レアアース関連銘柄|中国の輸出規制・南鳥島で狙う本命株【2026年版】

大畠 典仁

日本投資機構株式会社 アナリスト

レアアース関連銘柄|中国の輸出規制・南鳥島で狙う本命株【2026年版】

2026年が明けて早々、日本株市場はレアアースというテーマに揺さぶられました。1月6日、中国が日本向けの軍民両用(デュアルユース)品目の輸出管理を強化すると発表し、レアアースが対象に含まれるとの見方から、翌7日の日経平均とTOPIXは過去最高値の更新から一転して反落します。

レアアースは、EVのモーター、風力発電機、半導体、そして防衛装備に欠かせない「戦略資源」です。その供給の大部分を中国が握るという構造が、長らく日本の弱点とされてきました。だからこそ、中国が輸出のカードを切るたびに関連銘柄は敏感に動きます。

この記事では、いま相場を動かしている中国の規制の中身から、中国依存を脱しようとする日本の「逆襲戦略」、恩恵の受け方ごとに整理した関連銘柄、そして値動きの荒いテーマとどう向き合うかまでを、順を追って解説します。

目次

なぜ今レアアース関連銘柄が動くのか|中国の輸出規制強化

なぜ今レアアース関連銘柄が動くのか|中国の輸出規制強化

レアアース相場を理解する出発点は、需給でも業績でもありません。中国の規制の一挙手一投足です。ここ2年ほどで、中国の輸出管理は段階的に厳しくなってきました。まずは、いま何が起きているのかを押さえておきましょう。

段階的に強まった中国の輸出管理

2025年4月には、中国がサマリウム・ガドリニウム・テルビウム・ジスプロシウム・ルテチウム・スカンジウム・イットリウムという7種類のレアアースの輸出管理を強化し、多くの日本企業が輸出許可の申請対応に追われました。そして2026年1月6日、中国は日本向けのデュアルユース品目の輸出管理強化を公布し、即日施行します。

中国が禁じるとしたのは、日本の軍事ユーザー向け、軍事目的、そして日本の軍事力強化につながる輸出の3領域です。民生品には影響しないと中国側は説明していますが、AIやドローンのように軍事と民生の線引きが曖昧な製品は少なくありません。恣意的に「軍事力強化につながる」と判断されれば止められてしまう、という不安が市場に残りました。

全面禁止より怖い「予見性のなさ」

規制の厄介さは、全面禁止かどうかではなく「予見性のなさ」にあります。2026年2月の時点でも、発行される許可のほとんどは一回限りの「個別許可」でした。次も許可が下りるか、いつ下りるかが読めない。日本企業からは「サプライチェーンが断絶しないための綱渡り」という声も上がっています。

実際、2025年12月に中国が日本へ輸出したレアアース磁石は前月比で8%減り、重希土類を使う高性能品を中心に、申請の半分ほどしか許可が下りない状況が続きました。

2010年・2022年が教える「過敏な値動き」

供給不安が株価をどう動かすかは、過去が教えてくれます。2010年、尖閣諸島沖の漁船衝突事件をきっかけに中国の対日輸出が滞り、レアアースの輸入量は8月比で9割以上も落ち込みました。

ネオジムなどの価格は数倍に跳ね上がり、日本国内では「代替調達」「備蓄」をテーマにした買いが殺到します。2022年にはロシアのウクライナ侵攻で資源ナショナリズムが強まり、非鉄金属全体が急伸しました。

どちらのケースも、材料が出た瞬間に資金が一気に集まり、そして反動も早い。この過敏さこそが、レアアース関連銘柄の本質です。

依存度は下がった。それでも急所は残る

日本も手をこまねいていたわけではありません。調達先の多様化や備蓄、代替技術の開発を進めた結果、レアアースの対中依存度は2010年の約9割から2024年には約63%まで下がりました。それでも、EVモーター用ネオジム磁石に欠かせない重希土類(ジスプロシウム、テルビウム)は、いまもほぼ100%を中国に頼っています。さらに、採掘場所がどこであれ避けて通れない精製・加工の工程では、中国が世界の約9割を握ります。ここが最大の急所です。

野村総合研究所などの試算では、仮に対中輸入が3か月止まれば経済損失は約6,600億円、1年なら2.6兆円に達するとされています。規制が「本気」になれば、影響は関連銘柄の思惑買いにとどまりません。

レアアースが「戦略資源」と呼ばれる理由とリスク構造

レアアース

レアアースとは、ランタンからルテチウムまでの15元素に、スカンジウムとイットリウムを加えた17元素の総称です。ごく少量を他の金属に加えるだけで性能を大きく引き上げるため、「産業のビタミン」と呼ばれます。EVモーターの永久磁石、風力タービンの発電機、半導体、そしてミサイルの制御装置まで、その用途は先端技術の中枢に食い込んでいます。とりわけ防衛分野では代替が難しく、各国が確保を競っています。

中国が握るのは埋蔵量より「精製」

米地質調査所(USGS)の2025年統計では、世界のレアアース埋蔵量およそ9,000万トンのうち、中国が4,400万トンと5割近くを占めて首位に立ちます。ただ、本当の支配力は埋蔵量ではありません。鉱石を使える素材に変える精製・加工の工程で、中国のシェアは約91%にのぼります。どこで掘っても、最後は中国を通らざるを得ない。この一点が、レアアースを「戦略資源」たらしめています。

需要を押し上げるEVと再エネ

需要側も追い風です。EVモーターに使うネオジム磁石は1台あたり数kg必要とされ、EVの普及とともに消費が膨らみます。風力発電も見逃せません。世界の風力発電市場は2022年の約1,273億ドルから、2030年には約2,472億ドルへとおよそ2倍に育つとの調査があります。脱炭素とデジタル化が続く限り、レアアースの需要は中長期で細りにくいでしょう。

日本の「逆襲戦略」|国産化と精錬・分離で中国依存を脱却する

日本の「逆襲戦略」|国産化と精錬・分離で中国依存を脱却する

中国依存は、いまや経済安全保障の最重要課題です。国が進める打ち手は大きく二つ。国産資源の確保と、中国の急所である精製・分離を国内に取り戻すことです。中長期の本命は、この国策の追い風に乗れる企業に絞られてきます。

南鳥島レアアース泥の試掘が始まった

南鳥島の周辺海域には、国内需要の数百年分ともいわれる規模のレアアース泥が眠っています。2026年1月11日、海洋研究開発機構(JAMSTEC)は探査船「ちきゅう」を使い、水深およそ6,000mからの試験掘削を開始しました。

ここで採れるレアアース泥は放射性物質の含有量が低いとされ、処理コストの面でも優位という指摘があります。本格的な採鉱は2027年、工業利用としての商業化は2028年以降が見込まれています

実用化までの道のりは長い。それでも「自国で採れる」というシナリオが現実味を帯びるたびに、海洋開発関連には資金が向かいます。

中国の急所「精製・分離」を国内に取り戻せるか

先に触れたとおり、中国の本当の強みは精製・分離にあります。裏を返せば、この工程を国内で担える企業こそが、脱・中国依存の中核です。分離・精製は特殊な化学技術を要する世界で、国内でその技術を持つ企業は限られます。だからこそ希少性が高い。具体的な企業は次章の「精錬・分離」で取り上げます。

なお、使用済み製品からレアアースを回収する「都市鉱山」リサイクルも、供給を国内で賄う柱の一つです。こちらはリサイクルを主題にした別記事で詳しく整理しています。

資源開発・海洋|国産化プロジェクトの「現場」

資源開発・海洋|国産化プロジェクトの「現場」

レアアース関連と一括りにしても、どこで利益を得るかは企業ごとに大きく違います。恩恵の受け方で分けると、銘柄の性格が見えやすくなります。ここでは資源開発・海洋の代表的な銘柄を見ていきます。

三井海洋開発(6269)

超深海での作業に実績を持つ、海洋設備のリーディングカンパニーです。南鳥島の海底からレアアース泥を引き上げる国家プロジェクトで、その知見は簡単には代替が効きません。「国産化」に関する報道が出るたびに、株価は敏感に反応してきました。

2023年8月から2026年7月までの月足チャート TradingViewより引用

東洋エンジニアリング(6330)

三井系の総合エンジニアリング会社です。南鳥島プロジェクトではJAMSTECの委託を受け、解泥・採泥に関わる機器の設計・製作を担いました。レアアースは採掘よりも分離・精製が難しく、国内に精製プラントを建てるとなればEPC大手の同社に商機が回ります。

2023年8月から2026年7月までの月足チャート TradingViewより引用

岡本硝子(7746)

特殊ガラスと薄膜のメーカーです。南鳥島沖の採泥試験で使われた深海探査機の耐圧ガラス球に、同社製品が採用されました。海洋資源調査の新会社を石油資源開発などと設立した経緯もあり、海洋開発テーマで名前が挙がりやすい一社です。

2023年8月から2026年7月までの月足チャート TradingViewより引用

このほか、資源開発の上流やインフラを支える銘柄として、次の各社も押さえておきたいところです。

銘柄名コード市場注目ポイント
石油資源開発1662東証プライム資源の探鉱・開発を担う準国策企業。海洋資源調査の体制強化を進める。
古河機械金属5715東証プライム鉱山機械・資源機器の老舗。採掘向け機器を供給する間接的な関連株。
鉱研工業6297東証スタンダード資源開発向けボーリングマシンを製造。探鉱・採掘の上流を支える。
東亜建設工業1885東証プライム海洋土木の実務を担う。南鳥島の港湾整備や作業基地建設で商機が広がる。

精錬・分離|脱・中国依存の本丸

中国の急所をそのまま突く、いわば本丸の領域です。分離・精製の技術を国内で持つ企業は限られ、だからこそ希少性が際立ちます。

三井金属鉱業(5706)

2025年4月にレアアースの精製・分離を手がける子会社・日本イットリウムを吸収合併し、「レアマテリアル事業部」を新設しました。溶媒抽出法やイオン交換法で純度の高いレアアースを分離・量産できる、国内では希少な存在です。

半導体のプラズマエッチングに使うオキシフッ化イットリウム(YOF)では国内で高いシェアを持ち、JOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)と組んでリサイクルを含む分離精製技術の開発も進めています。「国内で精製できる本命」として、規制報道のたびに意識される銘柄です

2023年8月から2026年7月までの月足チャート TradingViewより引用

信越化学工業(4063)

レアアース磁石で世界有数の技術を持ち、重希土類の使用量を抑えた高性能磁石を手がけます。磁石の川上から関わる数少ない大手で、供給網の国産化が進むほど存在感が増します。

2023年8月から2026年7月までの月足チャート TradingViewより引用

三菱マテリアル(5711)

非鉄製錬の大手として、レアメタル・レアアースの回収・供給の一角を担います。製錬で培った技術は、国内サプライチェーンの再構築においても下支えになります。

2023年8月から2026年7月までの月足チャート TradingViewより引用

代替・脱レアアース技術|「使わない」で勝負する

確保するのではなく「使わない」で戦う企業です。規制が長引くほど、その価値は増します。

第一稀元素化学工業(4082)

ジルコニウム化合物で世界トップシェアを持ち、レアアースの使用量を減らす代替材料の開発に力を入れています。供給不安が高まるほど、産業界の「リスクの高い素材から離れたい」というニーズを取り込めます。

2023年8月から2026年7月までの月足チャート TradingViewより引用

大同特殊鋼(5471)

耐熱性を保ちながら重レアアースを使わない、あるいは極力抑えた磁石で先行しています。中国依存を下げたい自動車メーカーにとって、この技術は欠かせないピースです。

2023年8月から2026年7月までの月足チャート TradingViewより引用

商社・調達|市況の急騰を収益に変える

規制で需給が締まれば、在庫を抱え調達ルートを持つ商社が直接の恩恵を受けます。

アルコニクス(3036)

レアメタル・レアアースの調達に特化したネットワークを持つ専門商社です。市況が急騰すれば在庫の評価益が膨らみ、中国以外のルートを探す顧客からの相談も集まります。規制局面で最もダイレクトに追い風を受けやすいタイプです。

2023年8月から2026年7月までの月足チャート TradingViewより引用

豊田通商(8015)・双日(2768)

総合商社も、調達の多角化やリサイクルを通じてレアアースのサプライチェーンに関わっています。豊田通商は自動車グループの調達網、双日は資源・化学分野の商権を背景に、供給多様化の受け皿となり得る存在です。

2023年8月から2026年7月までの豊田通商 月足チャート TradingViewより引用
2023年8月から2026年7月までの双日 月足チャート TradingViewより引用

海外(米国)のレアアース銘柄

中国依存を嫌うのは日本だけではありません。米国も国を挙げて供給網の構築を急いでおり、上場企業を通じて直接投資できる点が、未上場が多い海外テーマの中では日本株にない魅力になります。

MPマテリアルズ(MP)は、米国最大級のマウンテンパス鉱山を運営する中核企業で、米国防総省が資本参加に踏み込んだことでも注目されました。USA Rare Earth(USAR)は鉱山開発から磁石製造までを視野に入れる企業、Energy Fuels(UUUU)はウラン生産とあわせてレアアースの分離に乗り出しています。

政策も後押しします。米国はProject Vaultと呼ばれる重要鉱物の備蓄構想を進め、複数の民間企業を巻き込みながら供給網を強化しています。ただし海外資源株は、為替と現地の政策に大きく振られます。値動きの荒さは日本株以上だと考えておいたほうがいいでしょう。

レアアース関連銘柄の選び方と投資の注意点

最後に、この荒いテーマとの向き合い方を整理します。

レアアース関連銘柄は、供給不安と新産業シナリオという二つの強い物語で動きます。だからこそ、材料が出れば一気に噴き上がり、出尽くせば急落する。値動きの大きさは、旨みであると同時に最大のリスクです。

時価総額の小さい銘柄ほど、この振れは激しくなります。短期で臨むなら、損切りラインを先に決めておくこと。ここを曖昧にすると、往復ビンタで終わりかねません。

見極めのコツは、「思惑で動く株」か「実需で稼ぐ株」かを分けることです。分離・精製のように実際の売上につながる企業は、テーマが一巡しても残ります。

一方、連想だけで買われた銘柄は、材料が薄れると戻り足も速い。もう一つ、政策の持続性も見ておきたいところです。国が補助金や備蓄で長期の支援を打ち出せば、テーマは一過性の「物色」から中長期の「成長シナリオ」へと格上げされます。

まとめ

レアアースは、EV・再エネ・半導体・防衛という成長分野の根っこにある戦略資源です。供給の大半を中国が握る以上、規制のニュースで株価が大きく振れる構造は当分変わりません。2026年に入ってからの対日規制は、その危うさをあらためて突きつけました。

一方で、外圧は国産化と脱・中国依存を加速させる触媒でもあります。南鳥島の試掘、精製・分離の国内回帰、代替技術の実用化。どれも一朝一夕には進みませんが、進む方向は定まっています。短期の値動きに振り回されず、国策の追い風に乗れる企業を軸に、大手と中小型をバランスよく見ていく。この荒波のテーマは、そうした腰の据わった目線でこそ付き合えます。

中国の規制がどのように展開してきたか、発表から現在までの経緯を時系列で振り返りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

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執筆者情報

nari

大畠 典仁

日本投資機構株式会社 アナリスト

準大手の証券会社にて資産運用のアドバイザーを務めた後、日本株主力の投資顧問会社の支店長となる。現在は日本投資機構株式会社の筆頭アナリストとして多くのお客様に株式投資の助言を行いつつ、YouTubeチャンネルにも積極的に出演しており、資産運用の重要さを発信している。

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