SKハイニックス(SKHY)の株価と今後|急落がキオクシアなど日本株へ与える影響

江口 裕臣

日本投資機構株式会社 テクニカルアナリスト(CMTA®)

SKハイニックス(SKHY)の株価と今後|急落がキオクシアなど日本株へ与える影響

SKハイニックスの韓国普通株は、2026年6月の高値から大きく調整した一方、7月に上場した米国ADRも短期間で乱高下しました。好決算でも株価が下がった背景には、HBMへの高い期待と新規上場直後の需給があります。

今後は、HBM4の量産拡大が設備投資の増加を上回る利益を生むかが株価を左右します。韓国株とADRの違いに加え、キオクシアや半導体装置株へ波及する経路も取り上げます。

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SKハイニックスはHBMで急成長したAIメモリー大手

SKハイニックスはHBMで急成長したAIメモリー大手

SKハイニックスは、韓国に本社を置く半導体メモリー大手です。主力のDRAMに加え、NAND型フラッシュメモリーや企業向けSSDも手掛けています。AIサーバー市場では、GPUの性能を引き出すHBMが急速に伸び、同社の収益構造を変えました。

25年12月期の売上高は97.1兆ウォン、営業利益は47.2兆ウォンまで拡大しました。23年12月期の営業赤字から2年で急回復しています。現在の評価は、従来型メモリーの市況よりHBMの供給力に強く左右されます。

決算期売上高営業利益純利益
21年12月期43.0兆ウォン12.4兆ウォン9.6兆ウォン
22年12月期44.6兆ウォン7.0兆ウォン2.4兆ウォン
23年12月期32.8兆ウォン-7.7兆ウォン-9.1兆ウォン
24年12月期66.2兆ウォン23.5兆ウォン19.8兆ウォン
25年12月期97.1兆ウォン47.2兆ウォン42.9兆ウォン
SKハイニックスの連結業績推移。単位未満は四捨五入。K-IFRS、同社決算資料を基に作成

AI半導体に欠かせないHBMが収益構造を変えた

HBMは、複数のDRAMチップを縦に積み重ねた高帯域幅メモリーです。GPUの近くへ配置し、大量のデータを短時間で受け渡します。生成AIでは、演算速度だけでなくデータ供給の速さも処理性能を左右します。

Reutersが報じた2025年の推計では、同社のHBM世界シェアは61%でした。2026年1-3月期も58%を確保し、サムスン電子とマイクロンの各21%を上回っています。製造難度の高い先端品への早期投資が収益構造を変えました。

NVIDIAとの複数年提携がHBM4の開発を支える

SKハイニックスは2026年6月、NVIDIAと次世代メモリーの共同開発と供給を含む複数年提携を発表しました。NVIDIAの製品計画に沿って仕様を早期に詰められるため、開発後に顧客を探すより需要の確度を高められます。

同社は次世代AI基盤のVera Rubin向けにHBM4を供給し、SKグループのAI工場にも協力します。顧客との距離が近い点は強みですが、依存度が高まればNVIDIAの設計変更や出荷計画も業績へ響きます。提携は安定需要と集中リスクを併せ持ちます。

営業利益557%増でも市場予想未達で株価は下落した

営業利益557%増でも市場予想未達で株価は下落した

2026年7月29日に発表した4-6月期決算は、売上高、営業利益、利益率のすべてが過去最高でした。それでも韓国普通株は発表後に下落しています。市場は増益の有無ではなく、既に株価へ織り込んだ高い期待を超えたかで反応しました。

HBMの一部出荷が後ろへずれたほか、販売価格の伸びも投資家の想定ほど強くありませんでした。過去最高益でも予想を下回れば売られる点が、現在の株価水準に含まれる期待の高さを示します。

4-6月期は売上高79.3兆ウォンで過去最高を更新

2026年4-6月期の売上高は79.3兆ウォンで前年同期比257%増、営業利益は60.5兆ウォンで557%増でした。営業利益率は76%に達し、1-3月期の72%からさらに上昇しています。DRAMとNANDの販売価格がともに改善しました。

現金は約88.0兆ウォン、負債は18.6兆ウォンで、差し引き69.4兆ウォンのネットキャッシュです。稼いだ資金で大型投資を進められる財務余力があります。売上増だけでなく、価格上昇が利益へ大きく反映された四半期でした。

市場予想との約3.5兆ウォン差が失望売りを招いた

Reutersによる市場予想は営業利益約64兆ウォンで、実績との差は約3.5兆ウォンです。前年同期から大幅に伸びても、予想超過を見込んで買われていた株価には物足りません。決算当日の韓国普通株は一時9%超下落しました。

一部の先端製品で出荷時期がずれ、HBMの価格上昇も穏やかだった点が差の主因です。受注消失ではなく時期の問題なら次四半期へ回収できます。ただし、出荷延期が続けば量産能力や顧客認証への疑念が強まり、評価は下がります。

純利益93.9兆ウォンにはキオクシア関連の利益が含まれる

4-6月期の純利益93.9兆ウォンには、キオクシア株の売却や評価に伴う金融損益が加わっています。このため、営業利益を大きく上回りました。本業の採算を見る際は、営業利益と営業キャッシュフローを優先します。

同社は2026年の設備投資を40兆ウォン台後半へ増やす方針です。25年の30.2兆ウォンから負担が増えます。25年は自己株式1,530万株を消却し、年間3,000ウォンを配当しました。市場は次の還元策を待っています。

韓国株とADRの急騰後調整は需給の影響が大きい

韓国株とADRの急騰後調整は需給の影響が大きい

韓国普通株は2025年夏の安値から約1年で10倍を超える場面があり、2026年6月に最高値を付けた後は調整へ転じました。7月上場のADRも、公募直後の急騰と急落を経験しています。両者は同じ会社へ投資しますが、取引市場と需給が異なります。

2026年8月4日の韓国株終値は157万7,000ウォン、時価総額は約1,149兆ウォンです。事業価値は韓国株を基準に確認し、ADR固有の上乗せ価格を切り分ける必要があります。

5年で景気循環株からAI成長株へ評価が変わった

調整後株価ベースの年末値は、2021年の約12万6,000ウォンから2022年に約7万3,000ウォンへ下落しました。メモリー不況で赤字となった2023年は約13万9,000ウォンへ戻り、2024年末は約17万2,000ウォンでした。

2025年末には約65万ウォンまで上昇しました。2026年6月25日の高値298万7,000ウォンから、8月4日までに約47%下落しています。長期上昇は維持していますが、最高値からは明確な調整が続いています。

SKハイニックスの2026年5月28日から8月7日までの株価チャート

ADRは194.80ドルから124.80ドルへ約36%下落した

NASDAQ上場のADRは2026年7月に1口149ドルで発行され、7月14日に194.80ドルまで上昇しました。しかし、7月29日には124.80ドルまで下落し、高値からの下落率は約36%です。需要は募集額の7倍を超えました。

8月4日の終値は154.38ドルまで戻しました。新株1,779万株相当を発行し、約265億ドルを調達したため、既存株には約2%台の希薄化が生じました。上場から1カ月に満たず、短期資金も値幅を広げています。

10ADRと韓国普通株1株は同価値でも価格差が生じる

SKHYは10ADRで韓国普通株1株を表します。理論上は韓国株価を米ドルへ換算し、10で割った価格が基準です。実際にはADRの新規発行や普通株への交換に制約があり、米国市場の買い需要が強い時は基準価格を上回ります。

反対に米国側の売りが増えれば、韓国株より安くなる場合もあります。為替変動も価格差を動かします。ADRだけのチャートでは割安と決められません。韓国株の終値、ウォン相場、交換比率を同じ時点で照合します。

PER6.91倍でも一時利益を除けば割安とは限らない

2026年8月4日時点の韓国普通株は、実績PER6.91倍、予想PER3.78倍、実績PBR4.38倍でした。配当利回りは0.19%です。EVを利払い前・税引き前・減価償却前利益で割るEV/EBITDAは7.53倍です。

PERが低い主因は、直近純利益へキオクシア関連益が加わった点と、メモリー価格の急上昇です。市況ピークの利益を分母にするとPERは低く見えます。一方、PBRは4倍超で過去数年より高く、成長期待は十分に織り込まれています。

SKハイニックスの株価は今後どうなる?HBM4量産と長期契約が焦点

SKハイニックスの株価は今後どうなる?HBM4量産と長期契約が焦点

SKハイニックスの基本見通しは、AI向けメモリー需要の拡大が売上を支える一方、株価は既に高い成長を織り込んでいる状態です。WSTSは2026年の世界メモリー市場を前年比250%増と予測しており、需要環境は追い風です。

ただし、需要予測だけでは株価上昇の十分条件になりません。HBM4の出荷量、契約価格、生産能力の3点が同時に伸びるかが評価の分岐点です。四半期決算で順番に確認できる指標です。需給も追います。

2026年後半のHBM4増産が次の利益成長を左右する

同社は2026年4-6月期にHBM4の量産出荷を始め、後半に生産を拡大する計画です。HBM4は前世代より入出力端子が増え、性能と電力効率を高めています。後継のHBM4Eも2026年上期にサンプル出荷を始めました。

次回以降の決算では、HBM売上の伸びだけでなく、出荷延期の解消と営業利益率を確認します。量産が計画通り進み、利益率70%台を維持できれば評価は上向きます。延期と採算低下が重なれば技術優位への疑念が強まります。

約10件の長期契約がメモリー市況の変動を抑える

SKハイニックスは約10件の長期供給契約を顧客と結び、一部は5年契約です。最低購入量や価格帯、金融保証を含みます。従来のメモリー市況より収益の見通しを立てやすくし、供給不足時の価格交渉力も維持できます。

一方、固定価格の契約は市況上昇時に値上がり幅を抑える場合があります。最低価格、購入義務、仕様変更時の負担も採算を左右します。決算では契約件数より、HBMの平均販売価格と売上総利益率を追います。市況悪化時の下支えになるかも確認します。

M15Xと龍仁工場の稼働が供給不足を解く

清州のM15Xは量産を前倒しし、龍仁半導体クラスターの第1工場も2027年初めの稼働を目指します。後工程を担うP&T7やNAND向けM17も段階的に整備し、DRAMから実装まで供給網を広げます。

新工場は不足解消へ寄与しますが、装置導入から安定量産まで時間が必要です。需要が強い間に稼働すれば売上機会を増やせます。完成時に市況が反転すれば、減価償却費と在庫が重くなります。稼働時期と受注の重なりが重要です。

SKハイニックスの決算はキオクシアと値がさ半導体株へ波及する

SKハイニックスの決算はキオクシアと値がさ半導体株へ波及する

SKハイニックスの決算は、韓国株だけで完結しません。日本市場ではキオクシアが同じメモリー株として売買され、東京エレクトロンやアドバンテスト、ディスコもAI半導体投資の方向を映す銘柄として反応します。

キオクシアなどメモリー株には短期的な売りが波及しやすい一方、日本の半導体株を一律で弱気に見る必要はありません。同じ日に下落しても、メモリー価格、設備投資、日経平均の指数需給で影響は異なります。

日本株主な波及経路確認したい指標
キオクシアHD(285A)NAND価格と同業株の評価NAND販売価格と在庫
アドバンテスト(6857)高性能DRAMのテスト需要メモリーテスター売上
ディスコ(6146)HBMの薄化・切断工程装置出荷額と稼働率
東京エレクトロン(8035)メモリー設備投資受注と顧客投資計画
SKハイニックスの業績や株価が日本の半導体株へ波及する主な経路

キオクシアはNAND価格と同業株の連れ安を受けやすい

SKハイニックスの急落後は、キオクシアへ利益確定売りが波及しやすくなります。AI向けSSDやNAND市況の回復を先回りして買われた後ほど、同業株の下落が売る理由になりやすいためです。

ただし、キオクシアの主力はNANDとSSDで、SKハイニックスの成長をけん引するHBMとは製品が異なります。連れ安だけで業績悪化とは言えません。NANDの販売価格、出荷量、在庫、キオクシア自身の利益率を確かめ、製品構成を分けて読みます。

アドバンテストとディスコはHBM投資継続が追い風になる

SKハイニックスの好業績は、AIメモリー需要がまだ強い事実も示しています。アドバンテストは高性能DRAM向けテスター、ディスコはHBMの薄化や切断に使う精密加工装置を供給しています。

HBM4の量産と設備投資が続けば、検査や加工工程の需要も増えます。ただし、装置株の売上は発注時期で振れるため、SKハイニックスの設備投資総額だけでは足りません。各社の受注、出荷額、利益率を四半期ごとの決算資料で確かめます。

東京エレクトロンなど値がさ株は日経平均も動かす

SKハイニックスが急落した日は、東京エレクトロンやアドバンテストにも売りが広がりやすくなります。値がさ半導体株は日経平均への影響が大きく、先物や指数連動の売買も下落を増幅します。

この値動きには業績懸念だけでなく、半導体株をまとめて減らす資金移動も含まれます。東京エレクトロンはメモリー設備投資、アドバンテストは検査需要が別々に業績へ反映されます。株価連動だけで同じ結論を当てはめず、個別の受注を見ます。

競合の増産と巨額投資がHBMの高利益率を崩し得る

競合の増産と巨額投資がHBMの高利益率を崩し得る

HBM市場は高成長でも、SKハイニックスだけが恩恵を得る市場ではありません。サムスン電子とマイクロンは次世代品の量産を急ぎ、中国CXMTもDRAM生産能力の拡大を計画しています。供給増は価格とシェアの両面へ影響します。

AI投資の減速、競合の顧客認証、設備投資の回収遅れが重なると、現在の高い利益率は維持できません。株価の最大リスクは需要消失より、供給増加でメモリー価格の上昇が止まる展開です。DRAMとNANDの販売価格、在庫、利益率を四半期ごとに追います。

サムスン電子とマイクロンのHBM4認証が競争を変える

サムスン電子とマイクロンもHBM4へ投資し、主要顧客の認証取得を進めています。競合品が量産へ入れば、顧客は供給元を分散できます。SKハイニックスの高いシェアは価格交渉力の源泉ですが、独占に近い状態は長く続きません。

中国CXMTの増産は先端HBMより汎用DRAMへ先に影響する可能性があります。汎用品の価格が下がれば、HBMで稼いでも全社利益は圧迫されます。HBMシェアだけでなく、DRAM全体の販売価格と在庫日数も確認が必要です。

AI投資と巨額設備投資のずれが利益率を圧迫する

HBM需要はクラウド大手のデータセンター投資に依存します。同社は2026年の設備投資を40兆ウォン台後半へ増やし、ASMLから約11.95兆ウォンのEUV露光装置を購入します。生産能力の拡大へ現金支出が先行します。

電力不足や建設遅延でAIサーバーの稼働が遅れれば、メモリーの受注時期も後ろへずれます。完成時に市況が反転すると、減価償却費と在庫が利益を圧迫します。営業キャッシュフローが設備投資を上回るかを確かめます。

日本からはNASDAQのSKHYを買う方法が現実的

日本からはNASDAQのSKHYを買う方法が現実的

SKハイニックスへ投資する方法は、韓国取引所の普通株とNASDAQのADRに分かれます。日本の個人投資家には、米国株口座からティッカーSKHYを買う経路が分かりやすい選択です。ただし、すべての国内証券会社が取り扱うとは限りません。

2026年8月時点では、SBI証券とmoomoo証券でSKHYの取扱状況を確認できます。注文前に為替手数料、ADR管理手数料、韓国株との価格差を確認してください。指値注文も有効です。

SKHYは米国株口座で買えるが韓国株との価格差に注意

SKHYは米国株口座から円貨または米ドルで購入できます。韓国普通株のティッカーは000660で、ウォン建てです。取引時間、為替、税務、流動性、ADR管理手数料が異なります。

韓国株1株の米ドル換算額を10で割り、SKHYの価格と照合してください。差が大きい時は、業績が同じでもADR側だけ調整する可能性があります。米国上場による買いやすさへ高い上乗せ価格を払っていないか、出来高と併せて必ず確かめます。

まとめ|SKハイニックスの急落はAIメモリー需要の終わりではない

SKハイニックスはHBMで先行し、AIメモリーの中核企業として中長期の成長余地を残しています。NVIDIA向けを中心としたAIサーバー需要も強く、従来のメモリー市況株とは異なる評価を受けています。

今回の急落は業績悪化ではなく、高い期待を先に織り込んだ株価の調整です。過去最高益でも市場予想を下回れば売られるため、良い決算だけでは株価を押し上げにくくなっています。

キオクシアなど日本のメモリー株には短期的な売りが波及しやすい一方、AIメモリー需要そのものは崩れていません。日本株ではNAND価格、SSD需要、受注、利益率を企業ごとに確かめます。

SKハイニックスではHBM4の量産、販売価格、営業利益率を追います。サムスン電子とマイクロンの供給が増え、価格上昇が止まれば、巨額設備投資の固定費が利益を圧迫します。

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執筆者情報

nari

日本投資機構 編集部

日本投資機構株式会社

INVEST LEADERSを運営する顧問投資会社「日本投資機構株式会社」の代表取締役を含めたスタッフ及びサポートアナリストの記事を掲載しています。株式投資や金融に纏わる話題は勿論のこと、読者の暮らしや生活を豊かにするトピックスや情報を共有していきます。

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