大阪副首都構想の関連銘柄6社|法成立後は「実需との距離」で選ぶ

石塚 由奈

日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)

大阪副首都構想の関連銘柄6社|法成立後は「実需との距離」で選ぶ

副首都をめぐる議論は、構想段階から実行段階へ入った。2026年7月24日に副首都法が成立し、焦点は「法律ができるか」ではなく「どの地域が指定され、何に予算が付くか」へ移っている。

大阪は有力候補だが、指定は確定していない。本稿では制度と大阪の現在地を整理し、関連6社を業績への波及経路から比較する。

目次

副首都法が成立|構想は「実現するか」から「誰が指定されるか」へ

副首都法成立と制度化をイメージした握手

副首都機能の整備の推進に関する法律、いわゆる副首都法は2026年7月24日に成立した。これまで株式市場では、法案提出や与野党協議の進展だけでも関西に地盤を持つ銘柄へ思惑買いが入りやすかった。成立後は法制度の存在そのものより、政令、地域指定、整備方針、予算措置へと材料が具体化する。

一方、法律が成立しただけで大阪の鉄道利用者や建設受注が増えるわけではない。法令上の工程と企業利益の間には、地域の申し出、国の指定、事業計画、発注や設備投資という段階がある。短期の株価材料と中長期の業績材料を分けて読む必要がある。

2026年7月24日に成立、7月31日に法律第78号として公布

参議院の議案情報では、副首都法は7月24日の本会議で可決され、同月31日に法律第78号として公布された。参議院の投票結果は賛成123、反対121で、僅差だった。法成立により、副首都は政治的な構想から国の制度へ変わった点が最大の転換である。

法律の目的は、東京圏への過度な集中で大規模災害時に国の機能が止まるリスクを抑える点にある。首都機能の代替拠点を整え、行政、経済、交通、情報通信などの機能を維持できる地域を育てる枠組みだ。

公布から3カ月以内に施行、2031年3月末までが集中推進期間

法律は公布日から3カ月以内に、政令で定める日に施行される。さらに2031年3月31日までを集中推進期間とし、副首都機能の整備を重点的に進める。したがって、投資家が注視すべき期間は成立直後だけではない。今後数年にわたる制度設計、候補地の動き、予算編成が継続的な材料となる。

ただし、集中推進期間は各社の受注を保証する期限ではない。期限内に整備の方向が決まっても、個別事業の設計、入札、着工、売上計上には時間差がある。建設や設備工事では受注残へ反映される時期を確認したい。

基本方針は施行後1年以内だが、副首都指定の前提とは限らない

政府は施行後1年以内をめどに、副首都機能の整備に関する基本方針を定める。ここには整備の意義、国の施策、関係機関との連携などが盛り込まれる見通しだ。一方、法律の条文上、基本方針の策定が地域指定の明示的な前提とはされていない。

副首都指定は、政令で定める条件を満たす都道府県からの申し出を受け、内閣総理大臣が行う仕組みである。基本方針の策定時期だけを見て「指定は1年以上先」と決めつけるのは早い。政令による指定基準と基本方針の作業を別々に追う必要がある。

大阪は最有力でも「内定」ではない

大阪の都市機能と副首都構想をイメージした街並み

大阪は西日本最大級の人口・経済集積を持ち、国の出先機関、交通網、企業本社も多い。大阪府と大阪市は副首都ビジョンを策定し、首都機能のバックアップ検討も続けてきた。こうした蓄積から有力候補とみられるが、法律に「大阪を副首都にする」とは書かれていない。

指定が確定していない段階で、大阪関連銘柄へ一律にプレミアムを付けるのは危うい。指定条件を満たす地域が複数あれば、複数の副首都が選ばれる余地もある。大阪の優位性と制度上の不確実性を同時に見ておきたい。

東京との同時被災リスク、行政機構、人口・経済の集積が指定条件

法律は指定条件として、東京圏との同時被災リスクが低い地域である点を重視する。加えて、国の行政機関を受け入れられる都市機能、人口や経済の集積、必要な地方行政体制なども条件となる。具体的な数値基準や評価方法は政令で定められる。

大阪は規模の面で強みがある一方、災害リスクや代替拠点としての実効性は詳細な検証が必要だ。投資テーマとしては、候補地の知名度より、政令の条件をどこまで満たすかが重要になる。

府議会の議決と大阪府からの申し出が必要

副首都指定を受けるには、候補となる都道府県が自ら申し出る必要がある。その前提として都道府県議会の議決が求められる。大阪の場合、府議会での議論と議決を経て、大阪府が国へ申し出る流れになる。

この工程は、関連銘柄にとって最初の具体的な節目になり得る。府議会へ提出される資料には、受け入れ機能、候補地、交通や通信の課題が示される可能性がある。企業との接点を判断する情報が、政治ニュースから行政資料へ移っていく。

愛知・福岡などが指定される可能性も残る

人口、経済、広域交通、国の出先機関を備える地域は大阪だけではない。愛知県や福岡県も候補になり得る。制度は複数地域の指定を排除しておらず、機能を地域ごとに分担する展開も考えられる。

大阪以外が指定された場合、大阪企業への期待がすべて失われるとは限らない。ただし、予算や民間投資が他地域へ分散する可能性は高まる。大阪関連銘柄への集中投資では、候補地競争そのものがリスクになる。

副首都指定、大阪都構想、「大阪都」への名称変更は別の制度

副首都法は、首都機能を代替する地域を指定し、必要な整備を進める法律である。大阪市を廃止して特別区へ再編する大阪都構想とは目的も手続きも異なる。また、副首都に指定されても自治体名が自動的に「大阪都」へ変わるわけではない。

三つを混同すると、政治イベントの意味を読み違えやすい。株式市場では見出しだけで物色が広がる局面もあるが、企業利益へ波及するのは行政組織の名称ではなく、拠点整備や交通投資などの実事業である。

法律に書かれた施策から資金の向かい先を絞る

大阪湾岸の都市開発と交通インフラ

副首都関連銘柄を探す際は、「大阪に本社がある」という所在地だけでは不十分だ。法律第19条には、国の行政機関を受け入れる拠点、交通施設、都市基盤、規制の特例、税制上の措置、民間資金や技術の活用などが示されている。制度に書かれた施策から事業領域を逆算すると、候補を絞りやすい。

もっとも、条文に事業分野があるだけでは売上にならない。実施主体、事業名、予算額、発注時期が定まり、企業が受注または投資を獲得して初めて業績へ近づく。以下では、法制度と企業利益の間にある橋を整理する。

国の機関を受け入れる拠点と都市基盤の整備

非常時に国の機能を代替するには、執務拠点だけでなく、電源、通信、防災、宿泊、周辺道路などを一体で整える必要がある。既存施設の改修で対応するのか、新しい拠点を建設するのかで恩恵を受ける業種は変わる。

新設比率が高ければゼネコンや設備工事会社に追い風となる。既存施設の活用が中心なら、オフィスやデータセンターを保有する不動産会社へ賃料需要が及ぶ可能性がある。候補地と施設仕様が示されるまでは、受益額の推計は難しい。

鉄道・道路・空港を含む交通網の多重化

代替拠点は、首都圏が被災した際にも人員や物資を受け入れられなければ機能しない。鉄道、道路、空港、港湾を複数の経路で結び、特定ルートの寸断に備える発想が重要になる。

鉄道会社は輸送量の増加に加え、駅周辺開発で需要を取り込める。一方、路線整備は長期計画であり、初期投資も重い。計画の公表だけで利益が増えると考えず、費用負担、運賃収入、沿線不動産の価値向上を併せて確認したい。

通信ネットワーク、データ連携、企業BCPの強化

行政機能を遠隔地で継続するには、通信回線とデータを二重化し、サイバー攻撃にも耐えられる環境が欠かせない。企業側でも本社機能、データ、電源を一地域へ集中させないBCP投資が進む可能性がある。

ここでは通信工事会社やデータセンター保有会社が候補となる。ただし、データセンターは受電容量、冷却設備、テナント獲得、建設費の上昇が収益を左右する。政策テーマだけでなく、稼働率と賃料収入まで追う必要がある。

規制緩和・税制支援による企業移転と民間投資

法律は、規制の特例や税制上の措置、民間の資金と技術の活用も想定している。企業が本社機能や研究開発拠点を移す誘因が具体化すれば、オフィス、住宅、商業施設、交通サービスへの需要が広がる。

関連企業にとっては、公共工事の受注だけが恩恵ではない。民間の移転件数、床需要、設備投資が継続的な収益源になり得る。ただし、優遇措置の対象、期間、予算規模が未定の段階では期待先行になりやすい。

大阪IRや万博跡地開発は副首都法と分けて考える

夢洲では統合型リゾートの開業準備や万博跡地の活用が進む。これらは大阪の都市機能を高め、交通や建設需要を生む点では副首都構想と方向が重なる。しかし、事業主体、資金計画、完成時期は副首都法と別である。

IR工事の受注を副首都法の成果として数えると、政策効果を過大評価してしまう。各社の決算を見る際は、万博、IR、既存再開発、副首都関連を分け、どの案件が増収や受注残に寄与したかを確認したい。

法成立直後は関西関連銘柄が上昇|期待が先に動いた

大阪・道頓堀の街並み

副首都法成立後の最初の取引では、JR西日本、阪急阪神ホールディングス、関西電力など関西に地盤を持つ銘柄が買われた。制度の転換点へ市場が素早く反応した形だ。ただし、成立直後に各社の業績予想が一斉に上方修正されたわけではない。

テーマ株では、将来の受益期待が先に株価へ織り込まれ、実際の利益が後から追い付く。利益が確認できなければ、材料出尽くしで反落する場合もある。初動の強さより、次のニュースが利益への距離を縮めるかを見たい。

JR西日本、阪急阪神HD、関西電力などに買い

朝日放送テレビの報道によると、成立後の7月27日はJR西日本が前営業日比100円高の3,075円で取引を終えた。阪急阪神HDや関西電力などにも買いが入った。投資家がまず選んだのは、大阪の交通と生活基盤を担う知名度の高い企業だった。

この反応は、副首都関連銘柄の候補を知る手掛かりにはなる。ただし、1営業日の上昇だけで中長期の上昇トレンドを判断できない。テーマ買いの持続性は、売買代金と出来高、決算、政策の続報で検証する必要がある。

現時点では業績への寄与より政策への思惑が中心

2026年8月4日時点では、政令による指定条件や大阪の申し出は確定していない。整備する施設、事業費、発注先も未定である。したがって、法成立直後の株価上昇は、既存利益の増加より将来の政策支援を先取りした動きと考えるのが自然だ。

関連性が高い企業と、利益が増える企業は同じとは限らない。地域イメージで買われた銘柄ほど、後から業績の裏付けを求められる。実需を確認できない段階では、値動きの大きさにも注意したい。

株価の次の材料は政令・指定・整備方針・予算措置

次に注目したいのは、政令で示される指定条件、大阪府議会の議決、国への申し出、内閣総理大臣による指定である。指定後は、副首都整備方針に記載される事業名や予算が重要になる。

株価材料の質は、制度の話から金額の話へ移るほど高まる。具体的な路線、施設、工期、税制支援が示されれば、受益企業を精査しやすい。企業側の適時開示や決算説明で受注、設備投資、賃貸需要への言及が出るかも確認したい。

副首都関連6社は制度との接点と本業をセットで見る

大阪を走る阪急電鉄の車両

関連6社は、鉄道、設備工事、不動産、建設、電力に分かれる。いずれも副首都機能の整備と接点を持つが、利益へ届く道筋は異なる。鉄道なら利用者と沿線開発、建設なら受注、データセンターなら賃料、電力なら販売量と設備投資が確認項目になる。

以下の選定は、法成立だけを理由に買いを推奨するものではない。2026年8月4日までに公表された決算や会社計画を使い、本業の足元と政策テーマの接点を並べた。テーマへの近さと業績の強さを分けて比較したい。

銘柄制度との主な接点足元の確認点
JR西日本(9021)広域鉄道・駅周辺開発万博需要の反動とコスト増
阪急阪神HD(9042)都市交通・梅田開発2027年3月期1Qは増収増益
きんでん(1944)電力・通信設備工事1Q営業利益は前年同期比89.0%増
京阪神ビルディング(8818)データセンター・オフィスデータセンタービルが売上高の54.4%
大林組(1802)大型建築・土木8月7日の1Q決算が次の節目
関西電力(9503)電力供給・インフラ投資1Q経常利益は前年同期比60.8%減

西日本旅客鉄道(9021)|交通網の中核だが万博反動を織り込む

JR西日本は山陽新幹線と京阪神の在来線を抱え、首都圏との代替交通や大阪域内の移動を支える中核企業である。駅ビルや不動産も手掛けるため、行政・企業機能の移転が進めば、輸送と沿線開発の両面で接点を持つ。

2026年3月期は営業収益1兆8,458億円、営業利益1,980億円と増収増益だった。一方、会社は2027年3月期のモビリティ業で万博需要の反動や物価上昇を見込む。副首都期待だけでなく、万博後の旅客動向とコストを確認したい。

阪急阪神ホールディングス(9042)|鉄道と梅田開発、1Qは増収増益

阪急阪神HDは鉄道に加え、大阪梅田を中心とした不動産開発、商業施設、ホテルを展開する。副首都機能の集積がオフィス需要や来訪者を増やす場合、交通収入だけでなく、保有不動産の収益にも波及し得る。

2027年3月期第1四半期は営業収益3,390億円で前年同期比9.5%増、営業利益495億円で2.9%増だった。足元は増収増益だが、副首都の効果が数値に出た段階ではない。梅田開発の投資負担と賃貸収益の伸びを見たい。

きんでん(1944)|電力・通信工事に接点、1Q営業利益は89.0%増

きんでんは電力設備、情報通信、環境関連工事を手掛ける。行政拠点やデータセンターの整備では、受変電設備、非常用電源、通信網の構築が必要になるため、制度との接点は比較的分かりやすい。

2027年3月期第1四半期は完成工事高1,624億円で前年同期比14.8%増、営業利益136億円で89.0%増だった。好調な本業は評価材料だが、副首都関連の受注増を示す数字ではない。今後は大型案件の受注内容と採算を確認する。

京阪神ビルディング(8818)|売上高の54.4%をデータセンタービルが占める

京阪神ビルディングはオフィスやデータセンタービルを保有する。2026年3月期はデータセンタービルの売上高が110億円となり、全社売上高の54.4%を占めた。行政データの分散や企業BCPが進む場面で接点を持つ。

2027年3月期第1四半期は売上高が約51億円で前年同期比1.7%増、営業利益が約16億円で10.2%増だった。一方、不動産賃貸は金利上昇と建設費の影響を受ける。受電容量、稼働率、テナント集中も併せて見たい。

大林組(1802)|大型インフラの施工力と8月7日決算が次の確認点

大林組は大規模建築と土木の施工力を持ち、行政拠点、交通施設、都市基盤が具体化する局面で候補になり得る。大阪発祥の企業だが、全国・海外で事業を展開しており、大阪案件だけで業績が決まる会社ではない。

2026年3月期は売上高2兆5,862億円、営業利益1,946億円で、営業利益率は7.5%へ改善した。2027年3月期は増収・営業減益を計画する。8月7日予定の第1四半期決算では、受注高、完成工事総利益率、通期計画の進捗が焦点となる。

関西電力(9503)|電力基盤は重要だが1Q経常利益は60.8%減

関西電力は大阪を含む関西圏の電力供給を支える。行政拠点やデータセンターが増えれば、安定電源、送配電網、非常時対応の重要性は高まる。2026〜2028年度には安全・安定供給と成長分野を合わせて2.5兆円の投資を計画する。

一方、2027年3月期第1四半期の経常利益は528億円で前年同期比60.8%減だった。中東情勢を受けた燃料費と原子力利用率の低下が響いた。純利益はきんでん株売却益で増えたため、本業の収益力と分けて読む必要がある。

同じ政策テーマでも利益を動かす要因は違う

大阪市内の街並み

6社は同じニュースで買われる場合があるが、利益を動かす要因は一致しない。鉄道は旅客数、不動産は賃料、設備・建設は受注採算、電力は燃料費や発電構成の影響が大きい。副首都関連というラベルだけで決算の違いは消えない。

政策テーマの選別では、法制度との接点、本業に占める対象事業の比率、利益計上までの時間を比べたい。短期の値幅を狙うテーマ投資と、利益成長を待つ中長期投資でも適した銘柄は変わる。値上がり率だけの横比較では、各社の本質的な差を捉えにくい。

鉄道株は利用者増と都市開発が業績への橋渡しになる

鉄道会社にとって、法律の成立そのものは運賃収入を生まない。行政職員、企業、来訪者の移動が増え、沿線人口や駅周辺の床需要が高まって初めて業績へつながる。輸送人員と不動産収益が橋渡し役になる。

新路線や駅改良が決まれば期待は高まるが、多額の設備投資と減価償却費も発生する。JR西日本と阪急阪神HDでは、輸送網、沿線、開発資産が異なるため、同じ評価はできない。

設備・建設株は国の予算と具体的な受注が必要

きんでんや大林組では、整備方針に施設名や工期が記載され、予算が付き、入札を経て受注するまで売上は確定しない。計画段階の事業費と企業の受注額も一致しない点に注意したい。

受注後も利益率が重要だ。資材費や人件費が上がる局面では、受注高が増えても採算が悪化する場合がある。受注残、完成工事総利益率、価格転嫁を確認して初めて政策効果を測れる。

データセンター株は電力容量・テナント集中・金利も確認

データセンター需要は副首都、生成AI、企業BCPという複数テーマが重なる。ただし、建物を保有するだけでは十分ではない。大容量の電力を確保し、冷却性能を高め、長期契約のテナントを獲得する必要がある。

京阪神ビルディングではデータセンター比率が高い反面、特定テナントへの集中や金利上昇がリスクになる。テーマの成長性と、企業固有の財務・契約条件を切り離さずに見るべきだ。

電力株は原子力利用率と燃料価格の影響が副首都テーマより大きい

関西電力は副首都機能を支える不可欠な企業だが、四半期利益は原子力発電所の稼働状況、燃料価格、電力需要、販売単価で大きく動く。副首都関連の需要が増えても、燃料費の悪化が利益を上回る場合がある。

政策テーマは長期の設備投資や需要増を考える補助線として使い、短期業績は電源構成と燃料費調整を中心に見る。副首都だけを投資理由にすると、決算の主要因を見落としやすい。

今後の期待度を変える4つの確認材料

副首都関連銘柄を選ぶ確認ポイント

副首都関連銘柄の期待度は、ニュースの数ではなく、制度と利益の距離が縮まるかで変わる。最初は政令の基準、次に大阪の申し出と指定、その後は整備方針と予算、最後に企業の受注や収益への反映という順で確認したい。

この順序を持っておけば、政治家の発言だけで買い急ぐのを避けやすい。反対に、正式決定を待ち過ぎて初動を逃す不安も減る。各段階で新たに確定した情報と、株価へ織り込まれた期待を比べる。四つの材料は、思惑から実需へ移る進捗表として使える。

政令で示される人口・経済・行政体制の具体的な基準

第一の材料は、指定条件を具体化する政令である。人口や経済規模、行政機関の集積、災害リスク、地方行政体制がどの数値で評価されるかにより、大阪の優位性や競合地域の範囲が見えてくる。

基準が厳しければ候補は絞られ、緩ければ複数地域の指定可能性が高まる。ここは大阪関連銘柄全体の期待を左右する制度上の分岐点になる。

大阪府議会の議決と国への指定申し出

第二の材料は、大阪府が正式に指定を求める動きである。府議会の議案や説明資料からは、大阪が担う機能、候補となる施設や地域、必要な整備の課題が見える可能性がある。

議決と申し出が進めば、大阪が有力候補という観測は行政手続きへ一段進む。ただし、申し出は指定そのものではない。国による条件審査と最終判断を待つ必要がある。

副首都整備方針への事業名・予算・税制措置の記載

第三の材料は、指定後に策定される整備方針である。行政拠点、鉄道、道路、通信、データセンターなどの具体的な事業名と、国・自治体・民間の役割分担が示されるかを確認する。

予算額、税制優遇、事業期間まで記載されれば、対象業種と収益機会を試算しやすくなる。「大阪だから」ではなく「記載された事業を担えるから」という銘柄選別へ移る段階だ。

企業開示で確認できる受注、設備投資、賃料収入への波及

第四の材料は、企業側の開示である。建設・設備会社なら受注高と受注残、鉄道会社なら輸送人員と沿線開発、不動産会社なら稼働率と賃料、電力会社なら需要と投資計画を見る。

決算説明資料で「副首都」の語が出ても、金額が示されなければ寄与は測れない。案件名、売上計上時期、利益率まで確認できれば、政策テーマは業績テーマへ近づく。ここが思惑買いと実需投資を分ける境目になる。

まとめ|法成立はゴールではなく関連銘柄選別の始まり

副首都法は2026年7月に成立・公布され、大阪関連銘柄をめぐる前提は大きく変わった。ただし、大阪の指定や個別事業は未確定であり、法成立だけで6社の利益が増えるわけではない。

今後は政令、大阪府の申し出、国の指定、整備方針、予算、企業開示の順に確認したい。交通、設備、データセンター、建設、電力では利益への経路が違う。制度との近さに加え、本業の決算と受注を比べる姿勢が銘柄選別の軸になる。

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執筆者情報

nari

石塚 由奈

日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)

国内株式、海外株式、外国為替の領域で経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーのもと、金融市場の基礎・特徴、マクロ経済の捉え方、個別株式の分析、チャート分析、流動性分析などを学びながら、日本投資機構株式会社では唯一の女性アナリストとして登録。自身が専任するLINE公式など各コンテンツに累計7000名以上が参加。Twitterのフォロワー数も3万人を超える人気アナリスト。

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