拓く成長ストーリー」に引き寄せられ、思惑買いが集中する典型例となりました。

レアアース関連銘柄の三井海洋開発と投資家心理の相乗効果

三井海洋開発(6269)がレアアース関連銘柄として注目される背景には、投資家心理と政策テーマの強い結びつきがあります。需給リスクや国策支援が絡むことで、市場は短期急騰から中長期の成長期待まで幅広いシナリオを織り込みやすくなっています。

国策との親和性

世界生産の約6割を占める中国への依存を減らすことは、日本の経済安全保障上の最重要課題です。同社は海底資源開発の技術を持ち、独自調達網を築く切り札として期待されていますので、国策に直結するテーマ性が株価を押し上げる構造です。

海底資源の「夢」

南鳥島のレアアース泥は、国内需要を数百年分まかなえる規模と推定されています。未開拓の資源は「夢のシナリオ」として投資家心理を刺激し、技術進展や報道だけでも思惑買いを呼び込みやすい特徴があります。

その他のレアアース関連注目銘柄

銘柄名 市場企業概要
【5707】東邦亜鉛東証プライム非鉄金属の製錬大手で、亜鉛・鉛・銀を中心に精錬事業を展開。国内の秋田・小名浜などに自社製錬所を持ち、国産資源確保の流れでたびたび物色される資源株なため、中国依存を減らすレアメタル供給体制の一角として期待される。
【5714】DOWAホールディングス東証プライム製錬・リサイクル・環境処理を一貫展開する非鉄大手。使用済み電子機器などからレアアース・レアメタルを高効率で抽出する「都市鉱山回収」技術を持つ。カーボンニュートラル・資源循環の両面で脚光を浴びる存在。
【5715】古河機械金属東証プライム鉱山機械・資源機器を中心とした老舗重工メーカー。レアアース採掘向けの破砕機や掘削機を供給し、採掘現場を支える間接的なレアメタル関連株として注目。EV向け磁石材料や金属粉末分野への展開も広がりつつある。
【6297】鉱研工業東証スタンダード資源開発向けのボーリングマシンを製造する中堅企業。地熱・鉱山・水資源探査などに対応し、レアアース開発の上流(探鉱・採掘)を支える地中インフラ銘柄。安値圏にあるときはテーマ物色で短期資金が流入しやすい。
【1662】石油資源開発東証プライム国内外でエネルギー資源の探鉱・開発を行う準国策企業。近年は石油・ガスに加えて、戦略物資としてのレアアースやレアメタルへの探査体制強化を進める。エネルギーと資源の両軸で注目される総合資源開発銘柄。

レアアース関連銘柄に投資する際の注意点

レアアースは「将来性のある資源」として注目されていますが、その分リスクも多く、慎重な判断が欠かせません。

価格変動の大きさ

レアアースは地政学や各国の政策によって価格が大きく変わります。短期間で数倍に跳ね上がることもあれば、同じくらい急落することも珍しくありません

関連銘柄の株価もそれに強く連動するため、短期で投資する場合は「値動きが激しい」という点を理解し、損失が出ても対応できる資金管理が大切です。

技術革新の影響

リサイクル技術が進んだり、レアアースを使わない代替素材が開発されたりすると、新しい鉱山開発の必要性が減ることがあります。そうなると、一部の銘柄は思ったほど伸びなくなる可能性があります。

投資する際には、技術の進歩や業界の動きにも目を配り、「今後も成長が続くのか」を見極めることが重要です。

レアアース関連銘柄が注目される4大成長分野とは

EV・再エネ・防衛・ハイテク――あらゆる先端分野がレアアースを必要としており、その需要拡大が関連銘柄の成長シナリオを支えています。

EV市場の伸び

国際エネルギー機関(IEA)の予測によれば、2035年には世界の新車販売におけるEVのシェアが50%を超えるとされており、年間約1億台の販売規模を前提にすれば5,000万台規模のEVが毎年販売される計算になります。

EVモーターに使われるネオジム磁石などの需要はこの成長に伴い急拡大しており、ジスプロシウムやテルビウムなど高性能磁石用レアアースの消費も数倍化が見込まれています。

再エネ設備の拡大

風力発電の成長もレアアース需要を押し上げています。市場調査によれば、世界風力発電市場は2022年の約1,273億ドルから、2030年には約2,472億ドルへと約2倍規模に拡大する見込みです(CAGR 約8.6%)。

発電用タービンの多くでネオジム系磁石を用いた直結型発電機が採用されており、レアアース磁石の需要は再エネの普及ペースとともに安定成長が期待されています。

軍需・ハイテク分野

レアアースは、ステルス戦闘機の吸波素材、誘導ミサイルの制御モーター、軍用レーダーやソナーなどの高度電子装備に使用されており、各国の防衛強化とともに戦略的価値が高まっています。

米国防総省や欧州各国でもレアアースの備蓄や供給網強化が進められており、防衛関連のレアアース需要は今後も高水準で推移する見通しです。

ハイテク・半導体製造分野

レアアースは、半導体製造装置のリトグラフィー機構やエッチング装置、光学コーティング材料、データセンター用サーバーの冷却装置などにも使用されています。

中でもネオジムやセリウム、イットリウムなどは、電子機器の小型化・高性能化に不可欠とされ、AI、IoT、次世代通信の進展に伴って需要が広がる分野となっています。

まとめ

レアアースは、EVや再エネ、半導体、防衛など成長が見込まれる複数の分野にまたがる戦略資源です。

供給の偏在や地政学リスクにより、短期的には価格や株価が大きく動く局面もありますが、長期的には世界的なエネルギー転換や経済安全保障の流れを背景に、安定した需要拡大が続くと見られています。

投資を考える上では、安定感のある大手銘柄と、成長余地の大きい中小型テーマ株をバランスよく組み合わせることがカギです。

動きの大きいテーマだからこそ、視野を広く持ち、長期的な視点で捉える姿勢が求められます。

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執筆者情報

nari

大畠 典仁

本部長

準大手の証券会社にて資産運用のアドバイザーを務めた後、日本株主力の投資顧問会社の支店長となる。現在は日本投資機構株式会社の筆頭アナリストとして多くのお客様に株式投資の助言を行いつつ、YouTubeチャンネルにも積極的に出演しており、資産運用の重要さを発信している。

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