2026年7月の日本株市場では、日経平均株価が月間で8.13%下落しました。6月末に初めて7万円台へ乗せた熱気は後退し、AI・半導体株を中心に値幅の大きい日が続いています。
ところが、TOPIXは小幅ながら4カ月連続で上昇しました。日経平均だけを見ると、7月の日本株全体を必要以上に弱く捉えてしまいます。本記事では指数の差、相場を動かした材料、8月の確認点を整理します。
2026年7月は日経平均8.13%安、TOPIX0.21%高

7月相場の特徴は、主要指数が逆方向へ動いた点です。日経平均は値がさのAI・半導体株に売りが集中し、月間で大幅に下落しました。一方、東証プライム市場を広く反映するTOPIXは小幅高でした。
月末の指数だけを比べても、日経平均の急落が日本株全体の総崩れではなかったと分かります。まずは月初から月末までの水準と、7月後半の急変を確認します。指数の算出方法も値動きの差を読む大切な手掛かりです。月間の起点もそろえます。
| 指数 | 6月末 | 7月末 | 月間騰落 |
|---|---|---|---|
| 日経平均株価 | 70,062.00円 | 64,362.02円 | -8.13% |
| TOPIX | 3,994.76 | 4,003.30 | +0.21% |
日経平均は70,062円から64,362円へ下落
日経平均の下げが加速したのは7月中旬です。17日は前営業日比4.03%安の64,141.12円で終了しました。6月25日の最高値72,366.34円と比べた下落率は11.3%となり、調整局面入りが意識されています。
価格が高い銘柄の影響を受けやすい日経平均では、半導体株の下げが指数全体を強く押し下げました。月間の数字は景気全体の失速より、指数構成の偏りを色濃く映しています。TOPIXとの差は8ポイントを超えました。

TOPIXは4,003.30で終了し、月間4カ月続伸
TOPIXは7月6日に4,101.96まで上昇した後、17日に3,919.21まで下げました。それでも月末に4,000台を回復し、月間では4カ月連続の上昇です。浮動株時価総額加重型のため、日経平均より幅広い企業の値動きを反映します。
銀行や鉄道などが下支えし、半導体株の下落を吸収しました。日経平均が8%超下げてもTOPIXが上昇した事実は、7月が全面安ではなく資金移動の月だったと示します。6月までの二極化が逆向きに働きました。

28日に62,364円まで沈み、31日は約2,500円高で切り返した
7月28日の日経平均は前営業日比2,566.27円安の62,364.92円で終了しました。キオクシアホールディングス、東京エレクトロン、アドバンテストなどに売りが集中し、TOPIXも2.52%下落しています。
一方、31日は米半導体株の反発を受け、日経平均が2,494.59円上昇しました。月末の急反発を含めても8.13%安で終えた点に、7月の下げの深さが表れています。売買の速さも目立ちました。終値だけでは見えない荒さです。
7月相場は原油・半導体・金融政策で大きく振れた

7月の値動きは、1つの悪材料だけでは説明できません。中東情勢の再緊迫化が原油価格を押し上げ、米国ではAI設備投資の負担が意識されました。さらに、日米の中央銀行会合と円相場の急変が重なっています。
材料が日替わりで変わったため、指数が下げた翌日に大きく戻す場面もありました。ここでは相場を動かした4つの流れを、発生順と日本株への影響に分けて整理します。単独材料より、複数材料が重なった日の下げが大きくなりました。
イラン情勢の再燃で原油価格が急騰
7月上旬は米国とイランの対立が再び強まり、原油先物が急騰しました。ロイターによると、7月7日の取引で北海ブレントは5.2%高の1バレル78.02ドル、WTIは4.4%高の73.52ドルで終了しています。
中旬にはホルムズ海峡を巡る警戒も重なり、原油高が輸送、化学、小売などのコスト増要因になりました。資源株には追い風でも、原油を使う企業には利益率を圧迫する材料です。同じ原油高でも業種で影響が逆になります。
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キオクシアを起点に半導体株の値幅が拡大
7月17日は米SOX指数の4.3%安を受け、キオクシアが16.1%下落しました。直前には韓国半導体株の急落もあり、SUMCOやSCREENホールディングスなどへ売りが広がっています。
24日には米大手IT企業のAI設備投資への負担が警戒され、28日にはメモリー株から資金が流出しました。長期のAI需要が崩れたというより、高値まで買われた銘柄の期待値が短期間で修正された局面です。半導体テーマ全体を一括りにしない選別が必要です。
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日銀は1.00%、FOMCは3.50~3.75%で据え置き
日本銀行は7月31日の金融政策決定会合で、無担保コール翌日物金利を1.00%程度で推移させる方針を維持しました。委員8人が据え置きに賛成し、1人は1.25%への引き上げを主張しています。
米連邦準備制度理事会も7月29日に政策金利を3.50~3.75%で据え置きました。ただし3人が0.25ポイントの利上げを支持しています。据え置きでも、次の利上げを意識させる内容でした。金利低下を前提にした買いには逆風です。
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月末の円急伸が輸出株の評価を揺さぶった
7月末の外国為替市場では円が急伸し、ドル円は一時158円台まで動きました。8月2日に日本政府は米国との協調介入を公表しています。7月29日までの財務省集計は介入額0円で、30日以降の取引は対象期間外です。
急な円高は輸出企業の円換算利益を減らしやすく、自動車や電機株の重荷になります。一方、輸入コストの低下は小売や食品に追い風です。為替の方向だけでなく、企業ごとの感応度を見る必要があります。同じ円高でも明暗は分かれます。
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日経平均の下落だけでは7月の日本株を説明できない

7月はAI・半導体株の下落が大きく報じられました。しかし、指数の外側では銀行、鉄道、内需株へ資金が移っています。グロース株から別業種への持ち高調整が、日経平均とTOPIXの逆行につながりました。
この違いを押さえると、急落局面で何が売られ、どこに資金が残ったのかを読みやすくなります。セクターごとの明暗を4つに分けて確認します。指数の下落と保有株の下落を混同しないための基本整理です。業種別の差にも注目します。
値がさ半導体株の下落が日経平均を押し下げた
日経平均は株価の高い銘柄ほど指数への影響が大きい価格加重型です。東京エレクトロン、アドバンテスト、ソフトバンクグループなどが同時に下げると、ほかの銘柄が上昇しても指数は戻りにくくなります。
7月24日は日経平均が2.73%安だった一方、TOPIXの下落率は1.05%でした。指数間の差は、半導体株に売りが偏っていた証拠です。日経平均だけで保有株全体の環境を判断すると誤差が広がります。値上がり銘柄も残りました。
銀行・鉄道・内需株がTOPIXを下支え
日銀が政策金利を1.00%に維持するなか、銀行株には利ざや改善への期待が残りました。半導体株が大きく下げた7月24日も、東日本旅客鉄道や西日本旅客鉄道は逆行高となっています。
TOPIXは時価総額を基準に幅広い銘柄を組み入れるため、こうした資金移動を反映しやすい指数です。7月は成長株から金融・内需へ逃げた資金が、市場全体の下値を支えました。高配当株も相対的な受け皿になりました。全面的なリスク回避とは異なります。
自動車株は円相場と関税、決算の三重評価になった
自動車株は円安だけで単純に買われる相場ではありませんでした。米国の関税、EV投資の見直し、中国市場の競争に加え、月末の円急伸も評価を複雑にしています。売上が伸びても利益率が下がれば株価は反応しにくくなります。
7月はトヨタやホンダの業績前提も変わりました。8月は販売台数より、関税負担とEV投資削減が営業利益へどう表れるかが焦点です。国内の部品会社への波及も見逃せません。
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AI投資の長期成長と短期的な割高修正が同時進行した
半導体株が下落しても、AIデータセンターへの設備投資計画が消えたわけではありません。問題は需要の有無ではなく、現在の株価が将来利益をどこまで先取りしていたかです。期待が高いほど、好決算でも材料出尽くしになりやすくなります。
個別株でも、NEC、パナソニックHD、太陽誘電はAI需要への期待と利益の確認時期が異なります。売上成長だけでなく、設備投資額、キャッシュフロー、増益率まで比べる局面へ移っています。
8月相場は決算と半導体株の反発力を確認する局面

7月末は半導体株が急反発しましたが、1日だけの買い戻しで底入れとは判断できません。8月は主要企業の4~6月期決算が出そろい、AI投資が売上と利益へ結び付いているかを確認する月です。
同時に、日米の金利、協調介入後の円相場、原油価格も企業利益を動かします。指数予想より、決算で評価が変わる条件を先に決めておく方が実践的です。7月の急変後だけに、持ち高の大きさも売買結果を大きく左右します。確認する順番も決めておきます。
AI設備投資は利益率と投資回収で評価が分かれる
AI関連企業では、受注や売上の伸びだけでなく、設備投資を差し引いた現金収支が問われます。大手IT企業の投資額が増えても、減価償却費や電力費が利益を圧迫すれば、株式市場は厳しく評価します。
8月はデータセンター投資額、半導体の在庫、受注残の三つを同時に確認します。設備投資計画の上方修正だけで追わず、利益率まで改善している企業を選ぶ姿勢が必要です。投資回収の速度が評価を分けます。受注の質も必ず確認します。
第1四半期決算は営業利益率と通期計画を確認
3月期企業の第1四半期決算では、通期計画に対する進捗率が注目されます。ただし、利益の計上時期には季節差があります。進捗率が高いだけで上方修正を期待せず、前年同期比と会社計画の前提を確認します。
特に自動車は関税と為替、電機はAI需要、内需企業は人件費と原材料費が焦点です。売上高より営業利益率が改善している企業は、相場が不安定でも再評価されやすくなります。通期計画を据え置いた理由まで丁寧に読み込みます。
為替介入後も円相場は日米金利差で揺れやすい
協調介入で円安の流れが止まっても、金利差が残れば再び円売りが強まる可能性があります。反対に、追加利上げ観測が高まれば、輸出株の業績前提が変わります。短期間で円相場が往復しやすい環境です。
企業の想定為替レートと実勢レートの差を確認し、円高と円安のどちらが有利かを銘柄ごとに分けます。指数全体へ一律に当てはめない姿勢が必要です。為替予約の有無でも影響は変わります。輸入比率と海外生産比率も確認対象です。
夏枯れでも値幅が小さくなるとは限らない
8月は海外投資家の夏休みや日本のお盆が重なり、売買が細る「夏枯れ相場」と呼ばれます。ただし、売買参加者が減ると少ない注文でも価格が動きやすくなります。出来高減少と値動き縮小は同じ意味ではありません。
7月は1日の値幅が2,000円を超える日もありました。8月も流動性が低い時間帯の成行注文を避け、決算前後の建玉を抑える対策が有効です。薄商いほど急変への備えが要ります。逆指値の幅も普段より慎重に決めます。
[関連]夏枯れ相場はいつからいつまで?本当に売買が細るのか過去の動きから傾向を分析
まとめ|7月は指数の二極化が逆回転した1カ月
2026年7月は、6月まで日経平均を押し上げたAI・半導体株が下げを主導しました。一方、TOPIXは小幅高を保ち、銀行や内需株へ資金が残っています。全面安ではありません。
投資判断では日経平均の下落率だけで弱気へ傾かず、急落時の銘柄選びと底打ちの確認を分けてください。7月の相場は、テーマだけで買う難しさも示しました。
8月は決算、半導体の在庫、AI投資の採算、円相場が焦点です。大きく戻した銘柄を追いかけるより、決算で利益成長を確認できる企業を選び、値幅に合わせて投資額を調整します。
日経平均とTOPIXの方向が再びそろうか。この変化が、7月の調整が続くのか、物色の裾野が広がるのかを見分ける目印になります。

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