テラドローン(278A)株価は2万2,000円へ急騰|キオクシアから資金を移す投資家が続出?今後を分ける4条件

江口 裕臣

日本投資機構株式会社 テクニカルアナリスト(CMTA®)

テラドローン(278A)株価は2万2,000円へ急騰|キオクシアから資金を移す投資家が続出?今後を分ける4条件

テラドローンの株価は2026年8月28日に一時22,000円まで上昇し、上場来高値を更新しました。終値は21,620円で、3月2日の2,741円から約7.9倍です。防衛向けドローンの実証試験通過と株式分割が重なり、成長期待が急速に膨らみました。

一方、会社は27年1月期に16.58億円の営業赤字を見込んでいます。株価の勢いだけで高値を追うには、業績との隔たりが大きい水準です。この記事では急騰材料、ACSLとの違い、評価指標、次に確認したい開示を順に解説します。

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目次

テラドローン株は防衛実証と株式分割で急騰

8月下旬の上昇を支えた材料は、防衛向けTerra B1と1対2の株式分割です。ただし、実証試験の通過、量産契約、利益計上はそれぞれ別の段階です。資金調達も完了していません。

Terra B1は実証試験を通過、ただし受注額と業績影響は未確定

テラドローンは8月25日、国産迎撃ドローン「Terra B1」が防衛装備庁の早期取得プログラムの実証試験を通過したと発表しました。会社説明では次の量産段階へ進む予定で、9月頃の納入が想定されています。

ただし、開示には契約金額、機体数、採算性が示されていません。27年1月期への影響も精査中です。試験通過をそのまま大型受注や黒字化へ結び付ける根拠はまだありません。

1株を2株へ分割、基準日は9月30日・効力発生日は10月1日

会社は9月30日を基準日として、10月1日付で普通株式1株を2株へ分割します。分割後は株数が2倍、理論上の1株価格は半分です。8月26日終値を基準にした最低投資額は約85万円と会社が試算しています。

東京証券取引所が望ましいとする50万円未満には届きません。分割は売買しやすさを改善しても、企業価値や保有比率を直接増やしません。新株予約権の潜在株式数と行使価額も同じ比率で調整されます。詳細は株式分割の開示で確認できます。

8月28日時点で約28万株の潜在株式が残る

6月に発行した第18〜27回新株予約権の潜在株式は合計955,500株でした。第20回と第25回まで行使が進んだ後も、第21・22・26・27回の合計279,800株が残ります。行使後の発行済株式数との比率は約2.6%です。

第21・26回の行使価額は20,000円、第22・27回は30,000円で、10月の分割時に半額へ調整されます。残存比率は小さくなった一方、株価上昇時には追加発行が進みやすい設計です。資金調達の全体像は補足説明資料にあります。

8月28日時点で約28万株の潜在株式が残る
出典:テラドローン「2027年1月期 第1四半期 決算説明資料」

テラドローンは測量・点検とUTMが中核、防衛は成長投資

テラドローンは機体メーカーだけではありません。測量・点検などを扱うドローンソリューションと、飛行を管理するUTMが報告セグメントです。防衛は現時点で独立セグメントではなく、投資を始めた成長領域です。

ドローンソリューションは測量・点検・農業などを展開

ドローンソリューションは、機体、ソフトウェア、現場サービスを組み合わせて提供します。主な用途は測量、インフラ点検、農業です。海外子会社も含むため、単純な機体販売とは収益構造が異なります。

27年1月期第1四半期の売上高は8.48億円、セグメント損失は2.35億円でした。グループ売上高の約84%を占める中核ですが、先行投資を吸収できる利益には達していません。売上の拡大に加え、案件ごとの粗利と販管費の増え方が黒字化を左右します。

UTMはドローンの運航と空域を管理するシステム

UTMはUnmanned Aircraft System Traffic Managementの略で、ドローンの飛行計画や位置情報を共有し、空域を安全に使う仕組みです。国土交通省も2026年4月から運航管理サービスプロバイダ制度を段階的に始めています。

第1四半期のUTM売上高は1.61億円、セグメント損失は1.99億円でした。市場拡大だけでは足りず、ライセンス収入で固定費を回収できるかが利益率を変えます。制度の概要は国土交通省の案内に掲載されています。

ベルギー国防省向けUTMは継続収益の実例になる

子会社Uniflyはベルギー国防省から約115万ユーロ、会社換算で約2億円の防衛向けUTM案件を受注しました。初期構築後は年間約7,000万円のライセンス収入を見込み、単発の機器販売とは異なる収益が期待できます。

一方、年間7,000万円だけでUTM部門の赤字を埋める規模ではありません。同様の契約を複数国へ展開できるかが、UTMの利益率を変える分岐点です。契約の更新条件も確認対象です。金額と契約内容は会社の受注発表に基づきます。

防衛省SHIELD関連予算1,001億円でも個社受注は別問題

テラドローンは、Terra B1とは別に、防衛装備庁から教育用のモジュール型UAV300式を約1.15億円で受注しています。同庁からの初受注で、会社は国産での供給能力などが評価されたと説明しています(決算説明資料32ページ)。

防衛省の26年度予算ではSHIELD関連に1,001億円が計上されましたが、予算全額が同社へ向かうわけではありません。政策予算と個社の受注額は同じ数字ではありません。次の契約では受注額、納期、原価負担を確認します。予算額の出典は防衛省資料です。

防衛省SHIELD関連予算1,001億円でも個社受注は別問題
出典:テラドローン「2027年1月期 第1四半期 決算説明資料」

ACSLとの違い|UTMを持つテラドローンと機体量産のACSL

ACSLとの違い|UTMを持つテラドローンと機体量産のACSL

両社は国産ドローン関連株として同時に買われやすい一方、収益の作り方は異なります。テラドローンは現場サービスとUTM、ACSLは国産機体の開発・量産が中心です。株価材料と資金需要も同じではありません。

テラドローンはサービス・UTM・海外展開が事業基盤

テラドローンは測量・点検の現場サービスを土台に、UniflyのUTMを海外へ広げています。防衛では迎撃ドローンの開発へ踏み込みましたが、現時点の売上は既存2セグメントに計上されます。

この構成では、サービス売上を確保しながら、ソフトウェア型の継続課金を増やせる強みがあります。反面、海外拠点、開発、人材への固定費も重くなります。UTMの契約数が増えても、売上総利益が販管費を上回るまでは赤字が続きます。

ACSLは国産機体SOTENと北米・防衛向け販売に注力

ACSLは国産産業用ドローン「SOTEN」などの開発、製造、販売を中心とする会社です。26年12月期中間期の北米売上高は10.18億円となり、前年同期の0.43億円から大きく伸びました。防衛・安全保障向け売上高は2.34億円です。

中間期全体では売上高16.48億円、営業損失3.75億円でした。前年同期の営業損失7.54億円から損失幅は縮小しています。量産台数と粗利率の改善が業績へ表れ始めた点は、テラドローンとの大きな違いです。出典はACSLの中間期決算です。

ACSL株は5月高値から62.6%下落し、業績期待を織り直す

ACSL株は3月2日終値1,512円から上昇し、5月12日に4,130円を付けました。その後は下落へ転じ、8月28日終値は1,545円です。約6カ月では2.2%高にとどまり、5月高値からは62.6%下げています。

8月25日は海外募集の条件確定を受け、終値が前日比8.7%下落しました。防衛や北米の成長材料があっても、赤字と株数増加を織り込む過程では高値を維持できませんでした。テラドローンの高値を追う際にも参考になる値動きです。

受注残と資金調達を並べると事業フェーズが見える

ACSLは6月末に受注残13.16億円を確保しました。中間期売上との合計は通期売上予想40億円の74%です。8月の海外募集では直前の発行済株式数に対して約21.4%の新株が増えます。

テラドローンの約2.6%は、行使済みを除いた残存分です。希薄化率は同じ基準で比べないと誤ります。ACSLの条件は会社開示にあります。

比較項目テラドローンACSL
中心事業測量・点検、UTM国産機体の開発・量産
最新売上高10.10億円(3カ月)16.48億円(6カ月)
最新営業損失4.34億円3.75億円
資金調達残存潜在株式約2.6%新株発行約21.4%

売上は6.6%増でも営業赤字が拡大|先行投資が利益を圧迫

売上は6.6%増でも営業赤字が拡大|先行投資が利益を圧迫

株価は防衛材料を先に織り込みましたが、最新決算は赤字拡大です。売上成長率より営業費用の増加が速く、黒字化の時期はまだ見えていません。通期計画も大幅な営業赤字です。

第1四半期は売上高10.10億円、営業損失4.34億円

27年1月期第1四半期の売上高は前年同期比6.6%増の10.10億円でした。営業損失は4.34億円で、前年同期の2.83億円から1.51億円拡大しています。最終損失は2.49億円でした。

会社はTerra Xross、サウジアラビア、防衛、Uniflyなどへの投資を損失拡大の主因として挙げています。売上は増えても、投資回収前の費用が先に発生する構造です。第1四半期は会社計画の範囲内と説明しています。数値は決算短信と決算説明資料8ページに基づきます。

第1四半期は売上高10.10億円、営業損失4.34億円
出典:テラドローン「2027年1月期 第1四半期 決算説明資料」

2つの報告セグメントはいずれも赤字

ドローンソリューションのセグメント損失は2.35億円、UTMは1.99億円でした。売上規模の大きい前者でも利益を確保できず、UTMは売上高を上回る損失を計上しています(決算説明資料9ページ)。

この数字からは、特定部門だけの不振ではなく、グループ全体で先行費用が重い状態が読み取れます。防衛受注が増えても、開発費と量産原価を上回る粗利が残らなければ営業赤字は縮まりません。次回決算では両部門の赤字幅が前四半期から縮むかを確認します。

2つの報告セグメントはいずれも赤字
出典:テラドローン「2027年1月期 第1四半期 決算説明資料」

通期も売上成長を見込む一方で営業損失16.58億円を予想

27年1月期の会社予想は売上高50.73億円で、前期比6.1%増です。営業損失は16.58億円、最終損失は12.66億円を見込みます。予想1株損失は131.88円で、配当予想は0円です。

前期の営業損失11.43億円から、赤字はさらに5.15億円広がる計画です。今期は利益を取りに行く年度ではなく、防衛とUTMへ資金を投入する年度と読めます。翌期以降の回収経路まで示されなければ、株価を支えにくくなります。

上場来高値2万2,000円|赤字銘柄はPERよりPSRを確認

上場来高値2万2,000円|赤字銘柄はPERよりPSRを確認

テラドローンは2024年11月の上場から2年未満で、5年分の株価履歴がありません。そのため、上場後の全期間と直近6カ月を使います。8月28日の株価は業績より成長期待を強く映した水準です。

株価は約6カ月で約7.9倍となり成長期待を織り込む

株価は3月2日終値2,741円から8月28日終値21,620円まで上昇し、約7.9倍となりました。年初来安値は1月5日の2,055円、上場来安値は2024年12月12日の1,633円です。8月28日には上場来高値22,000円を付けました。

5月にも19,610円まで急騰した後、6月には7,000円台まで下げています。材料が強い一方で、短期間に株価が半値近く動いた実績があります。高値更新だけで値動きが安定したとは言えません。

株価は約6カ月で約7.9倍となり成長期待を織り込む

キオクシアからテラドローンへ資金を移す投資家が続出?

8月28日はキオクシアHDが前日比8.76%安の47,900円まで反落する一方、テラドローンは12.43%高の21,620円で引けました。大型半導体株から、値動きの強い防衛・ドローン株へ短期資金が向かったとみる余地はあります。

ただし、売買主体や資金の行き先を示す公表データはなく、両銘柄の逆行だけで直接の資金移動は確認できません。キオクシアからの乗り換えは有力な仮説ですが、実際に続出したかは判別できないというのが結論です。

テラドローン上昇の主因は、Terra B1の実証試験通過と株式分割という同社固有の材料です。

予想赤字のためPERによる割安・割高判断は難しい

PERは株価を1株利益で割る指標です。今期は1株損失を見込むため、予想PERを計算できません。8月28日時点の参考指標は実績PBR47.04倍、予想配当利回り0%です。

PBRは株価を1株純資産で割りますが、新株予約権の行使で現金と株数が同時に増えています。過去の1株純資産だけを使ったPBRは、最新の財務状態を完全には反映しません。指標の基準日は8月28日です。株価指標はYahoo!ファイナンスを参照しています。

時価総額約2,287億円に対して予想PSRは約45倍

8月28日終値21,620円と、同日までの新株予約権行使を反映した発行済株式数10,576,700株から計算すると、時価総額は約2,287億円です。通期売上予想50.73億円で割った予想PSRは約45倍になります。

PSRは時価総額が売上高の何倍かを示す指標です。現在の株価は売上規模より、防衛とUTMが将来大きく伸びる期待を先に反映しています。期待を下回る受注や赤字拡大が出れば、評価倍率が縮む余地も大きい水準です。

テラドローンの株価は今後、4つの確認項目で評価が変わる

テラドローンの株価は今後、4つの確認項目で評価が変わる

好材料が続けば、株価が高値を試す余地は残ります。ただし、今後は発表の数より、受注額、粗利、営業赤字が縮小へ進むかで評価が変わります。次の4項目は開示後に数字で確認できます。

9月14日の第2四半期決算で売上成長と赤字幅を確認

次回の第2四半期決算は9月14日に予定されています。注目点は売上高よりも、営業損失が会社計画内に収まるかです。第1四半期は4.34億円の営業赤字で、単純に年換算すると通期計画に近い速度で損失が出ています。

ドローンソリューションの粗利、UTMの売上増加、販管費の伸びを分けて確認します。売上増と赤字縮小が同時に出れば、高いPSRを支える根拠が増えます。会社予想の据え置きだけでは十分ではありません。発表予定日はIR情報で確認できます。

Terra B1の契約額・数量・採算性・売上計上時期

Terra B1では量産契約の有無に加え、1機当たりの価格、納入数量、開発費負担、売上計上時期を確認します。受注額が大きくても、初期開発費や部材費が膨らめば利益への寄与は限られます。

防衛契約は検収や納入時期によって売上計上がずれる場合もあります。受注額と同時に粗利の説明が出るかが、実証通過を業績材料へ変える条件です。会社が業績予想へ織り込む段階まで進めば、期待中心だった評価に実績が加わります。利益率も株価を左右します。

第21・22・26・27回新株予約権の行使状況

残る潜在株式は279,800株で、行使が進めば希薄化と引き換えに会社へ資金が入ります。第21・26回は20,000円、第22・27回は30,000円が分割前の行使価額です。株価が高いほど次の段階へ進みやすくなります。

調達資金は防衛に65億円、UTMに30億円、M&Aに27億円などを充てる計画です。短期の株数増加だけでなく、調達資金が受注と利益へ変わる速度まで追います。未行使残高は適時開示で確認できます。

ベルギー国防省向け案件を含むUTMの継続収益化

ベルギー国防省向けのように、初期構築と年額ライセンスを組み合わせた契約を他国へ広げられるかでUTMの評価が変わります。年間ライセンスは売上の継続性を高め、追加契約が増えるほど開発費を回収しやすくなります。

次の開示では新規国数、契約額、年間利用料、更新率を確認します。UTM売上高が増えながらセグメント損失が縮小すれば、ソフトウェア型事業の強みが数字に表れます。売上だけ増えて赤字が続く場合は、固定費負担がなお重いと分かります。

テラドローン株は成長余地が大きい一方、高値追いは慎重

テラドローン株は成長余地が大きい一方、高値追いは慎重

防衛、UTM、海外展開には大きな成長余地があります。一方で予想PSRは約45倍、営業赤字も拡大する計画です。将来性は認めても、現在の株価に安全余地があるとは言いにくい状態です。

防衛・UTMの拡大を重視する投資家向けの高リスク銘柄

テラドローン株は、防衛受注とUTM市場の立ち上がりを数年単位で待てる投資家に向きます。赤字企業でも成長投資を優先し、株価の大幅な上下に耐えられる資金配分が欠かせません。

現在の評価は、既存売上だけでは説明しにくい高さです。Terra B1の量産とUTMの複数国展開が進まなければ、高い評価倍率を維持しにくくなります。短期材料だけを狙う場合は、発表後の急落も想定した資金配分が要ります。予想配当も0円です。

安定性を重視するなら決算と防衛受注の確認後が選択肢

業績の確度を重視するなら、9月14日の決算とTerra B1の契約開示を待つ選択肢があります。好材料を確認してから買うと取得価格は上がる可能性がありますが、受注額も利益も不明なまま買うリスクを減らせます。

特に営業赤字が会社計画を超えて拡大した場合、高いPSRとの釣り合いが崩れます。株価上昇を取り逃す不安より、支払う価格と確認済みの業績を比べてから買う方が無理がありません。決算直後の値動きも荒くなる可能性があります。

株価目標より業績進捗と許容損失を基準にする

赤字成長株は利益を基にした目標株価を置きにくく、防衛受注の規模も未定です。過去高値や分割後の見かけの安さから目標を作ると、根拠が薄くなります。投資額は急落しても生活資金へ影響しない範囲に抑えます。

買い増しを考える場合も、受注額、赤字幅、残存新株予約権の減少を順に確認します。材料発表だけで上昇した高値圏では、一度に資金を入れない方が損失を管理しやすくなります。分割後も投資額の総額は変わりません。待機資金も残します。

まとめ|株式分割後も防衛受注と黒字化の確認が欠かせない

まとめ|株式分割後も防衛受注と黒字化の確認が欠かせない

テラドローン株は、Terra B1の実証通過と1対2の株式分割を材料に、8月28日には上場来高値22,000円を付けました。防衛とUTMの成長余地は大きい一方、量産受注の金額や採算性はまだ開示されていません。

27年1月期は営業損失16.58億円を見込み、予想PSRも約45倍です。現在の株価は将来の成長をかなり先まで織り込んでいます。

9月14日の決算、Terra B1の契約条件、残る新株予約権、UTMの継続収益を確認します。期待先行の高値を追うより、受注が利益へ変わる証拠を待つ方が堅実です。

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執筆者情報

nari

江口 裕臣

日本投資機構株式会社 テクニカルアナリスト(CMTA®)

著名な元機関投資家や経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーより培った知識と経験を基に、数多くの市場動向の予測や個別銘柄の動向をピンポイントで分析。銘柄の推奨実績において社内の月間最高勝率記録を持つテクニカルアナリスト。

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