2026年3月、高市首相がトランプ大統領との日米首脳会談で米国の次世代ミサイル防衛構想「ゴールデンドーム」への参加を表明しました。総費用29兆円規模とも言われるこのプロジェクトへの日本の関与が明確になったことで、防衛・宇宙関連の日本株に大きな資金が流入しています。
本記事では、ゴールデンドームとは何かをわかりやすく解説したうえで、日本企業の関与が期待される注目銘柄8選と投資にあたって押さえておきたいリスクをお伝えします。
ゴールデンドームとは|米国が進める次世代ミサイル防衛の全容

ゴールデンドームは、トランプ大統領が2025年1月に計画を発表した米国の次世代ミサイル防衛システムです。宇宙上の人工衛星と地上の兵器システムを組み合わせ、弾道ミサイル・極超音速ミサイル・ドローンまで幅広い脅威から米国本土を守ることを目的としています。
プロジェクトの責任者である米宇宙軍のグートライン大将は2026年3月17日、総費用が1,850億ドル(約29兆円)に達すると発言しています。
アイアンドームとの違い|宇宙×AI×地上を統合したシステム
名前の由来となったイスラエルの「アイアンドーム」は、地上に配備されたレーダーとミサイルで短距離ロケット弾を迎撃するシステムです。これに対してゴールデンドームは、宇宙・地上・AIをすべて統合した格上のシステムです。規模と対応範囲がまったく異なります。
ゴールデンドームの最大の特徴は、600基超の人工衛星を連携させる衛星コンステレーション(多数の衛星を一体的に運用するシステム)を活用して地球全域を常時監視する点です。敵国のミサイル発射を宇宙から即座に検知し、AIが脅威を分類・追跡して地上の迎撃システムへ情報を送る——この一連の流れをリアルタイムで実現しようとしています。
総費用29兆円・日本も参加表明|国策テーマとして注目される理由
2026年3月の日米首脳会談で、日本はゴールデンドームへの参加を表明しました。日本が構想への参加を通じて自国の防衛にも活かしたい考えで、極超音速滑空兵器(HGV)を迎撃する「滑空段階迎撃用誘導弾」の共同開発推進も確認されています。
日本の防衛省はすでに2025年から衛星コンステレーションの整備・運営等事業を進めており、2027年度中の体制構築を目指しています。高市政権が掲げる「重点17分野」の「宇宙」分野とも完全に重なるため、国策×安全保障×日米同盟という三重の後押しがある点が株式市場での注目度を高めています。
ゴールデンドームを構成する4つの技術分野

ゴールデンドームがどのような技術で構成されているかを理解しておくと、どの日本企業がどの部分で関与できるかが見えてきます。主要な技術分野は次の4つです。
衛星コンステレーション|600基超で地球全域を常時監視
ゴールデンドームの中核となるのが、宇宙空間に展開する衛星コンステレーションです。「空中移動目標検出」システムだけで最終的に600基超の衛星が想定されており、地球上のあらゆる場所をほぼリアルタイムで監視します。
米国ではスペースXが衛星開発を担う見込みで、20億ドル規模の契約が報じられています。日本でも政府主導で小型SAR衛星(合成開口レーダー衛星)を活用した観測体制の整備が進んでいます。
センサー・レーダー|極超音速ミサイルも逃さない追跡技術
従来のミサイル防衛で難しかったのが、マッハ5以上で飛翔する極超音速ミサイルの追跡です。ゴールデンドームではAIと高精度センサーを組み合わせることで、発射から着弾まで全段階での追跡・迎撃を目指しています。
日本はレーダー技術や電子戦システムに強みを持つ企業が多く、この分野での貢献が期待されています。
衛星通信・防衛ネットワーク|遅延ゼロの情報伝達インフラ
ミサイルの脅威を検知してから迎撃システムが動くまでの時間は、文字通り秒単位の勝負です。宇宙から得た情報を地上の指揮システムに遅延なく伝えるための衛星通信インフラが不可欠となります。
Xバンド防衛通信衛星の運用実績を持つ日本企業は、この分野で国際的にも評価されています。
防衛装備・迎撃ミサイル|脅威を確実に撃墜する最終手段
検知・追跡した脅威を実際に撃墜するのが迎撃ミサイルや防衛装備です。日本は日米共同開発による滑空段階迎撃用誘導弾のほか、長射程のスタンドオフミサイルの開発・生産を急ピッチで進めています。
防衛装備品のほぼ全域をカバーする日本の重工業大手にとって、最も直接的に業績貢献が期待できる分野です。
ゴールデンドーム関連の注目銘柄8選

ゴールデンドームへの参加が期待される日本企業を、防衛大手4銘柄と宇宙・防衛テック4銘柄に分けて解説します。
三菱重工業(7011)|防衛装備の最大手・HGV迎撃弾も共同開発
防衛省との契約額が1兆4,567億円(2024年度)と国内断トツの防衛装備プライムメーカーです。イージス艦、潜水艦、戦闘機、ミサイルと陸海空宇宙のすべての領域をカバーしており、ゴールデンドームで共同開発が確認された滑空段階迎撃用誘導弾(HGV迎撃弾)も三菱重工が担います。
業績面では26/3期の防衛・宇宙事業売上高を前期比30%増で計画しており、受注残は10兆7,000億円超に積み上がっています。直近1年の株価騰落率は+64.6%で、防衛三羽烏の中でも最も安定した業績の裏付けがあります。
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川崎重工業(7012)|艦艇・航空機・誘導弾まで担う防衛三羽烏
売上高に占める防衛事業の比率は重工3社で最も高く、2025年3月期は受注高全体の約3割を防衛事業が占めました。潜水艦は三菱重工と川崎重工の2社だけが製造できる国内独占品目で、CH-47大型輸送ヘリコプターや哨戒機P-1も手がけます。
受注残は2兆7,000億円超で、直近1年の株価騰落率は+89.7%と重工3社で最大の上昇率を記録しています。防衛事業の売上高は2030年度に5,000〜7,000億円(2022年度比2〜3倍)を見込んでいます。
IHI(7013)|ロケットエンジンから防衛装備まで一気通貫
戦闘機用エンジンの開発・製造で中核的な役割を担い、F-35エンジンの国内最終組立・検査を行うほか、日英伊3か国共同の次期戦闘機(GCAP)のエンジン開発にも参画しています。またH3ロケットの固体ロケットブースター用エンジンも手がけており、宇宙分野でも存在感があります。
26/3期は防衛事業だけで前期比70億円の増益を見込み、受注残は1兆5,000億円超。直近1年の株価騰落率は+81.7%と好調です。2030年度には防衛事業売上高を2,500億円(2022年度比2.5倍)に拡大する計画です。
三菱電機(6503)|人工衛星搭載機器と防衛システムの両輪
人工衛星に搭載されるマイクロ波機器・電源機器・レーダーシステムを手がけるとともに、防空指揮管制システムやミサイル誘導装置も担います。スカパーJSATや三井物産と設立した「トライサット・コンステレーション」に参加し、防衛省の「衛星コンステレーション整備・運営等事業」を共同落札しています。
直近1年の株価騰落率は+117.6%と重工3社を上回る上昇率で、宇宙・防衛の両輪を持つ点が評価されています。電子戦・サイバー防衛分野でも存在感を増しています。
スカパーJSATホールディングス(9412)|防衛省向け衛星通信の要
防衛省が独自保有するXバンド防衛通信衛星の開発を担当し、自衛隊に衛星通信サービスを提供する企業への出資も行う、日本の防衛衛星通信の中核企業です。2025年7月には政府機関向けの低軌道地球観測衛星データ提供業務を受注し、三菱電機・三井物産との合弁でトライサット・コンステレーション(防衛省の衛星コンステレーション事業)も落札しました。
26/3期の純利益は前期比20%増で上方修正、年間配当も42円へ増配しています。直近1年の株価騰落率は+206.2%とゴールデンドーム関連の中で最大の上昇率を記録しており、3年間の投資計画2,200億円を発表するなど積極的な成長投資を続けています。
QPSホールディングス(464A)|152億円調達・2030年に36機体制を目指す
世界でもわずか5社しかいない小型SAR衛星のプレーヤーのひとつです。2026年3月時点で9機が軌道上で運用されており、2030年までに36機体制を構築することで地球上の大部分の地点を平均約10分間隔で観測する準リアルタイム体制を目指しています。
2026年3月には衛星製造・打ち上げ費用のため約152億円の資金調達を実施。スカパーJSATが筆頭株主(持株比率約13.2%)となり、資本面での連携も深まっています。現在は先行投資の段階のため赤字が続いていますが、26年5月期の連結最終利益は5億円の黒字転換を見込んでいます。
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Synspective(290A)|防衛省と961億円・5年間の衛星画像購入契約
QPSホールディングスと並ぶ国内小型SAR衛星の2強です。2026年2月に防衛省と961億円・契約期間5年間(2026年2月〜2031年3月)の衛星画像購入契約を締結しました。同社の25年12月期売上高23億円に対して約40年分相当の受注額で、26年12月期に74億円、27年12月期に149億円と段階的に業績へ反映される計画です。
また2025年〜2029年にかけて宇宙戦略基金から約5年間で238億円の助成も予定されており、「防衛省の大型受注+政府助成」という二重の国策バックアップが強みです。「日本スタートアップ大賞2025」の防衛大臣賞を受賞しています。
カーリット(4275)|ロケット燃料の国内唯一メーカー
ロケット用固体推進薬の主原料である過塩素酸アンモニウムを国内で唯一製造している企業です。H-IIA/Bロケット・H3ロケットの固体ロケットブースターや防衛産業向けの固体推進薬の主原料に使われており、代替が効かない独占的な立場にあります。
ゴールデンドームへの日本参加表明が報じられた2026年3月には株価が急騰しました。直近1年の株価騰落率は+167.3%と高水準です。ロケット打ち上げ需要の拡大が続く限り、安定した受注が見込めます。
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投資判断で見落とせない3つのリスク

ゴールデンドーム関連銘柄への投資を検討する際は、テーマへの期待感だけでなく固有のリスクも把握しておく必要があります。
テーマ株特有の「材料出尽くし」に注意
ゴールデンドーム関連銘柄の多くは、日本参加表明の報道をきっかけに短期間で大きく上昇しました。テーマ株はニュースの期待感で株価が動くため、材料が一巡すると利益確定売りが集中しやすくなります。
スカパーJSATは直近1年で+206%、カーリットは+167%と急騰しており、業績の伸びに対して株価が先走っている面もあります。すでに相当な期待が織り込まれている点は念頭に置いておきましょう。
新興宇宙株は赤字先行・受注が業績に反映されるまで時間がかかる
QPSホールディングスとSynspectiveはどちらも現在は先行投資の段階で、衛星の製造・打ち上げ費用が先行します。Synspectiveの961億円受注も、26年12月期の売上計上分は74億円と全体の約8%に留まり、残りは2031年にかけて段階的に認識されます。
受注額の大きさが直接的な業績改善につながるわけではなく、衛星の打ち上げ成功・サービス提供の実績積み上げという段階を経て初めて利益が出る構造です。長期目線での投資が基本となります。
防衛大手は「受注→業績貢献」のタイムラグが長い
三菱重工・川重・IHIの防衛大手は受注残が積み上がっているものの、防衛装備品は製造に数年かかるため受注が売上に反映されるまでにタイムラグがあります。また防衛装備品は当初の想定価格より製造コストが膨らみやすく、利益率が圧迫されるリスクも存在します。
業績の成長は確実視されているものの、株価はすでにその期待を先取りして大きく上昇しています。三菱重工のPERは約60倍と歴史的な高水準にあり、想定外の業績悪化や防衛予算の見直しがあれば急落するリスクがある点は把握しておく必要があります。
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まとめ|ゴールデンドーム関連銘柄への投資で押さえるべきポイント

ゴールデンドームは、日米同盟の深化・高市政権の積極財政・宇宙安全保障政策という複数の国策テーマが重なる長期的な投資テーマです。日本参加表明により関連銘柄への追い風は続くとみられますが、銘柄によって性格はまったく異なります。
三菱重工・川重・IHI・三菱電機の防衛大手4銘柄は業績の裏付けがある一方で株価はすでに高水準。スカパーJSAT・QPSHD・Synspective・カーリットの宇宙・防衛テック4銘柄は成長余地は大きいものの、業績への反映には時間がかかります。自分の投資スタンスに合った銘柄を選ぶことが大切です。

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