「若いうちに稼ぐ」は正解か?アスリートと夜の世界の共通点|「銀座でマネーを語る夜」元証券マン×キャバ嬢きこ

きこ

投資インフルエンサー

「若いうちに稼ぐ」は正解か?アスリートと夜の世界の共通点|「銀座でマネーを語る夜」元証券マン×キャバ嬢きこ

元野村證券トップセールスで、現在は銀座の売れっ子キャバ嬢として働く「きこ」さんが、夜の街から見た日本経済とお金の話を綴る連載。
第3回目となる今回のコラムは、若いうちに稼ぐアスリートと夜の世界に共通するお金の課題についてです。

華やかに見えるプロ野球選手は、引退時にどれだけの資産を残せているのでしょうか。
投資家として発信を行う一方、野球好きとしても知られるきこさんが、稼ぐ時期の違いやお金の使い方がどのくらい資産額に影響するのかを、試算を行ったうえで考えてくれました。

目次

夜の世界もアスリートも「若いうちに稼ぐ」のは同じ

きこさんのInstagram
(https://www.instagram.com/kiko_11o6)より引用

アスリートは選手生命が短く、20〜30代でいかに成績を残すかによって生涯年収が大きく変動する。
仕事内容は大きく異なるが、夜の世界も若いうちに稼ぐチャンスがある一方で、その収入がいつまで続くかわからない点で、私には親近感を感じる部分がある。

主なスポーツの平均引退年齢は、野球が29.8歳、サッカーが26~27歳、大相撲が32歳、ボクシングが30歳だ。
夜の世界で働く女性も、やはり30代も中盤に入ると引退するケースが多いだろう。
この引退に向けて、どれだけ稼ぎ、どう備えるかが、その後の人生を設計する上で重要になる。

二軍暮らしのまま30歳を迎えた場合の年俸モデル

とはいえ、アスリートも夜の仕事も、誰もが同じように稼げるわけではない。
たとえば、日本プロ野球選手会が2026年4月に公表した年俸調査では、平均年俸が5,216万円だったのに対し、中央値は2,000万円。平均の半分以下だ。

例えば、高卒ルーキーとして入団し、二軍暮らしを中心に、30歳まで支配下選手として在籍した場合を考えてみる。

年齢年俸備考
18歳(新人)500万円下位指名相当
19歳470万円結果出ず微減
20歳450万円最低ライン付近
21歳500万円一時的な期待
22歳550万円一軍数試合出場
23歳500万円伸び悩み
24歳550万円横ばい
25歳600万円中堅として定着
26歳600万円横ばい
27歳650万円出場機会増
28歳600万円微減
29歳650万円横ばい
※一軍に定着しない場合の年俸推移の仮想モデルで、平均的な年俸推移ではありません

この場合、12年間の年俸合計は6,620万円になる。
契約金など年俸以外のお金もあるため、年俸の合計だけでは引退時の資産は決まらないものの、実際にはこうした選手が30歳まで生き残れること自体、狭き門だ。
もっと早く次の仕事を考えなければならない場合もある。

年俸の合計がそのまま手元に残るわけではない

さらに、6,620万円は手取りではない点にも注意が必要だ。
税金や社会保険料、生活費に加えて、競技を続けるために自分で負担する費用もある。
寮生活の間にどれだけ残せたか、自活するようになって支出がどう変わったか、家族を養っているかどうかでも違ってくる。

同じ年俸をもらっていても、30歳で手元に残っている金額には差が出る。
プロ野球選手になったことで生活水準が上がり、車や時計、交際費など派手な使い方をしていた場合は、ほとんど残っていないこともあると思う。

若いうちに稼ぐ人と会社員|65歳時点の資産を比べてみた

きこさんのInstagram
(https://www.instagram.com/kiko_11o6)より引用

一方で、若いうちに大きな年俸を得られた選手には、資産形成の面で強みもある。
それは、早い段階でまとまった資金を持ち、長く運用できる時間があること。

そこで、若いうちに稼ぐ人と、会社員として長く働きながら給料が上がっていく人。
生涯の手取りが同じなら、残せる資産額にどのくらい差が出るかを実際に計算してみた。

比べるのは生涯の手取りが同じ2億2,500万円の2人

前提は、生涯の手取りがどちらも2億2,500万円の2人。
違うのはお金を稼ぐ時期だけだ。

項目若いうちに稼ぐ人会社員
働く期間20〜34歳(15年間)20〜64歳(45年間)
年間手取り1,500万円20代300万円
30代450万円
40代600万円
50代650万円
60代前半500万円
生涯の手取り2億2,500万円2億2,500万円
生活費月25万円(年300万円)月25万円(年300万円)
35歳以降の仕事収入なし64歳まであり
2人の前提条件(仮想モデル)
※アスリートや会社員の平均ではなく、収入を得る時期の違いを見るためのモデルです。
※実際には引退後も働く人がいますが、今回は比較のため、35歳以降の仕事収入をゼロにしています。
若いうちに稼ぐ人と会社員の年間手取りの比較グラフ
若いうちに稼ぐ人は35歳で収入がゼロになる(仮想モデル)

稼いだ金額から生活費を差し引いて残ったお金は毎年末に貯蓄・運用し、収入がなくなった後は資産から生活費を取り崩す。
65歳到達時点で、いくら残っているのか?

運用しなかった場合は、残る金額はどちらも9,000万円。
計算はシンプルで、生涯の手取り2億2,500万円から、45年分の生活費1億3,500万円を引いた残りだ。
生涯の手取りも生活費も同じなので、稼ぐ時期が違っても、残る金額は変わらない。

年利3%で運用すると差は約2億5,229万円に

では、税金や手数料を引いた後で、年利3%の複利運用を行った場合はどうなるだろうか?

生活費月25万円の場合の資産推移グラフ
点線は運用なし、実線は年利3%で運用した場合(仮想モデル)
35歳時点の資産65歳時点の資産
若いうちに稼ぐ人約2億2,319万円約3億9,901万円
会社員約796万円約1億4,672万円
差額約2億1,523万円約2億5,229万円
生活費月25万円・年利3%で運用した場合(仮想モデル)

この場合の差額は約2億5,229万円。
35歳から30年間の生活費を取り崩していても、早く稼ぐ人のほうが多く残る計算になった。

差がつく理由は、運用に大きなお金を回せる期間にある。

35歳の時点で、若いうちに稼ぐ人の手元にはすでに約2億2,319万円がある。
年利3%なら、それだけで1年に約670万円増える計算で、毎年の生活費300万円を取り崩しても資産は増え続ける。

一方、会社員は35歳時点の資産が約796万円。
貯められる金額が増えるのは40代以降なので、運用で増やせる期間が短くなる。

生活費を月50万円に上げると早く稼げた強みが消える

ただし、この試算では、年間手取りが1,500万円あっても、生活費を月25万円に抑えている。
年俸が上がれば、住む家や車、食事、交際費などに使うお金が増えることもあると思う。

そこで、若いうちに稼ぐ人の生活費を、月50万円に変えてみた。
35歳で収入がなくなった後も、その生活を続けた場合はどうなるのか。

生活費を変えた場合の資産推移グラフ
生活費の使い方で65歳時点の資産は大きく変わる(仮想モデル)

年利3%で運用した65歳時点の資産は、約1億2,085万円。
月25万円で暮らす会社員の約1億4,672万円を下回る結果になった。
さらに、運用せずに月50万円の生活を続ければ、57〜58歳ごろに資産が尽きる計算になる。

早く稼げたことは強みになるが、そのときの収入を前提に生活を続けると、強みが失われる場合もある。
一方、現役中は月50万円使っていても、35歳から月25万円に戻せた場合、年利3%なら65歳時点で約2億6,357万円が残る。

パターン生活費65歳時点の資産
若いうちに稼ぐ人ずっと月25万円約3億9,901万円
若いうちに稼ぐ人月50万円→35歳から月25万円約2億6,357万円
会社員ずっと月25万円約1億4,672万円
若いうちに稼ぐ人ずっと月50万円約1億2,085万円
若いうちに稼ぐ人(運用なし)ずっと月50万円57〜58歳ごろに資産ゼロ
全パターンの比較(運用なしを除き年利3%、仮想モデル)

お金を使うこと自体が悪いわけではないが、収入が変わったときに支出も変えられるかが大きな差を生むことは確かだ。

株式投資に興味を持つアスリートが増加中?

きこさんのInstagram
(https://www.instagram.com/kiko_11o6)より引用

かつてあったプロ野球独自の年金制度は、2011年に廃止が決まった。
現在は国民年金に加えて、選手会の退団金共済制度や球団からの補助金などを組み合わせ、公的年金の手薄さを選手自身が補う必要があるのが実情だ。
里崎智也氏も1年目から加入していたそうだが、退団金共済はあくまで共済であり、年金のような終身給付ではなく、退団時の一時金という性格が強い。

そうしたなか最近、株式投資に興味を持つアスリートが増えているという話を聞いた。

「個別銘柄はどうやって選んでますか?」
「半導体はまだ買いですか?」
「どの指標をチェックしてますか?」

私にも投資に関する質問が送られてくる。

つば九郎をきっかけにヤクルトの株主に

多くの初心者が銘柄をどう選べばいいかに悩みがちだが、企業に興味を持つきっかけは、身近なところからでいいと思う。

2025年、ヤクルトスワローズのアイドルつば九郎を30年以上支えてきた社員スタッフの残念なお知らせを受け、今後の運営について気になった私は、ヤクルト本社(2267)の株主になった。
株主総会にも参加予定だったが、仕事の都合で行くことはできなかった。

今年でいうと、田端さんの推し銘柄でもあるSQUEEZE(558A)に注目している。
エスコンフィールドHOKKAIDOの球場ホテルを運営しており、フロント業務のクラウド化など、ホテル運営の省人化も手がけている。

最近は巨人の浦田選手の活躍を応援しており、ワークマンの手袋を打撃用に使っていると知って、ワークマン(7564)の株を購入した。

好きな野球を見ているだけでも、企業に興味を持つきっかけはある。
そうやって興味を持った企業について、ホームページにあるIR情報を開いてみて、どうやって利益を出しているのか調べてみる。
自分が興味を持った商品・サービスを手掛ける会社であれば、ビジネスモデルも理解しやすいだろう。
そのうえで、今の株価をどう評価するのかを考えていくことで、投資への理解も深まると思う。

若いうちに稼いだお金をその後の人生にも活かすために

きこさんのInstagram
(https://www.instagram.com/kiko_11o6)より引用

現役中に残したお金があれば、次の仕事を選ぶ時間や、新しいことに挑戦する余裕を持ちやすくなる。
この点では、アスリートの方々にも、夜の世界で働く私にも同じことがいえる。

若いうちに稼いだお金を、その後の人生にも活かせるように。
より多くの方に、身近なところから興味を持って、株式投資がいかに近い存在かを知ってほしい。
そのうえで、この記事をきっかけに、私自身も含めた一人ひとりが自分に合った資産運用について考えていけたらと思う。

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執筆者情報

nari

きこ

投資インフルエンサー

野村證券株式会社2017年入社。法人営業を経験し、CEO賞を受賞。現在はJUNGLE TOKYO GINZAに在籍をしながら、投資インフルエンサーとして活動。各種メディアにも出演。

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