政府は2026年4月21日、循環経済に関する関係閣僚会議を開き、2030年までに官民で1兆円を投じる「循環経済行動計画」を正式決定しました。
重要鉱物やプラスチックなどのリサイクル強化に向けて、施設整備や技術開発が後押しされるため、関連企業の成長期待が一段と高まっています。
背景には、レアメタルの中国依存や原油・ナフサ価格の不安定化など、資源の海外依存を見直す動きがあります。
本記事では、リサイクル関連銘柄が注目される背景、サブテーマ別の分類、具体的な注目銘柄、投資判断のポイントを整理します。
リサイクル関連銘柄が今注目される3つの背景

リサイクル関連銘柄は単なる環境テーマではありません。
なぜなら、政府が動き、中東情勢の悪化に伴う供給不安や資源高といったマクロ環境からの追い風もあるからです。
足元の環境を確認してみましょう。
政府の循環経済行動計画とプラ新法の制度化
2026年4月21日、政府は循環経済への移行を国家戦略と位置づける行動計画を正式決定しました。
計画には、リサイクル業者への補助金や官民ファンドの脱炭素化支援機構を通じて投資を行い、2030年までに官民で1兆円を動かす方針が盛り込まれています。
計画は夏にまとめる骨太の方針にも反映される見込みです。
また、2022年4月施行のプラスチック資源循環促進法(プラ新法)に加え、経済産業省と環境省は太陽光パネルのリサイクル制度化に向けた議論も進めています。
環境省は2026年度、使用済み電子機器や家電に含まれるレアメタルなど10種類の鉱物の実態調査に乗り出し、都市鉱山の資源量や流通の把握を進める予定です。
資源高とレアメタル供給リスクの高まり
銅・ニッケル・コバルト・リチウムなど電池材料の需要拡大、中国依存からの脱却を目指すレアアース政策など、一次資源の調達リスクが高まっています。
日本は重要鉱物や原油といった資源の多くを輸入に頼っており、供給停滞リスクを下げるには国内での再資源供給サプライチェーンの構築が避けられません。
こうした動きが関連企業の業績を押し上げています。
たとえば、貴金属リサイクルを主力とする松田産業は、26年3月期に売上高6,400億円(前期比38.6%増)・営業利益200億円(同57.8%増)を見込んでいます。
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2030年代の太陽光パネル廃棄ラッシュ
2030年代後半には、廃棄される太陽光パネルが年間およそ50万トンに達するとされています。
太陽光パネルにはシリコンだけでなくレアメタルが使われており、都市鉱山としての価値が急速に高まる見通しです。
東京都では2025年4月から新築住宅への太陽光発電設備設置が義務づけられており、足元の設置拡大は10年先の廃棄ラッシュを確実にしています。
つまり、今から2030年代にかけて「廃棄物が安定的に増える」とみられるわけです。
これは他の景気敏感業種にはない、リサイクル業界特有の追い風と言えます。
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リサイクル関連のサブテーマ分類

「リサイクル」と一口に言っても、扱う素材やビジネスモデルは大きく異なります。
そのため、投資対象を絞るうえでは、サブテーマで分類して特徴を把握するのが良いでしょう。
代表的な5つの切り口を整理します。
都市鉱山・金属リサイクル
使用済み家電や電子機器、工場スクラップから金・銀・プラチナ・レアメタルなどを回収する領域です。
貴金属価格の上昇が直接業績に反映されやすく、半導体や電子部品の生産活動とも連動します。
代表格は松田産業(7456)、エンビプロ・ホールディングス(5698)、アサカ理研(5724)などです。
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廃プラスチック再資源化
プラ新法施行とEUのリサイクル義務化の流れで需要が拡大している領域です。
マテリアルリサイクル(再生ペレット化)、ケミカルリサイクル(化学分解して原料に戻す)、サーマルリサイクル(熱回収)などの技術分類があります。
EUのELV規則(廃車規則)が再生プラスチックの利用を一定比率以上義務化する方向にあり、グローバルサプライチェーンを持つ日本企業の対応が急務です。
太陽光パネル・リチウムイオン電池リサイクル
新興テーマとして注目度が高い領域です。
太陽光パネルリサイクルではエヌ・ピー・シー(6255)やダイセキ環境ソリューション(1712)、リチウムイオン電池リサイクルでは松田産業、エンビプロHD、アサカ理研が参入しています。
また、住友金属鉱山はリチウム・コバルト・ニッケルを回収するプラントを愛媛県で2026年に完成予定、JX金属もリチウム回収率90%以上のプラントを敦賀で建設中です。
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産業廃棄物処理・環境ソリューション
産業廃棄物の収集・運搬・中間処理・最終処分を手がける領域で、景気変動の影響を受けにくいストック型のビジネスです。
ダイセキ(9793)、TREホールディングス(9247)、ミダックホールディングス(6564)などが該当します。
最終処分場は許認可ハードルが高く、参入障壁の高さが収益性を支えています。
リユース(買取再販)
3R(リデュース・リユース・リサイクル)の「リユース」を担う領域です。
中古品の買い取りと販売を行う小売業に分類されますが、資源循環のテーマでは外せません。
トレジャー・ファクトリー(3093)、ハードオフコーポレーション(2674)、ゲオホールディングス(2681)、BuySell Technologies(7685)などが上場しています。
リサイクル関連の本命株をピックアップ
サブテーマの整理を踏まえて、ここからは代表的な注目銘柄を業績と指標で見ていきます。
松田産業(7456)|貴金属リサイクルの本命
写真の感光材料から銀を回収・精錬する事業から始まった老舗企業です。
貴金属リサイクルが主力で、電子部品スクラップから金・銀・プラチナ・パラジウムなどを回収し、電子材料や地金として販売しています。
食品関連事業も両輪で展開する異業種混成型企業です。
足元では、金価格の大幅な上昇や、エレクトロニクス業界の需要回復、貴金属リサイクル取扱量の増加が追い風となっています。
2025年2月にはリチウムイオン電池リサイクル事業拡大のため山陽レックとフラップリソースを子会社化し、新領域にも布石を打っています。
エンビプロ・ホールディングス(5698)|金属・リチウムイオン電池リサイクルの専業株
金属スクラップの選別・販売を主力とする資源リサイクル大手で、中核子会社エコネコルを中心に事業を展開しています。
事業は「資源循環事業」「グローバルトレーディング事業」「リチウムイオン電池リサイクル事業」の3本柱です。
三菱マテリアルとレアメタル精製技術を共同開発するなど、リチウムイオン電池リサイクル領域での存在感を高めています。
26年6月期通期の売上高は430億(前期比12.4%減)を見込む一方、当期純利益は23億(同2.4倍)と大幅増益を計画しています。
アサカ理研(5724)|リチウムイオン電池リサイクルの独自技術派
1969年設立、福島県郡山市に本社を置く資源再生メーカーです。
主力は電子部品メーカーから排出されるスクラップから金を中心とした貴金属を回収・精製する貴金属事業で、独自の溶解抽出法による高い回収率に強みを持ちます。
環境事業(工業薬品再生)、システム事業、分析事業も展開しています。
25年9月期の連結業績は売上高86億8,500万円(前期比9.0%増)、営業利益4億9,200万円(同67.9%増)と大幅な増収増益となりました。
金相場の上昇を追い風に、26年9月期第1四半期も売上高24億8,900円(前年同期比10.8%増)、営業利益3億円(同78.8%増)と好調です。
エヌ・ピー・シー(6255)|太陽光パネル関連装置のニッチトップ
1992年設立、1994年から太陽電池業界に参入した太陽電池セル後工程装置の専業メーカーです。
最大顧客は米NASDAQ上場のファーストソーラーで、テスラやインド・ベトナム・マレーシアの太陽電池メーカーにも装置を納入しています。
26年8月期第2四半期累計の最終利益は4,900万円の赤字に転じるなど、米政権の方針転換により、足元の業績は厳しいものの、下期にかけては回復を見込んでいます。
リサイクル事業では、分離技術を搭載した太陽光パネルリサイクル装置を国内外に複数台販売。
四国内で発生した廃棄パネルは松山工場で自社装置により中間処理を行い、分離・解体した有価物をリサイクル業者に販売する垂直統合モデルが特徴です。
トレジャー・ファクトリー(3093)|リユース小売の代表格
2025年に創業30周年を迎えた総合リユース・プラットフォーム型企業です。
総合リユース業態「トレジャーファクトリー」を中心に、服飾専門の「トレファクスタイル」などジャンル別に専門業態を横展開しています。
26年2月期の売上高は485億9,700万円(前年同期比15.1%増)、営業利益は47億7,700万円(同18.4%増)に。
27年2月期も11.7%増収、6.0%の営業増益を見込んでおり、安定成長が続く見通しです。
タイや台湾などで店舗を増やしているほか、「アメリカ1号店の2027年2月期中の出店を目指す」としており、グローバル成長にも期待が高まります。
その他のリサイクル関連注目銘柄
| 証券コード | 企業名 | 主力領域 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1712 | ダイセキ環境ソリューション | 土壌汚染・産廃 | 太陽光パネル処理も総合的にサポート |
| 9247 | TREホールディングス | 土壌汚染・産廃 | 廃棄物処理からリサイクル・資源循環まで一体展開する大手 |
| 6564 | ミダックホールディングス | 土壌汚染・産廃 | 最終処分場を自社保有し、収益性が高いストック型ビジネス |
| 2674 | ハードオフコーポレーション | リユース | オフハウスなど多業態で在庫回転率が高い |
| 2681 | ゲオホールディングス | リユース | CD・DVDレンタルから転換し、セカンドストリートを軸に |
| 7685 | BuySell Technologies | リユース | 出張買取に特化し、高齢者の生前整理ニーズを取り込む |
リサイクル関連銘柄への投資のポイント

リサイクル関連銘柄のなかには、景気循環や資源価格の影響を受ける銘柄も多いです。
そのため、投資判断の際には、以下の2点を意識するとリスクを抑えやすくなります。
政策テーマ株特有の値動きリスク
リサイクル関連銘柄の一部は、政策や国際情勢に関連したニュースで値動きが荒くなりやすい傾向があります。
例えば、アサカ理研は「中国が軍民両用品の対日輸出を規制し、そのなかにレアアース関連製品を含む可能性がある」との報道を受けて、2026年1月に値を飛ばす場面が見られました。
またエヌ・ピー・シーは、トランプ第2次政権発足時にアメリカの環境政策が大きく変化し、業績が急悪化しました。
国内外の政府の方針に大きく左右されやすい銘柄群であると言えるでしょう。
特に時価総額の小さい銘柄ほど値動きが荒くなるため、リスク管理が重要になります。
本業の収益性で見分ける
リサイクル関連と括られても、銘柄によって本業の収益構造は全く異なります。
松田産業のように貴金属相場と業績が連動する資源関連株、ダイセキ環境ソリューションのようなストック型の産廃株など、銘柄ごとに性質は全く違います。
そのため、自身の許容できるリスクや思い描くシナリオに合った銘柄か、各企業の事業内容を理解することが重要です。
まとめ|リサイクル関連銘柄の中長期の成長に期待

リサイクル関連銘柄は、政府の循環経済行動計画による1兆円投資、レアメタルなど重要鉱物の供給リスクへの対応、そして2030年代の太陽光パネル・リチウムイオン電池廃棄ラッシュといった追い風を持つ投資テーマです。
ただし、都市鉱山・廃プラスチック・太陽光パネル・産廃・リユースなどサブテーマごとに特徴が異なります。
そのため、分類しての理解が銘柄選別の第一歩になります。
テーマ株特有の値動きリスクに注意しつつ、本業の収益性や財務健全性を確認したうえで選別投資を行うのが良いでしょう。

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執筆者情報
日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)
国内株式、海外株式、外国為替の領域で経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーのもと、金融市場の基礎・特徴、マクロ経済の捉え方、個別株式の分析、チャート分析、流動性分析などを学びながら、日本投資機構株式会社では唯一の女性アナリストとして登録。自身が専任するLINE公式など各コンテンツに累計7000名以上が参加。Twitterのフォロワー数も3万人を超える人気アナリスト。

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