レアアース関連銘柄を揺さぶった中国の対日規制|2026年の値動きを時系列で解説

金融ライター K.Y

金融ライター

レアアース関連銘柄を揺さぶった中国の対日規制|2026年の値動きを時系列で解説

2026年1月6日、中国商務部は日本向けの軍民両用品目について輸出管理を強化すると発表しました。レアアース関連銘柄はこの発表を境に大きく動き、翌7日には日経平均株価とTOPIXが最高値の更新から一転して反落しています。

本稿では、規制が発表からどのように展開してきたか、半年間の経緯を時系列で整理します。あわせて、レアアース関連銘柄に投資するうえで押さえておきたいポイントも解説します。

目次

2026年1月、レアアース関連銘柄を動かした規制ショックの全貌

2026年1月、レアアース関連銘柄を動かした規制ショックの全貌

1月6日|デュアルユース品目の輸出管理強化を発表

中国商務部は2026年1月6日、日本向けの軍民両用品目について輸出管理を強化すると発表しました。対象品目は具体的に明記されていませんが、レアアース関連製品が含まれるとの見方が市場に広がっています。

中国が禁じるとしたのは、日本の軍事ユーザー向け、軍事目的、日本の軍事力強化につながる輸出です。民生品には影響しないとの説明がある一方、AIやドローンのように軍事と民生の線引きが曖昧な製品は少なくありません。恣意的に運用されるリスクが、市場では強く意識されました。

1月7日|日経平均は最高値更新から一転反落

規制発表を受けた翌1月7日、株式市場では警戒感が一気に強まりました。日経平均株価とTOPIXは、前日にそろって過去最高値を更新した直後だっただけに、反落のインパクトは大きくなっています。

日経平均は取引時間中に5万2000円を割り込む場面も見られ、レアアース関連の思惑買いと利益確定売りが交錯する荒い値動きとなりました。三井金属など関連企業の担当者からも「規制がどこまで厳しくなるか、現時点では見通しづらい」との声が上がっています。

追い打ちの「ジクロロシラン」ダンピング調査

1月7日には、中国商務部が日本から輸入する半導体材料ジクロロシランについて、ダンピングの疑いで調査を開始すると発表しました。輸出規制の翌日に輸入規制を重ねる二正面の対応であり、経済合理性より政治的な意図を優先した判断とみる向きが広がっています。

過去の規制ショックと何が違うのか|2010年・2025年4月との比較

過去の規制ショックと何が違うのか|2010年・2025年4月との比較

2010年は「輸出停止」、2026年は「予見できない審査」

2010年、尖閣諸島沖での漁船衝突事件をきっかけに中国の対日レアアース輸出が滞り、輸入量は8月比で9割以上落ち込みました。ネオジムなどの価格は数倍に跳ね上がり、代替調達や備蓄をテーマにした買いが相場全体に広がっています。

当時は数か月で輸出が正常化しましたが、今回の規制はやや性格が異なります。全面禁止ではなく、輸出許可を個別審査に切り替える運用が続いており、次にいつ許可が下りるか読めない「予見性のなさ」こそが、企業の調達計画を揺さぶっています。

2025年4月の対米報復規制で磁石輸出が7割減った前例

2025年4月には、米国の高関税措置に対する報復で、中国が7種類のレアアースの輸出管理を強化しました。この影響で、同年5月のレアアース磁石輸出量は前年同月比で7割減少し、EVやハイブリッド車の駆動用モーター生産に支障が出た経緯があります。

今回の対日規制も、同様の供給停滞につながるかどうかが焦点です。中国は過去にも規制のカードを段階的に使い分けており、日本企業は複数の前例を踏まえたリスク管理を求められています。

規制から半年、実際の輸入はどう変化したか

規制から半年、実際の輸入はどう変化したか

全体の輸入量に大きな変化はない

規制発表から半年が過ぎた2026年6月時点の分析では、日本の対中レアアース輸入は全体で見ると大きな変化が見られていません。国家備蓄や調達先の多様化が、短期的な供給不安を和らげている面があります。

半導体材料「酸化イットリウム」は輸入が激減

一方で、半導体製造に使われる酸化イットリウムに限っては、中国からの輸入が実質的に止まりかねない水準まで落ち込んでいます。酸化イットリウムは、米国の対中半導体輸出規制への対抗措置であり、狙い撃ちされたとの見方があります。

軍事転用が可能な重希土類ほど、今後も抑制が続く可能性があります。半導体業界を中心に、民生用品の製造にも影響が広がる懸念は消えていません。

市場の見方は「政治的圧力」か「本格的な供給断絶」か

市場の見方は「政治的圧力」か「本格的な供給断絶」か

エコノミストが指摘する「限定的な影響」シナリオ

野村證券などのリポートでは、2010年の禁輸が短期間で解除された経緯や、日本企業が備蓄・代替材料の活用を進めてきた経緯を踏まえ、レアアースに限れば経済的な損失は限定的にとどまるとの見方が示されています。

今回の措置についても、日本への政治的圧力が主眼であり、具体的な規制強化の動きが見られなければ市場の懸念は後退していくとの分析があります。

それでも残る「予見性のなさ」というリスク

一方で、野村総合研究所の試算では、対中輸入が3か月停止した場合の経済損失は約6,600億円、1年間続けば2.6兆円に達するとされています。輸入停止が長期化するシナリオでは、GDPへの影響も無視できない水準になるとの指摘があります。

規制の対象品目や許可の運用がどう変わっていくか、継続的に確認する必要があります。

レアアース関連銘柄に投資する際に押さえておきたいポイント

レアアース関連銘柄に投資する際に押さえておきたいポイント

レアアース関連銘柄は、規制のニュース1本で急騰・急落を繰り返しやすいテーマです。恩恵の受け方別に本命株を整理した一覧は、以下の記事で詳しく解説しています。

また、都市鉱山からのリサイクルを通じて資源循環に取り組む企業については、以下の記事で整理しています。

まとめ|規制のニュースフローを追いながら投資判断を

2026年1月の対日輸出規制は、日本の防衛力強化路線に対する中国側の圧力という側面が強いとみられています。半年が経過した現在も、全体の輸入量に大きな変化はない一方、半導体材料など一部の品目では輸入が実質的に止まっています。

レアアース関連銘柄に投資する際は、規制の対象品目や運用がどう変化しているかを継続的に追いながら、政治的な思惑と実際の供給リスクを分けて考える姿勢が欠かせません。

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執筆者情報

nari

金融ライター K.Y

金融ライター

2016年大手証券会社に入社、2018年に最大手オンライン証券会社に入社し、機関投資家部門(ホールセール)を立ち上げ、翌年2019年には同社シンガポール拠点設立。2022年より日系証券会社の運用部にてポートフォリオマネジャーの経験を得て以降、一貫して運用業務に従事。

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