レアアース関連銘柄【2026】|南鳥島の採掘企業と本命株を解説

大畠 典仁

日本投資機構株式会社 アナリスト

レアアース関連銘柄【2026】|南鳥島の採掘企業と本命株を解説

2026年の日本株市場では、レアアース関連株が中国の輸出規制と南鳥島沖の資源開発という二つの材料で大きく動きました。1月6日に中国が日本向けの軍民両用(デュアルユース)品目の輸出管理を強化すると発表し、供給不安が意識される一方、2月には南鳥島沖の水深約6,000mからレアアース泥の回収に成功しました。

7月24日に公表された分析結果では、回収量は約50トンに達し、レアアース総量の約54%をイットリウムやジスプロシウムなどの中重レアアースが占めました。有害物質と放射性物質は有意な数値が検出されていません。国産化はまだ実証段階ですが、「採れるかどうか」から「継続的に採れる仕組みを作れるか」へ焦点が移っています。

この記事では、中国の輸出規制、南鳥島レアアース採掘に直接関わる企業、精製・磁石・調達で恩恵を受けるレアアース関連銘柄を整理します。単に名前が連想される企業と、すでに技術や商流で関与している企業を分け、本命株を見極めるポイントまで解説します。

目次

なぜ今レアアース関連株が動くのか|中国の輸出規制強化

なぜ今レアアース関連株が動くのか|中国の輸出規制強化

レアアース相場を理解する出発点は、需給でも業績でもありません。中国の規制の一挙手一投足です。ここ2年ほどで、中国の輸出管理は段階的に厳しくなってきました。まずは、いま何が起きているのかを押さえておきましょう。

段階的に強まった中国の輸出管理

2025年4月には、中国がサマリウム・ガドリニウム・テルビウム・ジスプロシウム・ルテチウム・スカンジウム・イットリウムという7種類のレアアースの輸出管理を強化し、多くの日本企業が輸出許可の申請対応に追われました。そして2026年1月6日、中国は日本向けのデュアルユース品目の輸出管理強化を公布し、即日施行します。

中国が禁じるとしたのは、日本の軍事ユーザー向け、軍事目的、そして日本の軍事力強化につながる輸出の3領域です。民生品には影響しないと中国側は説明していますが、AIやドローンのように軍事と民生の線引きが曖昧な製品は少なくありません。恣意的に「軍事力強化につながる」と判断されれば止められてしまう、という不安が市場に残りました。

規制はその後も強まり、6月29日には中国商務部が日本の20団体を輸出管制リストへ追加しました。レアアースだけを一律に禁輸する措置ではありませんが、対象企業と用途の審査が厳格になるほど、日本企業にとって調達時期と数量を読みにくい状態が続きます。

全面禁止より怖い「予見性のなさ」

規制の厄介さは、全面禁止かどうかではなく「予見性のなさ」にあります。2026年2月の時点でも、発行される許可のほとんどは一回限りの「個別許可」でした。次も許可が下りるか、いつ下りるかが読めない。日本企業からは「サプライチェーンが断絶しないための綱渡り」という声も上がっています。

実際、2025年12月に中国が日本へ輸出したレアアース磁石は前月比で8%減り、重希土類を使う高性能品を中心に、申請の半分ほどしか許可が下りない状況が続きました。

2010年・2022年が教える「過敏な値動き」

供給不安が株価をどう動かすかは、過去が教えてくれます。2010年、尖閣諸島沖の漁船衝突事件をきっかけに中国の対日輸出が滞り、レアアースの輸入量は8月比で9割以上も落ち込みました。

ネオジムなどの価格は数倍に跳ね上がり、日本国内では「代替調達」「備蓄」をテーマにした買いが殺到します。2022年にはロシアのウクライナ侵攻で資源ナショナリズムが強まり、非鉄金属全体が急伸しました。

どちらのケースも、材料が出た瞬間に資金が一気に集まり、そして反動も早い。この過敏さこそが、レアアース関連銘柄の本質です。

依存度は下がった。それでも急所は残る

日本も手をこまねいていたわけではありません。調達先の多様化や備蓄、代替技術の開発を進めた結果、レアアースの対中依存度は2010年の約9割から2024年には約63%まで下がりました。それでも、EVモーター用ネオジム磁石に欠かせない重希土類(ジスプロシウム、テルビウム)は、いまもほぼ100%を中国に頼っています。さらに、採掘場所がどこであれ避けて通れない精製・加工の工程では、中国が世界の約9割を握ります。ここが最大の急所です。

野村総合研究所などの試算では、仮に対中輸入が3か月止まれば経済損失は約6,600億円、1年なら2.6兆円に達するとされています。規制が「本気」になれば、影響は関連銘柄の思惑買いにとどまりません。

レアアースが「戦略資源」と呼ばれる理由とリスク構造

レアアース

レアアースとは、ランタンからルテチウムまでの15元素に、スカンジウムとイットリウムを加えた17元素の総称です。ごく少量を他の金属に加えるだけで性能を大きく引き上げるため、「産業のビタミン」と呼ばれます。EVモーターの永久磁石、風力タービンの発電機、半導体、そしてミサイルの制御装置まで、その用途は先端技術の中枢に食い込んでいます。とりわけ防衛分野では代替が難しく、各国が確保を競っています。

中国が握るのは埋蔵量より「精製」

米地質調査所(USGS)の2026年統計では、中国のレアアース埋蔵量は4,400万トンで、世界最大です。ただ、本当の支配力は埋蔵量だけではありません。鉱石を使える素材に変える分離・精製の工程で、中国のシェアは約91%にのぼります。中国以外で採掘しても、加工を中国へ依存する供給網が残る。この一点が、レアアースを「戦略資源」たらしめています。

需要を押し上げるEVと再エネ

需要側も追い風です。EVモーターに使うネオジム磁石は1台あたり数kg必要とされ、EVの普及とともに消費が膨らみます。風力発電も見逃せません。世界の風力発電市場は2022年の約1,273億ドルから、2030年には約2,472億ドルへとおよそ2倍に育つとの調査があります。脱炭素とデジタル化が続く限り、レアアースの需要は中長期で細りにくいでしょう。

日本の国産化戦略|採鉱・分離・精製で中国依存を下げる

日本の国産化戦略|採鉱・分離・精製で中国依存を下げる

中国依存は、いまや経済安全保障の最重要課題です。国が進める打ち手は大きく二つ。国産資源の確保と、中国の急所である精製・分離を国内に取り戻すことです。中長期の本命は、この国策の追い風に乗れる企業に絞られてきます。

南鳥島で約50トンのレアアース泥を回収

南鳥島の周辺海域には、高濃度のレアアース泥が広く存在すると推定されています。JAMSTECは2026年1月11日から2月14日にかけて、地球深部探査船「ちきゅう」を使い、水深約6,000mで採鉱システムの接続試験を実施しました。

試験では海水分を除いて約50トンのレアアース泥を回収しました。分析の結果、レアアース総量の約54%がイットリウム・ガドリニウム・ジスプロシウムなどの中重レアアースで、有害物質と放射性物質は有意な数値が検出されていません。

次の節目は2027年2月に予定される南鳥島を拠点とした本格的な採鉱実証です。商業生産の開始時期はまだ確定しておらず、採算性、連続操業、海洋環境への影響、島内での処理設備など課題も残ります。期待だけを先行させず、実証結果と国のロードマップを追う必要があります。

中国の急所「精製・分離」を国内に取り戻せるか

先に触れたとおり、中国の本当の強みは分離・精製にあります。裏を返せば、この工程を国内で担える企業こそが、脱・中国依存の中核です。分離・精製は特殊な化学技術を要する世界で、国内でその技術を持つ企業は限られます。具体的な企業は後述する「精製・磁石・リサイクル」で取り上げます。

なお、使用済み製品からレアアースを回収する「都市鉱山」リサイクルも、供給を国内で賄う柱の一つです。こちらはリサイクルを主題にした別記事で詳しく整理しています。

南鳥島レアアース採掘に関わる企業はどこ?

南鳥島レアアース採掘に関わる企業

南鳥島レアアース採掘への関与が公式資料で確認できる上場企業は限られます。採鉱システムの設計・製作を担う東洋エンジニアリングと、環境モニタリング機器を支える岡本硝子は直接関与が確認できます。一方、三井海洋開発などは深海技術との親和性から買われることがありますが、現時点でプロジェクトへの直接参加が公表されているわけではありません。

東洋エンジニアリング(6330)|採鉱システムへ直接関与

南鳥島レアアース採掘で、関与が最も明確な上場企業です。JAMSTECの委託を受け、水深約6,000mからレアアース泥を回収するシステムのうち、海底の泥をほぐす「解泥」と取り込む「採泥」に関する機器の基本設計・詳細設計・製作を担当しました。

2023年8月から2026年7月までの月足チャート TradingViewより引用

岡本硝子(7746)|環境モニタリングで直接関与

岡本硝子の超高圧耐圧ガラス球は、採鉱作業中の海洋環境を観測する「江戸っ子1号COEDO」に搭載されました。2026年2月の試験では水深約6,000mに投入され、環境影響評価の役割を終えて回収されています。採鉱そのものではなく、実証に欠かせない監視工程を支える企業です。

2023年8月から2026年7月までの月足チャート TradingViewより引用

三井海洋開発(6269)|深海技術から連想される関連株

浮体式海洋石油・ガス生産設備(FPSO)の設計・建造・操業で世界的な実績を持ちます。深海で設備を安定運用する技術は南鳥島開発と親和性がありますが、現時点で同社が採鉱システムへ直接参加しているとの公式発表は確認できません。直接関与株ではなく、将来の設備需要を先回りする連想株として分けて見るべきです。

2023年8月から2026年7月までの月足チャート TradingViewより引用

このほか、資源開発や海洋インフラとの技術的な接点から物色される企業があります。ただし、以下は南鳥島プロジェクトへの直接参加が確認できた企業一覧ではありません。

銘柄名コード位置付け注意点
石油資源開発1662資源探鉱・開発海洋資源開発の知見を持つが、南鳥島案件への直接関与とは分けて考える。
古河機械金属5715鉱山・資源機械採掘機器の技術を持つ間接的な関連株。具体的な受注の確認が必要。
鉱研工業6297ボーリング機器探鉱・掘削の連想が働きやすいが、南鳥島向け受注は公表されていない。
東亜建設工業1885海洋土木港湾・作業基地整備の候補として連想される段階で、業績寄与は未確定。

精製・磁石・リサイクル|脱・中国依存の本丸

精製・磁石・リサイクル|脱・中国依存の本丸

中国の支配力が強い分離・精製を国内で担う企業、レアアースの使用量を抑える磁石メーカー、使用済み製品から回収する企業は、採掘とは異なる形で供給網の強化に関わります。南鳥島の商業化を待たず、既存事業として売上につながっているかが選別のポイントです。

三井金属鉱業(5706)

2025年4月にレアアースの分離・精製を手がける子会社・日本イットリウムを吸収合併し、「レアマテリアル事業部」を新設しました。溶媒抽出法などを使い、特定のレアアース元素を高純度に分離・精製できる、国内では希少な存在です。

半導体製造装置向けのオキシフッ化イットリウム(YOF)などを展開し、JOGMECの高効率溶媒抽出プロジェクトにも参画しています。南鳥島の採鉱企業ではありませんが、国産レアアースを素材として使える状態へ変える工程の有力候補です。

2023年8月から2026年7月までの月足チャート TradingViewより引用

信越化学工業(4063)

レアアース磁石で世界有数の技術を持ち、重希土類の使用量を抑えた高性能磁石を手がけます。磁石の川上から関わる数少ない大手で、供給網の国産化が進むほど存在感が増します。

2023年8月から2026年7月までの月足チャート TradingViewより引用

三菱マテリアル(5711)

非鉄製錬の大手として、レアメタル・レアアースの回収・供給の一角を担います。製錬で培った技術は、国内サプライチェーンの再構築においても下支えになります。

2023年8月から2026年7月までの月足チャート TradingViewより引用

重希土類を減らす技術|「使いすぎない」で勝負する

重希土類を減らす技術|「使いすぎない」で勝負する

レアアースを完全に使わないのではなく、中国依存度の特に高いジスプロシウムやテルビウムなどの重希土類を減らす技術です。規制が長引くほど、自動車メーカーやモーターメーカーからの需要が高まりやすくなります。

大同特殊鋼(5471)

グループのダイドー電子が、ジスプロシウムやテルビウムを使わない重希土類完全フリーのネオジム磁石を実用化しています。すべてのレアアースを不要にする技術ではありませんが、中国依存の急所を減らせる点で重要です。

2023年8月から2026年7月までの月足チャート TradingViewより引用

商社・調達|中国以外の供給ルートを持つ企業

商社・調達|中国以外の供給ルートを持つ企業

商社を見るときは、単にレアアースを扱っているかではなく、中国以外の鉱山・精製拠点から日本へ供給できるかを確認します。価格上昇がそのまま利益になるとは限らず、調達契約、在庫、販売価格への転嫁条件によって業績への影響は変わります。

アルコニクス(3036)

レアメタル・レアアースを扱う専門商社で、電子材料から自動車部材まで幅広い取引基盤を持ちます。規制局面では代替調達への需要が意識されますが、在庫評価益や収益増を事前に決めつけず、決算で取扱高と利益率を確認する必要があります。

2023年8月から2026年7月までの月足チャート TradingViewより引用

双日(2768)|豪州由来の重希土類を日本へ供給

豪州ライナス社への出融資と日本向け販売契約を通じ、中国以外のレアアース供給網を築いています。2025年10月には、豪州鉱石をマレーシアで分離・精製したジスプロシウムとテルビウムの国内輸入を開始しました。南鳥島関連株ではありませんが、足元の中国依存低下では実需に最も近い企業の一つです。

2023年8月から2026年7月までの双日 月足チャート TradingViewより引用

海外(米国)のレアアース銘柄

中国依存を嫌うのは日本だけではありません。米国も国を挙げて供給網の構築を急いでおり、上場企業を通じて直接投資できる点が、未上場が多い海外テーマの中では日本株にない魅力になります。

MPマテリアルズ(MP)は、米国最大級のマウンテンパス鉱山を運営する中核企業で、米国防総省が資本参加に踏み込んだことでも注目されました。USA Rare Earth(USAR)は鉱山開発から磁石製造までを視野に入れる企業、Energy Fuels(UUUU)はウラン生産とあわせてレアアースの分離に乗り出しています。

政策も後押しします。米国はProject Vaultと呼ばれる重要鉱物の備蓄構想を進め、複数の民間企業を巻き込みながら供給網を強化しています。ただし海外資源株は、為替と現地の政策に大きく振られます。値動きの荒さは日本株以上だと考えておいたほうがいいでしょう。

レアアース関連銘柄の選び方と投資の注意点

最後に、この荒いテーマとの向き合い方を整理します。

レアアース関連株は、中国の供給規制と南鳥島の国産化という二つの強い材料で動きます。だからこそ、ニュースが出れば一気に噴き上がり、出尽くせば急落します。値動きの大きさは、収益機会であると同時に最大のリスクです。

時価総額の小さい銘柄ほど、この振れは激しくなります。短期で臨むなら、損切りラインを先に決めておくこと。ここを曖昧にすると、往復ビンタで終わりかねません。

見極めのコツは、「直接関与」「既存事業で実需がある」「技術の近さから連想される」の3段階に分けることです。採鉱システムや分離・精製、豪州からの調達のように具体的な事業がある企業は、テーマが一巡しても業績を確認できます。

一方、連想だけで買われた銘柄は、材料が薄れると戻り足も速くなります。南鳥島については、2027年2月の採鉱実証、連続操業の可否、分離・精製を含むコスト、民間企業の受注が次の確認点です。国策という言葉だけで買わず、実証から事業化へ進んでいるかを追いましょう。

レアアース関連株でよくある質問

南鳥島レアアース採掘の中心企業はどこですか?

上場企業では、東洋エンジニアリングが採鉱システムの解泥・採泥機器を設計・製作し、岡本硝子が環境モニタリング機器の耐圧ガラス球を供給しています。いずれも公式資料で関与を確認できます。三井海洋開発などは深海技術から連想されますが、直接参加株とは分けて考える必要があります。

レアアース関連銘柄の本命はどの企業ですか?

南鳥島の実証を重視するなら東洋エンジニアリング、国内の分離・精製技術なら三井金属鉱業、中国以外からの供給実績なら双日が有力候補です。ただし、本命は一社に固定されません。採鉱・精製・調達のどの段階が進むかによって、業績へ恩恵が届く企業は変わります。

100円台・300円台の低位株に本命銘柄はありますか?

株価が100円台や300円台というだけでは、割安とも上昇余地が大きいとも判断できません。発行済み株式数が多ければ株価は低くなり、テーマとの関係が薄い企業も含まれます。低位株を探すより、具体的な受注、研究開発への参加、レアアース事業の売上比率を確認する方が重要です。

まとめ

レアアースは、EV・再エネ・半導体・防衛という成長分野の根っこにある戦略資源です。分離・精製を中心に中国の影響力が強い以上、規制のニュースでレアアース関連株が大きく振れる構造は当分変わりません。

一方、南鳥島では水深約6,000mから約50トンを回収し、中重レアアースを多く含むことまで確認されました。ただし、まだ商業生産ではありません。東洋エンジニアリングや岡本硝子のような直接関与株、三井金属鉱業や双日のように既存事業で供給網を支える企業、技術の近さから買われる連想株を分け、受注と業績の裏付けを確認しながら投資判断を行うことが重要です。

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執筆者情報

nari

大畠 典仁

日本投資機構株式会社 アナリスト

準大手の証券会社にて資産運用のアドバイザーを務めた後、日本株主力の投資顧問会社の支店長となる。現在は日本投資機構株式会社の筆頭アナリストとして多くのお客様に株式投資の助言を行いつつ、YouTubeチャンネルにも積極的に出演しており、資産運用の重要さを発信している。

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