エスクリプトエナジー(旧エス・サイエンス/5721)の将来性と上場廃止リスクを解説

金融ライター K.Y

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エスクリプトエナジー(旧エス・サイエンス/5721)の将来性と上場廃止リスクを解説

エスクリプトエナジー(5721)は、2026年4月に旧社名「エス・サイエンス」から改称した東証スタンダード銘柄です。296.2406218BTCを保有する一方、足元の売上は金属・不動産事業が支えています。

8月20日の終値は54円でした。27年3月期1Qは純損失5.13億円となり、第10回新株予約権の行使率も0.59%にとどまっています。本記事では、最新決算と資金調達の実績から、株価、上場廃止リスク、将来性を整理します。

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目次

社名変更後も売上の中心は金属・不動産、暗号資産3事業は収益化前

エスクリプトエナジー(5721)とは|ニッケル老舗からビットコイン企業への転換

同社はニッケルを起点とする老舗企業ですが、現在は4事業へ再編しました。新社名が示す暗号資産戦略と、実際の収益源にはまだ大きな開きがあります。売上の中身を先に確認します。

2026年4月に社名を変更し、4事業へ組み替えた

同社は2026年4月1日、エス・サイエンスからエスクリプトエナジーへ社名を変更しました。証券コード5721と上場市場は変わっていません。現在の報告区分は、金属不動産、トレジャリー、アドバイザリー、グリッドの4事業です。

27年3月期1Qで売上を計上したのは金属不動産事業だけでした。暗号資産を保有するトレジャリー事業は運用体制の整備段階です。アドバイザリーとグリッドも売上計上前であり、新社名だけで収益構造が転換したとは評価できません。

三崎優太氏の発信力と新事業の収益は分けて見る

三崎優太氏は2025年4月、クリプトアセット事業開発担当室長に就任しました。三崎未来ホールディングスとの提携では、蓄電所、マイニング、AIデータセンターなどを協業領域に挙げています。個人の発信力は、銘柄の認知を高める材料です。

ただし、話題性は利益と同じではありません。投資判断では、適時開示に示された契約、売上、利益、持株の変化を優先します。新株予約権は行使後に株式へ変わるため、割当の発表だけで実際の保有比率を決めつけない姿勢も必要です。

283円から49円まで急落し、8月20日は54円へ反発

エスクリプトエナジー(5721)はなぜ急騰したのか|需給と話題性

株価はテーマ買いで急騰した後、資金調達への不安とBTC相場の変動で値幅を広げました。8月20日は54円で引け、前日比5円高となりましたが、年初高値からは大幅に下落しています。

20円前後の低位株から2025年6月に327円まで上昇

株価は2025年1月に20円前後でした。3月に暗号資産投資事業への参入を発表すると、メタプラネットに続くBTC保有企業への期待が集まりました。三崎氏の参画、投資上限の撤廃、社名変更方針も買い材料になり、6月には327円まで上昇しました。

この上昇は既存事業の利益拡大より、将来のBTC取得を先に織り込んだ相場でした。低位株は少額の買いでも価格が跳ねやすく、材料が続く間は上昇が加速します。反面、期待が後退した局面では同じ需給が下落を速めます。

2026年高値283円から6月安値49円まで下落

2026年の高値は1月5日の283円です。その後は下落が続き、6月23日に年初来安値49円を付けました。8月20日は前日比10.20%高の54円まで反発し、出来高は241万2200株でした。1日で2桁上昇しても、高値からの下落率は大きいままです。

エスクリプトエナジー株価チャート

短期の反発と中期の上昇転換は分けて判断します。日々の材料だけでなく、BTC価格、追加取得、資金調達、出来高の継続を並べて確認します。急騰日に追いかける場合は、翌日の反落や売買停止を想定し、持ち高を小さく抑える対応が欠かせません。

27年3月期1Qは純損失5.13億円、BTC評価損が赤字を拡大

26年3月期は純損失25億円|暗号資産の評価損が直撃した通期決算

27年3月期1Qは増収でも赤字が拡大しました。暗号資産評価損3.25億円が経常損失と純損失を押し広げ、BTC相場への感応度が数字に表れています。決算の内訳を確認します。

売上1.79億円でも営業損失は1.62億円へ拡大

27年3月期1Qの売上高は前年同期比13.2%増の1.79億円でした。一方、販管費が増え、営業損失は1.62億円、経常損失は5.12億円、純損失は5.13億円となりました。会社は通期業績予想を未定とし、数値目標を示していません。

増収でも本業の黒字化は確認できず、新規3事業も収益化前です。売上だけで回復を判断せず、営業損益と事業別の売上を追います。グリッド事業では建設仮勘定5.16億円を計上しており、稼働後の売電収入と維持費が次の確認項目です。

296.2406218BTCの帳簿価額は28.10億円へ減少

保有量は296.2406218BTCです。平均取得単価は1BTC当たり約1687.8万円でした。期末の帳簿価額は28.10億円で、3月末の31.36億円から3.25億円減少しています。

BTC価格の反発は評価額を改善させますが、取得原価の回復や現金利益を直ちに意味しません。四半期末の市場価格で評価損益が変わるため、BTC枚数、平均取得単価、期末価格をセットで見ます。追加購入があれば、平均単価も確認します。

上場廃止は決まっていないが、営業赤字と管理体制には注意

エスクリプトエナジー(5721)に上場廃止リスクはあるのか

2026年8月20日時点で、同社の上場廃止は決まっていません。純資産はプラスですが、継続する営業赤字と、過去の新株予約権を巡る管理上の不備は別々に点検する必要があります。

純資産45.22億円で債務超過ではない

2026年6月末の総資産は54.91億円、純資産は45.22億円、自己資本比率は82.0%でした。負債が資産を上回る債務超過ではありません。会社は当面の運転資金を確保しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認めていません。

一方、継続的な営業損失を理由に、継続企業の前提に関する重要事象等は存在すると開示しています。純資産の厚さだけで安心せず、営業キャッシュフロー、新規事業の採算、短期社債7.65億円の返済、次の資金調達条件を継続して確認します。

2025年11月の公表措置は上場廃止指定ではない

東京証券取引所は2025年11月26日、同社へ公表措置を実施しました。第8回新株予約権で、1カ月の行使数量を発行済み株式の10%以内に抑える制限を会社が正しく認識せず、上限を超える行使を許したためです。

公表措置は上場廃止や監理銘柄への指定とは異なります。ただし、大規模な資本政策を進める企業では、株式数と行使条件の管理が株主価値へ直結します。再発防止策、未行使分の扱い、取締役会の監督状況は軽視できません。

54円・PBR2.13倍はBTCと資金調達への期待を含む

エスクリプトエナジー(5721)の将来性をどう見るか|今後のシナリオ

赤字企業のためPER(株価収益率)では測りにくく、PBRと資産内容が手掛かりです。54円の株価にはBTC価格だけでなく、追加調達と新規事業への期待も含まれます。

PBR2.13倍でも資産の中身は価格変動が大きい

8月20日終値54円を基準とするPBRは2.13倍でした。帳簿上の純資産に対し、市場が2倍超の評価を付けた計算です。ただし、資産には価格変動の大きい暗号資産28.10億円と、稼働前の蓄電所に関する建設仮勘定5.16億円が含まれます。

PBRの数字だけを一般的な割安基準へ当てはめるのは危険です。BTCが下落すれば純資産も減り、PBRは株価が同じでも上昇します。反対に蓄電所が稼働し、利益と現金を生めば資産の質は改善します。各四半期の内訳変化まで追います。

BTC帳簿価額28.10億円だけで時価総額を説明できない

8月20日の時価総額は約95.96億円でした。6月末のBTC帳簿価額28.10億円を大きく上回ります。差額には、金属不動産事業、蓄電所の将来収益、追加のBTC取得余地、上場企業としての資金調達力への評価が含まれます。

BTC保有額だけを株価の下値目安にすると、既存負債や将来の希薄化を見落とします。企業価値を見る際は、BTCの時価から有利子負債を引き、他事業の価値と追加発行後の株式数を加えて考えます。

5,132BTC計画より先に資金計画の再構築が必要

2026年1月公表の中期計画は29年3月期に5,132BTCを掲げました。第10回新株予約権の行使が想定を大幅に下回り、会社は投資計画と事業計画の見直しが必要だと明記しています。

第10回新株予約権の行使率は0.59%にとどまった

第10回新株予約権は2026年6月30日に行使期間を終えました。発行した1億7514万3159個のうち、行使されたのは103万666個です。行使率は0.59%、交付株式数は257万6660株、払込総額は2.73億円でした。

当初想定を下回る調達額は、BTC取得とグリッド投資の原資を制約します。未行使の1億7411万2493個は期間満了で行使されませんでした。次の調達手段が株式なら、発行価格、希薄化率、資金使途、支出時期を必ず確認します。

27年3月期1,858BTCの従来目標は参考値へ下がった

従来の中期計画は、27年3月期に1858BTC、28年3月期に2737BTC、29年3月期に5132BTCを保有する想定でした。1Q時点の保有量は296.2406218BTCで、新たな取得も開示されていません。27年3月期の業績予想も未定です。

改定計画が出るまでは、従来の保有目標を確定予想ではなく参考値として扱います。次の開示では目標枚数より、調達済み現金、取得単価、購入時期、1株当たりBTC保有量の増減を優先して確認します。

株価の上向きにはBTC追加取得とグリッド売上が要る

反発を一時的なテーマ買いで終わらせないためには、確認可能な実績が必要です。BTCの追加取得、蓄電所の稼働、希薄化を上回る1株価値の増加を順に見ます。次の開示条件を整理します。

系統用蓄電所の稼働と採算がBTC以外の収益源になる

グリッド事業は系統用蓄電所を整備し、電力需給の調整や市場取引から収益を得る計画です。6月末には建設仮勘定5.16億円を計上しましたが、1Qの売上はゼロでした。建設中の資産が稼働して初めて、BTC以外の成長源を検証できます。

開示で見る項目は、稼働開始日、出力と容量、初期投資額、売上、営業利益です。提携や設備取得の発表だけでは採算を判定できません。運転開始の遅れ、接続費用、電力市場価格の変動もあるため、四半期決算で回収速度を追います。

追加調達はBTC増加率と株式増加率で評価する

株式発行で得た資金をBTCへ振り向ける場合、会社全体のBTCは増えます。ただし株式数がそれ以上の割合で増えると、1株当たりのBTC保有量は減ります。調達発表では総額だけでなく、完全希薄化後の株式数まで計算します。

BTC増加率が株式増加率を上回るかが、既存株主の価値を測る基準です。行使価額が市場価格を下回る新株予約権は売り圧力にもなります。既存株主は両方を比べます。取得完了の開示と、実際の行使状況を照合します。

移動平均線と出来高がそろうまで持ち高を抑える

49円からの反発だけで底入れを断定せず、5日線と25日線などの移動平均線(MA)、出来高、直近高値を確認します。株価が平均線を上回っても、出来高が1日だけ増えた場合は短期資金の可能性があります。

複数日にわたり高値と安値を切り上げ、押し目で売買が細る形を待つ方法が有効です。値幅が大きい銘柄では、一度に買わず、損失許容額から株数を逆算します。決算、増資、BTC購入の開示前には持ち高を下げる選択肢も持ちます。

まとめ|エスクリプトエナジーは計画より実績を確認

エスクリプトエナジーは296.2406218BTCを保有しますが、27年3月期1Qは純損失5.13億円でした。現状は暗号資産3事業の収益化前で、売上は金属不動産事業が中心です。

第10回新株予約権の行使率は0.59%にとどまり、従来の5132BTC計画は見直し待ちです。株価反発の持続には、追加取得の原資とグリッド事業の売上が求められます。

上場廃止は決まっておらず、6月末は債務超過でもありません。一方、営業赤字と資本政策の管理体制には継続した確認が必要です。売買ではBTC増加率、株式増加率、出来高を並べて判断します。

投資判断はご自身の責任でお願いします。

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執筆者情報

nari

金融ライター K.Y

金融ライター

2016年大手証券会社に入社、2018年に最大手オンライン証券会社に入社し、機関投資家部門(ホールセール)を立ち上げ、翌年2019年には同社シンガポール拠点設立。2022年より日系証券会社の運用部にてポートフォリオマネジャーの経験を得て以降、一貫して運用業務に従事。

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