ドローン関連株を選ぶ際は、機体販売、測量・運航管理、狭小空間点検など、何で売上を得る会社かを分けて比べる必要があります。本記事の候補4社は事業を広げていますが、直近公表の実績では、いずれも営業赤字です。
2026年10月6日までの開示をもとに、各社の契約・事業進展と利益の状況を確認します。決算期と集計期間が異なるため、赤字額だけで順位を付けません。株価は2026年9月までの確定月足で比較し、増収や実証成功を利益の確定と取り違えないように整理します。
ドローン関連銘柄の本命4社を一覧比較

ドローン関連銘柄の中でも、事業との結びつきが強いのはACSL、Terra Drone、Liberaware、ブルーイノベーションの4社です。機体メーカー、測量・運航管理、狭小空間点検、統合管理プラットフォームと、各社の得意分野は異なります。
比較する際は「どの会社が有名か」ではなく、ドローン事業が業績へ与える影響と収益化の進み具合を見る必要があります。専業に近い企業ほど市場拡大の恩恵を受けやすい半面、研究開発費や設備投資が先行し、赤字や資金調達が株価の重荷になる場合があります。
| 銘柄 | コード | 主力領域 | 注目材料 | 主なリスク |
|---|---|---|---|---|
| ACSL | 6232 | 国産産業用ドローン | 官公庁・防衛、米国展開 | 赤字、量産・納品の遅れ |
| Terra Drone | 278A | 測量・点検、UTM | 防衛参入、迎撃機の量産契約 | 投資負担、海外事業の採算 |
| Liberaware | 218A | 狭小空間の点検 | 下水道・鉄道・防災 | 赤字、案件ごとの変動 |
| ブルーイノベーション | 5597 | 運航・統合管理 | インフラ点検、BEP | 収益化、提携先への依存 |
ACSL(6232)|国産機体と官公庁・防衛需要
ACSLは小型空撮機体「SOTEN」など国産産業用ドローンを開発します。26年12月期中間(2026年1〜6月)は連結売上16.48億円、営業損失3.75億円でした。増収が進んでも営業黒字には届いておらず、量産や開発に伴う費用負担が残ります。
2026年4月には、防衛省向け機体の約3.5億円と約0.7億円の受注を発表しました。納期はそれぞれ2026年12月と2027年12月の予定です。前者は会社予想へ織り込み済みで、受注額をそのまま追加利益とはみなせません。

Terra Drone(278A)|測量・UTMから防衛へ事業拡大
Terra Droneは測量・点検や無人機の運航管理(UTM)に加え、2026年3月に防衛分野へ参入しました。27年1月期中間(2026年2〜7月)は連結売上22.35億円、営業損失8.19億円で、事業拡大と採算改善は別の課題です。
実証を経て、9月14日の資料では迎撃ドローンの量産調達契約を公表しました。9月17日公開の会社説明では、防衛事業の売上計上開始は9〜10月頃の見込みです。10月6日までの確認資料では納入・計上完了は確認できず、契約額を既に得た利益として扱う段階ではありません。

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Liberaware(218A)|狭小空間のインフラ点検
Liberawareは小型ドローン「IBIS」で、下水道など狭い空間の点検やデータ解析を手がけます。26年7月期(2025年8月〜2026年7月)は連結売上15.95億円、営業損失23.97億円でした。他社の半期決算とは集計期間が異なります。
営業損失には国の研究支援(SBIR)の費用17.06億円が含まれ、補助金は営業外収益に計上されます。事業拡大のための開発費と、本業の販売・点検サービスの採算を分けて読む必要があります。継続案件が売上へつながる速度と、資金負担を比べる候補です。

ブルーイノベーション(5597)|運航管理と点検DX
ブルーイノベーションは統合管理基盤「BEP」を軸に、ドローンやロボットの導入・運用を支えます。26年12月期中間(2026年1〜6月)は単体売上7.54億円、営業損失1.80億円でした。売上は前年同期比44.3%増え、営業損失は前年の2.59億円から縮小しています。
機体販売だけでなく、現場で使う仕組みの構築やサービスの採算が業績を左右します。26年12月期の会社予想も営業損失3.80億円で、黒字化はまだ先の課題です。導入件数だけを追わず、有償サービスの積み上がりと費用負担を見ます。

ドローン関連銘柄とは|機体・運航管理・サービスに分類

ドローン関連銘柄とは、無人航空機の機体や部品を製造する企業だけを指す言葉ではありません。安全な飛行を支える通信、UTM、制御ソフト、データ解析に加え、測量、点検、物流、農業などのサービス企業も含まれます。
関連範囲が広いため、同じテーマに分類されていても業績への影響は大きく異なります。投資対象を探す際は、まず事業のどこで収益を得る会社なのかを整理し、その後に市場成長が売上や利益へ反映される度合いを比べると判断しやすくなります。
機体メーカーと運航管理会社では収益構造が違う
機体メーカーは、販売台数が増えると売上を伸ばしやすい半面、開発費、部材調達、在庫、量産設備などの負担を抱えます。新型機の認証や納品が遅れれば、受注があっても売上計上が翌期へずれるため、四半期ごとの業績が振れやすい点にも注意が必要です。
一方、UTMや統合管理ソフトは、導入後の利用料や保守契約を積み上げられれば収益が安定します。ただし、社会実装の初期は実証案件が多く、継続課金へ移行できない場合もあります。導入件数ではなく、有償契約と継続収入の増加を確認しましょう。
純粋関連株と周辺関連株を分けて考える
ACSLやLiberawareのようにドローン事業の比重が大きい企業は、業界ニュースや大型受注への株価反応も大きくなりやすい純粋関連株です。テーマの追い風を受けやすい反面、業績が計画を下回った際は成長期待が一気に後退する可能性があります。
通信、電池、測量などを本業とする周辺関連株は、事業基盤が分散されているため値動きが比較的安定しやすいものの、ドローン市場が拡大しても全社業績への寄与が小さい場合があります。関連ニュースの有無だけでなく、売上構成と中期経営計画を確認してください。
ドローン関連銘柄が注目される4つの理由

ドローン市場を押し上げているのは、空撮需要ではなく、社会課題を解決する産業用途です。老朽インフラの増加、物流や農業の人手不足、災害対応の迅速化に加え、経済安全保障の観点から国産機体を確保する動きも強まっています。
さらに、レベル4飛行、AIによる画像解析、複数機の同時運航といった技術・制度の整備が進み、実証実験から継続利用へ移る条件が整いつつあります。どの追い風が各社の事業へ直結するのかを分けて見ると、関連銘柄の強弱が見えやすくなります。
防衛・経済安全保障で国産ドローン需要が拡大
無人機は偵察、警戒、物資輸送など幅広い任務で使われ、防衛分野での重要性が高まっています。政府資料では、防衛力整備計画に基づき無人アセットの整備へ大規模な予算を投じる方針が示されました。重要施設で使う機体には通信・データ面の安全性も求められます。
この流れは、セキュアな国産機体を開発する企業に追い風です。ただし、防衛案件は入札、納期、検収によって売上時期が変わります。「国策」という言葉だけで買わず、落札額、納入台数、利益率まで確認する必要があります。
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インフラ点検・災害対応で社会実装が進む
橋梁、トンネル、送電線、下水道などの点検は、高所や狭い場所での作業を伴います。ドローンを使えば、人が危険区域へ入る時間を減らし、撮影データを残して経年変化も比較できます。設備の老朽化と技術者不足が重なる日本では、導入効果を説明しやすい分野です。
災害現場でも、崩落や浸水で立ち入りにくい場所を早く確認できます。投資面では、話題になった出動実績より、その後に自治体やインフラ企業との継続契約へ進んだかが大切です。点検件数、利用料、解析サービスの売上が積み上がる企業を選びましょう。
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物流・農業の人手不足を補う
山間部や離島では、少量の医薬品や生活物資を車で届けると採算が合いにくく、災害時には道路が寸断される場合もあります。ドローン配送は、こうした区間を空路で補う手段です。農業でも農薬散布や生育確認を自動化し、作業時間を減らせます。
もっとも、飛行できる天候、積載量、航続距離、運航担当者の確保などの制約は残ります。実証成功と採算の取れる商用運航は別です。配送回数や導入地域が増えているか、補助金がなくても継続できる料金設計かを確認しなければなりません。
レベル4飛行・UTM・AIが普及を後押し
レベル4飛行は、有人地帯で補助者を置かずに目視外飛行する運用です。制度の整備によって、住宅地を含む配送や広域点検へ活用範囲が広がりました。今後、飛行する機体が増えれば、経路や空域を管理するUTM、離着陸や充電を担うドローンポートも必要になります。
AI画像解析は、撮影した映像からひび割れや異常を見つける作業を効率化します。機体、運航管理、解析を一体で提供できれば、企業は単発の販売から継続収入へ移りやすくなります。多数機運航の実用化と各社のサービス単価が次の確認点です。
その他のドローン関連株一覧

ドローン市場の成長は、専業4社だけでなく、通信、測量、地理情報、部品、農業機械を手掛ける企業にも波及します。ただし、周辺企業ではドローン関連売上が全社に占める割合が小さく、材料が出ても業績への影響が限定される場合があります。
一覧を見る際は、機体やサービスを直接販売する企業と、技術や部品を供給する企業を分けてください。会社全体の売上規模が大きいほどドローン事業の成長が埋もれやすいため、IR資料に独立した事業目標や受注額が示されているかも判断材料になります。
通信・ソフトウェア・運航管理の関連銘柄
ドーン(2303)は地理情報システムを主力とし、消防向け映像通報システムなどを展開しています。オプティム(3694)は、農業や点検分野でAI・IoTを使ったサービスに取り組んでいます。セック(3741)もリアルタイム技術を生かした無人機関連開発に関わる企業です。
これらは機体販売より、情報の収集・伝送・解析を支える立場です。ドローンの台数が増えても、自社システムが採用されなければ収益にはつながりません。導入先、契約形態、保守収入、ドローン分野の売上開示を確認し、単なる技術協力と区別しましょう。
測量・点検・機体部品の関連銘柄
アジア航測(9233)は測量・地理空間情報、ヤマハ発動機(7272)は産業用無人ヘリや農業分野、双葉電子工業(6986)は無線操縦機器や産業用ドローンに関わります。ミライト・ワン(1417)も子会社を通じて点検や測量などのサービスを展開しています。
周辺関連株は、本業の利益が下支えになる一方、ドローン市場拡大の寄与が見えにくい点が特徴です。売上高ランキングやテーマ一覧だけで選ばず、関連部門の受注が増えているかを確認してください。ドローンへの関与が実証段階にとどまる企業は優先度を下げます。
ドローン関連銘柄の選び方|事業純度・受注・黒字化を確認

ドローン関連銘柄は、市場拡大のニュースや大型実証をきっかけに短期間で買われる場合があります。しかし、株価上昇が続くには、期待を売上と利益へ変える必要があります。関連事業の規模が小さければ、市場が伸びても企業価値への影響は限定的です。
決算では、売上成長率だけでなく営業損失、受注残、粗利益率、営業キャッシュフローを確認します。グロース企業では増資や新株予約権による希薄化も無視できません。材料発表後の値動きだけを追わず、収益化までの距離を比べるのが基本です。
ドローン事業の売上比率と継続受注を見る
最初に確認したいのは、ドローン事業が会社全体の売上へどれだけ貢献しているかです。「ドローンを活用」「実証実験へ参加」という発表だけでは、金額も継続性も分かりません。セグメント売上、受注額、納入台数が開示されている企業ほど進捗を追いやすくなります。
官公庁や大企業との案件でも、単年度の実証で終わる可能性があります。翌年度の追加受注、利用地域の拡大、保守・解析契約への移行を確認してください。受注先の名前より、繰り返し売上が立つ仕組みがあるかを重視します。
赤字幅と黒字化までの資金を確認する
産業用ドローン企業は、機体開発、認証、海外拠点、人材採用へ先に資金を使うため、売上が伸びても営業赤字が続く場合があります。赤字そのものだけでなく、粗利益が改善しているか、固定費の増加を売上成長で吸収できているかを見る必要があります。
現預金が減り続ければ、追加の借入や増資が必要になります。新株発行で事業資金を確保できても、1株当たり価値が薄まれば株価の上値を抑える要因です。黒字化目標の年度だけを信じず、手元資金と営業キャッシュフローから実現可能性を判断しましょう。
材料後の急騰とテーマ剥落に注意する
ドローン関連株は、防衛案件、災害現場での採用、規制緩和などのニュースで出来高が急増しやすいテーマです。時価総額の小さい銘柄では、短期間で株価が大きく上昇する一方、追加材料が出なければ上昇分を急速に失う場合があります。
過去の高値や上昇率だけを見て追いかけるのではなく、発表された案件が業績予想へ織り込まれているかを確認してください。受注額が小さい、納品が翌期になる、利益率が低いといった内容なら、ニュースの印象ほど企業価値は増えていない可能性があります。
ドローン市場の今後|国産化と収益化が焦点

ドローン市場は、インフラ点検、防衛、物流、農業を中心に拡大が見込まれます。今後の焦点は、飛行実験の回数ではなく、企業や自治体が日常業務として使う段階へ進めるかです。社会実装が進めば、機体だけでなく運航管理、保守、解析の需要も増えます。
投資家にとっては、市場規模の予測より各社の収益化が大切です。国産化の支援を受けても、価格競争力や量産能力が不足すれば利益は残りません。海外企業との競争、規制変更、事故による運航停止も含め、強気と弱気の両面を見ておきましょう。
国産化は追い風だが量産能力が問われる
重要インフラや官公庁では、撮影データの流出やサプライチェーン寸断を避けるため、安全性を確認できる国産ドローンの確保が課題になっています。国内企業には受注機会が広がりますが、少量の試作と数百機単位の安定供給では必要な生産体制が異なります。
部品調達、製造原価、納期、保守網まで整えられるかが勝敗を分けます。大型案件を獲得しても、納入遅延や原価上昇で利益が出なければ評価は続きません。受注残の増加とともに、粗利益率、在庫、納品実績が改善している企業を優先したいところです。
機体販売から継続課金へ移れる企業に注目
機体は納品時に売上が立つため、案件の時期によって業績が振れます。これに対して、運航管理、保守、操縦支援、クラウド解析を月額や年額で提供できれば、導入台数の増加に伴って継続収入を積み上げられます。市場拡大を利益へ変えやすい形です。
ただし、サービスを掲げていても無料実証が中心では収益になりません。有料契約数、解約率、顧客単価などの開示が増えるかを確認しましょう。今後は「何機売ったか」だけでなく、「導入後にいくら稼げるか」が企業評価を左右します。
まとめ|ドローン関連銘柄は事業純度と収益化で選ぶ
候補4社の接点は、国産機体、測量・運航管理と防衛、狭小空間点検、統合管理に分かれます。事業の進展と利益の改善は、別々に確かめる必要があります。
各社で決算期と集計期間が異なるため、赤字額だけで優劣は決められません。研究開発費や補助金の会計処理も踏まえ、販売・サービスの採算と資金負担を比較しましょう。
契約獲得や実証成功をきっかけに株価が上がっても、売上や利益が確定したとは限りません。納入・検収の進捗を追い、許容できる値動きの範囲で購入額を抑える姿勢が欠かせません。

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執筆者情報
日本投資機構株式会社 アナリスト
準大手の証券会社にて資産運用のアドバイザーを務めた後、日本株主力の投資顧問会社の支店長となる。現在は日本投資機構株式会社の筆頭アナリストとして多くのお客様に株式投資の助言を行いつつ、YouTubeチャンネルにも積極的に出演しており、資産運用の重要さを発信している。

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