株の1円抜きは難しい?コツや銘柄の選び方などのポイントをアナリストが解説!

株の1円抜きは難しい?コツや銘柄の選び方などのポイントをアナリストが解説!

1円抜きとは、株価が1円上がった瞬間に利益を確定するシンプルなトレードです。
しかし、実際に利益を積み上げるには「銘柄選び」「手数料対策」「高い勝率の維持」といった工夫が欠かせません。
売買を繰り返すだけでも取引の練習にはなりますが、本当に稼ぐには想像以上に緻密な戦略とスピード感が必要なのです。

そこで本記事では、1円抜きは儲かるのかを考えつつ、勝つためのコツについてお伝えしていきます

目次

1円抜きとは?|超短期売買手法の1つ

1円抜きとは、株式投資における超短期売買手法の1つです。
具体的には、買った株の価格が1円でも上がったら、すぐに売って利益を確定させるトレードスタイルを指します。

例えば、100円の株を1,000株買い、株価が101円になったときに売れば、1,000円の利益が得られます。
このわずかな利益を、一日に何度も繰り返し、収益の積み上げを目指します。

負担が少なく、ゲーム感覚で取り組める手軽さから、特に投資を始めたばかりの方に注目されやすい手法です。

1円抜きは「ティック抜き」とも呼ばれる

1円抜きは、数秒から数分単位で取引を完結させる「スキャルピング」と呼ばれるトレード手法の一種に分類されます。
金融市場で「最小の価格変動単位」を「ティック」と呼ぶため、「ティック抜き」とも呼ばれます。

1円抜きは投資初心者向け?|売買の練習には良い


初心者が1円抜きに惹かれる背景には、「損をしたくない」「確実に勝ちたい」という心理があります。
大きな値動きを待つのではなく、1円という小さな利益を積み重ねる手法は、安心感を与えてくれます。

実際に、1回の取引で大負けするリスクは低いため、「大損しにくい」手法と言えるでしょう。

また、注文の発注や取消、約定の確認といった一連の売買操作を何度も繰り返すため、「売買の練習」として役に経ちます。
まずは市場の雰囲気を掴みたいという初心者にとって、最初のステップとして適している側面があるのです。

1円抜きは儲かるの?|取引回数と資金が必要


「1円抜きは儲かるか?」という問いに対する答えは、簡単ではありません。
1回の利益はわずか1円×株数に過ぎないため、この手法で大きな利益を得るには、2つの要素が必要になります。

1つは「圧倒的な取引回数」です。
専業トレーダーのように1日中画面に張り付き、多くの取引を繰り返すことで、利益を積み上げます。

もう1つは「莫大な資金量」です。
一度に数百万、数千万円単位の資金で取引を行えば、1円の値動きでも数万円の利益になります。

しかし、現実的にはどちらも実行するには高いハードルがあり、少ない資金で片手間に挑戦しても、お小遣い程度の利益しか得られないのが実情です。

1円抜きで稼ぐコツとは?


1円抜きは1回の取引で得られる利益が少ないため、むやみに売買を繰り返すだけでは、手数料やわずかな損失に利益を奪われてしまいます。
そのため、本気で儲けるのであれば、これから紹介する「手数料」「テクニカル分析」「板情報」といったポイントを意識する必要があります。

1円抜きに挑戦してみたい方は、ぜひこれらのコツを参考にして、少しでも有利な状況でトレードに臨めるように準備しましょう。

手数料負けに注意

1円抜きでもっとも警戒すべきなのが「手数料負け」です。
せっかく1円の利益を出しても、売買手数料がそれを上回ってしまえば、トータルでは損失になってしまいます。

例えば、往復で500円の手数料がかかる場合、1円抜きで500株を売買しても利益は0円です。
そのため、1円抜きを実践する場合は、売買手数料が無料の証券会社を選ぶのが良いでしょう。

テクニカル分析を勉強しよう


1円抜きは超短期での売買であるため、株価の瞬間的なノイズのような値動きの影響も受けます。
運の要素はもちろんありますが、完全に運任せでは勝つのは困難です。

上昇しているタイミングで1円の値上がりを狙うのと、下降しているタイミングで1円の値上がりを狙うのであれば、前者の方が成功しやすいと考えられます。

そのため、過去の価格や出来高の推移から将来の値動きを予測する「テクニカル分析」の知識を少しでも身につけておくと、勝ちやすくなるでしょう。

特に株価のトレンドを可視化できる「移動平均線」については、最低限理解しておきたいです。

出来高や歩み値をチェック


超短期売買では、リアルタイムの売買動向の把握が非常に重要です。
そこで役立つのが「出来高」と「歩み値」です。

「出来高」は、その銘柄がどれだけ活発に取引されているかを示し、出来高が急増している銘柄は値動きが大きくなるため、1円抜きのチャンスも増えます

「歩み値」は、どの価格で何株の取引が成立したかを時系列で表示するものです。
大きな買い注文が連続して入ってくる様子が確認できれば、株価が上昇する勢いが強いと判断し、買いで追随するといった戦略が立てられます

1円抜きをする銘柄の選び方

1円抜きの成功率を大きく左右するのが「銘柄選び」です。
どの銘柄を取引するかによって、値動きの大きさや約定のしやすさが全く異なります。

流動性が低く、ほとんど値動きのない銘柄を選んでしまっては、1日中待っても1円も動かないということになりかねません。
逆に、値動きが活発で、多くの投資家が注目している銘柄であれば、それだけチャンスも増えます

ここでは、1円抜きに適した銘柄選びのポイントを解説します。

1円抜きには低位株、ボロ株がおすすめ


1円抜きには、株価が100円未満などの「低位株(ボロ株)」がおすすめです。
なぜなら、株価が低いほど、1円の値動きが持つ上昇率のインパクトが大きくなるからです。
50円の株が51円になれば2%の上昇ですが、5,000円の株が5,001円になっても上昇率はわずか0.02%です。
少ない資金で効率よく利益を狙えるのが低位株の魅力です。

ただし、出来高が少ない銘柄や、株価が極端に安く板が厚すぎる銘柄では、なかなか約定しない(売買が成立しない)可能性があります

▼例えば1円抜きを行う銘柄の注文状況を示す板が以下のようであったとします。


9円での買い注文が1,267万株入っているため、ここから9円で買い注文を入れた場合、先に入っている注文が全て約定してからようやく買うことができます。
そして、買えたとしても、次は10円で売る必要があり、もちろんこちらも先に入っている3,304万株が全て約定してからやっと売り注文が成立します。

約定するまでにかなり時間がかかることが想定されますし、9円で買えたあとに10円で売れる保証もありません。
1円抜きは小さな利益を何度も重ねる必要があるため、このような株では取引は非効率であると考えられるでしょう。

株価が右肩上がりの銘柄を選ぶのがポイント


銘柄選びで最も重要なポイントは、日足や週足のチャートが「右肩上がりの上昇トレンド」を描いている銘柄を選ぶことです。

上昇トレンド中の銘柄であれば、たとえ買った直後に株価が少し下がったとしても再び上昇し、目標価格で売れる可能性が高まります。
逆に、下降トレンドの銘柄で1円抜きをしようとすると、買値よりどんどんと下がってしまい、売るに売れない「塩漬け」状態に陥る危険性が高まります。

順張りが基本と心得て、強い流れに乗ることを意識しましょう。

1円抜きが難しいと言われる理由

1円抜きが難しいと言われる最大の理由は、「コツコツドカン」のリスクが常につきまとうからです。
毎日100円ずつ利益を積み重ねても、たった一度の損切りミスで数千円、数万円の損失を被れば、それまでの利益は一瞬で吹き飛んでしまいます

買値から下がった際に「いずれ戻るだろう」と損切りをためらい、そのまま株を保有し続けてしまうのが、典型的な失敗パターンです。
この状態は、投資資金を拘束されるだけでなく、精神的にも大きな負担となります。
株式投資で長期的に勝ち続けるためには、目先の1円を追うだけでなく、1つ1つの取引の「期待値」を意識し、損失を小さく抑えることが必要なのです。

また、もし大きなロスカットが発生しなかった場合でも、高い勝率を維持する必要があります

例えば、損切を1円とした場合では勝率50%以上を維持しなければなりません。
損切の幅を少し増やすだけでも、利益を出すために必要な勝率は大きく上がっていきます。
▼1円抜きを行う際のロスカット値に対する、最低限必要な勝率をグラフにしたものが下図になります。


例えばロスカット値を2円にするだけで勝率は約67%求められ、これ以上を出さないと利益どころかマイナスになります
多くの取引を行う1円抜きにおいて、通算での取引でこれだけの勝率を維持するのは非常に難しいです。

まとめ|1円抜きで大きく儲けるのは難しい

ここまで見てきたように、1円抜きは売買の練習にはなるものの、手数料や「コツコツドカン」のリスクを考えると、大きく資産を増やすのは非常に難しい手法です。

投資で着実に資産を築くには、優良な銘柄を見つけ、その成長をじっくりと待つことではないでしょうか。
わざわざ板に張り付いて細かい売買をしなくても、上昇する銘柄さえ見つかれば、買って放っておくだけで資産を増やせます

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執筆者情報

nari

峯岸 恭一

日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)/日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)

総合鉄鋼メーカーに勤務していた経験を活かした、鉄鋼・自動車市場の分析及び情報収集を得意とし、データの集計・分析に基づいた統計学により銘柄の選定を行う希少なデータアナリスト。AIに関する資格も有しておりデータサイエンティストとしても活躍の場を拡げている。

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