「グロース株」と「バリュー株」という言葉を耳にしたことはあっても、その違いや見分け方、どちらに投資すべきかで迷っている方は多いのではないでしょうか。
本記事では、それぞれの定義・特徴・メリットとデメリットをわかりやすく整理し、初心者にも使いやすいスクリーニング方法や代表銘柄の例まで詳しく解説します。
バリュー株とグロース株の定義・違いとは?

ここでは、バリュー株とグロース株の違いや特徴、それぞれのメリット・デメリット、見分け方まで、初心者でもわかるように解説していきます。
バリュー株とは?|資産や収益に対して株価が割安
バリュー(Value)とは「価値」という意味。
バリュー株とは、企業が持つ資産や生み出す利益と比べて、株価が割安に評価されている銘柄のことです。
一般的に以下のような特徴を持つ企業がバリュー株に当たります。
・PBRが1倍以下
・PERが10倍以下
・安定した黒字経営が続いている
・配当利回りが高い
・一時的に売られ過ぎている
グロース株とは?|成長期待が織り込まれた株
グロース(Growth)とは「成長」の意味。
グロース株は、将来の売上や利益の成長が期待されている企業の株で、現在の利益水準に対して高い株価がついているのが特徴です。
一般的に以下のような特徴を持つ企業がグロース株に当たります。
・売上高や利益が年20%など高成長
・PERが業界平均を大きく超えて高め
・利益が小さい、もしくは赤字だが、将来に期待がある
・無配企業(株主還元より成長投資を優先するため)
バリュー株とグロース株の特徴を徹底比較
観点 | バリュー株 | グロース株 |
株価水準 | 割安(低PER・低PBR) | 割高(高PER) |
成長性 | 安定的 | 高成長期待 |
配当 | 高め | なし or 少なめ |
投資対象 | 老舗・成熟企業 | 新興・IT・ベンチャー企業 |
リスク | 下値リスクが比較的小さい | 期待剥落による下落リスクあり |
魅力 | 安定した利益・株主還元 | 将来の株価上昇期待 |
バリュー株・グロース株のメリット・デメリット
観点 | バリュー株 | グロース株 |
メリット | ・株価が下がりにくくリスクが比較的小さい・配当利回りが高くインカムゲインも狙える・景気後退局面でも一定の防御力あり | ・将来的な業績拡大により株価が何倍にもなる可能性あり・テーマ性があると市場の注目を集めやすい |
デメリット | ・成長性が乏しく株価上昇は期待しづらい・株価が割安なままで放置されることも | ・業績未達や相場環境の変化で急落するリスクあり・割高な水準で掴むと損失が大きくなりやすい |
具体的にどんな銘柄がある?代表例を紹介

では代表的な銘柄を特徴とともに紹介します。
日本のバリュー株・グロース株の代表例
日本を代表するバリュー株として【2768】双日の株価指標をみてみましょう。
投資家からは三菱商事や三井物産と比較して成長ストーリーの独自性や持続性への疑念や一部事業分野の収益安定性への懸念などが指摘されており、安いPBR水準で取引されています。
次に、日本を代表するグロース株として【3778】さくらインターネットの株価指標をみてみましょう。
将来データセンター事業が大きく業績に寄与することが期待され、現在は利益が小さくても高いPER水準で取引されています。
米国のバリュー株・グロース株の代表例
米国を代表するグロース株の例として【NVDA】NVIDIA
AI・半導体分野で爆発的成長中である上、AIサーバー・データセンター需要は今後も拡大が期待されるため、PERやPBRともに高水準で取引されています。
次に米国を代表するバリュー株の例として【JPM】JPMorgan Chase
安定成長、高配当、割安指標を備え、老舗バリュー株の代表格とされています。
バリュー株が多い業種、グロース株が多い業種
バリュー株が多い業種として銀行、保険、鉄鋼、商社、不動産などがよく挙げられます。これらの業種は、土地・建物といった資産を多く保有しているため、簿価と時価の差によってPBRで割安になりがちです。
グロース株が多い業種としてはIT、半導体、医療・バイオ、再エネ、通信、ネットサービスなどが当てはまります。
これらの業種は、新しい技術・サービスや新薬の開発などで急成長する企業が多く、純利益が赤字であったり小さな数値であっても、将来の高成長期待が株価に織り込まれやすいです。
初心者でも簡単!バリュー株とグロース株の見分け方

どうやってそれを見分ければいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか?
ここでは、初心者の方でも使える判断軸やスクリーニング方法を紹介します。
PER・PBRで割安度を判断
株が割安かどうかを判断するには、PERやPBRといった指標が基本になります。
たとえば、
という見方ができます。
こうした指標が低い銘柄は、バリュー株として注目されやすくなります。ただし、「なぜ安いのか?」という理由を見極めることも重要です。
[関連]PER(株価収益率)とは?意味や日本株と米国株における目安、活用方法を徹底解説
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売上高成長率で成長しているかをチェック
一方で、グロース株は成長が期待されている企業ため、売上高成長率や営業利益の増加率といった「成長しているか」を表す数値をチェックしましょう。
過去3年間の平均成長率や、四半期ごとの増加ペースなどを見るのも効果的です。
テーマ関連株として扱われているかにも注目!
企業のビジネス領域や市場環境が、テーマとして注目されていると、将来の業績拡大への期待が集まります。
たとえば、
こうした市場の成長性や「今後のテーマ」に着目することも大切です。
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バリュー株、グロース株のスクリーニング条件
実際に使えて、利益を出しやすいスクリーニング条件の例を紹介します。
注意して欲しいのですが、スクリーニングには正解がありません。
景気サイクルによって有効な株価指標が変わるのと同じで、景気や株式市場の状況に応じて適切なスクリーニングが変化します。
バリュー株を探すには?アナリストがスクリーニング条件を提案!
株価の割安度を測るために、配当利回り3%以上
財務の健全性を測るために、自己資本比率50%以上かつ純有利子負債が0以下
配当を支払う原資を確認するために、フリーCFが0以上
収益性を測るためにROE15%
慣れてきましたら、配当利回りをPBRに変えたり、ROEをROAやROICに変えたり、数値を変更したり、自分なりにアレンジしてみましょう!
グロース株を探すには?アナリストがスクリーニング条件を提案!
成長性を測るために、売上高成長率20%以上
今後の成長余地を測るために、時価総額1,000億円以下
成長のために資本を使用しているかを測るために自己資本比率50%以下
成長投資をしているかを測るため、投資キャッシュフロー0以上
スクリーニング結果の候補が少なすぎる場合は変数である数字を緩めたり、逆に多い場合は厳しくしたり、工夫をしてみましょう!
AIでスクリーニングができるアプリもありますのでこちらもご活用いただいてみると良いと思います
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どっちを選べばいい?自分に合う投資スタイルを考えよう

投資を始めると必ず直面するのが「バリュー株に投資するか、それともグロース株に投資するか」という選択です。どちらにもメリットと注意点があり、自分の性格や目的、さらには相場環境によって適したスタイルは変わります。
ここでは投資スタイルを考えるためのヒントを整理してみましょう。
バリュー株投資に向いている人の特徴は下記のような人になります。
・割安な株をじっくり探すのが好き
・「本質的価値より安く買って、適正に戻るまで待つ」ことに安心感を覚える
・短期的な値動きに一喜一憂せず、腰を据えて長期で構えられる
・PER・PBRなどの数値や財務データを分析するのが得意
グロース株投資に向いている人の特徴は下記のような人になります。
・成長企業や新しい産業の可能性にワクワクできる
・「今は高いけど、将来さらに伸びる」というストーリーを信じて投資できる
・変動の大きい株価でも柔軟に対応できる
・決算や新規事業など、成長要因のチェックをこまめに続けられる
つまり、堅実派ならバリュー、未来志向でリスク許容度が高いならグロースが合いやすいと言えるでしょう。
両方に分散投資するのも有効な戦略
「どちらか一方に絞る」のではなく、両方に分散投資するのも合理的な選択です。
・バリュー株は安定感があり、市場全体が調整局面に入っても下落が緩やかになりやすい
・グロース株は当たれば大きなリターンを狙える
・両者を組み合わせることで、相場環境に左右されにくいバランスの良いポートフォリオを作れる
特に初心者のうちは「将来性を信じるグロース株」と「割安さに安心できるバリュー株」を少しずつ持つことで、精神的にも安定して投資を続けやすくなります。
相場にはバリュー株優位とグロース株優位の時期がある
歴史的に見ても、相場環境によってどちらが有利かは変化します。
金利が上昇するとき
将来の利益を割り引いて評価するグロース株は不利になりやすく、相対的にバリュー株が優位になりやすい
金利が低下するとき
未来の成長を高く評価できるため、グロース株が上昇しやすい
景気回復期
割安に放置されていたバリュー株に資金が流れやすい
イノベーションや技術変化が注目される局面
AI・バイオ・半導体など、グロース株がリードしやすい
つまり、どちらのスタイルが正解かは「その時々の相場」によって変わるのです。
[関連]金利上昇でグロース株が大きく下落するのは何故?プロが根本的な理由を解説!
まとめ|バリュー株とグロース株の違いを知って賢く投資!
バリュー株とグロース株は、それぞれ異なる投資の魅力があります。
大切なのは、自分の性格や目的に合った投資スタイルを選ぶこと。
一方に偏る必要はありません。相場環境やテーマによって使い分けることで、より柔軟で戦略的な投資が可能になります。
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執筆者情報
金融ライター
2016年大手証券会社に入社、2018年に最大手オンライン証券会社に入社し、機関投資家部門(ホールセール)を立ち上げ、翌年2019年には同社シンガポール拠点設立。2022年より日系証券会社の運用部にてポートフォリオマネジャーの経験を得て以降、一貫して運用業務に従事。