2026年9月のFOMCは、政策金利を0.25ポイント引き上げました。株価・ドル円の今後を考えるうえでは、今回の利上げ幅に加え、高い金利がいつまで続くかが重要です。
追加利上げが続けば株価の重荷になりますが、企業利益の成長が負担を吸収できるかで銘柄の評価は分かれます。この記事では、決定内容と金利予測の違い、発表後の市場反応、日本株への影響を整理します。
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9月FOMCの結果|政策金利は3.75~4.00%へ

今回のFOMCでは、物価上昇を抑えるために政策金利の引き上げが決まりました。公表資料は、決定そのものを記す声明と、参加者の将来予測を集めた経済見通しに分かれます。まず、実際に決まった内容から確認します。
0.25ポイントの利上げを全会一致で決定
米連邦準備理事会(FRB)は、現地9月16日午後2時、日本時間17日午前3時に会合結果を公表しました。声明によると、政策金利の誘導目標は3.75~4.00%で、採決は賛成12・反対0でした。
引き上げ幅の0.25ポイントは、従来の金利に対して0.25%増やす意味ではありません。金融市場で使う25ベーシスポイントと同じ幅です。また、声明は銀行システムの準備預金を潤沢に維持する方針も示しています。今回の発表を、金利以外の金融引き締めまで新たに決まったと読むのは不正確です。
声明は物価の高止まりと底堅い景気を指摘
声明はインフレが依然として高いと評価し、2%の物価目標への復帰を早めるための政策対応と説明しました。同時に、経済活動は堅調に拡大し、国内支出も底堅いとの認識を示しています。景気後退への緊急対応としての政策変更ではありません。
この組み合わせからは、需要がすぐに崩れるより、物価上昇が長引くリスクを重く見ていると読み取れます。ただし、景気が強いとの評価は、すべての企業の増益を意味しません。売上を伸ばせても人件費や調達費が増えれば利益は圧迫されるため、企業側の収益見通しは別に確認する必要があります。
今回の決定と今後の利上げ予想を分けて読む
声明で採決されたのは今回の金利変更です。年末までの利上げ回数や実施月が決まったわけではありません。将来の金利を読む際は、経済見通しに記された予測と、その後に発表される物価・雇用データを照らし合わせます。
また、全会一致という結果だけから、次回も全員が利上げを支持すると推定できません。同じ今回の決定に賛成していても、必要と考える最終的な金利水準は異なり得ます。投資判断では「実施された金利変更」と「まだ実施されていない予想」を分けると、未確定の材料を過大評価しにくくなります。
年末金利見通し4.1%|追加利上げは確約ではない

経済見通しでは、将来の金利予測が6月より上方修正されました。ただし、表の値は各年末の金利予測の中央値です。新たな政策金利の決定値でも、今後の会合ごとに実施する利上げ幅でもありません。
2026年末の予測中央値は3.8%から4.1%へ上方修正
FRBの9月経済見通しを6月と比較すると、翌年以降の上方修正幅が大きくなっています。金利は%で、いずれも予測中央値です。
| 対象年末 | 6月予測 | 9月予測 | 差(ポイント) |
|---|---|---|---|
| 2026年 | 3.8 | 4.1 | +0.3 |
| 2027年 | 3.6 | 4.1 | +0.5 |
| 2028年 | 3.4 | 3.9 | +0.5 |
この金利予測は、原則として誘導目標レンジの中央の値を小数第1位で示しています。4.1%は上限の予測ではありません。9月資料の2026年末の中央値は、4.00~4.25%のレンジに相当し、今回の決定後よりもう一段高い金利を想定しています。
2027年も4.1%の予測が示す高金利の長期化
2027年末まで予測中央値が下がらない点は、企業の資金調達に影響します。借り換えを待てばすぐに負担が軽くなる、とは見込みにくい予測だからです。低い固定金利で借りている企業でも、満期後の借り換えで支払利息が増える可能性があります。
確認したいのは借入総額だけでなく、返済・借り換えの時期と固定金利の比率です。手元資金が厚く、当面の大型償還が少ない企業は影響を抑えやすくなります。一方、資金調達を続けながら設備投資を増やす企業では、売上の伸びより先に資金負担が重くなるリスクがあります。
ドットプロットは参加者の予測であり決定事項ではない
ドットプロットは、参加者が適切と考える金利水準を点で示した図です。今回、2026年末の予測を提出したのは18人で、政策決定の投票者12人とは人数が異なります。このため、点の分布を賛否の票数として扱うのは誤りです。
また、中央値が同じでも、参加者全員の予測が一致しているとは限りません。景気や物価に対する前提が変われば、次回の予測も動きます。ドットプロットから読み取れるのは現時点での政策姿勢であり、特定の会合で必ず利上げするという約束ではありません。将来の実施時期まで断定しない読み方が必要です。
発表後は株安・ドル高|指数ごとの反応には差がある

発表後の市場では、ドルが買われ、米国株の主要指数は前日比で下落しました。ただし、株価指数の下落幅には大きな差があります。日中の安値と終値を区別し、どこまで売りが続いたかを確認します。
ダウは約1.2%安でもナスダックはほぼ横ばい
ロイターが報じた9月16日の米国株終値ベースの前日比は、以下の通りです。ダウの下げに対し、ナスダックの下落はごく小幅でした。
| 株価指数 | 前日比 |
|---|---|
| ダウ工業株30種平均 | -1.21% |
| S&P500 | -0.44% |
| ナスダック総合 | -0.01% |
この差は「利上げでハイテク株が一斉に崩れた」との説明には当てはまりません。指数は構成銘柄も比率も違うため、保有銘柄に近い指数で比べる必要があります。なお、前日比には発表前の値動きも含まれ、下落幅の全体をFOMCだけの影響とは断定できません。
ドル円はFOMC後に156円台へ上昇
9月16日のニューヨーク外国為替市場では、ドル円がFOMC前に154.86円まで下げた後、発表後に上昇しました。OANDA掲載の市況では、日本時間17日午前5時30分ごろに一時156.42円を付けています。これは取引中の高値で、終値ではありません。
米金利が高く保たれるとの見方は、ドル建て資産の運用利回りを通じてドルを支え得ます。ただし、為替は日米双方の金利予想で動きます。日本側の利上げ観測が強まれば円を買い戻す動きもあり、FOMC直後のドル高がそのまま続くと決めつけるのは避けたいところです。
利上げ幅だけでなく追加引き締めへの警戒が重荷
株価に効くのは、金利変更の有無だけではありません。予想されていた利上げでも、その後の金利が従来の想定より高くなると、将来利益に対して投資家が払える価格は下がりやすくなります。金利負担と企業利益の見通しを同時に比べる必要がある理由です。
当日の反応を踏まえると、編集部は「利上げなら全銘柄を売る」という判断は粗いと考えます。利益予想が維持される企業と、需要減速や利払い増加で下方修正する企業では、その後の戻りも異なるためです。指数の短期的な下落と、保有企業の稼ぐ力が損なわれたかを分けて検討します。
日本株への影響|円安効果と金利負担が分かれる

日本企業への影響は、米国株と同じとは限りません。為替、米国での販売、借入条件によって利益への伝わり方が変わります。FOMCを受けた日本株の売買では、業種名だけでなく、保有企業がどの経路で影響を受けるかを確認します。
輸出企業は為替の追い風と米国需要を併せて確認
ドル円の上昇は、ドルで稼ぐ利益を円に換算した際の押し上げ要因になります。ただし、円安による利益増と、米国の販売数量減を差し引いて考える必要があります。自動車や住宅関連では、購入者のローン負担が需要を抑える可能性があるためです。
企業の決算資料では、想定為替レートと為替感応度に加え、北米の販売数量や値引き負担を確認します。現地生産が多い企業ではドル建て費用も発生し、為替の恩恵は売上高に比例しません。為替予約によって効果が遅れて出る場合もあり、目先の円安だけで業績上振れを計算しないようにします。
銀行・不動産は米金利だけで上昇下落を決められない
銀行では貸出金利が上がっても、預金や外貨の調達費用が増えれば利ざやの改善は限られます。債券の評価損や貸倒費用もあり、米国の利上げを日本の銀行の増益に直結させるのは不適切です。
不動産やREITでは、日本の借入金利と固定金利の比率、借り換え時期を確認します。賃料収入が伸びれば負担を吸収できる場合もあります。銀行関連銘柄を選ぶ際は、メガバンクと地方銀行の事業範囲や、利益成長に対する株価の評価を比較すると判断しやすくなります。具体的な銘柄の違いは、以下の銀行株分析で整理しています。
9月18日の日銀会合結果が次の焦点になる
日銀の金融政策決定会合は2026年9月17~18日に開かれます。9月17日朝時点では結果は未発表です。米国の利上げを受けて、日本でも特定の幅の利上げが決まったように扱うことはできません。
日銀が市場の予想より引き締めに積極的なら、円高や国内金利上昇につながる可能性があります。一方、決定内容が予想通りなら、その後の総裁会見で示す景気・物価認識が相場を動かし得ます。日本株を確認する順番は、政策決定、為替と国内金利の反応、保有企業への利益影響です。米国の結果だけで日本側の条件まで確定させないようにします。
今後の株価|物価の鈍化と企業利益の維持が回復を支える

次回FOMCまでには、物価と雇用の新しいデータが発表されます。インフレが鈍る一方で利益成長が続くかが、株価の持ち直しを考える条件です。金利が下がる理由が景気の急減速なら、株価には別の下押し圧力が生じます。
インフレ鈍化が追加利上げ観測を弱める条件
今後はCPI(消費者物価指数)と、PCE(個人消費支出)価格指数の内訳を確認します。食品やエネルギーの変動だけで総合指数が低下しても、サービス価格の上昇が続けば、持続的に物価が落ち着いたとは評価しにくくなります。
編集部が重視するのは、一度の予想下振れより、前月比の鈍化が複数月続くかです。前年比は前年の比較対象にも左右されます。追加利上げへの警戒が弱まるには、物価の低下が広がり、金融当局が一時的な変動ではないと評価できる材料が必要です。総合指数と基調的な動きを分けて追います。
雇用と消費の減速が企業利益へ及ぼす影響
雇用の伸びが弱まると、賃金や消費への圧力が和らぎ、利上げを急ぐ必要性は低下し得ます。一方、家計の購買力も落ちれば、企業の販売数量には逆風です。悪い雇用統計を、そのまま株価の好材料に置き換えない姿勢が必要になります。
雇用者数だけでなく、失業率、労働時間、賃金を組み合わせて確認します。企業側では売上見通しと利益率の修正を追い、需要の減少を値上げで補えているかを比べます。株価回復を支えるのは、金利の落ち着きと利益の維持が両立する展開です。利益予想が下がり続けるなら、金利低下だけで買い戻しを正当化しにくくなります。
9月30日のPCEから10月27~28日のFOMCまでの日程
次の公表予定は以下の通りです。9月分PCEの発表は10月FOMC後の10月29日に予定されており、会合前に使えるデータの範囲にも注意が必要です。
| 予定 | 公表日・開催日 |
|---|---|
| 8月PCE価格指数 | 9月30日21:30(日本時間) |
| 9月米雇用統計 | 10月2日21:30(日本時間) |
| 9月米CPI | 10月14日21:30(日本時間) |
| 次回FOMC | 10月27~28日(米国時間) |
まとめ|利上げ回数と企業利益の両方が株価を左右する

9月FOMCを受けた投資判断では、追加利上げの見通しと企業利益の持続性をセットで確認する必要があります。金利の方向だけでは、銘柄ごとの値動きを説明できません。
日本株では為替の恩恵、米国需要、国内の借入条件を分けて考えます。業種全体の追い風に見えても、費用増加が利益を相殺する企業があります。
次の日銀会合と米経済指標を確認し、会社の業績予想への影響を追っていきましょう。発表直後の値動きだけで、長期の保有理由まで決めない姿勢が大切です。

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日本投資機構株式会社
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