株の買いタイミングはいつ?期待リターンから考える投資判断術

日本投資機構 編集部

日本投資機構株式会社

株の買いタイミングはいつ?期待リターンから考える投資判断術

「株を買いたいけど、今が買い時なのかどうか分からない」——投資初心者に限らず、多くの投資家が悩む問いです。優良銘柄を見つけても、買うタイミングを間違えると利益は大きく変わります。本記事では「株の買い時はいつか」という問いに、想定期待リターンという考え方で答えを出していきます。

目次

どの地点で買うのが最も儲かりやすい?

買い地点①は株価トレンドの概ね平均値付近で買うケースです。

買い地点②は株価が上昇トレンドを形成していることを確認して買うケースです。

買い地点③は株価が下落トレンドを形成していることを確認して買うケースです。

株の買いタイミング3つの地点

これらの3つの地点の、どこで株を買うのが最も効果的なのでしょうか?

地点①は、これから株価がどう動くかが分からないので身動きが取りづらい印象がありますし、地点②は、株価は上昇トレンド中なので買いが有利にも見えますが高値掴みは避けたい局面ですし、地点③は、株価は安値圏にありそうですが、下落トレンド中にあるため更に安値を更新してしまう恐れが考えられます。

あなたは、どの地点が最も儲かりやすいと思いましたか?その答えを、投資の「想定期待リターン」を使って考えていきます。

株は、いつ、どんな時に買うと想定期待リターンが高まるのか?

株を買う時に、期待できるリターン(利益)と、失うリスク(損失)の可能性を検討することで、それぞれのタイミングで買う場合の想定期待リターンが比較できます。

買い地点①の想定期待リターン

各地点の想定期待リターン(上昇期待値・下落リスク)を図に表すと上図の通りです。図の右側に、それぞれの買った位置から見た上昇余地(期待値)を赤色の矢印で、下落余地(リスク)を青色の矢印で表しています。

これを見ると、買い地点①のケースの想定期待リターンは、上昇余地と下落余地がほぼ同じくらいなのが分かります。この取引では、得られる利益と失う損失の可能性がほとんど同じ=勝敗は五分五分程度だと考えられますので、「買いと売りのどちらが有利かは判断できない」と言えます。

買い地点②の想定期待リターン

買い地点②のケースは、上昇余地に対して下落余地が非常に大きいことが分かります。これは、買いで得られる利益よりも、失った時の損失の方が大きいケースと考えられますので、「ここで買うのはリスクが大きい」と判断できます。

買い地点③の想定期待リターン

買い地点③は、下値余地に対して、上値余地が非常に大きいケースです。このケースでは、買った場合に得られる利益の可能性の方が、失った場合のリスクよりも大きいと考えられます。そのため、「ここで買えば、リスクよりも期待リターンが大きい局面」だと判断できます。

つまり、③の地点である「下落トレンド中に株を買う」ことこそが、最も期待リターンが高まる「効果的な投資行動」だと考えられるのです。

一般的には、株価が下落している時や暴落中に買うのは、「落ちるナイフを掴むな」などと言われ、リスクが大きい行為だと認識されています。投資家心理的にも勢いよく下がっている株に買いを入れることは不安に感じることでしょう。

しかし、「株価の変動と想定期待リターンの変化」という関係で投資の効果を検証すると、「株価が下がっている局面」こそ、その株で得られるであろう「想定期待リターン」が最大化することが判明するのです。

そのため、株で勝ち組になるには、優良銘柄をいかに割安な局面(≒下落局面)で買えるかが、勝ち負けを左右する分かれ道になると言えるでしょう。

※株価が一定の値幅、もしくは右肩上がりの環境においての考察になりますので、それ以外のケースでは例外が発生する可能性がございます。

「下落局面が買い」と分かっていても買えない理由

下落局面こそ期待リターンが高いと頭では理解していても、実際に買いを入れられる投資家は多くありません。

株価が下がり続けている局面では「まだ下がるかもしれない」という不安が先行し、どうしても買い向かう勇気が出にくいものです。

これは「損失回避バイアス」と呼ばれる人間の心理的な傾向が影響しています。

人は利益を得る喜びよりも、損失を被る痛みをより強く感じる傾向があるため、下落中の株を買う行為は本能的に「危険」と判断してしまうのです。

また、周囲の悲観的なムードや連日の下落ニュースに引きずられ、冷静な判断ができなくなるケースも少なくありません。

感情に流されず割安な局面で買えるかどうかが、投資の勝敗を大きく左右します。

だからこそ、次に紹介する「底打ちのサイン」を事前に知っておくことが重要なのです。

実際に株の買い時を見極める4つのポイント

「下落局面が買い時」とはいえ、どこまで下がるかは誰にも分かりません。重要なのは「下落の中でも底打ちのサインを確認してから買う」という姿勢です。ここでは実践で使える4つの判断ポイントを紹介します。

① 移動平均線でトレンドの転換を確認する

25日移動平均線や75日移動平均線が下向きから横ばいに転じてきたタイミングは、下落の勢いが鈍化しているサインです。株価が移動平均線を下から上に突き抜けるクロス(ゴールデンクロス)が発生した局面は、多くの投資家が「上昇転換」と判断するため、買いの集中が起きやすくなります。

② 出来高の変化を見る

株価が下落している中で出来高が急増している日は、大口の買いが入っている可能性があります。「売りが売りを呼ぶ」パニック売りの局面で出来高が膨らんだ後に反発することは多く、これを「売り枯れ」と呼びます。出来高の急増→株価の下げ渋りの組み合わせは、底打ちの有力なサインです。

③ 過去の支持線(サポートライン)付近を意識する

過去に何度も反発したことのある価格帯(サポートライン)は、多くの投資家が意識しているため、その付近まで下落してきたときに買いが集まりやすい傾向があります。「過去の安値水準まで下がってきた」という局面は、テクニカル的に見て絶好の仕込みタイミングになり得ます。

④ 下落の「理由」を確認してから判断する

最も重要なのは、なぜ株価が下がっているかの理由を確認することです。一時的な材料や相場全体の調整による下落なら、業績・ファンダメンタルズに問題がなければ絶好の買い場になります。一方、業績悪化・不祥事・構造的な需要縮小が原因の下落は、さらなる下落を招く可能性があるため慎重な判断が必要です。

まとめ|株の買い時は「下落局面」+「底打ち確認」がセット

株の買い時について、想定期待リターンの観点から整理すると以下のようになります。

上昇トレンド中の高値買いは期待リターンが小さくリスクが大きい
横ばい局面での買いは五分五分で優位性がない
下落局面での買いこそ、期待リターンが最も大きい局面

ただし、下落局面での買いは「底打ちの確認」とセットで行うことが重要です。移動平均線の転換・出来高の変化・サポートラインといった複数のシグナルが重なったタイミングを狙うことで、精度の高い買い判断が可能になります。優良銘柄を割安に仕込む習慣が、長期的な投資成果の差を生み出します。

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