トレンドラインとは?株チャートでの引き方と、ダマシの避け方

峯岸 恭一

日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)

トレンドラインとは?株チャートでの引き方と、ダマシの避け方

チャートに線を1本引く。たったそれだけのことなのに、引く人によって場所が違う。トレンドラインが「なんとなく」で終わりやすいのは、正解が1つに決まらないからです。

ただ、決まりごとはあります。どの安値を選ぶのか、線が機能していると言えるのはいつなのか、そして線が破られたら何をするのか。ここが定まっていれば、線は「なんとなく」から「判断の基準」に変わります。

この記事では、引き方の手順から、押し目買いとブレイク狙いという2つの使い方、そしてダマシの避け方までを図解で整理します。

目次

トレンドラインとは?株チャートの「流れ」を可視化する基本ツール

トレンドラインとは?株チャートの「流れ」を可視化する基本ツール

トレンドラインは、チャート上の安値同士、あるいは高値同士を結んだ斜めの線です。線そのものに特別な力はありません。それでも多くの投資家が引くのは、相場の流れを1本の線で言い切れるからです。

トレンドラインの定義と役割

上昇トレンドなら、切り上がっていく安値を結びます。下降トレンドなら、切り下がっていく高値を結ぶ。線が引けたということは、その方向に買い(または売り)の意欲が一定のペースで続いている、という証拠になります。

役割は2つです。1つは、押し目や戻りがどこで止まるかの目安。もう1つは、トレンドが終わったかどうかの判定です。線に沿って動いている間は流れが生きていて、線を割ったら疑う。この単純さが、線が使われ続けている理由でしょう。

サポートライン・レジスタンスラインとの違い

ここは用語を整理しておきましょう。サポートライン・レジスタンスラインは、線の形の名前ではなく、役割の名前です。下値を支えていればサポートライン(下値支持線)、上値を抑えていればレジスタンスライン(上値抵抗線)。斜めでも水平でも関係ありません。

ですから、上昇トレンドラインはサポートラインでもあります。下降トレンドラインはレジスタンスラインでもある。「トレンドラインとサポートラインの違い」という問い自体が、実はねじれているんです。

サポートライン・レジスタンスラインとの違い
図1|斜めでも水平でも、下値を支えればサポートラインです

比べるべきは、斜めか水平かです。水平線は「その価格に注文が溜まっている」ことを示すので、何日経っても価格は同じ。対してトレンドラインは斜めなので、時間が進むと水準そのものが動いていきます。水平線が測るのは「価格」、トレンドラインが測るのは「ペース」。同じ場所で2本が交差したなら、その水準は価格としてもペースとしても意識されているということです。

なぜトレンドラインが機能するのか

理由は身も蓋もありません。多くの投資家が同じ線を引いて、同じ場所に注文を置いているからです。線に神通力があるわけではなく、注目が集まるから止まる。だから、誰も見ていない小さな波に引いた線は機能しません。

もう1つの理屈が、ダウ理論です。「高値と安値がともに切り上がっている間は上昇トレンド」という定義を、線という形にしたのがトレンドライン。線を引く行為は、ダウ理論の判定を目で見える形にすることに他なりません。

トレンドラインの引き方|3つの基本パターンと手順

トレンドラインの引き方|3つの基本パターンと手順

引き方に流派はありますが、骨格は共通です。どの点を選ぶか、それだけです。

上昇トレンドラインの引き方(安値同士を結ぶ)

切り上がっている安値を2つ選んで結ぶ。これだけです。ただし、2点を通る線は必ず引けてしまいます。2点だけでは「たまたま」と区別がつきません。

上昇トレンドラインの引き方(安値同士を結ぶ)
図2|2点で引いて、3点目で確かめる

大事なのは3点目です。3つ目の安値が同じ線で止まってはじめて、「多くの人が見ている線」だと確認できます。逆に言えば、2点で引いた線はまだ仮説。3点目のタッチは、その仮説が正しかったという答え合わせです。

下降トレンドラインの引き方(高値同士を結ぶ)

下げ相場では上下を逆にするだけです。切り下がっていく高値を2つ結び、3つ目で確認する。手順は同じです。

下降トレンドラインの引き方(高値同士を結ぶ)
図3|下降トレンドラインは、戻り売りの目安であり、下降終了のものさし

日本株の現物しか触らない方は空売りの手段が限られますが、下降トレンドラインは「今は買う場面ではない」と教えてくれる線として十分に価値があります。戻りがこの線で止まる限り、下げは終わっていません。

チャネルラインの引き方と使いどころ

トレンドラインを引いたら、それを平行にコピーして反対側に置く。上昇トレンドなら、安値を結んだ線を高値に合わせます。この2本に挟まれた帯がチャネルです。

チャネルラインの引き方と使いどころ
図4|2本目は自分で引くのではなく、1本目を平行にコピーする

楽天証券のマーケットスピードでは、この2本を「メジャーライン」と呼び、手順も明示されています。①上昇開始時の安値と、一時的に下げた安値を直線で結ぶ。②その平行線をローソク足の高値に合わせて引く。証券会社の公式ヘルプが2ステップで説明できる程度には、単純な作業です。

チャネルの利点は、出口が決まることです。下の線で買って上の線で利確、という運用ができます。そして帯からはみ出したときが合図。上に飛び出せば加速、下に抜ければトレンド終了を疑う。線が2本になるだけで、判断できることが一気に増えます。

これはトレンドラインではない|最初にやりがちな間違い

引き方を覚える前に、引いてはいけない線を知っておくと早いです。上昇トレンドで高値同士を結んだ線、下降トレンドで安値同士を結んだ線。これらはトレンドラインではありません。

理由は、トレンドラインが「押し目がどこで止まるか」を測る道具だからです。上昇トレンドで見たいのは、下げてきたときにどこで買いが入るか。だから安値を結びます。高値を結んでも、それは上値の目安であってトレンドの土台ではありません。

ただし、上昇トレンドで高値を結んだ線には別の役割があります。それが次に説明するチャネルの上側の線です。単独では意味を持たないが、トレンドラインとセットなら意味を持つ。そういう位置づけになります。

ヒゲで引くか、実体で引くか

これは流派が分かれるところで、正解はありません。ヒゲ先で引く人が多数派ですが、ヒゲは一瞬の行き過ぎなので、実体(終値)で引いたほうが多くの人の合意を映す、という考え方も成り立ちます。

どちらでもいいので、自分の中で統一してください。毎回変えるのが一番よくない。都合よく引き直せてしまうので、線が判断の基準ではなく、後付けの言い訳になります。

トレンドラインの見方|線から読み取れる情報

トレンドラインの見方|線から読み取れる情報

線は引いて終わりではありません。傾きや、何回触れたか。線そのものが情報を持っています。

角度・傾きが示すトレンドの強さ

急な角度は、勢いの強さを表します。ただし、強い=続く、ではありません。むしろ逆です。

角度・傾きが示すトレンドの強さ
図5|急なほど勢いは強い。ただし続かない

急角度ということは、押し目らしい押し目を作らずに買われ続けているということ。休まずに走っている相場は、休まずに走り続けられません。だから急角度の線が割れても、それだけでトレンド終了とは限らない。ペースが落ちただけの場合が多く、緩やかな線を引き直して様子を見るのが定石です。

なお、「45度が理想」といった角度の話をよく見かけますが、チャートの縦横比を変えれば角度は簡単に変わります。度数で語ることにあまり意味はありません。「押し目を待つ余裕があるかどうか」で捉えてください。

タッチ回数と線の信頼度

触れた回数が多いほど、その線は多くの人に意識されています。3回、4回と反発を重ねた線は、それだけ多くの買い注文が控えている証拠です。

ただし、ここに逆説があります。何度も試された線ほど、割れたときの反動が大きい。多くの人が支持だと信じていた線が壊れる、ということですから。信頼度が高い線は、同時に、割れたときの損切りが集中する線でもあります。

時間軸によって線は変わる

日足で引いた線と、5分足で引いた線は別物です。日足の安値は5分足でも同じ価格なので、線がずれるわけではありません。ずれて見える原因は2つあります。

1つは、下位足では細かい高安が大量に見えるので、どの点を結ぶかの選択肢が増えること。もう1つは、チャートの縦横比が変わると同じ2点を結んでも角度の見た目が変わることです。基本は上位足の線を優先します。見ている人が多いぶん、効きやすいからです。

トレンドラインを使った売買戦略|エントリーとエグジット

トレンドラインを使った売買戦略|エントリーとエグジット

使い方は大きく2つです。線で反発するのを狙うか、線を抜けるのを狙うか。狙いが逆なので、混ぜないでください。

反発を狙った押し目買い・戻り売り

上昇トレンドラインまで押してきたところを買う。もっとも素直な使い方です。損切りの位置も自動的に決まります。線を明確に割り込んだら撤退、と置くだけです。

注意点は1つ。線に触れた瞬間に買うのではなく、触れてから反発したのを確認して買う。線は「反発する場所」ではなく「反発するかどうかを観察する場所」です。触れただけで入ると、そのまま割れたときに何も分からないまま損切りになります。

ブレイクを狙った順張り

もう1つが、線を抜けたところを狙う手法です。下降トレンドラインを上に抜けたなら、下げが終わった可能性がある。ここで買う。

ただし、抜けた瞬間に飛び乗るのは分が悪い。待つべきは、抜けたあとに戻ってきて、同じ線で止まるかどうかです。

ブレイクを狙った順張り
図6|抵抗だった線が、抜けたあとは支持に変わります

これが「レジサポ転換」です。上値の抵抗だった線が、抜けたあとは下値の支持に変わる。この転換が確認できれば、ブレイクが本物だったことの裏づけになります。しかも、そのまま損切り位置にも使えます。線を再び割り込んだら撤退、で終わりです。

損切りと利確をどこに置くか

トレンドラインの利点は、損切り位置が線で決まることです。買ったなら、線を終値で明確に割り込んだところ。迷う余地がありません。

利確は少し面倒です。チャネルを引いているなら上の線が目安になりますが、そうでなければ直近高値か、フィボナッチの目標値を使うことになります。線は入口と撤退を決めるのが得意で、出口は苦手。そう割り切って、他の道具と組み合わせるのが現実的です。

トレンドラインの注意点とダマシ対策

トレンドラインの注意点とダマシ対策

線を引く行為には、致命的な弱点があります。引き直せてしまうことです。

ブレイクのダマシを見分ける

一瞬抜けて、すぐ戻る。これが一番多い負けパターンです。見分ける基準は3つあります。

ブレイクのダマシを見分ける
図7|抜けた瞬間ではなく、その日の終値で判断します

1つめ、終値がどこで確定したか。ヒゲだけ抜けて終値が線の内側に戻ったなら、抜けていません。2つめ、出来高。出来高が伴わないブレイクは、誰もついてきていない証拠です。3つめ、レジサポ転換が起きるかどうか。この3つを通せば、かなりの数は事前に落とせます。

線を引き直したくなったときが危ない

持っている株が線を割った。そこで「この安値を使えばもう少し緩い線が引けるな」と考える。よくあります。そして、たいてい間違っています。

引き直したくなったときは、相場が読めていないサインです。線を都合よく動かした瞬間、それは分析ではなく損切りの先送りになります。角度が変わったから引き直す、というのは正当な行為ですが、それは持っていない状態で判断すべきこと。ポジションを持ったまま線を動かすのは、別の話です。

レンジ相場では機能しない

横ばいの相場に斜めの線を引いても、意味のない線が増えるだけです。トレンドラインはトレンドが出ている相場で使う道具なので、方向感のない場面では、そもそも結ぶべき安値の切り上がりがありません。

レンジだと分かっているなら、水平線を引いてください。斜めか水平かは、好みではなく、相場の状態で決まります。ボリンジャーバンドの幅を見れば、今がどちらなのかは判定できます。

ただし例外が1つ。高値が切り下がり、安値が切り上がって、値幅がだんだん狭まっていく形。上下から2本のトレンドラインが迫ってくるこの形は「三角保ち合い」と呼ばれ、レンジでありながらトレンドラインが機能します。2本の線が交わる手前で、どちらかに放れる。方向は分かりませんが、動くタイミングは読めるという、少し変わった使い方です。

他のテクニカル指標との組み合わせ

他のテクニカル指標との組み合わせ

トレンドラインは「どこで」を教えてくれますが、「今かどうか」は教えてくれません。そこを埋める道具と組み合わせます。

移動平均線と重ねて根拠を増やす

もっとも相性のいい組み合わせです。トレンドラインは固定、移動平均線は日々動きます。両者が同じ価格帯で重なった場面は、根拠が2つ揃った水準ということ。1本の線より、重なった線。これは線を使うすべての手法に共通する発想です。

MACD・RSIでタイミングを補う

線まで押してきた。ここでRSIが30台まで下げて反転した、あるいはMACDがゴールデンクロスした。根拠が重なった場面だけ手を出す、というルールにすれば、エントリー回数は減りますが質は上がります。

逆に、線とオシレーターが食い違う場面は見送り。迷ったときに入らないための道具として使うのが、組み合わせの本来の目的です。

フィボナッチと交差する水準を探す

トレンドラインと、フィボナッチの38.2%や61.8%の線が同じ価格で交差する。これも「重なり」です。斜めの線と水平の線が交わる点は限られているので、見つけたら記録しておく価値があります。

チャートツールでの引き方

TradingViewでの操作

左側のツールバーからトレンドラインを選び、始点と終点をクリックするだけです。ショートカットもあります。

操作WindowsMac
トレンドラインAlt + Toption + T
水平線Alt + Hoption + H
フィボナッチAlt + Foption + F

知っておくと得をする機能が2つ。Ctrlキーを押しながらドラッグすると、同じ角度の線が複製されます。チャネルを引くときはこれが一番早い。もう1つがマグネット機能で、ヒゲや実体に自動で吸着してくれます。手で合わせるより正確です。

ちなみに、Shiftキーを押しながら引くと45度刻みに固定されます。角度を揃えたいときに使えますが、前述のとおり角度そのものに絶対的な意味はないので、常用する機能ではありません。

証券会社のチャートで引く場合

証券会社のチャートでも、描画ツールやライン系のメニューから同じことができます。呼び名がツールごとに違うので、「トレンドライン」「直線」「ラインチャート描画」あたりを探してください。

1つだけ確認しておきたいのが、引いた線が保存されるかどうか。ログアウトで消えるツールだと、毎回引き直すことになります。同じ銘柄を追い続けるなら、線が残るツールを選んだほうが習慣として続きます。

まとめ|トレンドラインを武器にするために

まとめ|トレンドラインを武器にするために

トレンドラインが効くのは、多くの投資家が同じ線を引いて、同じ場所に注文を置いているからです。線に力があるわけではありません。だから、誰も見ていない小さな波では効かないし、レンジ相場でも効かない。効く条件を先に知っておくことが、実は一番の近道です。

  • 上昇は安値同士、下降は高値同士を結ぶ。2点で引いて、3点目で確かめる
  • ヒゲか実体かはどちらでもいい。ただし自分の中で統一する
  • 急角度は勢いが強い分、続かない。割れてもトレンド終了とは限らない
  • 抜けた瞬間ではなく、終値で判断する。レジサポ転換まで待てればなお良い
  • 触れた瞬間ではなく、反発を確認してから入る
  • 損切りは線を割ったところ。利確は他の道具に任せる
  • 引き直したくなったら、それは相場が読めていないサイン

まずは自分が普段見ている銘柄の日足に、1本だけ引いてみてください。線を増やすより、1本の線をどう扱うかを決めるほうが、ずっと早く上達します。引いた線が破られたとき何をするか。そこまで決まって、はじめて線は武器になります。

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執筆者情報

nari

峯岸 恭一

日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)

総合鉄鋼メーカーに勤務していた経験を活かした、鉄鋼・自動車市場の分析及び情報収集を得意とし、データの集計・分析に基づいた統計学により銘柄の選定を行う希少なデータアナリスト。AIに関する資格も有しておりデータサイエンティストとしても活躍の場を拡げている。

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