65歳以上の配当金生活 失敗する人の3パターンと成功者の銘柄選びを解説

日本投資機構 編集部

日本投資機構株式会社

65歳以上の配当金生活|失敗する人の3パターンと成功者の銘柄選びを解説

新NISAの普及や物価高対策への関心の高まりを背景に、「株で老後の不安を解消したい」と配当金生活を目指して株式投資を始めるシニア層は年々増加しています。しかし現実には、配当金生活を目指して始めたにもかかわらず、積み上げてきた退職金や貯蓄を大きく減らしてしまう方が後を絶ちません。

この記事では、投資顧問会社のアナリストが現場で実際に見てきた「配当金生活に失敗する人の3つの共通点」と、対照的に65歳から配当収入を手にすることに成功した実在する投資家Aさんの40年間の話をお届けします。これから配当金生活を目指す方に必ず役立つ内容です。

目次

配当金生活に失敗する人の3つの共通点|現役アナリストが見てきた実態

配当金生活に失敗する人の3つの共通点|現役アナリストが見てきた実態

配当金生活を目指して株式投資を始めたのに、気づけば退職金の大半を溶かしてしまった——投資顧問会社として多くのシニア投資家と向き合ってきた中で、このような失敗談を聞く機会は決して少なくありません。失敗する人には驚くほど共通したパターンがあります。3つに整理してお伝えします。

失敗①|急騰銘柄への飛びつき買い|配当金生活を壊す最大の要因

失敗①|急騰銘柄への飛びつき買い|配当金生活を壊す最大の要因

配当金生活を目指すはずの投資家が最もやってしまいがちな失敗が、急騰している銘柄への飛びつき買いです。「今一番上がっている銘柄だから明日も上がるはず」「注目が集まっているなら安心だ」という心理で、業績や配当実績をほとんど確認せずに購入してしまうケースが非常に多く見られます。

株価とは、その企業の将来の業績を評価した数字です。急騰している銘柄とは市場の実態に対して価格が過剰に評価されている状態に近く、いわば「相場に合わない割高な価格がついた商品」と考えるとわかりやすいでしょう。突然200円に値上がりした100円寿司に客が来なくなるのと同じ原理で、急騰した株価は遅かれ早かれ実態の水準へと引き戻されていきます。

失敗②|SNS・掲示板の情報を鵜呑みにする|不特定多数の声に踊らされる危険

失敗②|SNS・掲示板の情報を鵜呑みにする|不特定多数の声に踊らされる危険

「下がると書いている人が多いから売ろう」「この銘柄が熱いと書いてあったから買おう」——X(旧Twitter)や投資系掲示板の情報を根拠に売買判断をしてしまう方が、シニア投資家に多く見られます。

統計的にも投資情報サービスの利用者は50代以上が全体の4割近くを占めており、SNSや掲示板に集まる情報に触れやすい状況にあります。

不特定多数が書き込む掲示板・SNSには、責任を問われない情報が混在しています。書いている人の投資経験も運用資産も全くわかりません。

同じ初心者同士が「買いだ」「売りだ」と書き合っているケースも多く、そこから得られる情報に投資判断を委ねることは非常にリスクが高いです。配当金生活を実現したいなら、情報源の質を徹底的に選ぶことが必要です。セミナーや書籍で学んだ知識・自分が実際に確認した企業の業績データ——これ以外の情報に判断を委ねてはいけません。

失敗③|信用取引の枠をめいっぱい使う|投資金が0円になる最短ルート

失敗③|信用取引の枠をめいっぱい使う|投資金が0円になる最短ルート

「信用取引を使えば自己資金の3倍まで投資できる」——この仕組みを知って、大きな利益を狙おうとしてしまうシニア投資家が後を絶ちません。しかし信用取引とは「借金をして株を買う」という行為です。うまくいけば利益が増幅されますが、失敗した場合は損失も3倍に膨らみます。

配当金生活を目指す65歳前後の方にとって、退職金や長年の貯蓄は取り返しのきかない大切な資産です。投資顧問として見てきた中で、信用取引の枠をめいっぱい使って急騰銘柄を買い、急落した際に損切りもできずに投資金を全額失ってしまった方を何人も見てきました。

信用取引は中級者以上のツールであり、投資経験が浅い段階で使うものではありません。配当金生活を目指すなら、信用取引は使わない——これを鉄則とすることが、大切な資産を守ることにつながります。

実話|65歳で配当金生活を実現したAさんの40年間

実話|65歳で配当金生活を実現したAさんの40年間

失敗のパターンとは対照的に、着実に配当収入を積み上げて65歳から悠々自適な生活を送っている方もいます。ここでは、そんな実在する個人投資家Aさんの40年間の歩みを追っていきましょう。プライバシーの観点から一部は伏せていますが、Aさんは実際に実在する人物です。

月数千円の積立が数十年後に変わったもの

今から40年前、まだ20代だったAさんは大学卒業後に日本を代表するある企業に入社しました。入社時の新入社員研修で「従業員持株会」のガイダンスが行われ、同期数名とともに参加を決めています。毎月の給料から自動的に数千円が天引きされ、勝手に自社株が積み立てられていく仕組みで、Aさんはとくに意識することなくその積立を続けていきました。

10年後、日本のバブル景気も追い風になり、入社当初に数千円で買っていた株価は数倍に膨らんでいました。同期のBさんはこのタイミングで株を売却し、住宅購入の頭金の一部に充てました。毎月5,000円の積立で10年間の元本は約60万円ですが、それが住宅価格の4分の1に相当する金額に増えていたのです。

バブル崩壊を乗り越えて配当収入を手にするまで

1990年、日本はバブル崩壊を迎え株価は急降下しました。売却していなかったAさんの資産は一気に目減りし、一緒に持株会を始めた同期たちは株価が少し戻したタイミングで全員売却してしまいました。しかしAさんだけは違いました。「給料も上がっているし、生活に支障があるわけでもないから」と1人だけ保有を続け、積立もそのまま継続したのです。

それから25年が経過した頃、転機が訪れます。それまで配当を出してこなかった企業が突如「配当金」の支払いを決定しました。バブル崩壊後に株主還元を強く求める海外投資家の比率が増加し、配当金を積極的に出す企業が増えていったことが背景にあります。長年積み立ててきたAさんの保有株数は相当な規模になっており、銀行の利息とは比較にならない配当収入が毎年振り込まれるようになりました。

今からでも遅くない|Aさんの成功を再現するには

Aさんが成功できた理由は「売らずに持ち続けた」という一点に尽きます。バブル崩壊という大きな逆風の中でも保有を続けたことで、長期的に配当収入を手にする権利を守り続けました。現在のAさんは定年退職後、週3日だけ働きながら配当収入と給与を組み合わせて、お金の心配をすることなく好きな時間を過ごしています。

今の日本経済はバブル期のような急成長は期待できませんが、配当金は株価の上下に関係なく、企業が利益を出し続ける限り受け取ることができます。毎月少しずつ買い増して保有株数を増やすことで、気づいたら配当収入が思ったよりも大きくなっているということは今でも十分に起こり得ます。これがまさに「配当の持つ力」です。

配当金生活を実現する人がやっている銘柄選びの3原則

配当金生活を実現する人が必ずやっている銘柄選びの3原則

Aさんのような配当金生活を実現するためには、どのような銘柄を選ぶかが最も重要です。投資顧問のアナリストが実際に重視している3つの原則をお伝えします。初心者の方はまずこの3つを把握するだけで、何も知らずに始める方より大幅に有利なスタートが切れます。

原則①|日経平均225採用銘柄の中から選ぶ

日経平均株価の算出に使われる225社の株式は、日本の主要株価の参考となる銘柄群です。業績が安定し社会的な信頼性も高い企業が多く含まれており、退職金など大切な資産を投じる最初の一歩として最適な候補集といえます。知名度が低い小型株や業績が安定しない銘柄には、最初から手を出さないよう心がけましょう。

原則②|PER(株価収益率)10倍以下の割安株を狙う

PER(株価収益率)とは「株価が1株あたり純利益の何倍になっているか」を示す指標で、企業の利益に対して今の株価が割高か割安かを判断する目安として広く使われています。数値が低いほど割安、高いほど割高と解釈され、10倍以下は割安水準の目安として「ここから値上がりの余地がある」と期待される水準です。

2008年のリーマンショック時には日経平均のPERが10倍を下回る水準まで下がり、その後大きく上昇した実績があります。配当金生活を目指すなら、まずこの指標を毎回必ず確認する習慣をつけましょう。

原則③|配当利回り5%以上を基準にする

株式投資では値上がり益だけでなく、配当金を年に1〜2回受け取ることができます。配当利回りとは「1株あたりの年間配当金÷株価×100」で計算される数値で、保有しているだけで毎年何%のリターンが得られるかを示します。配当金生活を目指すなら、この利回りが5%以上の銘柄を優先的に選ぶことが重要です。

仮に500万円を配当利回り5%の銘柄に投資すれば、年間25万円・月換算で約2万円の配当収入が得られる計算になります。PERで割安な銘柄の中から配当利回りが高いものを選べれば、値上がり益と配当収入の2つの恩恵を同時に狙えます。

新NISAを活用した配当金生活の始め方

新NISAを活用した配当金生活の始め方

2024年からスタートした新NISAは、配当金生活を目指す65歳前後の方にとって非常に有利な制度です。これまでの投資で得た利益には約20%の税金がかかりましたが、新NISA口座内で得た配当金や値上がり益は非課税になります。長期保有で配当を積み上げる戦略との相性は抜群です。

退職金・老後資金の何%を投資に回すべきか

65歳前後の方にとって退職金や年金は「一度失ったら取り戻すことが難しい大切な資産」です。全資産のうち投資に回す割合は、慎重に決めることが何より重要になります。目安として、全資産の50〜60%は現金・預金として手元に残しておくのがよいでしょう。

1,000万円の資産があれば500〜600万円は預金のまま保全し、残りの400〜500万円を投資資金として運用する考え方です。焦って全額を投資に回すことは、生活費が必要なタイミングで損失が出ていた場合に取り返しのつかない事態を招きます

月5万円・月10万円の配当金に必要な資産額

配当金生活の目標として「月5万円」「月10万円」を掲げる方が多く見られます。配当利回り4〜5%で運用した場合、必要な投資元本の目安は以下の通りです。

月の配当金目標年間配当目標必要元本(利回り4%)必要元本(利回り5%)
月3万円36万円900万円720万円
月5万円60万円1,500万円1,200万円
月10万円120万円3,000万円2,400万円

一度にこの金額を用意する必要はなく、退職金の一部をNISA口座に入れながら毎年少しずつ買い増すことで、Aさんのように時間をかけて目標に近づくことができます。

まとめ|配当金生活で最も差が出るのは銘柄選定の質

配当金生活に失敗する人には3つの共通点があります。急騰銘柄への飛びつき買い、SNS・掲示板情報の鵜呑み、信用取引の過剰利用——いずれも「焦りと感情」が招く失敗です。

一方で実在するAさんは、月数千円の積立を40年間続け、バブル崩壊の逆風にも売らずに保有し続けることで、最終的に安定した配当収入を手にしました。特別な才能があったわけではありません。正しい銘柄を選び、長期的に保有し続けるという原則を守り続けただけです。

配当金生活の実現に最も差をつけるのは、銘柄選定の質です。日経225採用銘柄の中からPER10倍以下・配当利回り5%以上という基準で選ぶことが、堅実な配当金生活への第一歩になります。新NISAを活用して退職金の一部を非課税で運用することで、Aさんのような生活に近づくことは今からでも十分可能です。

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nari

日本投資機構 編集部

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INVEST LEADERSを運営する顧問投資会社「日本投資機構株式会社」の代表取締役を含めたスタッフ及びサポートアナリストの記事を掲載しています。株式投資や金融に纏わる話題は勿論のこと、読者の暮らしや生活を豊かにするトピックスや情報を共有していきます。

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