空き家を改修し、賃貸住宅として活用する事業を、国が金融面から後押ししようとしています。
国土交通省は2026年8月28日に公表した2027年度予算の概算要求で、住宅金融支援機構による新たな融資制度の創設を盛り込みました。
既存の住宅を再び住まいとして流通させる動きは、関連企業の事業機会を広げる可能性があります。
ただし、賃貸運営を手掛ける企業と、住宅を買い取って改修・販売する企業では、政策との接点が異なります。
では、どの企業に、どのような追い風が見込めるのでしょうか。
本記事では、新制度の狙いと中古住宅市場の動向を整理し、関連銘柄の事業内容や業績、投資する際の注意点を解説します。
中古住宅・空き家対策関連株とは? 国土交通省も後押しする国策テーマ

空き家対策関連銘柄の代表的な事業には、住宅を買い取ってリフォームやリノベーションを施し、再び販売する「中古住宅の買取再販」があります。
空き家対策関連銘柄の主要事業とは?
企業は中古住宅を仕入れ、耐震・水回り・内装などの改修を行ったうえで、仕入れ代金や改修費、販売経費などを上回る価格で売却して利益を得ます。
単純な仲介と異なり、仕入れから改修、販売までを自社の収益機会にできる点が特徴です。
また、空き家を解体せず再生できれば、既存住宅ストックの有効活用にもつながります。
空き家を改修後に売却するほか、賃貸住宅にして運用する方法もあります。
買取再販では売却時に利益を得るのに対し、賃貸運営では所有者が家賃収入を、管理を受託する会社が管理手数料を継続的に得られる点がメリットです。
ただし、入居者が決まらない場合の空室リスクや、改修費、維持管理費などの負担があります。
空き家対策は国策テーマでもある
空き家の利活用や既存住宅の流通促進は、住宅政策における重要な国策テーマです。
国土交通省は、空き家の発生抑制や除却に加え、既存住宅の流通促進やリフォーム市場の整備にも取り組んでいます。
インスペクションや既存住宅売買瑕疵保険などを通じて、安心して中古住宅を取引できるようにする狙いです。
2023年12月13日には改正空家等対策特別措置法が施行され、管理不全空家への対応なども強化されました。
2026年3月27日に閣議決定された新たな「住生活基本計画」では、既存住宅ストックの有効活用や空き家対策が重要な施策に位置づけられています。
なぜ今、中古住宅・空き家対策に注目? 空き家増加と住宅価格高騰
日本では人口減少と首都圏一極集中を背景に、空き家が過去最多となる一方、新築住宅の供給は減少傾向にあります。
住宅価格や建築コストの上昇も重なり、既存住宅を有効活用する空き家対策に注目が集まっています。
空き家は900万2,000戸で過去最多、活用・再生への需要が拡大
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」の確報によると、2023年の全国の空き家は900万2,000戸となり、2018年から51万3,000戸増加して過去最多を更新しました。

総住宅数に占める空き家率も13.8%と過去最高です。
特に、賃貸・売却用や別荘などの二次的住宅を除く空き家は385万6,000戸に達し、2018年から36万9,000戸増えました。
こうした空き家の中には、立地や建物の状態などからそのままでは流通しにくい住宅もあります。
そのため、企業が物件を取得して改修した上で用途変更し、売却・賃貸できる住宅へ再生する余地が生まれます。
新築住宅の供給減少と価格上昇で中古住宅の役割が拡大
日本の新築住宅を取り巻く環境も、中古住宅市場への注目を高めています。
国土交通省の「建築着工統計調査報告(令和7年計分)」によると、2025年の新設住宅着工戸数は74万667戸と前年比6.5%減少し、持家7.7%減少、貸家5.0%減少、分譲住宅7.6%減少といずれも前年を下回りました。
また、国土交通省の「不動産価格指数」では、2025年12月の全国の住宅総合が148.0(2010年平均=100、季節調整値)、戸建住宅が121.9、区分所有マンションが225.1となっています。
新築だけを対象とした指数ではなく、住宅市場全体の価格動向を示すものです。
新築住宅の価格上昇や供給制約が続けば、購入者にとって中古住宅を選択肢とする動きが広がる可能性があります。
さらに政府も既存住宅の流通・空き家活用を政策課題にしており、今後は「新築中心」から既存住宅を再生・活用する市場への転換が進むかが注目されます。
築古住宅の賃貸化に優遇融資|新制度は何を後押しするのか?

2026年9月20日付けの日本経済新聞では、国土交通省による新たな空き家支援制度が報じられました。
新築価格や住宅ローン金利が上昇するなか、既存住宅を活用して比較的手頃な賃貸住宅を供給し、築古物件の流通を促す狙いがあります。
2027年度に向けて優遇融資を検討、対象や条件は今後決定
今回の制度は、空き家のサブリースや状態の良い空き家の賃貸活用などを支えるため、住宅借上事業者などにリフォーム資金を融資する方向で検討されています。
国土交通省は2027年度予算の概算要求で、住宅金融支援機構への出資金21億円の内数として新制度を求めています。
融資の開始時期や金利、融資期間などの具体的な条件は、正式な制度の公表を確認する必要があります。
なお、住宅金融支援機構には既存の「賃貸住宅リフォーム融資」制度があり、耐震改修、省エネ化、住宅セーフティーネットなどを対象とした融資制度はすでに実施されています。
融資と補助金は別物、買取再販企業には間接的な追い風
今回の制度は、「賃貸化事業者への直接支援」と「中古住宅の再生・流通市場全体への間接的な需要喚起」を分けて考えるようにしましょう。
新制度で想定されているのは、補助金ではなく融資による支援です。
融資は事業者が返済する必要がありますが、条件の優遇によって築古物件の改修に必要な資金を調達しやすくする効果が期待されます。
一方、国や自治体の補助金制度は、対象となる改修費などの一部を補助する仕組みであり、融資とは性格が異なります。
また、新制度の直接的な対象は「改修して賃貸する事業」と想定されているため、空き家を買い取り、リフォームして販売する買取再販企業がそのまま融資対象になるとは限りません。
企業ごとの影響を見る際には、賃貸化を担うのか、改修工事を請け負うのか、物件を再販するのかを区別しておきましょう。
過去に上昇した中古住宅・空き家対策関連株
中古住宅・空き家対策関連銘柄の値動きについて、国土交通省の政策との関連性を見ていきましょう。
2026年9月のニュースで動いた銘柄は?
2026年9月20日付で国土交通省による新たな空き家支援制度が報じられました。
このニュースで、代表的な空き家対策関連銘柄のカチタスがどのように動いたかを見てみましょう。
代表的な空き家対策関連銘柄であるカチタス(8919)の日足チャートは、次のようになっています。

チャートでは2026年9月に下げており、9月20日のニュースを受けて大きく上昇した様子は見られません。
ただし、この値動きだけで、関連銘柄への関心が低いとは言い切れません。
新制度の創設は8月28日の概算要求ですでに公表されており、9月の報道は、すでに相場に織り込み済みとみられ、買いが入らなかった可能性もあります。
また、金利上昇による購入者の返済負担や企業の資金調達コストへの懸念が、政策への期待と併存する可能性もあります。
政策が織り込み済みだったのか、金利が株価を押し下げたのかは、このチャートだけでは判断できません。
決算や相場全体の動き、出来高も合わせて確認しましょう。
中古住宅・空き家対策関連株に投資する際の注意点

中古住宅・空き家対策関連株に投資する際の注意点について見ていきましょう。
買取再販を手掛ける企業は、物件の特徴や営業地域に注目
東証には住宅事業を手掛ける企業が数多く上場しています。中古住宅・空き家対策という観点では、既存住宅の仕入れから改修、販売までを担う企業が候補になります。
たとえば、カチタス(8919)、AlbaLink(5537)、東武住販(3297)などです。
同じ買取再販でも、扱う物件の状態や営業地域、改修の方法は異なります。販売件数だけでなく、仕入れから販売までの期間や1件当たりの採算も比べてみましょう。
東武住販は2026年10月13日、カチタスによるTOB(株式公開買付け)に賛同し、株主に応募を推奨すると発表しました。
買付価格は1株2,000円、期間は10月14日から12月3日です。カチタスは完全子会社化を目指しており、TOBが成立した場合、東武住販株はその後の手続きを経て上場廃止となる予定です。
東証は10月13日、東武住販株を監理銘柄(確認中)に指定しました。
10月16日時点では上場を継続していますが、上場廃止の可能性があるため、業績に加えて買付条件と成否を確認する必要があります。
中古物件を多く手掛ける不動産投資サイトはどうか?
空き家対策関連銘柄から連想される銘柄には、不動産投資サイトを手掛ける企業が挙げられます。
具体的には、LIFULL(2120)やGA technologies(3491)、楽待(6037)などです。
中古住宅の売買や賃貸運用が活発になれば、物件情報へのアクセスや問い合わせ、取引を支援するサービスの利用が増える可能性があります。
各社の事業は、物件情報の掲載や広告、不動産の取引支援、管理などに広がっています。
どのサービスの利用が増え、それが売上や利益にどうつながるのかを確認することが大切です。
今注目の中古住宅・空き家対策関連銘柄|政策との接点と事業実績から選ぶ
注目の中古住宅・空き家対策関連銘柄を見ていきましょう。
今後、政府による空き家対策が加速した場合に物色されそうな銘柄を中心に選定しました。
注目銘柄①:【8919】カチタス
カチタス(8919)は、築年数の古い中古住宅を取得し、リフォームして販売する買取再販型のビジネスを展開しています。
中古住宅の再生を主力とする代表的な銘柄です。
2026年10月13日には東武住販の完全子会社化を目指すTOBを発表しており、買収の成立や業績への影響にも注目です。

カチタスの株価は、2021年11月には4,850円を付けましたが、以降は大きく下落しており、2024年5月に1,549円を付けてからは反発し、2026年10月2日終値は3,390円です。
2027年3月期第1四半期決算では、販売件数が前年同期比20.5%増の2,381件に拡大し、売上高は25.4%増の439億61百万円、営業利益は28.4%増の55億62百万円と増収増益を達成しました。
一方、仕入れ価格の上昇などで売上総利益率は前年同期比0.5ポイント低下しており、販売件数と採算を合わせて確認しておきたいところです。
なお、カチタスの事業セグメントは、中古住宅再生事業の単一セグメントのみです。
注目銘柄②:【3491】GA technologies
GA technologies(3491)は、不動産投資サービス「RENOSY」を中心に、不動産売買、投資、管理などをテクノロジーで効率化する事業を展開しています。
主力は投資用不動産の取引や管理を支援する事業ですが、中古不動産の流通をデジタルで効率化する点で、既存住宅の活用とも接点があります。

新型コロナ相場ではDX(デジタルトランスフォーメーション)株で注目されて2020年12月に3,990円まで急騰しましたが、2021年に大きく下落しました。
掲載チャートの2026年10月2日終値は1,286円で、当時の高値を下回っています。
2026年10月期第3四半期累計の売上収益は、前年同期比24.8%増の2,116億27百万円と高成長を維持しました。
しかし、コスト増の影響から事業利益は3.6%減の約57億円、営業利益は9.9%減の53億89百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は9.0%減の27億34百万円と、増収ながら減益となりました。
売上収益は高成長を維持しているだけに、今後は利益の回復を伴う決算が出てくるかが注目点になるでしょう。
注目銘柄③:【6083】ERIホールディングス
ERIホールディングス(6083)は、建築確認・住宅性能評価を中心に、既存建築物の適法性調査、インスペクション、既存住宅性能評価などを手掛けています。
建物調査や性能評価などを通じて中古住宅の流通・改修を支える企業です。

株価は、コロナショックの2020年3月に付けた152.3円から2026年8月には1,772円まで上昇しました。
2027年5月期第1四半期決算では、売上高は前年同期比8.6%増の58億47百万円、営業利益は同8.6%増の9億42百万円、経常利益は同9.9%増の9億64百万円と増収増益となっており、好業績が株高を支えています。
株価が大きく上がった局面では、今後の成長への期待がどこまで織り込まれているかを確認したいところです。
受注や利益の伸びが期待に届かなければ、株価が調整する可能性もあります。掲載チャートの2026年10月2日終値は1,405円です。
[関連]PER(株価収益率)とは?意味や日本株と米国株における目安、活用方法を徹底解説
その他の空き家対策関連注目銘柄
| 銘柄名 | 市場 | 企業概要 |
|---|---|---|
| 【5537】AlbaLink | 東証グロース | 一般的な不動産市場では流通しにくい「訳あり不動産」の買取・再販が中核。リフォーム後の賃貸や民泊など、空き家の利活用も。 |
| 【3297】東武住販 | 東証スタンダード | 中古住宅の買取・リフォーム・販売を中心に、不動産仲介、賃貸仲介・管理、空き家管理なども展開。カチタスによるTOBの対象で、監理銘柄(確認中)に指定。 |
| 【2120】LIFULL | 東証プライム | 不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」を運営。地方創生・空き家活用関連事業も手掛ける。 |
| 【6037】楽待 | 東証スタンダード | 不動産投資サイト「楽待」を運営する。 |
| 【1435】robot home | 東証スタンダード | AI・IoTを活用した賃貸管理サービスを展開。 |
中古住宅・空き家対策関連株の将来展望|政策支援を継続的な成長につなげられるか?

中古住宅・空き家対策関連株の将来展望について押さえておきましょう。
政策支援が成長のカギになるかどうかを見極める
中古住宅・空き家対策関連株の今後を見るうえでは、政府による支援策がどこまで具体化し、実際の空き家活用につながるかがポイントです。
融資や補助制度の利用が広がれば、空き家の取得・改修に必要な資金を調達しやすくなり、中古住宅の再生や賃貸化が進む可能性があります。
ただ、空き家は立地や建物の状態が物件ごとに大きく異なるため、融資や補助などの支援が整っても、すべての空き家が売れたり、貸せたりするわけではありません。
地域に購入・賃貸の需要があるか、改修費を回収できる価格で売却・運用できるかが重要です。
政策実現と株価上昇は別問題で捉える
空き家政策が実現したからといって、空き家対策関連銘柄が買われるとは限らない点には注意が必要です。
政策への期待で株価が先に上がれば、制度が実現しても追加の上昇材料にならない場合があります。
また、取引件数が増えても、仕入れ価格や改修費、借入金利が上がれば、利益が同じように増えるとは限りません。
政策が生む需要を各社がどの程度取り込み、どれだけの利益を残せるかまで見る必要があります。
投資対象を選ぶ際には、政策支援による市場拡大だけでなく、各社が物件確保や改修効率化を進め、売上高・利益の成長につなげられるかという、企業ごとの実績と成長性に注目する必要があるでしょう。
[関連]好材料なのに株価が下がるのはなぜ?6つの理由と下落後の見分け方
まとめ|中古住宅・空き家の再生を収益につなげる企業に注目

空き家の増加は社会問題となっており、国土交通省も空き家支援政策を進めているため、今後も国策テーマ株として注目される可能性があります。
また、新築住宅の価格や住宅ローン金利の上昇を受けて、比較的手頃な中古住宅への関心が高まれば、空き家対策には追い風になる可能性があります。
一方で、金利上昇は購入者の返済や企業の借入負担も増やす点に注意が必要です。
今後は、国土交通省の政策実現によって、空き家対策関連銘柄がどのように反応するのかをチェックしておくようにしましょう。

今なら急騰期待の“有力3銘柄”を
無料で配信いたします
買いと売りのタイミングから銘柄選びまで全て弊社にお任せください。
投資に精通したアナリストの手腕を惜しげもなくお伝えします。
弊社がご提供する銘柄の良さをまずはご実感ください。
▼プロが選んだ3銘柄を無料でご提案▼
執筆者情報
1級FP技能士 / 投資歴14年
日本株のスイングトレード・デイトレードを中心に手掛ける兼業トレーダー・投資家。トレードを主軸としながら、新NISA・iDeCoを活用したインデックス投資や、指数暴落時に限定したレバナス投資も手掛けています。また、FPや投資ライターとして金融・投資分野のコンテンツ制作にも携わっており、投資の実践と金融知識の両面から、読者に分かりやすく情報を発信しています。

![Invest Leaders[インベストリーダーズ]](https://jioinc.jp/investleaders/wp-content/uploads/2025/07/logo_01.png)

