NISA成長投資枠の買い方|注文手順から金額の決め方、いつ買うべきかを徹底解説

峯岸 恭一

日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)

NISA成長投資枠の買い方|注文手順から金額の決め方、いつ買うべきかを徹底解説

NISA口座を開設した後、どの銘柄を、どのタイミングで買うかは迷いやすいところです。成長投資枠は買い方の自由度が高く、注文方法だけでなく、投資する金額や時期も自分で決める必要があります。

本記事で取り上げるのは、口座開設から注文までの手順と、金額・買付時期の決め方です。NISAで購入されている銘柄や、一括購入と分割購入を比べた検証データも紹介します。

目次

NISAの成長投資枠で株を買うまでの4ステップ

NISAの成長投資枠で株を買うまでの4ステップ

NISAの成長投資枠で株や投資信託を買う手順は、①口座開設、②入金、③銘柄選び、④注文の4段階です。スマホ1つでも手続きできますが、銘柄や注文時期は自分で選ぶ必要があります。まずは、購入までの具体的な手順を確認します。

①NISA口座を開設

NISA口座は、証券会社や銀行に申し込んで開設します。
日本国内に住所(住民票)がある、NISAを利用する年の1月1日時点での年齢が18歳以上の方であれば誰でも開設できます。
その年にNISAで買付できる金融機関は1人1つです。金融機関は年単位で変更できますが、変更したい年にすでに買付している場合、その年の変更はできません。

NISA口座の売買手数料を無料にしているネット証券もあります。対象商品や適用条件は各社で確認してください。
すでに証券口座を持ち、操作に慣れている方は、同じ証券会社への申し込みも選択肢です。

②口座に買付代金を入金~④注文

口座開設後は買付代金の入金が必要です。
ネット証券の即時入金サービスを使えば、銀行口座から数分で反映されます。

入金が済んだら銘柄を選び、注文画面で預り区分にNISAを指定して発注します。
東証の現物株の取引時間は、営業日の9時~11時30分と12時30分~15時30分です。ただし15時25分以降は注文受付のみとなり、15時30分にまとめて売買が成立します。特別気配などで、成行注文でもすぐには約定しない場合がある点には注意が必要です。
証券会社の受付時間内なら、取引時間外に翌営業日などの注文も予約できます。

つみたて投資枠と違い好きなタイミングで買えます

成長投資枠は、買うタイミングを自分で決められる仕組みです。

つみたて投資枠は積立契約に基づく定期的・継続的な買付が前提で、通常のスポット買付はできません。金融機関によっては、毎日・毎週の積立やボーナス月の増額設定も選べます。対象は、長期の積立分散に適すると金融庁が認めた一定の投資信託です。一方、成長投資枠なら積立にも一括購入にも対応しています。決算を確認してから買う、株価が下がった日に買い増す、といった注文も可能です。

年間投資枠は、つみたて投資枠が年120万円、成長投資枠が年240万円と倍の差があります。金融庁は両方の併用を認めており、合わせて年360万円までが非課税の投資枠です。まとまった資金を動かしたい方や、個別株を買いたい方は成長投資枠を利用できます。

スマホアプリだけで注文まで終わります

口座開設から注文まで、パソコンがなくてもスマートフォンだけで完結します。

SBI証券や楽天証券などのネット証券では、口座開設の申し込みからマイナンバー確認書類の提出までアプリで手続きできます。ただし、NISA口座の開設には税務署の確認が必要です。申込から利用開始まで数営業日かかる場合もありますが、証券会社によっては確認を待たずに買付できる仕組みを用意しています。

注文自体はさらに簡単です。アプリで銘柄を検索し、詳細画面の買付ボタンを押し、預り区分でNISAを選び、株数か金額を入力して発注します。SBI証券の解説でも、銘柄を選ぶ、株数を入力する、NISAを選択する、注文を出すの4操作で完了すると案内されています。

スポット買付と積立設定|2通りの注文方法

スポット買付と積立設定|2通りの注文方法

成長投資枠の注文方法は、必要なときに1回ずつ買うスポット買付と、決めた日に自動で買う積立設定の2通りです。どちらを選んでも非課税の扱いは同じで、使う枠も同じ年240万円から差し引かれます。

違うのは注文を出す手間と、買い付ける価格の決まり方です。

個別株と投資信託でも入力する項目が変わります。株式は株数を指定し、投資信託は金額を指定するのが基本です。ここでは商品別に、実際の注文画面で何をどう入力するかを見ていきます。

個別株は預り区分をNISAにして現物買い注文を出します

個別株を成長投資枠で買うときは、現物買いの注文画面で預り区分をNISAに切り替えます。

手順は課税口座と同じです。銘柄コードで検索し、現物買のボタンを押すと注文入力画面が開きます。ここで株数、価格(成行か指値)、期間、預り区分を入力します。国内株式は100株単位が基本のため、株価3000円の銘柄なら30万円が最低の買付金額です。

重要なのは預り区分です。SBI証券であれば特定・一般・NISAの選択肢が並び、初期設定のままだと課税口座で約定します。楽天証券では口座区分でNISA成長投資枠を選びます。注文確認画面でNISAの表示になっているかを必ず確かめてから発注してください。一度課税口座で約定した株式は、あとからNISA口座へ移せません。

投資信託は金額を指定する買い方が基本です

投資信託を金額指定で買う場合は、買いたい金額を入力して注文します。

一般的な公募投資信託の基準価額は原則として1日1回算出され、注文時点では適用価格が確定していません。金額買付では、1万円分、10万円分と金額を指定し、あとから決まる基準価額で購入口数が計算されます。なお、投資信託には口数買付もありますが、SBI証券のNISAでは口数買付を扱っていません。

注文画面に表示される概算約定代金は、NISA投資可能枠の管理にも使われます。SBI証券の説明では、この概算金額に相当する枠を一時的に拘束する仕組みです。あわせて分配金の受取方法を選び、再投資に設定した場合は、受け取った分配金を追加の買付に回します。

この再投資分も、NISAの年間投資枠と非課税保有限度額に含まれる買付です。SBI証券では再投資先の枠が足りないと、NISA口座優先の設定でも特定口座または一般口座で再投資されます。

毎月同じ日に買うなら積立設定にしておきます

同じ銘柄を定期的に買い続ける場合、毎回の注文を省けるのが積立設定です。

成長投資枠でも積立は選べます。つみたて投資枠の年間120万円を超えて投資する場合や、成長投資枠だけで扱う投資信託を積み立てる場合にも利用可能です。つみたて投資枠を毎月均等に使う目安は月10万円ですが、ボーナス月の増額設定は金融機関や決済方法によって異なります。

国内株式の定期買付に対応するサービスは、SBI証券の日株積立や楽天証券のかぶツミなどです。決めた日に自動で買い付けられます。

設定する項目は、銘柄、金額、買付日、引き落とし方法の4つです。年240万円を12か月で割ると月20万円になるため、毎月20万円ずつの積立で1年分の成長投資枠を使い切れます。ボーナス月だけ増額する設定も、証券会社によっては選択可能です。

成長投資枠で買える商品と買えない商品|対象を整理

成長投資枠で買える商品と買えない商品|対象を整理

成長投資枠の魅力は商品の幅広さです。つみたて投資枠が金融庁の基準を満たす投資信託に限られるのに対し、成長投資枠は上場株式やETF、REITまで選べます。両方の枠で買える投資信託もありますが、対象商品と取扱いは枠ごとに確認が必要です。ただし何でも買えるわけではありません。金融庁は長期の資産形成に向かない商品を除外しており、買おうとしても注文が通らない商品があります。取扱商品は金融機関ごとにも違うため、両方を確認しておきます。

個別株・ETF・REIT・投資信託まで幅広く買えます

成長投資枠では、上場している株式から投資信託まで幅広く選べます。

金融庁のNISA特設サイトによると、成長投資枠の対象は上場株式と投資信託などです。SBI証券の場合、国内上場株式(現物株式・ETF・REIT・ETN・単元未満株)、公募株式投資信託、外国上場株式(米国・香港・韓国など)が対象になります。IPOの新規公開株や、楽天証券のかぶミニのような単元未満株も含まれます。

つみたて投資枠との違いを並べると次のとおりです。

項目つみたて投資枠成長投資枠
年間投資枠120万円240万円
非課税保有限度額(取得金額ベース)両枠合計1800万円うち1200万円まで
買える商品金融庁基準の投資信託上場株式・ETF・REIT・投資信託
買い方積立のみ積立と一括の両方

両方の枠の対象となり、利用する金融機関が取り扱っている投資信託なら、同じ商品を両方の枠で買い分けられます。

整理銘柄と毎月分配型の投資信託は買えません

成長投資枠でも、長期の資産形成に向かないと判断された商品は対象から外されています。

金融庁が示す除外対象には、整理銘柄と監理銘柄があります。整理銘柄は上場廃止が決まった企業、監理銘柄は上場廃止基準に触れる可能性がある企業の株式です。投資信託では、信託期間20年未満、毎月分配型、デリバティブ取引を用いた一定の商品が除外されています。

毎月分配型が外れた理由は、分配のたびに元本を取り崩す商品が含まれるためです。非課税で長く増やす制度の趣旨と合いません。取扱商品は金融機関ごとに違う点にも注意が必要です。銀行のNISA口座では投資信託しか扱わない場合が多く、個別株を買いたいなら証券会社を選びます。

いくら買うか|年240万円の配分の決め方

いくら買うか|年240万円の配分の決め方

注文方法がわかったら、次に決めるのは金額です。成長投資枠は年240万円まで使えますが、使い切る義務はありません。使わなかった枠は翌年に繰り越せず毎年リセットされるため、早く埋めたくなる方もいます。ただし取得金額ベースの非課税保有限度額は1800万円と決まっており、成長投資枠だけで使えるのは1200万円までです。急いで埋めるほど有利になるとは限りません。ここでは1回あたりいくら買うかを決めるための考え方を3つ紹介します。

一度に240万円を使い切る必要はありません

年240万円は上限であって、目標ではありません。

金融庁の説明では、年間投資枠は毎年リセットされ、使わなかった分を翌年へ繰り越せません。この仕組みから年内に埋めなければ損だと考えがちです。しかし無理に資金を作って投資に回すと、生活費が足りずに数か月後に売却する事態を招きます。売却した枠が戻るのは翌年のため、早く埋めるほど自由度は下がります。

現実的なのは月ごとの金額から逆算する方法です。年240万円を12で割ると月20万円、毎月10万円なら年120万円で枠の半分を使う計算です。毎月の余剰資金がいくらかを先に決め、その範囲で買い付けます。ボーナスが入った月だけスポット買付を足す使い方も、成長投資枠なら自由に選べます。

単元未満株なら数百円から成長投資枠を使えます

少額から成長投資枠を使い始める方法が、単元未満株の購入です。

国内株式は100株単位が原則で、株価3000円の銘柄を買うには30万円が必要です。この金額を用意できず、成長投資枠を使えないと考える方は少なくありません。そこで使えるのが単元未満株です。SBI証券のS株、楽天証券のかぶミニなど、1株から買えるサービスが用意されています。

NISAの成長投資枠でも単元未満株を買え、株価3000円の銘柄なら1株3000円から購入可能です。配当も1株分から受け取れます。SBI証券のS株は買付手数料も売却手数料も無料です。ただし注文方法は成行のみで、リアルタイムでは約定しません。値段を指定して買いたい注文には向かないため、コツコツ買い増す使い方に向いています。

保有残高1200万円の上限と枠の再利用を押さえます

成長投資枠の上限は年240万円だけでなく、取得金額ベースの保有残高にも1200万円と定められています。売却した分を再利用できるのは翌年以降で、その年の年間投資枠の範囲内です。

金融庁によると、NISA全体の非課税保有限度額は1800万円で、うち成長投資枠で保有できるのは最大1200万円です。1800万円をすべて使うには、成長投資枠だけでなく、残る600万円以上をつみたて投資枠に配分する必要があります。

この上限を管理する基準は、取得金額である簿価です。購入後に値上がりしても、その値上がり分だけ枠が減るわけではありません。成長投資枠へ年240万円ずつ投資すると、5年で1200万円に届きます。1200万円を超えて新たに買い付けたい場合の選択肢は、つみたて投資枠です。両枠への配分や成長投資枠を使うペースによって、10年後に非課税で保有できる金額は変わります。

いつ買うか|人気30銘柄の検証で出た答え

いつ買うか|人気30銘柄の検証で出た答え

金額が決まったら、残るのは買うタイミングです。一度にまとめて買うか、何回かに分けて買うか。理屈では上がると思うなら一括、不安なら分割と説明されますが、実際にどれだけ差が出るかは語られません。そこで弊社では、SBI証券が公表した2026年1〜3月のNISA買付ランキング上位30銘柄について、一括で買った場合と6回に分けて買った場合の損益を計算しました。2026年1月5日の始値で買い、6月30日の終値で評価した結果を紹介します。

対象は、2026年1月1日〜3月31日にSBI証券のNISA口座で買われた日本株の買付金額上位30銘柄です。個別株28銘柄と純金・純銀のETF2銘柄を一覧にしました。ソフトバンクグループとソフトバンク、ソニーグループとソニーフィナンシャルグループは、それぞれ別の銘柄なのでコードも併記しています。

順位銘柄名証券コード区分
1任天堂7974個別株
2三菱UFJフィナンシャル・グループ8306個別株
3NTT9432個別株
4ソフトバンクグループ9984個別株
5本田技研工業7267個別株
6伊藤忠商事8001個別株
7三菱重工業7011個別株
8トヨタ自動車7203個別株
9ソニーフィナンシャルグループ8729個別株
10SBI新生銀行8303個別株
11日本たばこ産業2914個別株
12三井住友フィナンシャルグループ8316個別株
13日本製鉄5401個別株
14純金上場信託(現物国内保管型)受益証券1540ETF
15ソフトバンク9434個別株
16ソニーグループ6758個別株
17JX金属5016個別株
18三菱HCキャピタル8593個別株
19オリエンタルランド4661個別株
20イオン8267個別株
21INPEX1605個別株
22サンリオ8136個別株
23東京海上ホールディングス8766個別株
24アサヒグループホールディングス2502個別株
25ヤマハ発動機7272個別株
26SBIホールディングス8473個別株
27三菱商事8058個別株
28純銀上場信託(現物国内保管型)受益証券1542ETF
29メタプラネット3350個別株
30KDDI9433個別株

※順位は2026年1〜3月のSBI証券のNISA買付ランキングであり、投資成果や推奨順位を示すものではありません。ランキング公表後に対象を選び、年初からの損益を振り返った比較です。年初時点で同じ30銘柄を選べたとは限らないため、事後的な検証として扱っています。

一括有利14銘柄・分割有利16銘柄でほぼ互角でした

30銘柄の検証では、平均収益率と勝敗数で逆の結果が出ました。

平均収益率は一括が-2.2%、6回に分けた分割が-4.54%です。差は2.34ポイントで一括が上回りました。

ところが銘柄数で数えると結果は逆転します。一括が有利だったのは14銘柄、分割が有利だったのは16銘柄でした。平均で一括が勝ったのは、一括が+116.7%と大きく勝ったJX金属のような銘柄に引き上げられたためです。今回の平均収益率は、一部銘柄の大きな値動きの影響を受けています。イオンでは一括が-45.9%、分割が-27.9%で、分割が18.1ポイント損失を抑えました。

買付期間中の値動きによって一括と分割の有利不利は変わります

30銘柄を損益のプラスとマイナスで分けると、傾向がはっきり出ました。

グループ銘柄数一括有利分割有利
両方プラス(上昇銘柄)972
両方マイナス(下落銘柄)17413
一括プラス・分割マイナス330
一括マイナス・分割プラス101

両方がプラスになった9銘柄のうち、7銘柄は一括が有利でした。ただし、残る2銘柄は分割が有利です。評価日の株価が上がったかどうかだけでなく、それぞれの買付日にいくらで買えたかによって結果が変わります。

反対に両方がマイナスになった17銘柄では、13銘柄で分割の損失が小さくなりました。任天堂は一括-37.4%に対し分割-21.6%、メタプラネットは-54.2%に対し-40.2%です。後から安い価格で買えれば、分割によって平均取得単価が下がります。一方、途中で株価が上がれば高値で買い増すこともあります。分割しても、損失が必ず小さくなるわけではありません。

使う時期と許容できる損失から買い方を決めます

検証結果を注文に活かすなら、資金を使う予定と、どこまでの値下がりに耐えられるかを先に考えます。

一括は早い時期から全額を投資するため、上昇を取り込める一方、直後の値下がりの影響も全額に及びます。分割は購入時期を分散できますが、利益が増えるか、損失が小さくなるかは途中の値動き次第です。今回の集計でも、両方がマイナスの17銘柄すべてで分割が有利だったわけではありません。

最初に多めに買い、残りを何回かに分ける中間の買い方もあります。例えば、半分を最初に入れて残りを5回に分ける、7割を先に入れて残りは様子を見る、といった配分です。投資期間や許容できる損失額に合わせて配分を変えれば、一度に値下がりの影響を受ける金額を調整できます。

買い注文でつまずきやすい3つの確認ポイント

買い注文でつまずきやすい3つの確認ポイント

注文画面でつまずきやすいのは、預り区分の選び忘れや、枠の判定日をめぐる勘違いです。注文が通っても、非課税での買付にならない場合があります。特に課税口座で約定した株式や投資信託は、そのままNISA口座へ移せません。証券会社への訂正依頼では対応できず、NISAで持つには売却して買い直す必要があります。以下では、発注前の確認事項を3点に分けて説明します。

預り区分をNISAにし忘れると課税口座で約定します

注文画面で最も確認すべきなのが預り区分です。

証券会社の注文画面は、初期設定で特定口座が選ばれている場合があります。銘柄と株数だけ入力して発注すると、NISAではなく課税口座で約定します。売却益や配当に20.315%の税金がかかり、非課税の利益は得られません。内訳は所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%です。

SBI証券なら「特定・一般・NISA」からNISAを選び、楽天証券なら口座区分でNISA成長投資枠を指定します。発注前に毎回見るべき箇所は、確認画面のNISA表示です。約定後は、注文履歴からも預り区分を確かめられます。

枠の残りが少ないときは注文時の拘束額を確認します

成行注文では、現在の株価で計算した購入額より多くの買付余力が必要になる場合があります。NISA枠と買付余力の両方を、注文確認画面で確認してください。

SBI証券の国内株式では、成行買いの注文時に制限値幅の上限価格をもとに買付余力が拘束されます。指値注文なら購入価格の上限を指定できますが、指定した価格以下で売買が成立する条件がそろわなければ約定しません。

一方、SBI証券の米国株式では、受渡精算金額がNISA投資可能枠を超えると、特定口座または一般口座へ預り区分が変更される場合があります。同社は枠に余裕を持った指値注文を勧めていますが、NISA預りでの約定を保証するものではありません。国内株式・米国株式・投資信託では取扱いが異なるため、商品の注文ルールを確認してください。

年末は受渡日ベースで枠の締切が前倒しになります

年内の枠を使い切りたい場合、12月の締切は月末ではありません。

NISAの非課税枠は注文日ではなく受渡日で判定されます。マネックス証券は、受渡日が年内になる買付には今年の枠が適用され、翌年にずれ込む場合は翌年の枠が適用されると案内しています。注文が年内に間に合っても、受渡が年明けになれば今年の枠は使えません。

投資信託は、申込受付日から受渡日までの日数がファンドごとに異なります。「申込受付日から5営業日目」なら、受付日を1日目として数えます。例えばマネックス証券の2025年の案内では、該当例の年内最終取引日は12月24日でした。海外市場の休場日や申込締切時刻によっても変わるため、利用する証券会社が公表するその年・そのファンドの年内最終買付日を確認してください。

買ったあとの売却と非課税枠の再利用ルール

買ったあとの売却と非課税枠の再利用ルール

NISAは非課税保有期間が無期限で、何年保有するかを自分で決められる制度です。売却時期についてもNISA独自の制限はなく、値上がりを待って保有するか、売って現金にするかを選べます。ただし、売却後の枠の再利用と、損失の税務上の扱いには注意が必要です。売却した枠がすぐに戻るわけではなく、損失の扱いも課税口座とは異なります。

売却した枠が復活するのは翌年です

NISAで買った商品を売ると使った枠は復活しますが、戻るのは翌年です。

金融庁の説明では、売却した商品の簿価に相当する非課税投資枠を、翌年以降に再利用できます。簿価とは取得金額であり、売却時の価格ではありません。100万円で買った株式を150万円で売却しても、翌年に復活する枠は100万円です。値上がりや値下がりは、この計算に影響しません。

ただし、枠が復活しても年間投資枠の上限は変わりません。翌年に1200万円分が戻った場合も、その年に成長投資枠で買える金額は240万円までです。年間投資枠を使い切った年は、売却しても年内の買い直しに使える枠は戻りません。このため、成長投資枠では長期で保有できる銘柄を選ぶほうが、枠を繰り返し消費せずに済みます。

NISA口座の損失は他の口座の利益と相殺できません

NISA口座で出た損失は、課税口座の税金を減らすためには使えません。

金融庁の資料では、NISA口座の損益を一般口座や特定口座と損益通算する扱いも、損失を翌年以降に繰り越す繰越控除も対象外です。特定口座であれば、A株の50万円の損失とB株の50万円の利益を相殺して税金をゼロにできます。一方、NISA口座の損失には、この相殺が認められていません。

NISAは利益が出たときだけ有利に働く制度です。大きく下げる可能性がある銘柄を短期で売買すると、非課税の恩恵を受けられないまま枠だけを消費します。値上がりを長く待てる銘柄を選び、売り急がない買い方を設計するほうが制度と合います。

まとめ|成長投資枠は買い方・金額・時期で決まります

まとめ|成長投資枠は買い方・金額・時期で決まります

成長投資枠で購入する際は、注文画面の預り区分をNISAに指定します。入力するのは、個別株なら株数、投資信託なら金額が基本です。同じ銘柄の定期買付には積立設定を使えば、毎回の注文を省けます。

年240万円の枠は使い切る義務のない上限です。月20万円なら年240万円、月10万円なら年120万円になり、単元未満株なら1株から始められます。未使用の年間枠は翌年へ繰り越せません。成長投資枠の非課税保有限度額は取得金額ベースで1200万円です。投資予定額に合わせて、つみたて投資枠との配分も考えられます。

買うタイミングは、投資期間と許容できる損失から考えます。今回の集計では、両方がプラスの9銘柄のうち7銘柄で一括が、両方がマイナスの17銘柄のうち13銘柄で分割が有利でした。どちらが有利になるかは買付日と途中の値動きに左右され、分割にも損失を抑える保証はありません。

発注前には預り区分の表示を必ず確認してください。枠の残りが少ないときは成行ではなく指値、12月は受渡日から逆算した締切に注意します。

※本記事は情報提供を目的とし、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。収益率は2026年1月5日から6月30日までの株価で算出した過去の実績で、配当を含まない数値です。将来の投資成果を示したり、保証したりするデータではありません。制度の説明には2026年8月時点の情報を使用しています。最終的な投資判断は、ご自身の責任でお願いします。

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執筆者情報

nari

峯岸 恭一

日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)

総合鉄鋼メーカーに勤務していた経験を活かした、鉄鋼・自動車市場の分析及び情報収集を得意とし、データの集計・分析に基づいた統計学により銘柄の選定を行う希少なデータアナリスト。AIに関する資格も有しておりデータサイエンティストとしても活躍の場を拡げている。

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