2025年11月18日にGoogleが発表した最新AI「Gemini 3」は、株式市場に大きな衝撃を与えました。
その性能の高さから、これまで独り勝ちだと思われてきたOpenAIの優位性が揺らぎ、日本の個別銘柄にも影響が見られています。
そこで本記事では、まずGemini3の何がすごいのかを解説し、発表を受けた株式市場の動きを分析します。
その上で、Geminiを支える日本企業やGoogleと関係性の深い日本企業を網羅的に紹介します。
Gemini関連銘柄が株式市場で注目される理由

Gemini 3は、これまでのモデルと比較しても、いくつかの点で優れていると指摘されています。
特に、Googleという巨大なプラットフォームを持つが故の、構造的に模倣困難な機能差は注目に値します。
Gemini3の強み①|画像認識や音声認識がよりスムーズに
まず挙げられるGeminiの強みが、「ネイティブ・マルチモーダル」と呼ばれる知覚能力の根本的な違いです。
多くの他社モデルが、言語モデルに「目(画像認識)」や「耳(音声認識)」を後付けで継ぎ接ぎしているのに対し、Gemini 3は開発の初期段階からテキスト、画像、音声、動画を区別なく1つの脳で学習しています。
これにより、情報の変換ロスやタイムラグが排除されています。
例えば、スポーツの試合をリアルタイムで見せながら「今のプレイの何が反則なのか?」と問えば、選手の細かな動作や審判のジェスチャーを瞬時に理解し、人間と同じ速度で解説できます。
テキストを介さず、見たまま、聞いたままを直感的に処理できる即応性は、実用面で大きな差となります。
Gemini3の強み②|記憶量が増加し、より使いやすく
ビジネスや個人のパートナーとして活用する際に決定的な差となるのが、「記憶量(コンテキストウィンドウ)」の桁違いの大きさです。
従来のAIが、会話が長引くと初期の指示を忘れてしまったり、読み込める資料の量に限界があったりしたのに対して、Gemini3は無限に近い情報を一度に保持できます。
企業の過去10年分の全メール、議事録、動画データをすべて飲み込ませた上で、「企業の歴史と文脈を踏まえて、新規事業のリスクを洗い出して」といった指示ができるのです。
Gemini3の強み③|嘘をつく回数が減少!?
さらに、AIの最大の課題である「嘘(ハルシネーション)」に対しても、Gemini 3は強力な解決策を持っています。
それが、回答を生成する際にGoogle検索の膨大なインデックスとリアルタイムで照合する「グラウンディング機能」です。
自身の知識だけで答えようとする他社モデルとは異なり、Geminiは常に世界最強の検索エンジンを確認しながら回答を生成できます。
最新のニュースや株価、統計データに基づいて、情報の出典を明記しながら回答できる信頼性は、特に正確性が求められるビジネスシーンにおいて他を圧倒します。
Gemini3の強み④|Google経済圏との統合
ユーザーにとって最も代替不可能な価値となり得るのがGoogle経済圏との統合です。
Gemini3は、Gmail、Googleカレンダー、Googleマップ、YouTube、そしてAndroid OSと深く連携しています。
「来週の旅行を計画して」という一言だけで、受信した予約メールを確認し、カレンダーの空き状況を把握し、YouTubeであなたが「いいね」をした現地のレストランをリストアップし、マップで最適なルートを組むまでを完結できるのです。
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Gemini3の発表でエヌビディアやソフトバンクG株は下落
Gemini3の発表直後、株式市場では明確な選別が起きました。
性能が市場の予想を上回ったため、GoogleがAI分野で今後優位に立つとの見方が広がったためです。
Googleの親会社アルファベットの株価は連日で上場来高値を更新。
一方で、これまで圧倒的勝者であったエヌビディアやソフトバンクグループの株価は下落する場面が見られました。
エヌビディアの優位性が揺らぐ可能性が意識される

GoogleはエヌビディアのGPU(画像処理半導体)も大量に購入しています。
しかし、Gemini3の学習・推論には、Googleが自社開発したAIチップ「TPU (Tensor Processing Unit)」が主に使用されています。
そのため、エヌビディアのGPUを使わなくても、高性能のAIは作れるとの見方が広がりました。
実際、「Meta(旧Facebook)が、コスト効率の良さからTPUの採用を検討している」との観測も浮上しています。
これまでエヌビディア製のGPUを大量購入し、AI開発を進めてきたMetaが、もし一部でもTPUへシフトすれば、エヌビディアのAI半導体独占状態の崩壊が現実味を帯びます。
Gemini 3の成功は、他社に脱エヌビディアの選択肢を提示してしまったのです。
ソフトバンクグループはOpenAIへの巨額投資が仇に

ソフトバンクグループの株価は、Gemini3発表後、1週間で約20%下落しています。
これはソフトバンクグループがGoogleのライバルであるOpenAIに巨額の投資を行っているためです。
Gemini3の性能がChatGPTを凌駕したと見なされたため、OpenAIの競争優位性が揺らぎ、ソフトバンクグループの投資価値が下がるとの連想が広がりました。
Gemini躍進で恩恵を受ける関連銘柄

ここからは、巨大化するGoogle経済圏を「川上(素材)」から「川下(販売)」まで網羅し、その恩恵を受ける日本株を4つの視点で紹介します。
具体的には、チップ製造において代替不可能な素材を手掛けるメーカーや、AIの巨大な脳を物理的に稼働させるためのインフラ(建設・電力・冷却)企業を見ていきます。
また、日本企業へのGemini導入を最前線で指揮する企業、そしてGoogleと資本関係を持ち技術を先行利用できる可能性が高い企業も紹介します。
Geminiの性能を支える素材メーカー

Gemini3を動かすGoogleの独自チップ「TPU」は、発熱を伴いながら、猛烈な速度で計算を行います。
この過酷な環境に耐え、性能を最大限に引き出す素材をいくつかの日本企業が提供しています。
代表的な銘柄を紹介していきます。
三井金属工業(5706)AIの「神経」を繋ぐ世界シェア9割の覇者
三井金属工業は、AIチップのパッケージに使われる極薄銅箔と、サーバー基板用の超平滑銅箔を供給しています。
Gemini3のような最新AIの電気信号は、猛烈なスピードで流れるため、もはや電気というより電波に近い動きをします。
この際に銅箔の表面がザラザラしていると、それが抵抗となり、信号が遅れたり摩擦熱のような発熱を起こしたりします。
そこで銅箔の表面を原子レベルでツルツルに磨き上げる技術を有する三井金属が優位性を発揮します。
三井金属は、高性能チップを載せる基板向け(キャリア付極薄銅箔)では世界シェア約90%という圧倒的独占状態にあるのです。
Googleが自社チップ「TPU」を作る上でも、欠かせない企業となっています。
日東紡績 (3110)AIの「骨格」を支えるガラス
日東紡績は、基板の変形を防ぐ「スペシャルガラス(NEガラス・Tガラス)」を供給しています。
AIチップは、動くと数百度の熱を出します。
そのため普通の基板だと、熱でプラスチックのように膨らんで反り返り、配線がブチッと切れてしまいます。
そこで、「熱くなっても膨らまない」「信号を邪魔しない」といった性質を持つ日東紡のガラス繊維が使用されているのです。
Googleも巨額投資!データセンター関連企業

2022年にGoogleは、日本国内のネットワークインフラ整備に1,000億円を投資すると発表しました。
将来的なAI需要の爆発を見越した先行投資です。
この1,000億円はあくまで第一弾であり、Gemini3のような巨大モデルの運用にはさらなる拡張が不可欠なため、追加投資も期待されています。
データセンターの建設・拡張などAIに係る代表的な企業を押さえておきましょう。
高砂熱学工業 (1969)空冷の限界を突破する「液冷」の覇者
従来のデータセンターはエアコンの風で冷やしていましたが、Gemini3級のAIチップの発熱量は凄まじく、風では冷やしきれません。
高砂熱学は、サーバーのチップに直接パイプを通して水を循環させる水冷システムや、サーバーごと特殊な液体に沈める液浸冷却の技術で世界をリードしています。
Googleはカーボンニュートラルを掲げているため、電気代を食うエアコンではなく、高効率な冷却技術を指名買いせざるを得ない状況です。
NEC (6701)深海6,000mのケーブル網構築パートナー
NECは、海底ケーブルシステムの世界トップ3(NEC、米SubCom、仏ASN)の一角です。
Googleは自社専用の海底ケーブル網を構築していますが、そのパートナーとしてNECを重用しています。
カナダと日本を初めて直接結ぶケーブル「Topaz(トパーズ)」もNECが製造・敷設を手掛けています。
海底ケーブルは、サメに噛まれても、地震が起きても切れない耐久性が求められるため、参入障壁が高く、事実上の寡占市場です。
Googleがアジアでビジネスを行う上で、NECは欠かせない存在となっています。
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Geminiの頭脳そのものに関わる半導体企業

Googleが描いているのは、データセンターと、手元の端末(スマートフォン)が連携する世界です。
この実現を支えているのが、高い技術力を有する日本企業です。
クラウド側では、チップが発する熱と信号遅延に対し、特殊なパッケージ基板で対応。
熱を逃し、信号を通すこの技術がなければ、Geminiは起動直後にオーバーヒートしてしまいます。
スマホ側では、極小スペースでのスパコン並みの処理によるバッテリー枯渇が課題でしたが、ミリ秒単位の電源制御と微細コンデンサ技術で解決しつつあります。
こうした技術を担う企業を見ていきましょう。
イビデン(4062)ICパッケージ基板で世界トップシェア
Googleが設計するTPUは、回路の幅がナノメートル(髪の毛の数万分の一)単位と極小です。
これをそのままサーバーのマザーボードに繋ごうとしても、配線が細すぎて物理的に接続不可能です。
イビデンは、この極小のチップを受け止め、電気信号を末広がりに拡大してマザーボードに渡す「インターポーザ(仲介)基板」を作れる数少ない企業です。
村田製作所 (6981)Googleと共同でAIモジュールを開発
村田製作所は、Googleと共同で「Coral Accelerator Module」という世界最小クラスのAIモジュールを開発しています。
これにはGoogleの「Edge TPU」が内蔵されており、ネットのない工場やドローンでもGeminiの一部機能を動かすことができます。
まさにGoogle公認のハードウェアパートナーです。
また、スマホ版Geminiが推論を行う時、プロセッサは一瞬で猛烈な電力を消費します。
この時、電圧が不安定になるとスマホはフリーズしてしまいます。
そこで、村田製作所のMLCCが、電気を一時的に蓄え、必要な瞬間に放出する役割を果たします。
Google社のスマートフォンPixel1台には、この部品が1,000個以上搭載されており、スマホの動作を安定させ続けています。
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Geminiの導入を支えるクラウドパートナー

Gemini3がいかに高性能でも、それを日本の一般企業が使いこなすには、セキュリティ設定、既存システムとの連携、社内ルールの整備など、越えなければならない障壁が存在します。
この面倒で複雑な作業をGoogleの代わりに行い、導入手数料と月額管理費で着実に稼ぐのが「クラウドパートナー(SIer)」です。
サーバーワークス (4434)Googleに特化した技術者集団
もともとサーバーワークスは、AWS(Amazonのクラウドサービス)に特化して上場した企業です。
しかし、顧客からの「Googleも使いたい」という声に応えて子会社「G-gen(ジージェン)」を設立しました。
2024年には、Googleのクラウドサービスに関する技術力で国内トップクラスだった「トップゲート社」との合併もしています。
26年2月期上期は、不採算案件や臨時損失事案の発生で大幅な減益となったものの、今後の業績回復で再度評価される余地は十分にあるでしょう。
Googleとの資本業務提携実績がある企業

最後に、Googleと資本業務提携を行っている企業もチェックしておきましょう。
これらの企業は、Geminiの最新機能を他社より先に製品に組み込める特権(先行者利益)を得られる可能性があります。
note (5243)Googleと資本業務提携で注目
noteは、クリエイター向けメディアプラットフォームを手掛けています。
人間らしい文章、体温のあるデータを蓄積しているという点で、AI時代に改めて価値が評価される余地のある企業です。
GeminiのようなAIを賢くするには、教科書的な文章だけでなく、人間味のある「エッセイ」「体験談」「悩み」といったデータが必要だからです。
noteは、この良質な日本語のテキストデータの宝庫であるため、Googleも目をつけたとみられます。
また、noteの「AIアシスタント」機能では、記事の構成案作成、タイトルの自動提案、要約などをGeminiが行います。
AIアシスタントで執筆のハードルが下がれば、さらにコンテンツが増え、noteの価値が上がるという好循環が生まれます。
その他のGemini/Google関連注目銘柄
| コード | 銘柄名 | 企業概要 |
| 6752 | パナソニックホールディングス | AIサーバー内で飛び交う高速信号を、減衰させずに運ぶ特殊基板材料「MEGTRON(メグトロン)」を手掛ける。 |
| 1802 | 大林組 | 米国のデータセンター建設大手 (GCON)の買収で注目高まる。 |
| 4072 | 電算システム | 日本で最初にGoogleと販売契約を結んだ企業。Workspace販売で強固な顧客基盤を有する。 |
| 9434 | ソフトバンク | 親会社はOpenAI陣営ですが、通信子会社はGoogleのトップパートナーとしてGeminiを拡販。 |
| 4165 | プレイド | 2019年にGoogleから直接出資を受けている戦略的パートナー。Webサイト上の顧客解析ツール「KARTE」にGeminiを統合。 |
| 6758 | ソニーグループ | Gemini 3の目玉機能である「マルチモーダル(画像認識)」を支えるのは、Pixelスマホに搭載されたソニー製イメージセンサー。 |
Gemini関連銘柄の今後を展望

今後の展望として、以下の流れでの関連銘柄への資金流入が予想されます。
- フェーズ1:インフラ投資の加速(現在〜2026年)
まずは物理的な土台を作る段階です。
設備投資需要によって、素材・インフラ企業の業績が押し上げられます。 - フェーズ2:導入と実装の拡大(2026年〜2027年)
インフラが整うと、次は企業への導入が進みます。
SIerが、日本企業のDX予算を吸収して成長する時期です。 - フェーズ3:アプリケーションの爆発(2027年以降)
Geminiが当たり前になると、それを使った新サービスが生まれます。
自社データとGeminiを掛け合わせて独自の価値を生み出せる企業が、次のテンバガー(10倍株)候補として評価されるでしょう。
Gemini関連銘柄に投資する際の注意点

Google経済圏への投資は魅力的ですが、リスクも存在します。
まず、注意が必要なのが、半導体市況のサイクルです。
半導体関連企業の業績は、AI需要だけでなく、パソコンや一般サーバーの需要にも左右されます。
AIが好調でも、世界経済全体が減速すれば株価が調整することもあります。
AIは長期で伸びると割り切り、短期的な変動に一喜一憂しない姿勢が重要です。
また、素材・部品メーカーの多くは海外売上高比率が高く、円高進行は逆風になります。
さらに、米中のハイテク規制強化などがGoogleのビジネスに影響を与える可能性もゼロではありません。
こうしたリスクを考慮した上で、特定のセクターに偏った投資にならないように、資金管理を行うのが良いでしょう。
まとめ|代替不可能で実需の強い銘柄を狙おう

Gemini3の恩恵を受ける銘柄を選ぶ際に重要なのは、代替不可能性と実需の強さだと思います。
代わりの効かない素材を持つ企業や、物理的に必須なインフラを担う企業、現場への導入を握る企業など、独自の強みを持つ銘柄を絞り込む必要があります。
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執筆者情報
日本投資機構株式会社 投資戦略部 主任代理/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)/日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
国内株式、海外株式、外国為替の領域で経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーのもと、金融市場の基礎・特徴、マクロ経済の捉え方、個別株式の分析、チャート分析、流動性分析などを学びながら、日本投資機構株式会社では唯一の女性アナリストとして登録。自身が専任するLINE公式など各コンテンツに累計7000名以上が参加。Twitterのフォロワー数も3万人を超える人気アナリスト。
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